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競走部

2019.12.20

【連載】箱根事前特集『燕脂の挑戦』第13回 新迫志希

 故障を引きずり、今年もトラックシーズンでは思うような結果は出せなかった新迫志希(スポ3=広島・世羅)。しかし、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)での好走に続き、11月には実に5年ぶりに1万メートルの自己記録を更新。最後の東京箱根間往復駅伝(箱根)が目前に迫るなか、調子は上向きだ。今シーズンの振り返りとともに、大舞台を前にした心境を語っていただいた。

※この取材は12月4日に行われたものです。

「いろいろな遠回りをして今がある」

笑顔で質問に答えた新迫

――1万メートル記録挑戦会以降、コンディションはいかがですか

少し疲れがきています。でも、この時期に疲れているのであと2週間頑張って、その次の週からは調子が上がってくると思うので、今は我慢の時だと思っています。

――集中練習で意識されていることはありますか

特にないですね。とにかく練習の質や量はしっかり取れるので、けがをしないことと、後はしっかりやるところで外さないというところくらいですかね。

――練習の消化具合はいかがですか

100パーセントにしないように意識しています。8割、9割で終わって、また次の日にしっかり走れるように体も心もしっかりつくっていっています。

――トラックシーズンの振り返りに移ります。どのような思いでシーズンに入りましたか

なかなか今年もうまくいかないことが多かったんですけど、最後に1万メートルでベストが出せたのでよかったかなと。

――初戦の法大競技会、次の平成国際大長距離競技会をそれぞれ振り返っていかがですか

最初に突っ込んで耐えるというレースをしたかったんですけど、突っ込んでそのまま垂れてしまったので、当初の目的とは違ったレース内容になってしまいました。うまくいかないって思ってしまったので、そこは落ち込んでいましたね。平成国際大記録会は、3分ペースで押せなくて。またうまくかみ合っていなかったなと思っていました。

――うまくかみ合わなかった要因は

故障を少し引きずったと思います。

――どれくらいの期間故障されていましたか

2月初めから4月までですね。

――対校戦には出場されませんでしたが、どうご覧になっていましたか

対校戦は最終学年として出たかったですし、心残りもあるんですけど、他の選手が頑張ってくれていたし、自分の競技人生がそこで終わるわけじゃないので、悔しかったですけどそこは割り切れました。

――あまり結果は残せないシーズンだったと思いますが、トラックシーズンを振り返っていかがですか

今思うと、かみ合うための準備というか。いろいろな遠回りをして今があると思うので。前半シーズンはいろいろ苦しみましたけど、後半シーズンにしっかりつながっているのでよかったかなと思います。

「(全日本は)レースとしては及第点」

自ら長距離区間の出走を志願した全日本では、7区区間9位で順位を一つ上げた

――どんな気持ちで夏合宿に臨みましたか

僕は大学で合宿していなくて、別のところに行って合宿をさせてもらっていました。やはり別のところに行って合宿をさせてもらうというのは特別なことであって誰でもできることじゃないので、そこは覚悟を持って取り組みました。

――合宿でなにか自分の中でテーマはありましたか

とにかく日頃の走りを自分の感覚ですけど、良いものにしようと思って。毎日どんどん(走りを)研ぎ澄ますことを意識しましたね。

――重点的に行った練習はありますか

特にないです。実業団のチームの練習をしていて、特別何かやったという練習はないですね。

――後半シーズンに入って、成果は感じていますか

夏合宿の成果はあまり感じていないですね。そのトレーニングで強くなったなとは思わないし、でも精神的な面にはかなり役に立っているというか、ものすごく強くなったなと思います。

――箱根予選会はどうご覧になりましたか

箱根予選会は引退の2文字がよぎって終わったら何しようかなって考えていました。それくらい笑って言えるというか、通ったので良かったんですけど本当に危なったと思います。

――チームの結果をどう捉えましたか

悪くて5、6番かなと思っていたんですけど、9番という順位で力はみんなあったのに、それを出し切れない人がほとんどだったので。それは他の大学も一緒ですし、うちだけじゃないので、結果論になってしまいますけど、まだまだあんなもんじゃないって思っていました。

――全日本は自分から長い距離を走りたいと申し出たと伺いました

みんな疲弊している中で、自分も走ってこなかったわけじゃないので、長い距離はいけると思っていました。ここで自分が行かないと少し4年生としてというか、男としてどうなのかなと思ったので、どうしても行かしてくれと言いました。

――レースプランは

後半伸びないというのはどうしてもわかっていたので、前半でとにかく足を使わないで、後半に余力を溜めるというのをテーマでやっていました。

――実際のレースを振り返って

前半は良かったんですけど、後半は落ちが激しかったので、それはある程度予想していたことなので、レースとしては及第点くらいかなと思います。

――タイムと順位はどう捉えましたか

タイムはまだまだ伸ばせるところがあると思うし、順位も5番には乗りたかったなと思いました。

――チームの結果はどう受け止めましたか

まあ良かったんじゃないですかね。箱根予選会があの結果でしたし、全日本でどう立て直せるかというところで6番という結果で。ただ、たまたま6番だった部分もあるので、箱根はどうなるかわからないと思います。

――全日本を終えて、チームの雰囲気は

自信が足りなかったチームなので、そういった意味では良い意味で自信がついたというか。自分たちはまだやれるというのが、自信になったと思います。それをうまく踏み外さないように、おごり高ぶらないようにするのが4年生の役目だと思っているので、そこだけは気を付けていきたいです。

――自己記録更新となった1万メートル記録挑戦会を振り返っていかがですか

もともと自己ベストは狙っていなくて29分前半で走れたらいいなというくらいの気持ちでレースに出ましたが、思った以上に5000メートルも突っ込めて、後半もしっかり耐えることができたので、かなり良かったんじゃないかと思います。

――箱根に向けて手応えをつかむレースとなりましたか

そうですね。あと10キロ頑張れば、箱根では戦えると思うし、後は本当にけがをしないというところだと思っています。

――夏からやってきたことが一つのかたちになったと以前インタビューでおっしゃっていたのですが、夏からやってきたこととは具体的に

ジョグや普段の走りで意識してきたことが今につながっていると思うし、一人で別のチームに行ってやってきた中でもなかなかきついものがあったので、それが今となっては役に立っていると思います。

「任された区間をただ一生懸命走るだけ」

――復調のターニングポイントは

このままじゃ何もできないまま終わってしまうというのは思ったし、自分の足跡を残すためにもここで変わらなくちゃいけないというのは思いました。

――箱根が1カ月後に迫っていますが、心境はいかがですか

あと30日で解放されると思うと頑張れますよね(笑)。

――早く解放されたいですか

そうですね。他の競技部が結構引退しちゃっているので、それを見て改めて自分も引退かと実感しています。

――過去3年間と気持ちの違いはありますか

今まで良い結果を残してこなかったので、最後くらい結果を残して終わりよければすべてよしなので、そこで卒業できればいいなと思っています。

――希望の区間は

往路を走りたいですね。復路に回っちゃうと、どうしても順位が決まってきているので、往路を走りたいと思います。

――往路の中で特に走りたい区間は

1区です。

――ご自身に求められている走り役割は

3年生より1年、2年生より2年、1年生より3年多く生きているので、場数はそれなりに積んできていると思うし、後輩が縮こまっているなかで、自分がいるから安心してしっかり走れるというような雰囲気づくりやレースをしていきたいと思っています。

――ご自身の走りの強みや魅力は

臨機応変にレースに対応できるところです。

――目指すべき走りをするために、残りの時間でどのようなことをやっていきたいですか

特別なことはあまりしないようにして、走るべきところで走って、抜く時に抜いて、普段から練習でも私生活でも余裕を持って合わせていけたら、箱根は良い順位で走れるんじゃないかなと思っています。

――ご自身の中ではどれくらいの順位を目指していきたいと考えていますか

よく監督が11時間切ると言ったり、5強と言われているチームを倒すぞと言っているんですけど。個人だとなんとなく順位やタイムがわかるんですけど、駅伝なのでそんなの自分が操作できるわけでもないし、ただ自分の任された区間で自分の走りをするだけであって。それが結果的にタイムと総合順位につながるのであって、そういうのは枠外というか。自分でどうこうできる問題ではないので、僕は自分の任された区間をただい一生懸命走るだけだと思います。

――同期への思いは何かありますか

やっぱり太田(智樹駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)とタスキをつなぎたいと思っています。4年間一緒に、まあずっと一緒にじゃないですけど、練習してきてあいつのおかげで頑張れたところもあるので、最後くらいはタスキをつなぎたいと思っています。

――太田選手はどのような主将ですか

主将らしくない主将というか。でも、本当に走りだけは嘘を吐いていないのでそこは主将らしいですね。

――後輩に向けて何かありますか

意外と自分が意味がないと思ったことだったり、他人がやっているどうでもいいことが、自分の結果につながったり、遠回りするのが近道だったりするので、苦しい時でも自分を貫いて競技をやっていってほしいと思います。

――4年間振り返って

4年間いろいろあったんですけど、終わりよければすべてよしなのでそこで走れれば4年間が全部報われると思います。

――箱根への意気込みをお願いします

みんなすごく応援してくれているし、早慶戦や早明戦、リーグ戦にもすごく刺激をもらっているので、たくさんテレビに映って頑張っているところを見せたいなと思います。

(取材・編集 小林理沙子)

箱根まで残りわずか。懸命の走りでタスキをつなぎます!

◆新迫志希(しんさこ・しき)

1997(平9)年4月28日生まれ。163センチ、49キロ。広島・世羅高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分47秒97。1万メートル28分55秒78。ハーフマラソン1時間4分03秒。寮の周りを散歩することがマイブームだという新迫選手です。「たくさんテレビに映って頑張っているところを見せたい」との言葉通り、最後の大舞台で家族や友人、そして応援してくれている全ての人々に雄姿を見せてくれることでしょう。