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相撲部

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2019.10.30

【連載】インカレ直前対談『番狂わせ』 第3回 富樫みちる×吉村千華

 第3回に登場するのは相撲部を陰で支えている女子マネジャーのお二人。富樫みちる(文構4=千葉・東葛飾)と吉村千華(法1=東京・東京学芸大付)にお話を伺った。今回は部員がいない場所での対談とあって、普段は語れないような本音をたくさん語っていただいた。早大相撲部への愛であふれたコメントは必見!

※この取材は10月18日に行われたものです。

「(吉村は)救世主」(富樫)

まるで姉妹のような二人

――まずは、お互いの他己紹介をお願いします

富樫 吉村千華、華の19才です。3年間先輩がいる中でやってきて、先輩が抜けて次マネージャーが入らなければ私の代でマネージャーが途絶えてしまうかもしれないというところで勇気を持って飛び込んできてくれた救世主です。普段は明るくて、素直で、吸収しようという意図がものすごく伝わります。仕事のポイントを分かろうとしてくれるのはもちろんなんですけど、それに加えて私の思いの部分までくみ取ってくれるのですごく助かるというかありがたい存在です。

吉村 富樫みちるさんです。みちるさんは何も分からない私に一から丁寧に教えてくれて、質問するとすごく丁寧に答えてくれます。お料理がすごく上手で、特に芋餅がおいしいです。

富樫 一番は芋餅なんだ(笑)。今、食べたいだけでしょ(笑)。芋餅っていうのは蒸したじゃがいもを練って、片栗粉と混ぜてさらに練って、油で揚げて味をつけるという料理です。じゃがいもがすごく余っている時に作ったらすごく好評だったので、たまに作ります。新定番みたいな。

吉村 みちるさんといえば芋餅みたいな。

富樫 そこまでではないでしょ(笑)。

吉村 後、自分をしっかり持っている女性ですごくかっこいいです。

――吉村さんはどのような経緯で相撲部のマネージャーになりましたか

吉村 もともと相撲を見るのが好きでした。早稲田に相撲部があるというのは知らなかったんですけど、新歓の時にみちるさんにポスターをもらって、話を聞いて、色々あったんですけど、最終的にやろうと思って入りました。

――吉村さんがマネージャーになったことに関していかがですか

富樫 うれしいとホッとした以外の感情がなかったです。ポスターを渡したのが私っていうのも本当にたまたまなんです。本当にやばいって思っていたから、新歓の時はみんなが遊んでも遊ばないようにしようって思って、どんどんブースから出たりして本気でやっていました。ほとんどの人は声を掛けても聞いてくれないんですけど、(吉村は)止まってくれて、ブースまで来てくれたので思い入れは人一倍強いです。私が引っ張ったっていうのを声に大にして言いたいです(笑)。

――普段はマネージャーとしてどんな仕事をしていますか

吉村 ご飯を作るのが主です。

富樫 栄養の取れるおかずというのを意識しています。後は、最近だとスポーツフェスタとかちゃんこ会とかの運営を任せてもらっています。

吉村 試合の時はビデオを撮ったり、記録をしたりしています。

――マネージャーをやっていて大変なことはなんですか

吉村 私は全然料理ができない状態で入ったので料理自体が大変でした。みちるさんに教わって始めたという感じです。

富樫 (吉村は)めっちゃメモを残していて努力家だなと思います。私のレシピで同じようなものを作って、「これ私の味じゃん」ってなる時があって、めっちゃうれしいです。

――勉強やアルバイトなどとの両立で苦労する部分はありますか

富樫 部活自体が学業優先という態度が明確なので、授業なのに部活があるからできないということは全然ないです。その部分はすごく助かっています。ただ忙しいというのはあります。平日は授業に行って自分のためだけに勉強して、週末は人のためだけに働くっていうのはいい意味で刺激です。

吉村 部活は土日なので、平日は自分の勉強とか趣味をやって、土日は部活をやると区別できるので勉強に悪い影響はないです。部員の人もテスト前とか頑張っていると思うと刺激にもなります。

富樫 ただなんだかんだこの会の組み立てどうしようかとか献立どうしようかとか考えることはあるので、二人で話し合ったりするので平日を使うことはあります。

――夏合宿にも帯同されていましたが、大変ではなかったですか

富樫 大変でしたね。(部員の)みんなが頑張っているので大変ではないですとはうそでも言えないくらい(笑)。

吉村 作る(料理の)量にびっくりしました。初めてだったからというのもあるんですけど大変で疲れました。1週間で長かったです。ただ、合宿に行ったことで一歩踏み出せたというか前進できた気がします。

富樫 私もそれはすごく思います。今まで千華ちゃんに全部受け継いでもらわなきゃって感じで視野が狭くなっていました。ただ、合宿を二人で楽しく乗り切ろうって思ったらそれだけでは駄目だなと。楽しい部分がないともたないなって分かったので、やってきたことを引き継ぐことだけに縛られたら駄目だと思いました。千華ちゃんはもっと自分で新しいことを初めていいと思えたし、私が言っていることが全てじゃないし、いい意味で1年と4年で教えることが少なくなったなと。新しいことをどんどん楽しんでいこうというスタンスが二人の中でできたと思います。

――合宿を機に距離感が縮まったと

吉村 それは絶対にあります。その前までよりもみちるさんのことを知ることができたと思うし、私も(素を)出しちゃったところはありました。

富樫 お互い、良くも悪くも人間だなと(笑)。1年生と4年生じゃなくて人と人だなと。疲れたらイライラしてくるし(笑)。

吉村 私はそれで逆に距離感が縮まったなというのはすごくしました。

――マネジャーをやっていてやりがいを感じるのはどんな時ですか

吉村 私は作ったご飯をおいしいって言ってもらった時にすごくやりがいを感じます。本当に料理ができない状態で入ったので、おいしいって言ってもらえると私でも作って良かったなって思えます。合宿の時に「マネージャーが作ったご飯がみんなの元気になっている」って監督やコーチ、トレーナー言ってくれて、その時は頑張って良かったなって達成感があったし、これからも頑張ろうと思いました。

富樫 最後だから全てに対してセンチメンタルになっている部分があるんですけど、いい結果も悪い結果もみんなで共有して、選手と同じくらいにうれしいとか悔しいっていう共鳴を感じる時に(自分も)選手の一員だなって思います。悔しい時は悔しいんですけど、感情を共有するのが好きな瞬間でもあります。

――部員に言われてうれしかった言葉はありますか

吉村 こないだ合同稽古があったんですけど、その時にみちるさんがちょうどいなくて私が一人でした。その時に作ったキムチ炒めを長谷川さん(聖記、スポ3=愛知・愛工大名電)が「おいしい」って言ってくれてうれしかったです(笑)。

富樫 私は辛い時にみんなとたわいもない話をすることにいつも救われているし、心の安定だし、自分の居場所だなって思えます。最近だと、私は来年留学に行く予定なんですけど、そのことですごく息詰まっていてすごく気持ちが沈んでしまっていました。でも部活は行かないとって思ってなんとか行きました。そしたら、監督やコーチから「留学の準備は順調なの?」って話をたまたま振ってもらって、「実は今こういう状態です」って言ったら、監督が「息抜きする感覚で部活に来ていいから。もっと楽にしていいから」って言ってくださってそれがすごくしみました。何気無い言葉だったんですけど、すごく救われました。

吉村 監督は本当にいい人です。

――お二人とも、大相撲が好きで相撲部のマネジャーに興味を持ったとのことですが、大相撲を好きになったきっかけは何ですか

吉村 もともと父が大相撲が好きなので夜ご飯を食べる時とかテレビで見ながら食べていて、自然と見るようになりました。自然と興味を持っていました。

富樫 私は家族は誰も(大相撲を)好きではなかったんですけど、高校受験が終わって暇で家で夕方にテレビを見てダラダラしていた時にたまたまついていたのが大相撲でした。ぼんやり眺めていたうちに好きになっていたという感じです。

――一番の魅力はどこだと思いますか

富樫 難しいな…。物理的にあんなにでかい物体と物体がぶつかるってすごいですよね(笑)。あと、髷を結ったりとかいろいろな礼儀作法とか番付表とか現在社会とは隔離されているような非日常感、異世界感に引かれたのかなと思います。

吉村 ルール自体はシンプルに見えるけど、実際は技とかがあるし、小さな人でも大きい人でも勝てるのが魅力かなと思います。人によっても技とか特徴が違うので見ていて楽しいです。

――一番の推しは誰ですか

吉村 今は炎鵬(宮城野部屋)です。「やってくれる!」みたいな感じがあるから好きです。負けたときでもざわつくって感じがすごいなって思います。後は御嶽海(出羽海部屋)です。図太いっていうかメンタルがすごいなって思います。

富樫 隆の勝(千賀ノ浦部屋)は同じ柏出身なので応援しています。でも、最近は少し(大相撲から)遠のいていて、特定の誰かが好きというよりは、俯瞰(ふかん)する目で見ています。

――大相撲への熱が冷めたのは、部活に熱中するあまりという部分もあるのですか

富樫 それは一番あります。今は部活に熱が入っているから大相撲はあんまりというか。

「チーム感がいい」(吉村)

――学生相撲は大相撲とはまた違った魅力がありますよね

富樫 私は身近な人がやっているというのがいいなと思います。

――団体戦の熱さは学生相撲特有ではないでしょうか

吉村 チーム感がいいですよね!勝ったときにみんなで喜べるというのが楽しいなって思います。

――先日の東日本学生リーグ戦も熱かったですね

富樫 熱かったですね〜。もう何にも記録してないよね(笑)。

吉村 ビデオとかブレブレですよね(笑)。いいところで切れちゃった(笑)。

富樫 田太くん(隆靖、スポ1=東京・足立新田)がガッツポーズしたのをすごく鮮明に覚えています。

――勝った田太選手だけではなくて土俵下の橋本侑京主将(スポ4=東京・足立新田)も雄たけびを上げていましたね

富樫 すごかったですね。

吉村 風邪で声が出ないって言っていたのに(笑)。

富樫 人の時の方がほえていたよね。

――早大相撲部の好きなところはどんなところですか

吉村 稽古の時は真面目だけど、普段は仲が良くて、優しいところです。

富樫 たまにお客さんとして来てくれる方や他の部活の方からは「すごくアットホーム」だねっ言ってもらえるので、それは魅力の一つだと思います。自分としては個性と個性が混じり合っているのが好きだなって思います。個性がたくさんあるけど、その中でチームとしてやっていこうというみんなの気持ちが魅力かなと思います。

――部員の意外な一面はありますか

吉村 田太くんの好きなアイスはスーパーカップです。

富樫 どうでもいいじゃん(笑)。

吉村 一番コスパいいやつじゃんて思って(笑)。しかもバニラなんですよ。もうちょい変化球もってこいよみたいな(笑)。これ意外じゃないですか?

富樫 どうでもいいよ(笑)。マネージャー目線で言うと、意外かはわからないけど、お皿の洗い方とか干し方が一番丁寧なのは3年生の二人です。で、今の1年生は二人とも雑です(笑)。

吉村 鳥居くん(邦隆、社1=愛知・愛工大名電)意外ですよね。意外と適当(笑)。自分の生き方みたいなのはしっかり持っているんですけど、適当なところはすごく適当です。

富樫 4年生二人は対人関係についてはすごく明るいけど、意外と気を使いがちだなって思います。他人のゾーンに土足で入りそうに見えて、全然違う。それから二人ともすごく真面目です。

大会終了後に部員と共に集合写真に収まる二人

「優しさに触れられる場所」(吉村)、「ありがとうの塊」(富樫)

――富樫さんはもうすぐ引退ですがマネジャーとしての四年間を振り返っていかがですか

富樫 大学生活一番の宝物だし、居場所です。悔しい思いもうれしい思いも含めて大学生活の中で一番思い入れのあった活動だなと思います。だから、すごくさみしいですけど、温かい場所になりきったからそろそろ巣立ちの時だなと最近思います。

――どんなことを学びましたか

富樫 小さいスキルの話で言ったら料理や対人関係を学びました。それ以上に大きかったのはチームとして全員を信頼しきって、全員の力で何か一つをやり遂げようとすることです。大学まできて一つのチームで上を目指そうという高い志をもっている環境というのはこれまでとは違いました。

――富樫さんが引退することへの寂しさはありますか

吉村 今までみちるさんがいたから甘えてきたというか頼っていたところもあるし、みちるさんとおしゃべりをして楽しかったので、そういう存在がいなくなるのはさみしいし、何より不安です。

富樫 小田先輩(祐美、平31教卒)が卒業してから千華ちゃんが入るまでの数ヶ月間、私もかなり一人だなって思っていました。それを1年生の彼女が背負うのは大変だと思います。相撲部に関心を持って遊びに来てくれる人がいたらなと思います。

――早大相撲部とはどんな存在ですか

吉村 すごく優しさに触れられる場所です。すごくみんな優しくしてくれるし、「いつもありがとう」って言ってくれます。私も人に「ありがとう」って感謝できる優しい人間になろうって思える場所です。

富樫 私もありがとうの塊みたいな感じです。自分も部にものすごく感謝していて、マネージャーの千華ちゃん、先輩、コーチの方々、監督、サポートしてくれる方々、部員一人一人に全員に対して「ありがとう」って思っています。それから、ありがたいことに皆さんも私に「ありがとう」って思ってくださっているので、本当にいい気持ちの連鎖が生まれる場所ですね。

吉村 感謝しかないです。

富樫 うまくいかない時とか大変な時とか、こんなに料理するのって思う時があっても、根底には「お互いありがとう」があるから成り立っていると思います。

――全国学生選手権(インカレ)ではどのようにして選手をサポートしたいですか

富樫 思い入れが強すぎて、やるべきことがこなせないというのは避けたいです(笑)。今までよくしてもらって自分のことよりチームのことを考えたいと思わせてくれるチームだったからこそ、最後自分にとってこれが最後だとは思わないで、マネージャーとして自分ができるベストは何かというのを貫きたいと思います。ただ、感傷に浸る部分もあるので試合一つ一つを目に焼き付けたいなと思います。

吉村 4年生の先輩が引退する節目なので、個人としてはマネージャーとしてみんなに安心してもらえるようにしっかりしたいというのはあります。

富樫 1年生でここまで考えてくれる先輩がいて頼もしいです。うれしいです。

――最後にインカレに向けて選手にメッセージをお願いします

吉村 リーグ戦(東日本学生リーグ戦)でも1部に残れたのでこの調子でみんなでインカレも頑張りましょう。

富樫 「いつもありがとう」とか、「自分がチームに助けられている」とか、「宝物だ」とかは普段言わないんですけど、今日はみんなが周りにいないおかげでたくさん喋りました(笑)。私の気持ちはこれを読めば分かっていただけたと思います。それくらい大事な皆さんなので、最後は笑顔で。泣き顔でもいいんですけど、このチームで良かったなとみんなで思えるように一緒に頑張っていきましょう。あともう少しよろしくお願いします。

――ありがとうございました!

(取材・編集 望月清香)

インカレへ懸ける熱い思いはマネジャーも同じです!

◆富樫みちる(とがし・みちる)(※写真右)

1997(平9)年8月22日生まれ。千葉・東葛飾高出身。文化構想学部4年。時代劇に登場する『刀』が好きだという富樫さん。日本刀を持って踊る剣舞という伝統舞踊を習っているそうです。マネジャー活動だけでなく、習い事やアルバイト、勉強などとても忙しい毎日を送っている富樫さん。自分の考えをしっかりと持って、様々なことに挑戦している姿が印象的でした。

◆吉村千華(よしむら・ちか)(※写真左)

2000(平12)年8月30日生まれ。東京・東京学芸大付高出身。法学部1年。とても研究熱心な吉村さん。外食した際も、「この料理、今度部活で作ろうかな」とついつい考えてしまうそうです。これまで富樫さんと共にマネジャー活動に励んできた吉村さんですが、来年度は一人になってしまいます。「少しでも興味があったらぜひ一度道場に遊びに来てください!」とのこと。相撲部はマネジャー絶賛募集中です!

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