メニュー

野球部

« 特集に戻る

2019.10.29

秋季早慶戦直前特集『闘将』 第3回 福岡高輝

 今春の早慶戦では本塁打を放つなど、これまで数々のドラマを生み出してきた福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)。今季は開幕直後こそバットが湿っていたが、東大1回戦でのサヨナラ打を皮切りに、徐々に調子を上げてきた。そんな福岡は先日のドラフト会議で無念の指名漏れ。悔しい思いをした。それでも過去の早慶戦で残してきた栄光が消え去ることはない。最後の大舞台、宿敵を討ってもう一花咲かせられるか。

※この取材は10月23日に行われたものです。

「チームを優勝させたい気持ちが強過ぎた」

取材に応じる福岡

――今季を振り返っていかがですか

 開幕前は調子が良くてその流れで入りたかったんですけど、なかなかうまく入れなくて、法大戦と明大戦は自分の思うような打撃ができませんでした。でも立大戦で吹っ切れたところがあって、そこから自分の打撃ができるようになってきたかなと思います。

――チームとしてはいかがですか

 チームとしては(開幕カードの)法大戦で2連敗して、明大戦も初戦は負けてしまったんですけど、雰囲気自体は今までずっといい雰囲気でやってこられたと思うので、この雰囲気で早慶戦もやれたらなと思います。

――法大戦と明大戦では、福岡選手自身なかなか打てませんでしたが、どこに原因があったとお考えですか

 自分もよく分かってはいないんですけど、最初の法大戦は肩に力が入り過ぎていたと自分では感じています。客観的にみんなから指摘されたのは体が開いているということで、やはり内角を意識し過ぎていたのかなと思っています。

――その後の東大戦では2試合連続マルチ安打でしたが、そこで復調のきっかけをつかめたのでしょうか

 いや、自分の中では全然駄目で、どうやったら打てるのかを1打席1打席で試して、自分のスイングというより何とか安打を1本出そうという打撃でしたね。

――東大戦では「すり足打法」を取り入れていましたが、試合の中でつかめたんですか

 あれは東大戦だけなんですが、当てることを意識して、何とかバットに当てるためにすり足にしたという感じですね。つかんだというよりは試合の中でどうすればいいか考えて、その結果がすり足だったということですね。

――東大1回戦ではサヨナラ適時打を放ちました。終盤に追い付かれる苦しい展開の中で1本出せたことをご自身でどう評価していますか

 試合中に自分は追い付かれる予感がしていて、自分にいいところで回ってくる気もしていました。その中で、1死二、三塁で中川(卓也、スポ1=大阪桐蔭)だったんですけど、絶対に自分に回ってくると思っていたのでネクストバッターズサークルで準備はしていました。全然結果を出せていなかったので、絶対に打ってやるという気持ちで打席に入って打てたので、しっかり準備してやれば打てるなというのは改めて感じましたし、自信になりました。

――続く立大戦はいかがでしたか

 立大戦は東大戦から1週空いて、練習でいろいろ試してこれでいこうというかたちをつかめたというか。それで良くなったのかなと思います。

――打撃が良くなった要因は何だと分析していますか

 開き直って無心になれたことはあるんですけど、技術的なことでいうと、しっかり左足にタメがつくれて、早めに足を上げて準備していたので、スイングの始動を早めたことが良かったのかなと思っています。

――立大の田中誠也投手(4年)と対戦しての印象はいかがでしたか

 もちろん田中誠也はいい投手なんですけど、立大はバッテリーがうまいというか、捕手の藤野(隼大主将、4年)は配球もキャッチングもうまいので、東京六大学リーグではあのバッテリーが一番だと思います。

――チームとしては、開幕3連敗でスタートしてその後4連勝と進んでいきました。どのように切り替えましたか

 とにかく、負けたのは仕方ないから次に勝つしかないと。ずっと点が取れなかったので、(明大2回戦)の加藤(雅樹主将、社4=東京・早実)の一打で点が入って、あれで一気に勢いに乗れたのかなとは思っていますね。

――今季は加藤選手をはじめ、これまでレギュラーとして出てきた4年生が打てない状況が続きましたが、どう感じていますか

 自分は特に意識していなかったんですけど、他の3人「加藤、檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)、小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)」は絶対にプロにいきたいという気持ちがあったと思いますし、これは自分も思っていたんですけど、チームを優勝させたい気持ちが強くて、その思いが強過ぎて力んでしまっていた部分はあったのかなと思います。

――プロ野球ドラフト会議では福岡選手をはじめ、残念ながら早大選手の指名はありませんでした。振り返っていかがですか

 正直誰かは絶対に指名されると思っていたので悲しかったですね。絶対に指名されないだろうと自分では思っていたんですけど、ドラフト会議が始まってからは緊張したし、周りの東京六大学の選手が指名されていたので、指名されなかった時は素直に悔しかったですね。

――今後は社会人野球に進む予定ですが、再びプロを目指したい気持ちはありますか

 そうですね。2年後に何とか行けたらなと思います。

早大野球部での四年間は『苦難』

――普段の練習の中で後輩に助言する機会はありますか

 こうした方がいいなと思うことはあるんですけど、それに関しては自分から言うべきではないのかなと思って。後輩から来てくれれば全然言うんですけど、自分から言ってしまうと後輩はやらないといけなくなってしまうじゃないですか。それが嫌なので、聞きに来てくれたらという感じです。

――よく聞きに来る後輩はいますか

 最近はないですけど、春には中川(卓)が結構来てくれて、秋のリーグ戦前にも少し話はしたんですけど、中川くらいですかね。

――具体的にどんな助言をしましたか

 秋のリーグ戦前に中川が調子が悪い時期があって、その時に自分は調子が良かったので、徳武定祐コーチ(昭36商卒=東京・早実)に自分が意識していることを伝えてくれと言われていました。だから自分が意識していた「球との距離を取る」ということを伝えて、中川もそれを実践してくれていました。

――これまで何か後輩に残したいと思ってやってきたことはありますか

 優勝は残したいと思ってやってきたんですけど、もう無理なので、自分たちのいい部分だけを吸収して、悪い部分は来年修正してもらいたいと思います。

――東京六大学リーグで一緒に頑張ってきた高校同期についてはどう思いますか

 本当にみんなよく頑張ったなというか。同期が5人いて、うち4人はリーグ戦に出られて、まさか高校卒業のときはこんなに出られると思っていなかったので誇りに思うというか。川越東高校を誇りに思います。

――早大野球部での四年間を一言で表すなら、どんな言葉ですか

 『苦難』ですね。

――その心は

 自分としてはうれしいことよりつらいことの方が多かったというか。全シーズン3割打ちたいと思ってやってきた中で、3年秋から4年春で3割を切って悩んだ時期もありましたし、1年生の時にはけがもしました。あとは早稲田という看板がすごく重くて。いろいろなところでOBの方からも言われますし、重圧もあったので、辛いことの方が多かったなと思ってこの言葉にしました。

――大変な思いをされてきたんですね

 やはり早稲田は勝って当たり前じゃないですか。周りの部活も強いですし、ファンの方も負けたら「練習していないのか」、勝ったら「当たり前だ」となる。そういった環境で自分たちは四年間優勝もできず勝てない代だったので、たぶん褒められたことはないですし、それは辛かったですね。

――その中でも応援し続けてくれるファンの方々に言葉はありますか

 特に今季は開幕から3連敗したんですが、観客席にはたくさんのファンの方々が来てくれて、そこは感謝しかないですね。

「慶應をぶっつぶす」

東大1回戦でサヨナラ適時打を放った福岡

――過去の早慶戦を振り返って、福岡選手は2度も決勝適時打を放つ活躍を見せていますが、振り返っていかがですか。

 (2年春は)本当にいいところで代打で出してもらって、そこで打てたのはすごくうれしかったんですけど、スタメンで出ているときは相当打てていなくて、好機でも凡退しているので、自分の中では打てていない印象の方が強いですね。

――高校同期の慶大エース髙橋佑樹投手(4年)との対戦に限っていえばどうですか

 公式戦では昨季に打った本塁打1本だけしか安打できていなくて、完璧に抑え込まれているというか。三振もよくしていて、自分の打撃をさせてもらえていないので、今季は自分が打って終わりたいなと思います。

――今季の慶大は開幕から8連勝で、向かうところ敵なしです。どんな印象を持たれていますか

 本当に投打で完璧というか。点を取られないですし、取られても打線が取り返しているので、勝負強さもあって最強ですよね。

――その慶大にどう立ち向かっていきたいですか

 めちゃくちゃ強いなとは思うんですけど、勝てないわけではないので、8連勝して調子に乗っているのであれば足元をすくいたいと思います。自分たちは優勝とか関係なく、慶應をぶっつぶすことだけを考えてやりたいと思います。

――見ていて特にすごいなと思う選手はいますか

 今すごく打っている下山(悠介、1年)ですね。これは1、3、4番がすごいからこそ2番の下山で勝負して打っているのかなとは思うんですけど、そう考えると上位打線の層が厚いなと思いますね。あとは、柳町(達副将、4年)が明大戦で打ったバックスクリーンへの本塁打は本当にすごいなと思いましたね。打率は下山以外はそれほど高くはないはずなんですけど、やはり勝負強いというか、ここぞの場面で一打を出している印象はありますね。キーマンは下山になると思います。

――一方の投手陣はどのような印象ですか

 ボンバー(髙橋佑)は今季意外と点を取られていて、防御率も良くないんですけど、やはり森田(晃介、2年)ですね。たぶんカットボールがいいんだと思うんですけど、全然打たれないので、森田の球を見てみたいですね。まだ対戦したことがないので。

――楽天からドラフト3位指名を受けた津留﨑大成投手(4年)に関してはどうですか

 個人的に仲良くなった選手の一人なので、津留﨑との対戦は楽しみにしています。

――最後に、早慶戦に向けての意気込みをお願いします

 慶大の10連勝での完全優勝は絶対に避けたいですし、やはり絶対に負けたくないので、勝ち点を取りたいと思います。個人的には大学最後なので、投手との対戦を一打席一打席楽しんで、いいかたちで終わりたいなと思います。

――今までありがとうございました!

(取材・編集 吉岡拓哉)

盟友の『ボンバー』から打ってくれることでしょう!

◆福岡高輝(ふくおか・こうき)
 1997(平9)年9月8日生まれ。174センチ、80キロ。埼玉・川越東高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投左打。早朝のインタビューだったこともあり、眠い目をこすりながら答えてくださった福岡選手。最近はまっていることは「寮の浴場にある水風呂用のビニールプールを、湯船に浮かべて寝ること」だそうです。普段からリフレッシュできていて何よりです!

« 特集に戻る