メニュー

バレーボール部

2019.08.30

【特集】夏休み特別企画!スタッフコラム 女子部 坂内歩美

『笑顔』

 関東大学バレーボール連盟、通称『学連』。主に大学生のバレーボールの大会を運営している組織である。早大バレーボール部の一員として、そして『学連』の一員としてもがき続けている部員がいる。その名は、学連担当・坂内歩美(政経2=埼玉・早大本庄)。二足のわらじを履く坂内は、2つの組織に身を置きながらも持ち前の『笑顔』で常に必要とされる存在となっている。バレーボール部で『学連』という特殊な役割を担っている環境で幾多の壁にぶつかりながら、これまでどのように乗り越えてきたのだろうか。

 小学4年生の時兄の野球に付いていき、隣の体育館で練習していたバレーボールチームの監督であり兄の担任でもある先生に誘われたことがきっかけで、坂内のバレーボール人生は幕を開けた。中学校に進学後もバレーボールに没頭し、セッターやリベロ、レフトなど複数のポジションを担う万能型の選手として活躍した。しかし、人生の転機となったのは高校の部活。進学した早大本庄には女子バレーボール部が無く、バレーボール人生にピリオドを打たなくてはならなくなった。そんな中、選んだ部活は応援部のチアリーディング。高校3年間で変化したこととして、「人の良いところを見られるようになったこと」、そして「いつも『笑顔』でいることが当たり前になったこと」を挙げた。今の性格を作り上げたのは、おそらくこの3年間であると言えるだろう。

親身にインタビューに答えて下さいました

 そんな坂内は早稲田大学に進学したが、入学当初は部活に入るという気持ちは無かった。新歓期は、サークルを探し多数の新歓イベントに参加する日々。しかし、それらのイベントを回っている中でサークル特有の雰囲気が自分に合っていないのでないかと思い、部活に入部することを決意。バレーボールを経験していたことや早大バレーボール部にネットワークがあったことなど、いくつもの縁が坂内を後押しし、早大バレーボール部の一員となった。しかし、入部してすぐに大きな壁に直面する。3年間のブランクがある上に、春高バレー経験者も多く在籍するこの部活。選手として周りとの差は大きかった。それでもチームメイトの支えはそれ以上に大きく、選手として着実に歩みを進めていった。しかし、大学生として初めての夏を迎える前にまたも壁にぶつかる。坂内の長所である人のいいところを見つけること、常に『笑顔』でいること。それは闘争心を剥き出しにし、時に相手の弱いところを突く『選手の心』を失わせていたのだ。自分の性格に合わないという本質的な壁にぶつかった坂内は、退部まで頭によぎったという。それでも、先輩や同期に相談していくうちに彼女の長所が生かせる活路を見出した。それが『学連』である。その年の夏に選手を引退し、バレーボール部のスタッフとして部活のサポートをしながら、『学連』のメンバーとして大会運営に携わるようになった。

 1年時の秋季リーグから『学連』としての活動を始めたが、当初は覚えなければならないことが山ほどあり、吸収することで精一杯であった。その上、2部リーグに『学連』のメンバーが3人しかいないこともあり通常のメンバー以上に仕事量は多く、昨年は「大変だった」と振り返った。それでも、業務を全うしていくうちに仕事にも慣れ、『学連』としての地位を築き上げていった。そんな中で、次なる壁が2つ彼女の前に立ちはだかる。『学連』という運営組織と部活という競技者組織、両者の意見が耳に入るにも関わらず意見が対立した時どちらかしか叶えられないというジレンマ、そして参加できる回数が減ってしまった部活での存在意義だ。スポーツでは日程など競技者と大会運営者で意見が異なることは多々ある上に、それが試合結果に結び付くことも少なくない。チームメイトの思いが大会運営に反映できず負けた時、自分のせいだと悔やんだこともあった。また、選手では無くったどころか試合や練習に常に同行するスタッフでも無くなってしまい、部活の中でどのような役割を果たせばいいのかも分からなくなっていった。そんな時、『笑顔』でいることが一番だと気が付いた。一番印象に残っていることとして何よりも先にチーム帯同することが許された「東日本インカレ」を挙げるほど大好きなこの部活に、その気持ちを表現しみんなの力になるにはそれしか無かった。そして、「チームの意見とか、大学生ならではの感覚とかを大会運営に結び付ける」ためにも、選手と大会運営のパイプになり続けなくてはならないと決心した。

チームのサポートをする坂内

 坂内は常に前例の少ないことに挑戦し続けてきた。高校バレー未経験で選手として入部したこと、そして今部活と『学連』の両立をしていることも、まさにその一つであろう。しかし、彼女にとっての心の拠り所は、やはりこの部活なのだ。秋季リーグでは、坂内は『学連』として「お客さん、選手たち、監督、役員さんもみんなが喜ぶような大会を運営する」ために、そしてチームメイトは『選手』として1部昇格を果たすために奮闘する。これまで坂内が部活に注いだ『笑顔』が、秋季リーグで1部昇格を果たし部員全員の『笑顔』になる未来はそう遠くないのかもしれない。

(記事 友野開登、写真 萩原怜那、選手提供)

◆坂内歩美(ばんない・あゆみ)

1999年(平11)8月4日生まれ。身長160センチ。埼玉・早大本庄出身。政治経済学部2年。先日、目を覚まし時計を見ると寝坊していることに気付いたそうです。慌てて準備をして玄関を出たが、最寄り駅までは通常5分。それに対し、乗りたい電車の発車時刻は40秒後。それでも諦めなかった坂内は、歩道を駆け抜け乗車に成功。今後も、学連と部活で様々な壁が立ちはだかると思いますが、諦めずに大学生活を駆け抜けていってもらいたいです!