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米式蹴球部

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2019.04.28

【連載】『第67回早慶戦直前特集』【最終回】監督対談 高岡勝監督

  今年で早稲田大学米式蹴球部BIG BEARSの監督に就任して3年目を迎えた高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)に、チーム運営への考えや選手たちへ思い、そして早慶戦への意気込みを語っていただいた。


※この取材は3月23日に行われたものです。

「昨年以上に多くの選手を試合に出して試していこうと思っています。」(高岡)

今年で就任3年目を迎えた高岡監督

――監督とひとくくりに言いましても様々な監督のかたちがあると思いますが、BIG BEARSにおける監督の立場や役割はいかがですか

高岡 前任の監督から後を引き継ぐまで、私はずっとコーチをやっていました。ポジションコーチから始まって、裏方のバックオフィスの部分にも関わったりして全体的に組織作りをずっとやってきていました。BIG BEARSの場合はかなり規模も大きいので、組織立てて運営していかないと、スタッフ部門も大所帯であるので組織がうまく回らなくなってしまうと思っています。一時期ジェネラルマネージャーを置いていた時期もあったんですけど、今はいないので、監督になった時には全体の組織運営自体を監督自身がやらないとチームがうまく回っていかないのでそこの部分をやっています。

――昨シーズンは監督に就任されて2シーズン目でしたが、振り返っていただいていかがでしたか

高岡 1年目はコーチと監督の違いっていうのを1年間通していろいろと経験してきた中で、2年目はその反省を生かしてというかたちでしたね。さっきは組織作りって言ったんですけど、メンタル的な面で日本一へ向けどうストイックに追い求めるかいうのを主将の斉川と一緒に取り組んできたシーズンでした。

――昨年はシーズンを通してディフェンスが苦しい試合展開が続きましたが、その要因はどこにあったと捉えられていますか

高岡 ディフェンスは、昨年は試行錯誤していた年だと思います。早稲田のディフェンスは2DLだというのを研究し尽くされた部分があったので、それを新たにどう次のディフェンスにつなげていくかという部分で四苦八苦していたというのが要因だと思います。新しいものを作っていこうとしている中でうまくいかなかったのだと思います。

――昨年の初戦日体大戦もでしたが、毎年秋シーズン序盤は苦しい試合展開になることが多く見受けられます。そこへの対策などは考えられていますか

高岡 これは難しいですよね。毎年大学のチームっていうのは本当にガラッと雰囲気が変わりますから。特に昨年の早稲田は4年生が多かったのでその抜けた部分を自分たちとしても対策しかないといけないですね。他のチームもかなり選手を強化したり、早稲田対策を強くしてくるので、当然初戦に向けて頑張らなきゃいけないんですけど、今年の秋シーズンの初戦は森ヘッドコーチ率いる東大さんなので、何か絶対やってくると思っています。向こうはTOP8に上がってきた初戦で気が抜けてるってことはまずないので、我々は初戦に照準を合わせてチーム作りをやっていくっていうのを今年は特に意識してやっていきます。春はそこへ向けて色々と試していければなと思っています。

――昨年の甲子園ボウルを振り返っていただいていかがでしたか

高岡 関西学院さんが強いのは分かっていて、自分たちはチャレンジャーではあったんですけど、選手たちが少しでも自分たちの力を発揮できるように、甲子園っていう特殊な舞台なのでその部分でのメンタルコントロールっていうのは考えてやりました。100パーセントの力を出し尽くして、その中で結果が出ればいいと思っていたんですけど、想像以上にプレーの遂行能力が高くて、全然歯が立たなかったですね。

――昨年の関西学院はQBが3枚体制だったりとデプス(層)がとても厚いチームでしたが、早稲田としてはデプスの厚みに関してどのようにお考えですか

高岡 関西学院さんも昔は関西学院高校と受験で入ってくる選手でチームが構成されていて、今のうちのチームに近い状況だったんですけど、今やスポーツ推薦も多く取っていて、いろいろな高校から来た優秀な選手で作られたデプスです。また、コーチ陣も鳥内監督をはじめ大学が契約しているコーチで主要なところを固めていて、言ってみれば理想に近いチームになっています。そこはぜいたくを言っても仕方がないので、我々はその中でデプスの厚みをどう作っていくかっていうのが課題で、ずっと取り組んできているところです。答えがあったら教えてもらいたいです。(笑)今年は練習プログラムを変えたり、昨年も以前より練習量を多くしたりといろいろと取り組んではいます。だから答えは見つかってはいないんですけど、自分たちの取組を信じてやっていくしかないので。そういう意味では色々な背景がある人を育てるという部分はうちのチームのやっている取り組みです。昨年は副将をやっていたDB小野寺郁郎(平31社卒=東京・早大学院)も野球出身であったし、他競技からもどれだけアスリートが入ってきて伸びてくれるかっていうのが大切になってきますね。そういう意味では今ちょうど勧誘する時期ですけど、どうやって他競技から良い選手を取ってくるのも重要になってきますね。

――世の中にはいろいろなスポーツがありますが、このスポーツをやっていた人はアメフトに向いているなというスポーツはありますか

高岡 当然コンタクトスポーツなので、当たったことのあるラグビーとかは人に対するコンタクトへの恐怖心はないかなと思うんですけど。動き自体だったらサッカーのキーパーとかも活躍してるし、野球の外野手とかはボールから目を離してもボールの落下地点を予測できますし、バスケットボールだったらゾーン的な感覚もあるので。何とも言えないですけど、いろいろな経験が生かされる。それがフットボールのいいところでもあるので。

――監督として挑まれた初めての甲子園ボウルでしたが、マネジメントの部分で苦労した点はありましたか

高岡 さっきの繰り返しになっちゃうんですけど、選手たちがどれだけ100パーセントの力を出せるかというところで、メンタル的に平常心で臨めるような雰囲気作りだったりとか、やっぱり遠征になるので宿泊とか食事とかっていうところで気を配りました。ちょっと食事の部分で選手にとって十分じゃなかったかなっていうのがあったので反省ですね。量としては大丈夫だったんですけど、人数が多いのでお弁当形式になってしまったので見た目が・・・。(笑)お弁当箱に入ってしまったがためにちょっと「えっ、、、」っていう。(笑)選手たちが平常心で挑めるかってっていうところは気をつけましたね。

――選手の話になりますが、4年生の主力が抜けてしまった穴っていうのはどのように捉えられていますか

高岡 春いろいろとトレーニングとかもやってきて、抜けた分だけ他の選手にチャンスがあると思っていて、頑張ってくれているのでそこは初戦の早慶戦でどれだけ活躍してもらえるかというところで楽しみにしていますね。

――昨シーズンから背番号の被りがなくなりましたが、何か意図があってのことでしょうか

高岡 当然、背番号というかユニフォームを着られる、もらえるということ自体がすごい価値のあることだと思っています。そういう中で試合に出られる状態のメンバーがユニフォームを着られるメンバーなので、その点でもユニフォームが着られる、固定された自分の番号が何番であっても一人一人にとってのエース番号だと思いますので、99枚しか用意していません。

――新体制についてお聞きします。今年度主将に就任しました、池田直人主将(法4=東京・早大学院)の印象はいかがですか

高岡 4年生にしっかりと主将を選べと話し合わせて、4年生が池田になら任せてもいいとなりまして。池田に関しては高校生の時から見ていて、非常にストイックにフットボールに取り組む意識があるので彼が背中で見せる主将像っていうのがあると思います。そういう意味では副将のDL二村(康介、文構4=東京獨協)とQB柴崎(哲平、政経=東京・早大学院)っていうのが3人でリーダーシップを持つかっていうところがキーになってくると思います。特に昨年の主将だった斉川(尚之、平31スポ卒=東京・獨協)とかはそうだったんですけど、今までは主将が一人で目立ってきていたので。今年は、一人一人がリーダーシップを取れと私は強く言っていますので、その中で池田を代表としつつも周りがどうリーダーシップを出していくか?というところで副将2人には期待しています。

――今年の4年生の印象はいかがですか

高岡 そうですね、すごい人数が多いので正直いろいろなレベルの選手がいます。日本代表になるような選手もいれば、これまでなかなか試合に出るチャンスがなくて悩んでいる選手もいます。そういう意味で4年生にはシーズンに入る前に4年生としてどうリーダーシップを取っていくのか、私とコミットするミーティングを開いたんですけど、彼らはやってくれると言っていたのでそこは彼らのコミットメントを信じて引っ張っていってくれればなと思います。

「誰にでもできることを誰よりもしっかりとやって、自ら行動すること」(高岡)

選手たちへの思いを語る高岡監督

――選手を指導するにあたって心がけていることはありますか

高岡 私が選手に対して一番気をつけていることは、一番基礎の部分では日本に生きている学生として、早稲田に生きている学生としてWAPに定められている早稲田のアスリートってどういう人間なんだ?という部分が根底にあるので、誰にでもできることを誰よりもしっかりとやって、自ら行動すること。自分がやれることってできることじゃないですか。自分がやれないことには外的要因があってどうしようもないできない部分もあるので、どれだけ自分がやるべきことをやるかっていうことを考えてもらいたいので、そこを肝に命じて指導していますね。なんでこれをしなきゃいけないのか、逆にあれはなぜやっちゃいけないのかっていうことを考えてもらう。自分で答えを出してもらわないと、人から言われてやらされるものだと人間ってすぐに忘れちゃうんですよね。自ら発せられるというか、自ら考えて気づくことのできるように。そういう意味では気づきを与えるっていうのが大事だとと思っています。なかなか伝わらないんですけどね。(笑)

――高岡監督自身にとってのアメリカンフットボールとはどのような競技ですか

高岡 私の競技は中高ラグビーやって、そのあと大学からXリーグまでフットボールを長らくやって。そのあと3年くらいセーリングをやって、またフットボールに戻ってきたんですけど。競技の時にフィールドに出ているプレーヤー以外の部分で、監督もコーチも全員一体となって臨めるスポーツだと思います。一人一人の役割がどのくらいの影響があるのかは分からないけど、0ではない。フットボールの面白さはそこだと思います。歳を取ってもいつまでも熱くなれるスポーツですね。

――試合中も結構選手にご自身からよく話しかけられたり、積極的にコミュニケーションを取られている姿をよくみるのですが、何かコミュニケーションで意識されていることはありますか

高岡 意識はしていないですね。性格的に話すのが好きなので、だる絡みとかいじったりしたりとかで。(笑)まぁ、それを通して選手の特性とかも知りたいですし。特にけがをしている選手とか浮かない顔を選手とかは気になってしまいますね。自分の子供もいるので、そこと皆同じ世代ですので彼らも自分の子供のように思っています。

――「この時期はこういう意図をもってやっていく」という1シーズンの予定などはありますか

高岡 春シーズン前は毎年のことですけれど、どれだけ基礎的なところが固められるかというのが大切なので、この時期はファンダメンタルを固める時期です。春シーズンはさっきのユニフォームの話じゃないですけど、秋にどれだけ試合に出られるかというところで競争の時期なので。フィジカル、フットボールのスキルもそうだし、アサインメントの遂行能力といいますかフットボールIQという部分で個々の能力をどれだけアピールできるかだと思っていますので、試合を数多く組んでいます。昨年以上に多くの選手を試合に出して試していこうと思っています。夏の合宿でその結果を見ていこうという感じですね。1年生も入ってくるので。今年は昨年より1年生にチャンスを与えていこうと思っているんですけど、合宿で秋シーズンの開幕でユニフォームを着られる選手を定めようと思っています。秋シーズンは、我々の目標は関西に勝つ、甲子園ボウルで勝つ、というのはブレない目標ですので、そのためにどうやって一戦一戦を戦っていくかというところですね。リーグのシステムが変わってTOP8になってから厳しいシーズンになっているので、誰がけがしても大丈夫なデプスを作っていければと思っています。

――秋シーズンは下級生の育成が少しおろそかになってしまっているという話が選手から聞かれたのですが、その点はどうお考えでしょうか

高岡 バイウィークの時に試合に出ていない選手の試合形式での練習は2つ前のシーズンからチームとして取り組んでいて。ユニフォームを着られないメンバーはそこでアピールするっていうことが次の試合に出ることにもつながりますし、デプスを上げるための1つの場っていうのはチームの文化として定着しているかなとは思います。ただ、他競技から入ってきた1年生はどうしてもスタートが遅くなってしまって、秋シーズンも基礎的な練習にフォーカスすることになってしまったので、彼らをどう育成していくかというのは昨年とは違ったやり方っていうのは考えています。

――今年の春シーズンはrouts bowlが開催されることで、TOP8のチームとの試合が例年より1試合多いですが、そこに関してはどのようにお考えですか

高岡 立教さんと明治さんとタスキ掛けで試合をやろうということで、いい取り組みだなと思っています。TOP8との試合って意味では昨年も中央さんとやらせていただいていて1試合増えただけなので。上位校が相手とはいえ、デプスを広げて出すことで多くの選手にチャンスを与えるので、どれだけ彼らが頑張ってくれるかというところだと思います。

――高岡監督にとって早慶戦とはどのような存在ですか

高岡 私の大学時代は、私が1年生の時に1回勝っただけで。しかもその時は全く試合に関わっていなかったので、私自身はずっと負けてきました。慶応の久保田監督は同期で仲も良いんですけど、やっぱり負けたくないといいますか、永遠のライバルですから。彼らのことはリスペクトはしていますけど、勝負には勝たなきゃいけないので。どれだけ我々が慶応をねじ伏せられるかというところだけです。

――監督になられて、早慶戦に対する心境は変わりましたか

高岡 変わらないです。早慶戦は特別です。

――どのような試合展開にできればというような構想はありますか

高岡 いい試合ではなく圧倒して勝つというのが監督としては楽なので。(笑)冗談ですけど。(笑)蹴攻守全てにおいて圧倒したいです。

――今年の慶応の印象はいかがですか

高岡 DL並木くん(琢朗、慶大)を中心に、WR佐藤凱輝(慶大)とかもいますし。なんといっても、米国にフットボール留学していたQB三輪くん(忠暉、慶大)が帰国しました。小学校のフラッグから見てる子たちが多くいて、スキルポジションには優秀な子が多くいるし。慶応さんもAO入試で佼成学園とか南山とかのいい選手も取っているのでその選手たちがどうなってくるかというところですね。なにせヘッドコーチが経験豊富で、他にもプロコーチがいて、良い選手に良い指導者がいるので。我々は総合力で愚直に戦っていくしかないかなと思っています。

――観客の方々に「早稲田のここに注目してもらいたい」ポイントはありますか

高岡 OL、DLは4年生が多く抜けて、新しいロースターになるんですけど。昨年の甲子園ボウルはライン戦で苦戦した部分もあって。フットボールの一番の根っこはラインズなので、ライン戦に注目してもらえればなと思います。

――最後になりますが、早慶戦への意気込みをお願いします

高岡 選手たちを信じて。さっきの繰り返しになりますけど、全てのプレーにおいて自分たちの力を100パーセントの力を出し尽くしていきたいと思います。

――ありがとうございました!

早慶戦への意気込みを色紙に書いてくださりました!

(取材・編集 涌井統矢)

◆高岡勝(たかおか・まさる)

1968(昭43)年6月22日生まれ。静岡聖光学院高出身。1992(平4)年人間科学部卒。ご自身の学生時代、早慶戦に勝利したのは大学1年生時の1回であったという高岡監督。監督として迎えた早慶戦は春秋合わせて4連勝中。今年の早慶戦でもチームを勝利へ導くマネジメントに期待が懸かります!

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