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競走部

2019.04.30

【連載】ルーキー特集『START LINE』第3回 吉田梨緒

 ルーキー特集の第3回は、吉田梨緒(スポ1=北海道・立命館慶祥)の登場だ。中学時代からその頭角を現し、高2の全国高校総体(インターハイ)では3位入賞。高3のインターハイでは4×100メートルリレーで高校創立史上初の優勝を成し遂げ、その後の12月には陸上留学のためアメリカへと飛び立った。確かな実績と豊富な経験をまとい、早大競走部に加わった吉田の胸の内とは。

※この取材は4月10日に行われたものです。

自分の成長を感じた高校三年間

明るい表情で受け答えをしてくれた吉田

――高校三年間を振り返って

 一言で言うと、人間的にも身体的にも成長できた三年間だったと思います。結果を残せただけではなく、チームの中で自分がどういう役割をすれば仲間が伸びるのかとか、そういうことを考えられるようになったと思います。陸上競技は個人競技ではありますが、一人一人がそれぞれ活躍していると、自分も「頑張らなきゃな」という刺激をもらったりします。一人一人が頑張ることで、チーム全体が明るくなります。個人競技ではありますが、そういう意味でチームスポーツでもあるのかなと思います。

――ご自身のチームの中での役割は、どのように捉えていましたか

 私は部長とか上の立場ではなかったので、1、2年生にとって身近な存在だったのかなというふうに思っていて。1年生とコミュニケーションを積極的に取るような、そしてそれを部長に伝える、というような役割だったと思います。3年生の時に、リレーをやっていて思ったのが、リレーは個人が強くてもまとまらなくては優勝できない競技ということでした。勝ち上がるにつれて自分の役割が役に立っているのかなという感じでした。

――その集大成となったのが、昨年の全国高校総体(インターハイ)だったのではないでしょうか

 あの時は本当にうれしくて、(試合後のインタビューでは)なんと言っているかわからなかったんですけど(笑)。あれってYouTubeに載っていますよね。あれが載っていると思うと恥ずかしいです(笑)。その時は、今まで味わったことのない感動というか。4人で力を合わせてやってきてよかったなと思いましたし、努力が実った瞬間でした。みんなを信じてやってきてよかったなと思いました。

――走幅跳に関して三年間を振り返ると

 技術的に成長できたところもありますが、走幅跳を通じてメンタル的にも強くなれたのかなと思います。ピットに立つと一人の世界なので、フィールドは特にトラックがやっている横でメンタルを保たなければならなくて。そこで磨かれたかなと思います。大会がグレードアップしていくごとに、それで実績を残していくと、自信につながっていきました。

――走幅跳の試合で印象に残っている試合はなんですか

 いくつかあります。一つ目は、高2のインターハイです。初めて全国大会でベスト8入賞、優勝をかけて争いました。試合は夜だったのですが、周りも長距離しかいなくて。スタンドが自分に集中している雰囲気の中で競技できた情景と、表彰台に登った時に日浦先生や仲間が称えてくれている風景が脳裏に焼きついています。二つ目は、自己ベストを出した全道大会(北海道高等学校陸上競技大会)です。5本目まで負けていたのですが、最後の6本目に、日浦先生からの言葉だったり今までの高校2年間の練習だったりを振り返り、最後に4センチ、1位だった人の記録を更新できたという喜びはすごく印象的でした。その時に日浦先生からは、「自分らしくやりなさい、あとは楽しめ」と言われました。

――高校時代はどのような練習をしていましたか

 夏はあまり覚えていないのですが、冬のトレーニングは、日曜日がオフで、月曜日がウエイトトレーニング、火曜日がジャンプ系、水曜日が走り込み、木曜日がジャンプ系、金曜日がウエイト、土曜日が走り込み、というメニューになっていました。冬は雪があるので、専門の練習をする時間というのはありませんでした。夏に大会が近くなると跳んでいたくらいです。夏は週に2回くらい専門練習をしていました。

昨年末に経験した、アメリカでの日々

――昨年の12月に「トビタテ!留学JAPAN」制度でアメリカに陸上留学をしたとの記事を拝見しました。そのきっかけを教えていただけますか

 高校2年生の時に海外研修がありました。8つのコースの中から行き先を選べたのですが、その中で新しいコースが私の代からできて。それがアフリカだったんです。アフリカのボツワナに行った時に、まだ手つかずの自然やアフリカの先住民族の方達に触れて、自分がその時に思っていた悩みがすごく小さく感じました。もっといろいろな国に行って自分を成長させたいなというふうに思ったのと、行かなければわからないことがたくさんあるなと感じました。そこで留学への興味が湧いて、ちょうど帰国した時に「トビタテ!留学JAPAN」のプログラム募集のポスターが貼ってあるのを見つけて、「陸上留学」と書かれてあったんです。「陸上でも留学できるんだ!」とその時に思い、行ってみようと考えたのがきっかけです。

――行き先はどのように決めたのですか

 自分で留学計画を決めてトビタテの方に提出します。そこで書類選考されて、決定となります。私の場合は前提として、IMGアカデミーというところから陸上留学をする人がたくさんいたので、私もこれに行ってみようというふうに考えました。IMGアカデミーはフロリダにあるので、フロリダに行くことになりました。

――フロリダではどのようなトレーニングを行いましたか

 毎日ハードなトレーニングを行いました。日本と少し違っていて、出力を上げてガーッと走り込むというよりは、技術的なことが多かったです。ハードルを使って走りの細かい動きを確認したりとか、トレーニングルームで筋肉を鍛えたりとか、あとはパワー系のトレーニングが中心でしたね。

――パワー系のトレーニングとはどのようなことをするのですか

 1回で出力を上げるという練習がすごく多かったです。1回でマックスを出せるようにアプローチする練習なのですが、具体的には、メディシンボールを上や前に投げたりとか、半円状になったランニングマシンを使って走ったりとかをしました。ランニングマシンは、足が後ろに流れちゃうと走れないので、前で捉えられるように半円状になっています。それを40秒×3×3を5セットとかやっていて…!それがキツすぎて印象に残っていますね。その機械はそこで初めて見たのですが、きょう早稲田のトレーニング室に行かせてもらったらありました!最近導入されたみたいで、びっくりしました!

――三週間フロリダで練習をしてみて、一番成長を感じたところはどこでしたか

 他の種目には日本人がいるのですが、幅跳びは日本人が一人しかいなくて。陸上は屋外スポーツなので、冬に来ている人はやはり少なかったんです。なので、技術的にはもちろん成長したのですが、それ以外に、誰にでも話しかけるアタック力というか(笑)、なんでも聞いてみる力がついたのではないかなと思います。

――言葉の面では困ることはありませんでしたか

 困ることもありましたが、「伝わればいいや」という感じで(笑)。メンタル的に成長しましたね。

――メンタル面の他に、行ってよかったと思った部分はありましたか

 コミュニティをいろいろな国に持つことができたのかなと思います。IMGアカデミーには世界中から選手が集まってきていて、中国から来ていた強化選手だったりとか、私より跳躍する選手だったりがたくさんいました。そういう人とつながることができたし、今でもSNSでつながっています。そういうつながりを持てたことは大きなことだと思っています。モチベーションが上がりますね。

きっかけはスポーツ栄養学との出会い

――高校から、学内進学で立命館大へ行くという道もあったかと思います。その中で、早大に進学した理由を教えてください

 早稲田大学は、競走部に伝統があることと、競技力を高めるための勉強をするスポーツ科学部にはその分野のスペシャリストで日本トップの教授が多いので、その中で勉強できたら自分の競技力がもっと上がっていくんじゃないかなと思ったことがきっかけです。

――スポーツ科学の話が出ましたが、どのような分野から競技にアプローチしていこうと考えているのでしょうか

 私が一番興味を持っているのがスポーツ栄養です。高2の時に、もっとトップを取るためにどうするかを考えていた時に、田口素子先生(早大スポーツ科学学術院教授)の論文に出会いました。そこで女性アスリートの栄養面について書かれているのを読んで、「その先生のもとで勉強したい!」と思ったのが最初です。色々調べていくうちに早稲田大学だったということを知り、早稲田大学に行きたいと思うようになりました。スポーツ栄養には今も興味があります。(高校の頃は)寮だったので食事が決まっていたから差が作れなかったぶんを、一人暮らしになって自炊することで、強い体を自分自身で作りたくて、スポーツ栄養を学びたいなと思っています。でも、まだ(2年から振り分けられるスポーツ科学部の)どのコースにいくかは考え中です。

――高2で田口先生に出会ってから進学先を決めるまでに、他の強豪校に進学することが頭をよぎったことはありましたか

 考えなかったです。一番は、自分で勉強したいというところだったので、芯は固まっていました。

――スポーツ科学部のイメージはあったかと思いますが、早稲田大学の競走部に対して、伝統以外のイメージはありましたか

 トレーニングの面では、先輩方もスペシャリストが多くて。色々な高校出身の方がいて、様々なアドバイスをしてくださるという環境が身近にあるので、とてもいい環境だなというふうに今は思います。

「自己管理がすごく楽しい」

――練習の中で、高校の時と比べて違うと感じるところはどこですか

 自由だなというのが一番の印象です。高校までは、顧問の先生がずっとメニューを決めていて、それに対して自分が取り組むという感じでした。専門練習も、何をやったらいいか先生に聞いていました。自分に知識がなかったので、全部聞いて頼っていました。大学に入ってからは、自由な感じで、自分でメニューを考えることが多いです。自分自身に責任を持ってトレーニングしなければいけないというのが印象的でした。

――高校や大学、そしてアメリカで学んだことも自分で取り入れることができるのですね

 そうですね。色々な経験を自分の中でミックスさせて、それに対して先輩からもアドバイスをもらえるので、本当に素晴らしい環境だなと思います。

――自分でメニューを決めていく際に、迷いや不安はありませんでしたか

 最初はすごく迷いました。でも、自分で迷いながら決めて、自分のコンディションが良くなってきているのを実感したときに、すごく楽しくなって。自分でメニューを考えるのが最近は楽しいです。練習をしていて、高校よりも毎日が楽しいなと感じています。

――指導者の方から指導を受けることはありますか

 大会の時とかに、礒先生(礒繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)や漁野さん(理子、政経3=和歌山・新宮)が直接見てくださって、その場でアドバイスをくださるので、すごくうれしいです。メニューは各自の日もありますが、最近はメニューが決まっていて、それに自分でプラスしてやっています。

――一人暮らしを始めて少し経ちましたが、自炊はどうですか

 自分の中では結構こだわっていると思います。野菜とプロテインと炭水化物を基礎に作るようにしています。昼は学食なのですが、朝と夜はまだ作れています(笑)。これからどうなるかはわからないです(笑)。

――練習を終えて帰って、疲れた中で作るのは大変ではないですか

 最初は大変かなと思っていましたが、そこまで大変ではなかったです。お腹は空きますが、作りながらつまみ食いをして完成させています(笑)。

――練習も食事も、自分でやることを楽しめているのですね

 そうですね。自己管理がすごく楽しいです!

まずは日本選手権に向けて

兵庫リレーカーニバルでは初めてエンジのユニホームを着て臨んだ一戦となった(結果は8位)

――部の同期や先輩の印象は

 みんな実績もすごいですし、実績だけではなく人柄も面白い同期が多いので毎日楽しいです。先輩は、厳しくも優しくもあるなという感じです。組織的にしっかりした部活なので、たまに厳しくおっしゃってくれることもありますが、それも自分のためだと思って、怒られる喜びというか(笑)。怒られたこともプラスに捉えてやるようにしています。

――大学四年間の目標を教えてください

 競技面では、まず今月はグランプリ(日本グランプリシリーズ)に出場するので、そこでは自分の経験として、実践の中で自信をつけていくことを目標にしています。その後にある日本選手権や関カレ(関東学生対校選手権)で優勝することが今年の目標です。

――同世代には高良彩花選手(筑波大)がいらっしゃいます

 高良ちゃんは自分の中でとても大きな存在です。高校時代も、高良ちゃんがいたから自分も「倒してやるぞ!」みたいな感じで頑張れた部分があります。意識はしているけど一選手と考えて、自分がもっと跳べるようになるにはどうしたらいいのかを日々考えながら、自分は自分と割り切って頑張っていきたいです。

――陸上競技を続けていく上での最終的な目標は

 最終ゴールはまだ考えていなくて。日本選手権で優勝できた時に見える世界というか、そこで優勝すれば国際大会にも出場できると思うので、まずは日本選手権にがっつり焦点を当てて頑張りたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 石名遥)

色紙2枚に大きく目標を掲げてくれました!ビッグジャンプに期待です!

◆吉田梨緒(よしだ・りお)

2000(平12)年8月15日生まれ。156センチ。北海道・立命館慶祥高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:走幅跳6メートル10。「自己管理をするのが楽しい!」と笑顔で語ってくれた吉田選手。最近ハマっている料理は「鯖の卵とじ丼」だそう。充実した新生活を送っている様子が伝わってきました!趣味は北海道の実家で乗馬をすること。