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バドミントン部

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2019.03.12

【連載】『平成30年度卒業記念特集』第50回 古賀穂/バドミントン

2つの言葉

 印象的な言葉が二つある。1つ目は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。2つ目は「世のため人のため」。今年度の主将をつとめた古賀穂(スポ4=福島・富岡)を取材すると、必ずと言っていいほどこの言葉が出てくる。高校総体を制したゴールデンルーキーとして入学し、2年時には全日本学生選手権(インカレ)で3位入賞、3年時にはインカレで団体とシングルスで2冠を達成。その後は日本B代表に選出され世界をめぐり、4年時は6月に行われたカナダオープンで2位入賞を果たす。インカレでは団体個人ともに連覇を成し遂げた。4年間を駆け抜けた古賀は、充実していたと学生生活を振り返った。

 いつでも謙虚さを忘れない。座右の銘である「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、自分の名前の由来でもあるという。謙虚な態度でいるための戒めにもなっており、かつ「そういう大人になりたい」とも語る。最後のインカレでシングルス連覇を成し遂げた後も「まだまだ課題がある」と反省していた。日本B代表選出後初参加となった全日本総合選手権(全日本総合)で、2年連続2回戦敗退となった後、「上に勝っていくにはまだまだ練習や考え方をしっかりやっていかなければいけない」と自らを評価した。おごることなく努力し続けるその姿勢が、進化を止めないのだろう。

全日本総合2回戦、実業団選手に力及ばず敗戦となった古賀

 もう一つには、信念が表れていると思う。小学校入学前から羽根を打ち始め、小学校時代には全国制覇し名門・富岡第一中学校に進学した古賀。中学2年生の3月11日に東日本大震災を経験し「当たり前が当たり前じゃない、極端に言えば生きていることさえも本当は当たり前じゃない」と感じたという。昨日でちょうど8年が経った。最終目標は世のため人のために活動すること。そのためにバドミントン選手として結果を残す――。その思いは揺らぐことはなく、ずっと貫かれている。

 さらに、自らを「完璧主義なところがある」と分析する古賀は、競技だけではなく文武両道に励んだ。特に4年時は日本代表に選ばれたこともあり授業に出席できる日が限られてしまっていたが、レポートを出席代わりとして提出するなど徹底した。また、読書など競技以外のところにもアンテナを張り、常に様々な角度から自己の成長につなげた。 

春季リーグ戦では確実に白星をあげチームを勝利に導いた

 2019年も日本B代表に2年連続で選出され、現在はすでに世界中を駆け巡っている。1月末に行われたスウェーデンオープンでは優勝を果たし、昨年5月のカナダオープンでの準優勝を上回った。実業団のリーグ戦であるS/J LEAGUEには内定選手として参加しており、新人賞を受賞。着実に経験を積み重ねステップアップしている。卒業後はNTT東日本で競技を続ける予定だ。古賀に、なぜNTT東日本を選んだのかを聞くと、「世界ランク1位がいるからです」と目をまっすぐ向けて笑顔を見せた。世のため人のために――。そのためにバドミントン選手として世界で活躍していきたいと話す。

 高校卒業後に実業団に行く選手が多いバドミントン界で、大学進学を選ぶ選手はそう多くない。10代で実業団入りし活躍する選手も多い中、古賀は大学進学という道を選んだ。早大バドミントン部には指導者がおらず、学生が主体的に活動を行っていることで有名だ。指導体制が整っている実業団や大学に比べ、自分たちでメニューを始め部の運営なども考え抜き競技を行うのは相当難しいことだっただろう。自らをあえて厳しい環境に置いて追い込み続けることには相当な自律性、努力が不可欠だったはずだ。そんな4年間を乗り越えた古賀は、次のステージでも意気揚々と輝くだろう。世界の表彰台で、その笑顔が見たい。

(記事 石名遥、写真 佐藤菜々氏、石名遥)

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