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野球部

2019.02.17

【特集】注目ルーキー特集 大阪桐蔭・中川卓也

 大物ルーキーが早大野球部の門をたたいた。その男の名は中川卓也(スポーツ科学部入学予定=大阪桐蔭)。高校野球ファンなら誰もがその名前を知っているだろう。名門・大阪桐蔭高で主将を務め、チームを史上初となる2度目の甲子園春夏連覇に導いた男は真新しいエンジのユニホームに身を包み、再び日本一を目指す。今後の早稲田を担う選手の一人として大きな期待がかかる中川に、これまでの野球人生と早大での四年間について伺った。

※この取材は2月16日に行われたものです。

「早稲田で日本一に」

質問に丁寧に答える中川

――高校の部活を引退してからはどのようにして過ごしてきましたか

 現役は引退しても大学に入るまでは練習があったので、引退した3年生はオフの月曜以外はずっと練習していました。

――なぜプロではなく大学に進学したのですか

 プロに指名していただけたかどうかも分からないですし、(指名)されたとしても下位だったり、育成だったので、それならこの歴史と伝統のある早稲田でもう一度日本一を取りにいこうと思ったのが最大の要因です。

――たくさんの大学から声を掛けられたと思いますが、なぜ早稲田を選んだのですか

 高校時代の西谷監督(浩一)から「お前は野球のエリートの道を進んでほしい」と言われて、その一言が自分の中ですごく響きました。歴史と伝統のある早稲田に行って、そこからプロを目指そうと思ってここにしました。

――早稲田では高校の先輩にあたる徳山壮磨選手(スポ1=大阪桐蔭)や岩本久重選手(スポ1=大阪桐蔭)、吉澤一翔選手(スポ2=大阪桐蔭)が活躍していますが、3選手の存在は大きかったですか

 先輩がいないよりはいた方がよくしてくれると思ったので、心強かったです。先輩も早稲田が良いと思って入られているので、それなら間違いないだろうと思って早稲田にしました。

――何かアドバイスなどは受けましたか

 「しっかりやっていれば大丈夫だから」と言われました。

――早稲田の野球にはどんなイメージがありますか

 ここ最近は勝てていないですが、すごく歴史と伝統があって、日本一というのも経験していて、色々な意味で強い学校という印象があります。

――今月5日から早稲田の練習に合流したと伺ったのですが、これまでの練習を振り返っていかがですか

 量というよりは質の高い練習が毎日行われていて、先輩方もレベルの高い選手ばかりなので、本当にやっていけるかという不安も半分ありますが、楽しみも半分あります。

――練習は上級生と同じメニューをこなしているのですか

 はい、そうです。

――小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)にはどのような印象がありますか

 最初は少し怖いのかなと思ったのですが、実際に会って話してみたら本当に気さくな方でした。小宮山監督に四年間付いていって、日本一目指して、プロ目指して頑張ろうと思いました。

――具体的な指導やアドバイスはありましたか

 指導やアドバイスは特にされていないですが、「期待ばかりしている」とか「全く心配していないよ」と言われたので、ハードルを上げられたなと…(笑)。ただ、そうやって言っていただけることはありがたいので、その期待に応えられるように頑張っていきたいなと思います。

『乗り越えられない試練はない』

――昨秋のプロ野球ドラフト会議では、高校のチームメートから4選手が指名を受けました。やはり刺激になりましたか

 その時は本当に複雑な気持ちだったんですが、今は自分も大学に入っていますし、あの4人もプロで色々な経験をすると思うので、自分の中ではすごく良い刺激になっていて、あの4人がいるから頑張れるというふうに思えます。

――大阪桐蔭での三年間を振り返って、得たものは何ですか

 野球の面はもちろんなのですが、一人の人間として育てていただきました。常々、西谷監督からも「人間力を鍛えろ。人間力を鍛えろ」と言われ続けてきたので、一人の人間として高校の間で少しは成長できたかなと思います。

――高校三年間で一番思い出深い試合は何ですか

 やっぱり高校2年の(夏の)甲子園の仙台育英戦ですね。あそこが自分の野球の分岐点だと思います。あそこから上がっていくか下がっていくかは本当に自分次第だと思うので、一番思い出深い試合です。

――仙台育英高戦以降、野球への向き合い方で変わった点はありますか

 アウトを取ることの大切さや難しさを身に染みて感じたし、逆に言えば最後まで諦めなければ絶対に何かが起こると学びました。高2の仙台育英戦があったからこそ、(高3夏の北大阪大会準決勝の)履正社戦で危機的な場面から逆転できたのだと思います。

――仙台育英高戦での負けが履正社高戦で生きたと

 9回の攻撃の前に「こういうところで勝てるチームをつくってきた。こういうところで負けるようなチームはつくっていないぞ」と言いました。結果論ですけど、ああいうかたちになった(大阪桐蔭は1点ビハインドの9回に2死走者なしから逆転勝利した)ので、自分がキャプテンとしてやってきて良かったなと思いました。

――昨年、主将として心掛けてきたことは何ですか

 今はまだ下っ端ですけど、高校の時はキャプテンとしてチームをまとめる立場にいて、キャプテンとしてチームをまとめる上で大切なことは嫌なことも言うことだと思っていた。嫌われなければ良いキャプテンだとは思わないし、嫌われるのがキャプテンの仕事だと思っていたので、他の選手が言いにくいことも言うことを心掛けてきました。

――大切にしてきた言葉などはありますか

 高2の夏に負けた後に、学校行事で劇を見に行って、その時に座長さんみたいな人が自分の体験談をしていて。その中で「色々なカベにぶつかってきたけど、乗り越えられない試練はない」と言っていました。負けた後だったので、自分に言われているような気がしました。『乗り越えられない試練はない』という言葉を大切にしてきました。

――甲子園春夏連覇達成直後に人目をはばからずに号泣している姿がとても印象的だったのですが、どのような思いがこみ上げてきたのですか

 アルプス(スタンドの方)に行くまでは全然泣く気はしていなかったんですけど、アルプスに行って、(ベンチ)メンバー外とか吹奏楽部とかが泣いていたり喜んだりしてくれているのを見て、一年間本当に大変だったけど、やってきて良かったなというのが溢れてこみ上げてきて泣いてしまいました。

――高校野球と大学野球の違いはどんな部分だと思いますか

 やっぱり分かりやすく言ったらバットが木製か金属かということです。レベルも一つ上がるわけで、簡単には打てないし、簡単には勝てないとは思うのですが、そこが大学野球の面白さというか魅力だと思うので、色々な変化に対応していきながら、一人の選手として、チームとして、頂点に上りつめるまで極めていきたいなと思います。

――木製バットには慣れてきましたか

 (高校の部活を)引退してからはずっと木製で打っていたので、ちょっとずつ慣れてはいるんですけど、まだまだ実力不足なので、これからもっともっとやっていきたいです。

――「これはいっただろうな」と思っても意外と打球が伸びなかったりとかはしますか

 そうですね。最後のひと伸びが全然違います。木製はちょっと芯が外れたら失速するので、そこらへんは難しいですけど、しっかり当たった時はしっかり伸びてくれるので、そこは面白さの一つかなと思います。

――希望のポジションはありますか

 今はサードをやっているんですけど、内野手の中ではセカンドが一番難しいと思っていて、セカンドができれば他のポジションもやりやすいと思うので、最終的にはセカンドを狙ってやっていきたいです。

――東京六大学の中で対戦したい投手はいますか

 全員が全員本当にすごいピッチャーなので、やっていけるかなという不安はあるんですけど、やっぱり立教の田中誠也選手(3年)は高校の先輩ですし、高校ジャパン対大学ジャパン(侍ジャパン壮行試合)でやらせてもらった時もレベルの差を感じたので、それを少しでも埋められるように頑張っていきたいと思います。

――U18日本代表としてアジア選手権にも出場されましたが、その経験は今後の野球人生に生きてくるのではないでしょうか

 すごい選手ばかりの中で自分はそんなに実力もないのに3番を打たせてもらって、キャプテンをやらせてもらって、本当にありえないくらいありがたい経験ができました。色々な国の人と戦ったとかではなくて、日本代表の3番として、日本代表のキャプテンとして得られた経験はとても大きいのでしっかり生かしていきたいです。

――U18日本代表での戦いを共にした蛭間拓哉選手(スポーツ科学部入学予定=埼玉・浦和学院)とは早大でチームメートとなりましたが、どのような印象がありますか

 U18の時も自分がキャプテンで、蛭間が副キャプテンだったので、野球面でも頼りになりますし、野球面以外でも本当にしっかりした人なので頼りになる存在です。

あのルーティンは…

打席中、独特なルーティンを披露する中川。これにはある狙いが隠されていた

――突然ですが、オフの日の過ごし方を教えてください

 オフは今のところ2回くらいあったんですけど、ゆっくり寝て、どこかにご飯を食べに行ったりで、どこか遠くに遊びに行くということはあんまりしていないです。

――どこか行ってみたい所はありますか

 初めてのオフの時に色々回って、渋谷に行ったり表参道に行ったり原宿に行ったりはしたのでもういいかなと(笑)。(東京は)人が多いのでしんどいです。大阪の方が住みやすいですね。

――大学で勉強したいことや、野球以外で興味のあることはありますか

 野球につながってくるんですけど、栄養とかもコース選択によっては学べると聞いたので、栄養を学びたいです。色々(な機械を)付けてスイングしてどこの筋力が足りていないとかが分かる動作解析も学びたいです。

――大学では単位取得が大変だったりすることもあると思いますが、いかがですか

 まあ勉強は…頑張ります。

――中川選手は打席に立った時に、バットを地面に軽く当て体をひねるようなルーティンをされていますが、あれはいつ頃からやっているのですか

 よく聞かれるんですけど、いつぐらいっていうのは分からないです。形とかかっこよさを求めてとかじゃなくて、自分が意識しないといけないことを徐々に徐々に足していったらああいうかたちになったので。かたち気にしてやっているとか、かっこつけてやっているとか言われるんですけど、そんなわけではなくて、あれをしなかったら逆に打てなくなるので、ルーティンというのは大切にしています。

――具体的にはどのような意味があるのでしょうか

 バット(の動き)はポイントだったり、自分の立っている位置を確認していて。そして自分の効き目が左目なので、しっかり左目でピッチャーを合わせるようにしています。あとは(体が)丸くなりやすいのでしっかり伸ばすために(ひねる動作を)やっています。

「満塁の方がワクワクする」

――選手としての自分のアピールポイントはどこだと思いますか

 やっぱりピッチャーへの対応力というのが自分の持ち味だと思うので、そんなに(打球を)遠くに飛ばせるわけではないし、足が速いわけでもないし、守備がうまいか下手かでいったら下手なので、何でアピールするかってなった時にやっぱり対応する力だと思うので、そこらへんをもっともっと磨いて、もっとアピールできるようにやっていきたいと思います。

――中川選手は勝負強い印象があるのですが、好機の場面で何か意識していることはあるのですか

 意識しているというより、チャンスが好きなので、チャンスで打席が回ってきたらワクワクしますし、楽しいので、そういうのが結果につながっているのかなと思います。

――打席を楽しめていると

 点が入る場面とか、ランナーなしより満塁の方がワクワクします。ツーアウトだったらちょっとビビりますけど(笑)、ノーアウトやワンアウトだったら気楽に打てるのでそれが結果につながっているのかなと思います。

――その勝負強さを大学でも生かしていきたいですか

 そうですね。積極的に(バットを)振っていきたいと思います。

――今年の東京六大学春季リーグ戦での目標はありますか

 やっぱり試合に出て、第一線じゃなくてもサブだったとしても試合の勝利に貢献できるような選手というか、いるだけでチームが変わるような選手になりたいです。まだ1年なんですけど、試合になったら1年、2年、3年、4年関係ないと思うので、積極的に声を出したりしてチームに貢献していきたいです。

――大学四年間を通してどのような活躍がしたいですか

 試合に出てきたら当然研究もされますし、一筋縄にうまいようにいかないと思うので、その中でも自分のアピールポイントとしている対応力っていうのをもっと磨いて、将来プロに指名していただけるような選手に大きく育っていきたいです。

――ずばり、大学卒業後の目標はプロということでよろしいでしょうか

 プロ一本しか考えていないです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 望月清香)

大学での目標はリーグ最多安打記録の更新(※)。今後の活躍が楽しみです!

◆中川卓也(なかがわ・たくや)

2000年(平12)7月28日生まれ。175センチ、80キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部入学予定。内野手。右投左打。対談中、4年生・三木雅裕選手(社=東京・早実)の名前が刺しゅうされたグラウンドコートを着ていた中川選手。このグラウンドコートは三木選手から吉澤選手へ、さらには徳山選手、中川選手と大阪桐蔭高出身の選手で代々受け継がれているものだそうです!

 

(※)2019年2月現在、通算最多安記録は髙山俊(平28明大卒=阪神タイガース)の保持する131安打。