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競走部

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2018.12.18

【連載】箱根事前特集『起死回生』第4回 太田直希

 入学以来、トラックでの自己記録を着々と更新し、ルーキーながら出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)と共にメンバー入りを果たした太田直希(スポ1=静岡・浜松日体)。しかし、そんな自身の成長に満足せず、前を向いて走り続けている。彼を突き動かしているものは何なのか、そして東京箱根間往復大学駅伝(箱根)への思いは。強い同期たちに隠れてきた太田直選手の成長とその胸の内に迫った。

※この取材は12月5日に行われたものです。

「そこ(同期)に追い付かなきゃいけない」

取材は和やかな雰囲気で進んだ

――集中練習が始まりましたが、今の調子はいかがですか

 調子は、程々という感じで。集中練習の距離にも慣れてきたので、練習を消化できています。

――初めての集中練習ですが

 いきなり距離がガツンと増えて、体の疲労とか来てるんですけど、ここを経てスタミナをつけていっているので、しっかり乗り越えていきたいなと思っています。

――いま、練習で意識していることはありますか

 出雲、全日本、上尾ハーフ(上尾シティマラソン)ってどんどんやっていく中で、試合の中で突っ込んで耐えるってことができてなくて。そこをひとつの集中練習の課題として持ってきたので、やっぱり3000メートル+5000メートルとか、突っ込んで耐えるっていう練習を一つ大切にしようと思っています。

――練習の合間で息抜きにしていることはありますか

 ジョグとか、ゆっくりなペースで走って気分転換しています。

――どなたとジョグしていますか

 一番多いのは、半澤(黎斗、スポ1=福島・学法石川)とか、大木さん(皓太、スポ3=千葉・成田)。あと宍倉さん(健浩、スポ2=東京・早実)ですね。

――ジョグ中、どんなことを話されるのですか

 陸上の話はほとんどしなくて。最近の出来事とかですね。

――1年生の太田直選手から見て、チームの雰囲気をどのように捉えていますか

 雰囲気は、少し変わって来たかなと。緊張感が出てきたかなと思うんですけど、まだまだ箱根で勝つにはポイント練習前の雰囲気はよくしていかないと勝てないのかなと思うので、なるべく自分からちょっと気が抜けている選手がいたら、同期にはですけど、声かけたりするようにしています。

――先ほど、練習でも突っ込んでというお話でしたが、練習前も練習中も、少し前に出るということを意識されているのですか

 練習では先輩方が引っ張ってくれるので、自分は少しペースが落ちたなと思ったときは集団を引っ張る意識を持ってます。全部の練習を引っ張っていけているわけではないですけど、集団のペースが落ちたときは引っ張るようにしています。

――練習している中で、意識している選手はいますか

 意識している選手は特にいないですけど、追い込む練習だったり、きつい練習で離れそうになった時、最低でもチーム5番以内にというのはひとつの目安として練習しています。

――度々、同期から刺激を受けているということをおっしゃっていましたが

 中谷(雄飛、スポ1=長野・佐久長聖)とか千明(龍之佑、スポ1=群馬・東農大二)とか、ポイント練習を正確にやっていて、そこに追い付かなきゃいけないと。あいつらが結構もっている中で自分はちょっといっぱいいっぱいになってしまう練習があるので、もうちょっと自分の力をつけないとなと。自分から前に出たり、自分からなにかアクション起こしていかないとと思ってます。

――入学前から知っていた選手はいますか

 自分はそんなに全国大会で結果を残すってことができなかったので、中谷、千明、半澤のことは僕は知ってましたけど、向こうは知らなかったと思います。

――そんな選手たちと同じ環境で練習することになって、いかがでしたか

 最初はやっぱり引いてしまうというか、やっぱりすごいなあと思うことが多かったんですけど、夏合宿くらいからそういう意識が変わってきて、自分もそっちに追い付かなきゃいけないという、一つの目安としてとらえるようにして、自分からついていこうというと意識をするようになりました。

――夏合宿ぐらいから意識が変わったのですね

 そうですね。1次合宿くらいからですかね。それまでは中谷たちは関カレ(関東学生対校選手権)に出てたので別のメニューをやっていたんですけど、1次合宿からは全く同じ練習をしていたので、そこで気持ちが変わったかなと思います。

――太田智樹選手(スポ3=静岡・浜松日体)はどんな存在ですか

 自分の中では、兄が順調に力をつけていて、兄と同じようなことをしていれば強くなれると思うので、いいところを盗んで自分のものにしようとしています。

――喧嘩はされますか

 昔はしてたんですけど、大学に入ってからはないですね。

――相談に乗ってもらうことは

 そういうこともないんですけど、普通に一緒にゲームやったりしています。

「夏合宿がいい転換点」

初めてエンジを着た出雲では区間7位だった

――入学早々、4月の日体大長距離競技会で自己記録を出されまし。

 高校の貯めがあって、そこから大学でもいい感じで練習できていて。練習環境も変わって心機一転という中だったので、自己ベストは出るかなと思ってました。それを過信せずというか、出て当たり前な記録でした。

――大学に入ってから新しい環境への移行で戸惑った部分はなかったのですか

 高校だったら実家で母親がいて。大学入ってからは自分の事は自分でやらなくてはいけなくなったので、そういう部分で色々一人でやるという部分が、慣れてるつもりだったんですけど、意外と難しくて戸惑いました。

――逆に良い変化はありましたか

 大学は競技面で強い選手が集まっていて。高校は自分がチームを引っ張っていって自分と同じくらいの練習をしているのが2、3人だったんですけど、大学では大人数でできています。いい勢いやいい流れを色々な人から受けられるので、そこは良い部分だなと思います。

――では、トラックシーズンは振り返っていかがでしたか

 一番最初にベスト出すことができて、それは高校の貯めがあったからだったんですけど、そこから徐々に大学と高校の環境の差で自分の中で調子を落としてしまって。そこから1回停滞して自分も悩んだんですけど、夏合宿がいい転換点となりました。長い期間、結構な距離を積んでっていうことだったんですけど、自分の調子に合わせて自分のペースで距離を積むことができたので、そこでひとつ資が上がるきっかけをつかんだと思います。最終的にトラックシーズンは自己べストで終えることができて、そこは良かったなと思います。

――5000メートルも1万メートルも大幅なベスト更新でした

 記録を狙って本気で調整してっていうレースではなかったんですけど、ベストを出すことができて良かったと思います。ただレースではなくて練習の中の一つという捉え方があったから、ちょっと気持ちに余裕があったかなと。練習の中で出た記録で、記録は過去のものなのでこれを過信したくないと思っています。タイムがどうというよりも、どれだけ重要なレースで結果が残せるかというのが一つ大切になるので、来年大切なレースで勝負できるようにしていきたいなと思います。

――大事なレースで結果を残すために自分に足りないと思う点はありますか

 やっぱり気持ちの面ですね。大学入って強い選手がいる、その中で気負いしている部分があるので、自信をつけてスタートラインに立てるようにしなきゃなと思います。

――数字として記録が伸びていることは事実ですが、成長の原動力は何ですか

 同期がもっと上にいるというのが一番大きかったなと思います。同期がいるから自分もこの位置じゃだめだと思いましたし、同期が上の大会で戦って自分はそれを応援する側だったので、自分もそっちに立たなきゃなと思いました。同期が上にいたからそういう風に思えたなと思います。

――度々、関カレや全カレ(日本学生対校選手権)の標準記録を意識した発言をしていらっしゃいました

 トラックシーズンの中で大きな大会なので、その標準を切れないというのはまずスタートラインに立てないので。そこのあと一歩が詰められなかったのは、自分の甘さというか。スタートや中間走であとちょっと前に出ていればというのがあります。来年は反省を生かしていきたいです。

――夏合宿にはなにか目標を持って臨まれましたか

 長い期間、距離積むということで、駅伝に向けてなるべくたくさん距離踏もうと思って、ジョグの中で結構距離踏むことができました。あと、ポイント練習を
しっかりやろうと思って。ポイント練習が消化できないと意味ないので。ジョグを基盤にしつつ、ポイント練習で質を高めていく、という感じでした。

――夏合宿後に、メニューを100パーセントこなせたとおっしゃっていましたが、ケアなど気を付けた点はありますか

 ケアは特別してなかったです。ダウンは長めにやって、ちょっと気になったところははストレッチしたり。高校では距離積むとケガをしたり、もろいタイプだったんですど、距離を踏む中でもジョグはあまり速いペースでやらないで、毎日追い込むんじゃなくて、緩急を意識したのがよかったのかなと思います。

――夏合宿を通じて課題はありましたか

 やっぱり競争していかないと、この中でチームとしても強くなっていかないかなと思って、競争の大切さを感じました。また、体を作っていく中で自分の中で走るだけになってしまって。もうちょっとフィジカルトレーニングというか、筋力トレーニングを取り入れてもよかったかなと思います。

――夏合宿明けの世田谷競技会で5000メートルで自己記録を更新しました。夏の成果でしょうか

 そうですね。三次合宿から調子が良かったので、余裕をもって走ることができて、自己ベストにつながりました。逆にそこにピークがあってしまって、出雲の結果になってしまったかなと思います。夏合宿の疲労を持ち越さずに走ることができたのがよかったかなと思います。

――駅伝シーズンに話を移したいと思います。出雲を振り返っていかがでしたか

 世田谷が調子よかったので、その調子のまま行けるかなと思ったんですけど、思って以上に体が動かなくて。その中で結構タフなコースだったんですけど、前を追おうとできずに逆にそれが焦りになってしまったと思います。もう少し調整方法とか、気持ちの持って行き方とかあったかなと。世田谷が良かった分、気持ちがゆるんだ部分があったかなと思います。

――全日本はいかがでしょう

 早大記録会で1万メートルがいい感じに走れて、でもそこから落ちてしまって。ピーキング能力が足りないなと思いました。中谷がいいかたちでタスキを渡してくれたんですけど、チームにすごく迷惑をかけたなと思います。

――全日本での11.8キロは初の10キロ越えのレースだったと思いますが、抵抗などありましたか

 距離には実際は不安はありました。どれくらいで行けばどうなるのか、どれくらいできつくなるのか、どのペースでいけばいいのか。経験がないと言われてしまうんですけど、全日本を経て10キロ越えへの抵抗は消えたかなと思います。

――今シーズンのチームの結果について何か思うことはありますか

 チームの結果としては最低かなと。自分も走らせてもらった身としてチームに貢献できなかったというのがとても悔しくて。でもその中でもやっぱり中谷は走れていて、早スポの中谷の記事(全日本の結果記事)を見たんですけど、その通りだなと思うものがあって。やはりもっと競争していかないとチームとしてよくなっていかないと思うので、集中練習では、自分が食らいついたり、前に出たりしていきたいと思っています。

――駅伝後、個人の結果に関しても満足していないとおっしゃっていましたが、一年生ながら出雲、全日本共に出走しました

 走る人がいなくて走ったと思っているので、これを過信せず、いい経験と思って今後に繋げたいと思います。

――同期たちの走りを見て思うことはなにかありましたか

 同級生たちのなかでも、自分たちは注目されてる身だと思うんですけど、中谷はしっかり走れているし、千明もちゃんとまとめられてこれていて。練習方法は違うんですけど、ゲームチェンジャーだったり、ゲームの勢いをつける走りがこのチームには求められているなと、それが自分たちの中からもっと出てこないとなと思っています。

――長い距離の方が得意ということですが、箱根の約20キロという距離に対しては抵抗はないですか

 1回上尾ハーフで準備不足というか、調整ミスで失敗してしまったんですけど、もっと集中練習でスタミナ付けて、集中練習で確実に走れるという自信をつけられれば20キロも走れると思います

――準備不足というのはまだ自信が持てていないという事でしょうか

 それもありますし、全日本からあまり休むことなく来てしまったので、自分の中で体力の限界というか、疲労を抜かないままずっと来てしまって。それが良くなかったと思います。

――全日本の結果が焦りを生んでいるということでしょうか

 そうですね。

「走って区間3番という大きな目標が自分の中である」

初めてのハーフマラソンは疲労もあり65分台となった

――いま(12月5日)、箱根に向けてどのような練習をされていますか

 集中練習で自然に距離は走れているので、あいだのジョグも疲労をうまく抜くジョグをこころがけていています。上尾を受けてもう少し自分の体と相談して練習の時間、距離を決めようと思っていて、あいだのジョグは気を付けてやっています。あとは、体幹が弱いなと思ったので、体幹トレーニングもして20キロに耐えられる体を作っています。

――箱根ではどの区間を走りたいですか

 できれば復路がいいと思っています。自分の感覚として、一定のペースで3分切るくらいでずっと押していってとなると周りを気にせずに自分との戦いになるので、そういう点では復路で周りに惑わされずに自分のペースを押していく方があっていると思います。

――箱根を走るために自分に必要だと思うことはありますか

 メンバーに入ることを目標にするんじゃなく、走って区間3番という大きな目標が自分の中であるので。あとは一秒を大切にするというか、きつくなったところで耐えて間をあけないだったり、なるべく前でゴールすることが求められると思うので、集中練習で耐える力をつけていきたいと思います。

――チームの中でご自身がどういう存在だと思いますか

 なるべくスピードの上がった練習で前に出ようだとか、競争を生もうと思っているんですけど、実際生み出せているかわからないので。もっとチーム内競争を促せるような存在にならないといけないなと思ってます。

――太田直選手から見て、現在(12月5日)勢いがある選手はいますか

 吉田さん(匠、スポ2=京都・洛南)と歓太さん(清水歓太駅伝主将、スポ4=群馬・中央中教校)ですね。調子よさそうです。いい感じで練習できているなと思います。

――ご自身の強みはなんでしょうか

 一定のペースで押すことかなって思うので、出雲、全日本とそれができなかった分、一定のペースで一人でも走れるようになりたいと思います。

――最後に箱根への意気込みをお願いします

 20キロという未知の領域なんですけど、人との戦いでもあり、自分との戦いでもあるので、自分の中で自信をつけた状態でスタートラインに立てるようにしていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 齋藤夏生)

ルーキーらしい素敵な笑顔で記念撮影をしていただきました!

◆太田直希(おおた・なおき)

1999(平11)年10月13日生まれ。168センチ。51キロ。静岡・浜松日体出身。スポーツ科学部1年。色紙に書く箱根への意気込みをチームで一番悩んでいました。次こそ、凡走と言わせない走りに期待です

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