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2018.10.26

【連載】秋季早慶戦直前特集『天王山』  最終回 小島和哉主将

 集大成の時が来た。小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)がついに最後の早慶戦に臨もうとしている。今季、ここまで3完封。過去最高の成績を収め、そのマウンドさばきは貫禄すら感じさせる。主将として、エースとして、常に先頭に立ちチームを引っ張ってきた小島。一年間、小島を支えていたもの、突き動かしていたものとは何だったのか――。

※この取材は10月17日に行われたものです。

「防御率2点台はいただけない」

現在リーグ断トツトップの防御率1.53をマークしている

――まず今季の8試合を振り返って、ご自身の投球に点数をつけるとしたらどのくらいでしょうか

 法大戦の週とそれ以外の週っていう分け方をすると、後半の方は自分の中でも安定感があると思いますし、それは合格点をあげてもいいんじゃないかなとは思います。でもやっぱり法大戦で1勝でもしていれば状況も変わっていたので、そこはちょっと悔しい部分があります。でもまあ今振り返っても変わらないので、ここから早慶戦で2連勝してプレーオフ勝てば優勝ですし、まだぎりぎりのラインかなと思います。

――その法大戦から伺います。1、3回戦ともに4失点。夏からの調整が間に合わなかった部分はありましたか

 遠征も結構つめつめだったので、その辺はすごく難しいところはありました。でもそれは言い訳にはしたくないので、自分の実力が出たのかなとは思います。

――1回戦の試合後は春から取材した中でも一番悔しそうでした

 やっぱり春のリーグ戦でも開幕の立大戦を落として悪いスタートになってしまって、スタートダッシュだけはしっかりしようと思っていた中でああいう結果だったので、すごい悔しさがありましたね。

――3回戦はリードしていた8回に一気に失点して、今まであまりないケースでした

 4年になってからはあまりないようなケースだったので、油断なのか、体力不足なのか、全てにおいてまだまだなんだなっていうのは感じました。

――そこから空き週を挟んでの立大戦。切り替えはどのようにしましたか

 あそこの空き週は難しかったんですよね。体のだるさはありながら練習もしていかないといけない。それでトレーナーの方とかと相談しました。今までだとランニングを増やして調整していたんですけど、少し本数を減らす代わりに強度を上げて効率良くしました。例えば3、4時間していた練習を2時間とかにして、その代わり濃度を濃くするという感じです。そういうふうに調整はしてきて、それからだんだん体のだるさも取れて、結構いい感じになったのかなとは思います。

――普段の平日の練習もそのようにしているのですか

 最近は前のに戻して、走り込みを中心にやっています。最初の週とかはトレーナーの方と話して筋トレとかも入れながらやっていました。それは初めての試みでしたね。

――投球面に関しては何か変えたことはありますか

 自分はそんなに投げ込みはしてないですね。投げることに関しては変えてなくて、いつも通り二日に一回くらいの割合で、それよりも体の状態の方を考えていました。体がしっかりできれば投げる方も大丈夫だろうという自信はあったので。

――立大戦では1、3回戦ともに9回を投げ切っての勝利でした

 元々投げたら9回までいくっていうのは自分の中では思っていたので、実際それができて、なおかつ最少失点に抑えることができたっていうのはすごくよかったですね。立教から勝ち点を取るのも久々でしたしね。

――2試合とも田中誠也投手(3年)との投げ合いでしたが、3回戦の後にはお話する様子も見られました。どんな話をしたのですか

 誠也は年下なんですけどジャパン(大学日本代表)でも共に行動して、下級生ですけどしっかりしているところも多いんですよ、見た目とは違って(笑)。勉強になるところも多くあって、そういう意味ではすごい刺激になっていましたね。自分が4年秋で投げ合えるのも最後だったので、そこは先輩の意地を見せられたかなと(笑)。

――その後の東大戦、明大戦2試合でも圧巻の投球を続けています

 今までの3年間は3失点以内に抑えればピッチャーの責任ではないっていうことはずっと言われていたんですけど、この春を経験して、防御率2点台はいただけないなと思って。やっぱりエースとして、プロにいくのであれば1点以内に抑えなきゃいけないという気持ちも芽生えて、それを今のところ体現できているのは満足している部分ではあります。

――2点台だと物足りないですか

 最低1イニングに1点っていうのはオーケーだと思っています。1イニングに2点以上取られてしまうと、あとに引きずってしまう部分があるので、最悪取られても1点で抑えて、その後のバッターを抑えようと切り替えています。そのあたりは岸本(朋也副将、スポ4=大阪・関大北陽)とも何度も話して、ミーティングもすごく多くやっていますし、今のところは息が合って相手を抑えられていると思います。

――明大3回戦は大量援護の中での投球でした。今季は早い段階で複数援護をもらっての試合も多いですが、気持ちの余裕は変わってきますか

 (明大戦は)1戦目もそうでしたけど、3戦目もすごく重要な試合で、でもだからといってそんなに力むことなく抑えることだけを意識していました。野手も結果的に8点取ってくれましたけど、どんなに点を取っても取れなくても絶対0点に抑える、完封するっていうのは春よりもすごく強く思って投げられています。もちろん初回に2点入って楽になった部分はあったので、そこは感謝しています。

――立大戦で昨春ぶりに完封勝利を収めてから、今季はここまで3完封しています

 やっぱり監督にもずっと言われていますけど、点を取られないピッチャーがいいピッチャーだと思うんです。野手もなかなかヒットが打てなくても点を挙げるバッターがいいバッターですし。それは今のところは実行できているので、これをしっかり最後まで続けたいと思います。

――1シーズン3完封は東京六大学リーグだと12年ぶりだそうですね

 そうみたいですね。自分も言われて、マジかぁって(笑)。和田さん(毅、平15人卒=現福岡ソフトバンクホークス)なんですよね、4回は。

――そうですね。16年前の記録だそうです

 レベル違うなぁ、やっぱり(笑)。

――ただ狙える記録ですね

 そうですね。でもそういう成績は後から付いてくると思うので、慶大のバッターをしっかり見て、岸本と話して、今まで通りのことをしっかり続けていこうと思います。あまり意識しすぎないようにしたいですね。

――昨年は終盤に力尽きる試合が多くありましたが、今季は最後まで安定感があると思います。その要因は何だと思っていますか

 秋に入って一番最初に感じたことは、投げ込みと走り込みが本当にできていなかったっていう部分です。これは夏も言ったとおりですね。走れていないのは今後ちょっと(体に)くるとは思うんですけど、それ以上に4年生の最後のシーズンっていう気持ちの部分が強いですね。1つ下の学年からはもう優勝を経験したことがなくて、ここで途切れさせちゃいけないっていうのもすごくありますし、4年生の秋の最後の意地を見せよう、見せたいっていう気持ちもすごく強いです。そういうのが結構いい方向に向かっているんじゃないかなと思います。岸本も結構得点圏で打っていますし、打線を引っ張ってくれているので、4年生の意地っていうのは少なからず見せられていると思います。

――今季機能しているカットボールの話を伺いたいのですが、動画を見ていたら見つけたとのことでした

 ジャパンのときに練習時間がすごく限られていて、それ以外は外にあまり出るなと言われていて、部屋にいる時間がすごく多くて。やることがYouTube見るか寝るかしか本当になかったんですよ(笑)。それでいつも野球の動画を見ているんですけど、たまたまスクロールして出てきたのを見たら、山本由伸くん(オリックス・バファローズ)とか、菊池雄星さん(埼玉西武ライオンズ)とかの球を見て、ちょっと試してみたいなと思ったんです。ジャパンのときはボールも違ってあまりうまくいかなかったんですけど、日本に帰ってきてからだんだんとスピードも変化も良くなっている感覚があって、リーグ戦でつかんだ感じがありましたね。

――以前からカットボールは自信があるとおっしゃっていましたが、どのような点を感覚として変えたのですか

 握りだけ変えて、真っすぐ以上に腕を振るというか・・・。切るっていうイメージですね。前まではスライダー系は腕をひねるタイプだったんですけど、ボールを指で切るイメージです。

葛藤の末、決断した主将就任

――ここからは主将としての1年を振り返っていただきたいと思います。まず就任前の昨年はご自身としても苦しい一年でしたが、今振り返ると何がかみ合っていなかったですか

 自分の中で感覚自体はめちゃめちゃ悪いってわけじゃないんですけど、どんなにいい投球をしていても終盤の勝負どころでの一球の甘さで負けてしまうとか、1点差で負けてしまう自分にちょっと逃げ道を作っていましたね。正直、いや打てないからだよって考えたこともありました(笑)。でも今思うと、やっぱりピッチャーが0点に抑えていれば絶対に負けることがないですし、シンプルに考えたらやっぱりそこだなって。あとは上に行きたいのであれば、同じ大学生なら圧倒して抑えなきゃいけないっていうのは今年は常に思っています。そういう考え方になれたのは明大の柳さん(裕也、中日ドラゴンズ)が助言をくれて。3年の秋に結果が悪かったのにキャプテンをやるっていうのは結構無謀なことだったと思うんですけど、そこを後押ししてくれたのが柳さんでしたし、自分の中でもここが変わる分岐点だって思ったのが、やっぱり3年秋だったと思います。

――どんなアドバイスをいただいたのですか

 いろいろ話してはもらいましたけど、一番は結果を出すやつはどんな状況でも絶対出すってことです。(柳の在学)当時からピッチャーでキャプテンってすごいな、あの人みたいになりたいと思っていたんですけど、プロに行きたいから(結果を)出すっていうよりも、柳さんはチームのためにと思ってずっと投げていたっていう話を聞いて、そこで踏ん切りがつきました。まだ結果は出せていない状況でしたけど、よし、やるって決められましたね。

――主将に関しては一度断ったそうですね

 そうですね。柳さんとか石井さん(一成、平29スポ卒=現北海道日本ハムファイターズ)、いろんな人に結構ラインして相談しましたね。それまでは3年の秋に結果を出していない人間がキャプテンをして、なおかつワセダでもピッチャーでキャプテンをやったのがだいぶ前になりますし、お手本がなくて手探りの状態になるし、そこに心配とか不安はすごいあって。もし3年秋に結果を出しているのであれば、快く引き受けていたとは思うんです。みんなからも今思うとすごい気を遣われていたな(笑)。ナイーブな時期でした。でもそこで今までの人生でも諦めなかったというか、ぎりぎりのところ、気持ち的には苦しい時期でも絶対あきらめてたまるかっていう気持ちでここまで来れたので、チームを勝たせたいというか、4年生の最後のシーズンでこの悪い雰囲気を変えるんだっていう気持ちは人一倍ある自信があったので、最後はもう気持ちの部分だなって思って引き受けました。

――今まで主将をやられていた方に相談したのですか

 とりあえず右京さん(河原、平28スポ卒=現トヨタ自動車)、石井さん、晋輔さん(佐藤、平30教卒=現明治安田生命)の3人には聞きました。基本的に「野手に任せていいんじゃない?」っていうふうには言われてて(笑)。確か3人ともそう言われた気がします。「やる気があるならやってもいいと思うけど、野手に任せてもいいっしょ、無理しなくても」と。でもそこで柳さんだけが、「いや、お前やれ。やらなかったらマジキレるよ」って(笑)。自信持ってやれって言ってくれましたね。野手に任せても(いいかな)、うーんそうかもなって悩んでいた時にそういうことを言われて、もう一回頭を整理して、よしやろうと引き受けました。

――チームも最下位で批判の声も聞こえていたと思うのですが、それはどう受け止めていましたか

 結果が悪かったらそりゃ言われますし、逆にその後結果を出したら(悪い時期も)いい練習だったって言われると思うので、そんなことは自分はあまり気にしていなかったです。改革、下克上っていう部分で自分がキャプテンになったらこういうふうに変えたいな、こういうチームにさせたいなっていうのもいろいろあって、4年生の岸本とか、安田(健人新人監督、文構4=東京・世田谷学園)とか芦田(哲広投手コーチ、基理4=東京都市大付)とも何回も話しましたし・・・。引き受けた後はもう開き直ったというか、これで変わらなかったらもうしゃーないっしょ!っていう(笑)。その割り切りはよかったですね。みんなで全力でやって、それでダメだったら悪口でも何でも全部受け入れようって感じでしたね。

――改めて主将の役割はどんなこととだと感じていますか

 右京さんから始まって、石井さん、晋輔さん、それぞれいろんなキャプテンのかたちがあって、自分に一番しっくりくるのは右京さんみたいなタイプかなっていうのはありました。まあ皆さんそうだったんですけど、下級生の意見を結構聞き入れてくれるというか、すごい話しかけてくれて、自分は1年からずっとやりやすい環境でやらせてもらっていたなと思って。特に今年は下級生が多く出ているので、下級生の意見を聞き入れて、逆に悩んでいたら話しかけてあげて、そういう積極的にコミュニケーションを取れるようなキャプテンになりたいなと思っていました。練習のメニューを決めるのも、今は野手の中で話し合うときも下級生を入れたりしています。

――今まではそういったかたちはなかったですか

 多少はあったと思うんですけど、自分は投手なので細かい部分は分からないです。でも安田とか芦田にも、下級生の意見はしっかり聞いて、こういう選手がこういうことを言っていたよっていうのを(4年生に)上げてこようとは言っていました。それはわがままじゃなくてチームのことを思って言っていることじゃないですか。そういうところで下級生でも発言をするのはチームにとっても大事だと思うんです。今の3年生だったら、加藤(雅樹、社3=東京・早実)とか檜村(篤史、スポ3=千葉・木更津総合)、福岡(高輝、スポ3=埼玉・川越東)は今年も必要な選手ですけど、来年もワセダを引っ張っていかなきゃいけない選手なので、そういうところの自覚ですね。「自分のことだけやっていちゃダメだよ、チームのことも考えて」って。それを自分は4年になってから気付いたんですよね。もっとチームのことを考えてやっておけばよかったなっていう自分の失敗談として、1年前倒しにはなりますけどチームのことも考えろっていう話は結構していましたね。

――今までの取材でも岸本選手、黒岩選手と『3人で主将』という話を何度も伺いました。改めてお二人の存在について教えていただけますか

 岸本と黒岩がいてくれたから今こうやってキャプテンをできていると思います。でもこの時期においても自分がキャプテンっていう変な重荷はあまり背負っていないんですよね。そうなれているっていうのは陰で岸本とか黒岩とかが支えてくれているからだなって。結局練習になったら投手と野手で分かれてやっているので、本当に岸本と黒岩に託していますし、それでも気付いたことがあれば二人には文句のように言ったりもしましたね。本人たちもムカつくなあと思っていたかもしれない(笑)。でもそういう顔一つ見せずにやってくれているので、助かっていますね、かなり。

――重荷を背負っていないというのはすごいですね

 高校の時もキャプテンという立場でやらせてもらっていたんですけど、その時は全部やらなきゃって気持ちが強すぎたんですよね。逆にそれで自分のこともおろそかになって、自分の結果も出なくなったのが3年のシーズンでした。もしまたキャプテンをやるのであればそれだけは絶対しないようにっていう気持ちがあったので、キャプテンになったときは信頼できる人に託すって決めていて。それが今でいう岸本や黒岩なので、その部分は高校での経験がいい方につながっているなとは思います。

「(主将を)本当に引き受けてよかった」

主将として過ごした1年で、精神的にも大きく成長を遂げた

――ご自身の登板の有無に関係なく、今年一年間の試合で最も印象に残っている試合はどれですか

 うーん・・・。でも一番、本当に一番うれしかったのは、春の早慶戦の3戦目の時です。

――確かにあの試合後は本当にうれしそうでした

 3戦目は本当に・・・。なんていうんですかね、1戦目が終わってから、自分が思い描いていた早慶戦になったというか。自分が投げていない試合であそこまでうれしかった試合はないんじゃないかなっていうくらいすごくうれしくて。1戦目負けた後にいろいろ考えたんです。どう考えても投げるとしたら土、月だけど、もし明日の試合負けたらそのチャンスもないなって。春のリーグ戦も含めて2戦目でしっかり勝てた試合が1試合もなくて、ここで誰かが頑張らないとワセダは変わらないと思ったんですよね。最低でも自分が日曜日に5回でも0点に抑えればなんかチャンスはあるんじゃないか。その姿を自分が見せることができればチームを変えられると思って、無謀でしたけど日曜日も投げさせてくださいと言いました。結果的に日曜日は勝てて、その次の試合だな、どうなるかなっていうのはちょっと心配ではあったんですけど、3戦目に1年生2人が頑張って投げてくれたのを見た時は、涙が出そうになるくらいうれしかったですね。

――やはり意地が見えたのは早慶戦だったと思うんですけど、連投については何がそこまで突き動かしたのですか

 あの試合でもし自分が日曜日投げなかったら、一番は後悔するというか。また5位か・・・って。去年の秋最下位で引き受けて、じゃあ何か変えようと今まで工夫して考えてやってきて、それでまた5位か・・・。個人的な感情を抜きにして、その後の夏から秋にかけてのモチベーションも変わると思いますし、チームとしてもどこを目指していいんだろうっていうのがはっきりしなくなるなと思ってましたし。最後に後押ししたのは本当に個人的な感情だったんですけど、それまではまたケイオーに負けるのか、また5位かっていうのが本当に嫌でした。もし明日勝ってどうせ3戦目にいくんだったらもう今日も投げて明日も投げてやると思って(笑)。それが本当にすごくいいかたちになりました。日曜日に関しては本当に内容は最悪でしたけどね。毎回ランナー背負って毎回ピンチで負けてもおかしくない試合でしたけど、本当に0点で抑えるのがいいピッチャーだと言われていたので、そこの部分だけ考えればいい状態で3戦目に持ち込めたかなって思います。

――2回戦で勝ったときの心境はいかがでしたか

 内容自体は毎回ランナーを背負って決してよくはなかったですけど、勝ちたいという気持ちだけは強く持って投げられたので、監督に直訴してよかった、後悔しないで済んでよかったなと思いました。

――3回戦が一番うれしかった理由は何でしょうか

 3戦目は朝の時点でみんなの目つきが違うなって思ったんです。2戦目の終わりからそういう雰囲気はありましたけど、やっぱちょっと違うなって思って。それで勝ち点取れて、3位でしたけど、優勝したチームに勝って俺らには地力はあるんだからそれを出せるか出せないかだっていう気持ちで夏の練習に入れたので、そこが今につながっていると思います。

――3回戦後の取材時は本当にうれしそうでした

 マジか~(笑)。でも本当にキャプテンになってなかったらうれしくないわけじゃないんですけど、キャプテンになってから後輩が結果を出すのが本当にすごくうれしくて。自分が結果を出せなかったらそりゃ心配しますけど、他人が結果を出せなくてこんなに気を遣ったこともなかったですし、逆に結果を出すとこんなにうれしいのかっていう。自分がマウンドですらそんなガッツポーズしたり喜んだりしないのに、ベンチではよっしゃー!みたいになるんですよ(笑)。そういうのも初めてだったので、本当に引き受けてよかったなと思います。

――そんな春の早慶戦もありましたが、今のチームは例年や春と比べてどういったチームですか

 打線も調子が上がってきていますし、ピッチャー陣も春を踏まえて夏の間に下級生が本当に一生懸命頑張ってくれたと思います。法大戦の週も自分が1戦目に負けても2戦目につないでくれたのは下級生ですし、この間の明大戦も1戦目で引き分けて、もし2戦目で負けていたらその時点で終わっていたところをつないでくれたのも下級生ですしね。そんなに下級生が頑張ってくれているのに、上級生が結果を出さないわけにはいかないじゃないですか。チームの防御率もダントツですし、そういうところも気持ち的には後押ししてくれる部分がありますね。でもみんなには最後の早慶戦までしっかりやり切ろうってことは言っています。

――その早慶戦については、アンケートに「絶対負けられない戦い」と書いていました。詳しく伺ってもよいですか

 今回は特に優勝決定戦になるかならないかが早慶戦に懸かってきますし、ワセダとしてもケイオーに負けてはいけないっていうのはずっと受け継がれていますし、それがワセダの宿命ではあると思います。だからこそやりがいがあるというか、他の大学にも勝ちたい気持ちは強いですけど、それ以上に強いので、投げるときもいつも以上に緊張はしますし、勝負も楽しいなっていうのは思います。

――今回は1年秋ぶりに優勝の懸かった早慶戦です

 ここまではその時のような戦い方ができていると自分の中では思っていて、本当にいいイメージで来ています。春に勝ち点を取れて、嫌なイメージは全くないんですけど、だからこそ油断せずに今までやってきたことをしっかり出し切ることだけを考えて準備したいと思います。

――慶大打線のキーマンは誰だと考えていますか

 やっぱり郡司(裕也、3年)、柳町(達、3年)あたりなのかなと思いますね。今季はホームランを打っている中村くん(健人、3年)なんかも警戒しておかないといけないなと思います。

――また髙橋広監督も今季限りで退任になります

 4年生はみんなワセダに入ってきた時からずっと一緒ですし、自分に限っては高校3年生のジャパンの時からお世話になっているので、『終わり良ければ総て良し』じゃないですけど、2、3年のシーズンは自分も調子悪くてチームも成績が悪くて悔しい思いをしてきたので、最後は喜んで監督を胴上げできるように、チームのみんなと頑張りたいなという気持ちはありますね。

――最後に早慶戦への意気込みを改めてお願いします

 やはり早慶戦に勝たないと先はないので、まずは早慶戦の1戦目ですね。自分の記録どうこうじゃなく、土曜日の試合、1イニング目の1球目から悔いのないボールをしっかり投げ込めれば勝ちも近づいてくるんじゃないかなと思うので、しっかり準備してやりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 吉田優)

チームメートと優勝を分かち合い、有終の美を飾ります!

◆小島和哉(おじま・かずや)

1996(平8)年7月7日生まれ。177センチ、81キロ。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部4年。投手。左投左打。これまで4年間、幾度となく書いていただいた色紙も最後の1枚。いつも色紙の言葉を決めるのが早い小島投手ですが、「普段は優柔不断ですよ」との返答が。「食事のメニューとか、全然決められないんです。二つぐらい選んで『どっちか決めて頼んでおいて』とか言っちゃいます(笑)」。意外な一面?が見られた対談取材でした。

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