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バドミントン部

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2018.10.05

【連載】2018年度インカレ直前特集『翼』 第5回 松本茜

 「責任感が増した」と語る選手がいる。先日行われた関東大学秋季リーグ戦(秋リーグ)で、女子は1部でまさかの最下位。エースの二人を欠く厳しい状況で皆が暗い顔をする中、白星を挙げ続けたのは松本茜(社3=福岡・九州国際大付)だった。入れ替え戦でもシングルス2で確実に取り1部残留に貢献するなど、自他共に認めるチームの鍵となる存在だろう。インカレでは個人戦の出場はならないものの、団体にかける思いは人一倍だ。そんな松本にインカレへの意気込みを伺った。

※この取材は9月27日に行われたものです。

バドミントンを自然と選んでいた

シングルスで活躍を見せる


――バドミントンを始めたきっかけは


両親がバドミントンをやっていて。父は実業団を引退してから高校の先生になったのですが、その高校の練習に遊びに行ったりとか、実業団のところにお邪魔したりとかしていました。それと母方の、みんなでやっているバドミントンに付いて行ったりしていました。バドミントンは、物心付いた時から自分の近くにあるもので。小学4年生で部活を始めるとなった時に、一番身近だったバドミントンを自然と選んでいました。


――その後ここまで続けられましたが、途中で他のスポーツに変えようと思ったことはありましたか


小学校4年生で部活に入る前は、水泳とかピアノとかいろんなことをしていました。5年生から地元のジュニアクラブに入りました。バドミントンがすごく楽しかったし、忙しかったというのもあるのですが、バドミントン以外のスポーツに目がいったりとか、他のことをしたいなと思ったりしたことはあまりないですね。


――高校から地元を離れ九州国際大付属高校に行かれましたが、高校を選んだ経緯を教えてください


中学校で熊本県1位になって、でも結局九州大会で負けてしまって全国には行けませんでした。熊本の高校からもお誘いはいただいたのですが、九州の中では九国がトップで。このまま熊本にいてもこれ以上は強くなれないし、もっと上の環境でやりたいと考えた時に、地元を離れて福岡に行こうという決意をしました。最後全国に出られなかったというのもあって、正直他県に進学するのは厳しいと思っていたのですが、その時に九州の他県の友達から「一緒に九国に行こう」と誘いを受けました。私自身、結果を残せなかったというのもあって、地元を離れるのをすごく悩んでいたのですが、引退した後九国の練習に参加してみて、行きたいなと思ったのがきっかけです。


――中学から親元を離れましたが、寮生活はきつかったですか


すごくきつかったです(笑)。部屋も2人か3人部屋で、一人の時間がなくて。家族ってすごく心を許せる存在だと思ってて、いくら仲が良くても部員はライバルでもあるわけで、そういう意味で気持ちが追い込まれた時はありました。そういう時に頼りになる存在が近くにいないというのはすごくきつかったなと今になって思います。


――高校の練習や勉強はどうでしたか


勉強はスポーツクラスだったので、特にきついことはなかったです。練習は、平日は午前中で学校が終わるので、14時から18時前後まで練習をしていました。休日はほとんど一日練で、夏休みとかも毎日一日練をしていました。オフが決まっていなくて、基本的に不定期でした。だから夏休みもオフが3日か4日?くらいでした。ランニングとかトレーニングがすごくきつくて、山の上に学校があったので、ダッシュするにしても坂が多かったです。5キロコースも坂ばかりだし、坂ダッシュもすごく急でした。坂ダッシュがすごく苦手で、きつかったです。


――今振り返ると、高校時代はどのような選手でしたか


見ていて不安な選手だったと思います(笑)。危なっかしい試合しかできなくて、母にもよく「試合を見ていると寿命が縮まる」と言われていました。監督さんも、団体に出すのを不安がっていて。自分でも確かに、私の試合は見ていていつも不安だろうなと思っていました。


――高校時代は団体でベスト8に入りました。その時のことを聞かせてください


私の代は結構人が揃っていて。下に日本代表の子とかもいるんですけど、優勝を狙いたいという風に自分たちの代に変わってから言われたりしていました。強いダブルスが2本あったので、それともう1本という風になっていて、私もシングルを頑張っていましたが、準々決勝で富岡高校と当たって。ダブルスが2本とも負けてしまって、0−2の状態で私に回ってきて、とりあえずやるだけやろうと思ったのですが、結局負けてしまいました。結構あっけなくて、「ああ、終わっちゃったね」みたいな感じで、悔しかったというかやりきれなかった部分があります。


――今までで印象に残った試合はありますか


高3の九州総合で優勝した試合です。高校でずっと結果を残していなくて、ワセダに行きたいと思った時に結果を残さないといけないってなっていて。たまたま再春館(くまもと再春館製薬所)の選手が他の試合と被って出ていなくてラッキーな状態ではあったのですが、高校に入って優勝したのが本当に久しぶりだったので、すごくうれしかったです。それで優勝できたから、総合に出ることもできたし、ワセダにも合格できたのかなと思います。自分にとって大きな転機となった試合でした。

上級生としての自覚

――早稲田大学に進学した理由はなんだったのでしょうか


最初に早大バドミントン部に惹かれました。監督がいなくて、生徒でやっていることや、自由な感じだとワセダの先輩から聞いていて、そこにすごく惹かれました。高校までやらされる練習が多かったので、自分でやるだけやるという環境にすごく惹かれて、行きたいと思いました。高3で進路を決める時に、実績ではスポーツ推薦は厳しいということになって、他の大学のスポーツ推薦とか推薦も考えろという風に言われたのですが、やっぱりワセダが諦めきれなくて。


――その中で、社会科学部を選んだ理由はなんだったのでしょうか


自己推薦が、教育とスポ科と社学があって、結局スポ科と社学を受けました。社会科学部は全国自己推薦入試があって、九州だしチャンスがあるなと思いました。そして、社学はなんでも学べる学部で、大学に入ってやりたいこととか将来の夢とかが特になくて、大学の中で見つけられたらいいなという面でも社学がベストなのかなと思い決めました。


――文武両道は大変ですか


今まではテストが苦手で、出席とかレポートの授業を取っていたのですが、3年生になって専門科目にそういう授業が全然なくて。全部テストばっかりになっちゃって、どんどん楽になっていくと言われていたのに、今年春学期は何も理解できていなくて大変でした。バドミントン部で一緒に授業を受けたりとかテストの時に教えあったりとかしているのを見ると、いいなと思います。でも、バドミントン部の人がいなかったぶん、たくさん他の友達ができて。語学の友達とめちゃくちゃ仲がいいんですけど、すごく助けてもらっています。スポ科だったら部活のみんなとは仲良くできたけど、こんなに他の人と交流することはもしかしたらなかったのかなと思います。


――どの授業が一番楽しいですか


本が好きなのもあって、人文科学系の授業がすごく好きです。笹原教授の「言語表現論」っていう授業とかが超面白くて、先生も常用漢字の決定とかに携わっている方なので、話を聞くのが楽しいです。


――ゼミには入っていますか


日本文化研究のゼミに入っています。日本文化に関することならなんでもよくて、メディアとかでもいいし、スポーツと文化とかでもいいです。アニメオタクで、日本のアイドルについてとかをやっている先輩もいます。なんでもありです。


――自主性が求められる環境に惹かれたとのことですが、実際に入ってみていかがでしたか


もちろん先輩方からたくさんのアドバイスをいただくんですけど、基本的に自分が練習に妥協したりしても怒られることがなくて。やりたいならやればいいし、やらないならやらなきゃいいという感じなので、今までは怒ってくれる人がいたけれど、大学に入ってからは自分で追い込まないといけなくて。勝つためにはきついことをしなくてはいけないけど、それも自分で決めないといけないのはすごく難しいなと思いました。


――1、2年の時から団体戦に出場していますが、当時を振り返っていかがですか


特に1年生の時とかは、中西さん(貴映、平30年スポ卒=現日本ユニシス)や我妻さん(美沙紀、平29年スポ卒=現みずほFG)とか強い先輩がいて、初めての春リーグとかは「勝ち負けは気にしなくていいよ」と言われましたし、自分の中でも勝ち負けを気にせずにのびのびとできていたかなという印象です。


――3年生になり上級生となりましたが、かかるプレッシャーは増えましたか


頼りになる先輩方が卒業されたのもあるし、勝って下級生の負担を減らして試合をしてもらいたいというのがあります。自分自身が、勝ちを求められるエースという存在ではないんですけど、上級生ということもあるし、チームのためにも自分のためにもしっかり勝たなくてはいけないなと自覚しています。


――プレーでの癖はありますか


プレーに関しては癖しかないです(笑)。左利きだからカットとかが好きで、クロスに振っちゃったりすることが多いです。あとは、後ろの打ち方が結構変なので、どこに来るかわからないと言われることもあるし、パターンが決まっていてわかりやすいと言われることもあります(笑)。


――逆に、苦手な相手やプレーはありますか


自分のプレーやペースを人よりも持っているので、相手も自分独自のペースを持っていると自分のペースを乱されてやりにくいです。筑波大の安田選手とは高校の時に1回試合をしてボッコボコにされました(笑)。


部にとって重要な代

――少しプライベートな質問に移ります。一人暮らしだそうですが、一人暮らしは大変ですか


うーん…結構大変ですね(笑)。一人の時間が増えたことが一番変わりました。全休もあるし、ご飯も出ないし、朝も好きな時間に起きられるし、そういう部分で高校時代と比べると生活がすごく自由になりました。


――自炊をすることは多いですか


時期によります(笑)。買いだすとあるからやっちゃいます。豚の角煮を作ったんですけど、3時間くらい煮込んで美味しく作れました。


――趣味はなんですか


読書が好きです。小説全般読むんですけど、有川浩さんがすごく好きです。まだ読んでいませんが、新刊を買いました。上橋菜穂子さんとかのファンタジー作家も好きです。高校の時は本を買いに行く時間もなくて読めなかったのですが、中学校の時はずっと図書館に入り浸ったりしていました。大学に入って余裕ができたので、買って読んだりしています。読書は大好きです。


――どういう時に本を読みますか


テスト期間とかに読んじゃいますね(笑)。やらなきゃいけないことがある時に限って読んでしまいます。気持ちが落ち込んでいる時や、やることがたくさんある時にはハッピーエンドのものを読みます。


――読書以外のリフレッシュ方法はありますか


散歩とか好きです(笑)。本当は山とか公園とかの自然系を歩きたいんですけど、特に何もない時は近所を歩いたりとかしています。高校の時も、どうしても一人になりたい時とかは学校の近くの裏門を出て歩いたりしていました。


――オフの日はどうやって過ごしていますか


寝ていますね(笑)。予定がなかったら、ずっと家で本を読んで寝ての繰り返しです。


――好きな食べ物はありますか


甘いものと、関西風のお好み焼きが好きです。なんかわからないんですけど、お好み焼きはすごく好きで、甘いものは、大学で東京に来てから美味しいスイーツがたくさんあるのでお休みの時に友達と回るのが楽しいです。タピオカも好きです。


――試合前のルーティンはありますか


アップが終わって、試合に入る直前に短いダッシュを5本します。そのあとにチョコを食べます。


――部の雰囲気はいかがですか


もともと自由というのもありますし、先輩後輩の上下関係もあまりありません。女子は特に人数が少ないので、みんな仲がいいです。3年生は変わっている人が多くて。でも部の中で声を出したり雰囲気を作っているのは私たちの代の誰かなので、そういう意味で私たちの代は部にとって重要な代なのかなと思います。


――その中でも一番変わっている人は誰ですか


3年生じゃないですけど、一番はゆうきちゃん(鈴木ゆうき、社1=宮城・聖ウルスラ学院英智)だと思います(笑)。なんか言葉の隅々から変わっているのがにじみ出ている感じです。初対面であんなに変わっているなと思った人は初めてでした(笑)。


――同期の中でのムードメーカーは


吉村(徳仁、スポ3=富山・高岡第一)くんだと思います。いつも一番声を出して、練習中とかも雰囲気を作ってくれます。


厳しい状況の中で増した責任感

秋リーグではチームが全敗の中、白星を挙げ続けた


――今年の東日本選手権は、3回戦で香山選手(筑波大)に当たり、3回戦敗退となってしまいました。インカレは団体戦のみの出場となります


1、2年生の時も(インカレに)出られていなくて。去年は桃井(伶実、スポ3=石川・金沢向陽)もダブルスでインカレに出ていたり、片桐(悠夏、人3=西武台千葉)がシングルスで出ていたりなど、同期も個人で出ていたので焦りもありました。リーグで戦っている選手はみんなインカレでいい結果を残している選手で、そういう中でも春リーグは今まで以上にそういう相手と試合ができているという印象があったので、今年はより出たいなという気持ちが強かったです。でも、(東日本で)当たりが悪かったというのはあるかもしれませんが、やっぱり大学トップクラスの人と自分には大きすぎる力の差があるんだということを痛感しました。悔しかったですが、悔しいというより、これじゃダメだって思えて。自分の実力を証明できる場所は団体しかないと思うし、そういう場面でチームのためにはもちろんですが自分のためにも勝ちたいなと思っています。


――インカレでの目標はどこに置いていますか


チームとしてはアベック優勝を掲げています。個人としては、準々決勝で日体大と当たるのですが、東日本と秋リーグで負けている相手なので、まずはそこに勝ってベスト4に入るのが最初の目標です。東日本の時は、2シンで日体大の1年生と当たって負けてしまって、私が勝っていれば流れが変わってチームも勝てていたかもしれないと思うので、もしもう1回その子と当たるなら絶対に負けたくはないなという気持ちはあります。


――優勝するためのキーポイントはどこだと思いますか


自分かな。今回の秋リーグで、エースがいないのがすごくきついと感じたし、結果は悪かったけどそういう中でやったことがよかったなと思っています。チームとしてもそれぞれの責任感というのは増したと思います。やっぱり吾妻(咲弥、スポ2=福島・富岡)、鈴木がしっかり団体で取ってくれるとは思うんですけど、二人の3つの中でどれかが負けてしまっても誰かが勝てば補えるわけで。そういう意味では、自分がしっかり勝てればチームにもいい流れが持ってこられるかなと思います。


――秋リーグでは、他が負けてしまう中、松本選手だけ勝つことがありました


改めて、勝つことって難しいなって。きついし、大変なことだなと感じました。絶対に落とせない立場でやっている選手って、常にこのプレッシャーを背負って戦っているんだなと思うと、純粋に選手として尊敬するし、自分がもっとやれればエースの人たちがもっとのびのび試合ができるのかなと思いました。もっと頑張らなきゃいけないなと思いました。


――厳しい状況の中での秋リーグを経験したことで、責任感が増したということでしょうか


そうですね。0−4で回ってきたりした場面で、一矢報いたいというか、絶対に負けたくないという気持ちがありました。プレッシャーはそんなになかったのですが、自分が取らないと始まらないかなというのがありました。そういう中でやれたことで、自分の中で責任感が増したのかなと思います。


――最後に、インカレへの意気込みをお願いします!


春リーグ、東日本、秋リーグと目標であるアベック優勝は達成できていないのですが、最後のインカレでしっかりアベック優勝できるように、まずはあと2週間しっかり調整したいと思います。女子は特に人数が少なく、みんなが主力になってくると思うので、一人一人がしっかり責任感を持って臨んでいけたらと思います。


――ありがとうございました!

(取材・編集 石名遥)

松本選手の「笑顔」がチームに優勝をもたらしてくれることでしょう!

◆松本茜(まつもと・あかね)

1997年11月10日生まれ。166センチ。福岡県九州国際大付属高校出身。社会科学部3年。読書と散歩が好きだという松本選手。上石神井の本屋によく行くそうです。インカレの鍵は自分だと語ってくれました。試合中のガッツポーズをインカレでも見たいです!お好み焼きは広島風より関西風。

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