競走部

2018.08.21

【特集】長距離夏合宿特集『挑戦』駒野長距離コーチインタビュー

 ロードシーズンを数カ月後に控え、現在2次合宿に取り組んでいる早大競走部。夏合宿の成果は駅伝での戦いに如実に現れるとも言われているが、現時点での早大の状況はどのようになっているのだろうか。今回は駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)に、現在のチーム状況や合宿での練習の様子、前期の振り返りや今後の展望についてなど、じっくり語っていただいた。

※この取材は8月17日に行われたものです。

部内のチーム編成

主にB、Cチームの指導に当たっている駒野コーチ

――現在、部内のチーム分けの基準はどのようになっていますか

 基準は去年と一緒で、全カレ(日本学生対校選手権)に出場できるレベル、あるいは標準は切っていないけどそれに準ずる力がある選手たちがAチームです。Bチームには全カレや関カレ(関東学生対校選手権)の標準をまだ切れていない選手たちが所属していて、Aチームに上がっていってほしいなという期待も込めて、一番量が多く質も高い練習をさせています。Cチームはそこにまだ至っていない、1年生を中心とした基礎固めが必要な選手たちが所属しているチームです。

――チームの入れ替え頻度はどのくらいですか

 そんなにやたらめったらにはやらないですけど、合宿中は1週間の中で2回タイミングがありまして、少し多かったですね。まずきのう大事なポイント練習である1キロのインターバル走をやりまして、その結果で入れ替えを行うことが決まっています。Bチームからは3人Aチームに移って、Cチームからは2人がBチームに上がります。こういう具合にポイント練習の結果を踏まえて、より高いレベルで(練習が)できるだろうなという選手を上のチームに上げています。あと妙高高原に行った後の合宿でもう1回同じように大事なポイント練習があるので、そこでの結果を踏まえてもう少し入れ替えをしようと思っています。

――具体的にはどの選手が上のチームに上がるのでしょうか

 BからAに上がったのは、4年生の西田(稜、政経4=東京・早大学院)、3年生の伊澤(優人、社3=千葉・東海大浦安)、1年生の山口(賢助、文1=鹿児島・鶴丸)ですね。CからBに上がったのは、2年生の住吉(宙樹、政経2=東京・早大学院)、1年生の茂木(凜平、スポ1=東京・早実)です。

――やはりその5人が特に調子が上がってきている選手なのでしょうか

 その5人以外も順調にやってはいるんですけど、特にその5人がきのうのポイント練習にて高いレベルで安定したパフォーマンスを発揮していたので、今より1つ高い(レベルの)チームでやったときにどうなのか見てみたくて上げました。4年生の西田に関しては、春先から5000メートルでベストを連発するなど好調だったので、満を持してといいますか、もう送ったからには戻ってこないでねという気持ちで送り出しています。

――チーム全体の調子は

 春先も、ものすごい大記録が出たわけではないですけど、自己ベストで走った選手がここ数年では比較的多くて、そこは収穫だったと思います。あと関カレでも吉田(匠、スポ2=京都・洛南)、真柄(光佑、スポ3=埼玉・西武文理)、岡田(望、商4=東京・国学院久我山)、太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体)が複数人で入賞してくれました。手放しで褒められるものではないですけど、まずまずいい実績を残せたと思うので、そこから夏に入ってもしっかりやってくれてはいるかなという気がします。

――関カレで入賞されました岡田選手の現在の調子は

 全カレにも出場するので、そこに向けて走り込みをしていて、妙高に行ってから大会に向けて調整をしていこうと思っています。彼の場合は、Aチームの選手のようにスピードでガンガンやっていくというよりは、どちらかというと泥臭い練習というか、ベースをしっかり作った上で少しだけ調整をして出るというパターンが合っていて。それが関カレでうまくはまったので、今回もそれをやろうという話を本人としています。

――元々Aチームに所属していましたが、現在ケガなどでBチームにて調整している選手もいるのでしょうか

 そうですね。今年の箱根を走った大木(皓太、スポ3=千葉・成田)とか淵田(拓臣、スポ2=京都・桂)、関カレで入賞した真柄、そして宍倉(健浩、スポ2=東京・早実)の4人は、故障や体の不調などで満足に練習ができていなくて、Bチームで少し様子を見ています。Aチームに送り出せる力を取り戻せてもらえたらと思っています。

合宿での目標や現状

――ではこれから合宿について詳しく伺っていきたいと思います。まず2次合宿での大きな目標や目的などはありますか

 2次合宿に関しては、B、Cチームでのテーマは毎年変えていなくて、「走り込み」ですね。彼らに求められるのは20キロという距離になればAチームに負けないという確固たる自信であったり、絶対的なスタミナであったりするので、それを2週間かけてしっかりとつくっていきます。ただ下地をつくるだけではなくて、つくった下地の上にさらに自分なりに乗っけていって、個々人の強みをつくっていこうというテーマでやっています。

――現時点でのメニューの消化具合は

 今の時点では100%うまくいっていますね。何人か満足にいけていない選手もいますけど、全体的にはしっかり消化できているなという印象があります。さっきBからAに3人上げたと言いましたが、去年は誰も上げていないので。1回の練習の結果だけではなくて春からここまでの全体的な練習の流れを踏まえてのAチーム昇格ではありますが、さっきお伝えした3人は練習も高いレベルで安定して継続できていますし、Aでやれる力がついたという一定の認識を監督と共有しています。

――今後もチームの入れ替えは今のペースで行うのですか

 いえ。妙高高原での合宿をやったら、その時点でAチームにいる選手がほぼ岩手の選抜合宿に入っていくので、岩手に行きたい選手はそれまでにアピールしていくかたちになると思います。

――2次合宿において特に選手に期待していることは

 2つあって。1つは練習の面で、チームの入れ替えが行われるような核となる練習があるんですけど、そこに調整してきっちり合わせるというより、あくまで合宿の流れでそこを迎えてほしいということです。完全に体がリフレッシュした状態で大きい練習をするというよりは、ある程度疲労がたまっているレースの中盤に近いような状態を意識的につくり出しているので、その中でパフォーマンスを高いレベルに持っていってほしいです。練習をぶつ切りに考えるのではなくて、点と点でつないで線にするように意識するということは選手にも伝えています。2点目は相互関係です。彼らはずっと寝食を共にしているわけですので、日頃所沢で練習しているときよりも濃密な時間を過ごしています。だからこそ、お互いに干渉し合ってほしいと考えています。春先はそれが希薄な部分があったので、そこを密にして連携していくというのも心掛けていますし、競技面と生活面の2つからしっかりやってほしいと思っています。

第2の谷口に

Aチームに昇格した西田。7月7日の順大記録会でも自己記録を更新した

――先ほど関カレについては触れていただきましたが、前期のBチームの記録会などでの戦績についてはどうご覧になっていましたか

 今年は比較的記録会に多く出した方かなと思います。記録会を通して力をつけていったりとか、試合は一番のトレーニングだと思っているのでそこに向けて調整できる力であったり、狙った試合でパフォーマンスを発揮できる力を意識的に向上させてほしいなと思ってやったシーズンでした。その中でさっきお伝えした西田が(5000メートル)14分20秒切ったり(7月21日、早大記録会)とか伊澤がかなり高いレベルでパフォーマンスを発揮できるようになったりとかそういういい材料もあります。一方で関カレは岡田が3000メートル障害に出ましたけどあれは特殊種目なのでまた別で考えていて、他だと真柄が出たぐらいだったのでやっぱり5000メートル、1万メートル、ハーフマラソンというところでエンジを着る機会というのをBチームの選手からもうちょっとそこに絡んでいけるような状況をつくりたかったなというのはありますね。

――2、3月はケガ人が多かった印象ですが

 そうですね。2、3月はインフルエンザが流行ったりして故障者、体調不良者が続出してしまったのもあってちょっと足並みがそろわなかった部分も確かにあったかもしれないですね。

――春に向けて良くなっていったということでしょうか

 3月の鴨川の合宿あたりから新しい1年生が入ってきてチームが活性化していって、そこでちょっとずつ「やっていくよ」と変わっていった感じでした。

――今お話に挙がりましたが、有力な新入生が入りチーム内で意識の変化などがあったのでしょうか

 そうですね。Aチームに関していうと傍から見ているだけですけど1年生が練習を引っ張っていて、もちろん太田智樹とか新迫(志希、スポ3=広島・世羅)とかもいますから全部が全部1年生というわけではないんですけど。ただ元々いたメンバーと新しい1年生の若い力が練習の中でうまく相乗効果で高め合っているなと感じますし、Bチームにも向井(悠介、スポ1=香川・小豆島中央)とかさっきお伝えした山口とか高校時代の実績がある選手が入ってきたので結構楽しみな1年生が多いなという印象ですね。

――駅伝でも1年生の力が重要になってくるでしょうか

 そうですね。ただ、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)に関しては1年生の力は大きく生かされると思いますけど、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)に関しては今年の箱根がそうであったようにやっぱり4年生の力がすごく大きいので、出雲・全日本と箱根というのは切り分けて考えるのが良いかなと思います。実際今Bチームの4年生には箱根1本で20キロに向けてやるんだという指示でやっています。去年の谷口(耕一郎、平30スポ卒=福岡大大濠)のような、Bチームの1つの意識として『第二の谷口』というか次の谷口さんには自分がなるというような意識を持ってくれているような選手が多いと思います。ただやっぱりミーティングでも言うんですけど、谷口さんを超えたいと思ってもチームの状況が去年と今年は変わっているので、「谷口と同じところを目指していても駄目だよ」という話をして、谷口以上の練習とか谷口よりももっと高いレベルでやっていかなきゃいけないということを伝えているので、そこは意識してくれているんじゃないかなと思います。

――チームのカラーについて昨年は「おとなしい」とおっしゃっていましたが今年はいかがでしょうか

 今年もおとなしいかな(笑)。去年の光延(誠、平30スポ卒=現九電工)みたいにムードメーカー的な選手がいないのでAもBもおとなしいです。でも殻に閉じこもっているおとなしさというよりは、物静かだけどしっかり考えて内に熱いものを持っているなという印象なので、心配になるおとなしさではないです。

――チーム全体で見て注目されている選手はいらっしゃいますか

 太田智樹ですかね。エースの風格も出てきていますし、今年の箱根でうまくいって、関カレも1万メートルは駄目でしたけどそのぶん5000メートルは取り返してくれましたし、智樹なら安心して任せられるという雰囲気が出てきています。あとやっぱり練習でものすごく人一倍走り込むので。今の合宿中もB、C含めて全体でも多分最後まで走っています。エースがそういうことをやってくれると我々も「智樹があれだけやっているんだから、お前らもやらなきゃ駄目じゃん」と言いやすいのですごく模範となる取り組みをしてくれているなという印象です。

――他大学の印象はいかがですか

 ここ最近の他大の状況を知らないんですけど、関カレなどの定点的なところで見るとやはり去年と一緒で足並みがばっちりそろっているところは少ないのかなと思いますね。青学大もそうですし、ハーフマラソンのような距離に強い東洋大も酒井さん(酒井俊幸監督、東洋大)が「関カレのハーフで入賞ゼロだったのは何年振りだ」と言っていたので。そういった意味ではどこの大学もいい部分とイマイチな部分両方合わせ持っている大学が多いのかなという印象ですね。

――箱根では3年間5区を走った安井雄一選手(平30スポ卒=現トヨタ自動車)が卒業されましたが、現時点で山に適性があるような選手はいらっしゃいますか

 去年から安井のリザーブとして大木だったり、2年生の吉田だったりを考えていたので、その2人は当然5区の候補としては核になってくると思うんですけど、あと1年生の千明(龍之佑、スポ1=群馬・東農大二)も上りが得意なのでその3人。あと5区に意欲のある1年生も何人かいるので、そういった怖いもの知らずの1年生も絡めて結構上りの適性は見ていけるかなと思います。

――全カレや駅伝シーズンでの指導者としての目標を教えていただけますか

 全カレでは出る選手全員が入賞してほしいなと思いますし、表彰台にも絡んでいってほしいと思います。駅伝に関しては今年のチームが(学生三大駅伝)全て3位以内という目標を掲げているのでそこに向けて勢いのある1年生と3年生を中心とした上級生の融合でその目標を達成できたらいいなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 藤岡小雪、宅森咲子)