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2018.05.30

【連載】春季早慶戦直前特集『覇者の矜持』 第3回 鈴木萌斗

 今季も苦しい戦いが続いている早大。しかしその一方で、明るい話題もある。その一つが、鈴木萌斗(スポ1=栃木・作新学院)の活躍だ。早明2回戦で初打席初安打を放つと、直後の早東1回戦から3試合連続で1番打者を任された。その後は六大学の壁にぶつかっているが、苦しくも実りある毎日を送っている。今回は、そんな鈴木の現在と、早慶戦に向けての意気込みを伺った。

※この取材は5月23日に行われたものです。

「行けそうならば、常に先の塁を狙っている」

俊足巧打を武器に早くも出場機会をつかんだ

――鈴木選手は甲子園に何度も出場された経験がありますが、その経験は神宮の舞台で戦う際にも役に立っていますか

 そうですね、やっぱり人前で緊張しなくなりましたね。

――それは全国制覇の経験も同じですか

 優勝したという実感はあまり今もないんですけど、甲子園(での試合)1回1回が本当に特別なので。その経験を多くできたっていうのは自分の財産になったと思います。

――甲子園で行っていた特別な調整などはありましたか

 特にはしていなかったんですけど、自分はとにかく相手ピッチャーを見て素振りするっていうことを心掛けていました。

――甲子園と神宮球場でのプレーでは、どちらの方が緊張しますか

 やはり神宮も甲子園も、初めて(プレーした時)は緊張したので。どっちもどっちですね。

――甲子園では決勝戦にも途中出場されましたが

 決勝はそれほど緊張しなかったので、神宮での最初(のプレーの時)の方が緊張しました。

――木製バットへの対応に関して、どういった部分に苦労されましたか

 金属ではある程度、芯以外の部分で打ってもヒットにはなったんですけど、(バットが)木になったらジャストで捉えないとヒットにならないという。やっぱり凡打が多くなったので、難しさは実感していますね。

――春季オープン戦への出場を通じて苦労したことや、高校との違いを感じた部分はどういった点でしたか

 全てのレベルが高くなっているので、守備もバッティングもまだまだ通用してないと思っているので。打球も全然違いますし、ピッチャーの球も全然違いますし。そこはもっと自分も、そういうレベルに達していかないといけないなと思います。

――そういったことの克服のために、どういった練習に取り組んでいましたか

 守備はできるだけ実戦に近い状態の打球を捕ったりしていたり。打撃に関しては、もう少しスイングスピードを速くしたいなと思っていて、少し重めのバットを持ってとにかく振るようにしています。

――ウエイトトレーニングなどには取り組まれていますか

 こっち(早大)に入ってからウエイトはあまりやっていなくて。実戦中心の練習ばかりやっていました。

――東大戦では1番打者として出場されましたが、特別に意識していたことはありましたか

 自分の個人的な思いというか考えなんですけど、1番バッターの第一打席は特別なものだと感じていて。何がなんでも出塁しようっていう心掛けはしていたんですけど、それを上手くできていなかったので、そこはあまり良くなかったかな…と自分では思っています。

――その試合でも独特の緊張感や、高校との投手のレベルの違いは感じられましたか

 (投手のレベルに関しては)特に高校と違いはなかったんですけど、自分の実力不足と言いますか。まだちょっと、1番(という打順)で浮足立ってしまったところがあったので。今後この経験を生かして、やっていけたらなと思っています。

――実力面と同じくらいメンタル面も苦労があるということなのでしょうか

 まだ先輩方に比べて(大学を舞台に野球をするという)経験が浅い中でやっているので、やはり『硬さ』というのはありますね。

――鈴木選手は足を生かしたプレーが武器ですが、チーム内で自分よりも速いと感じる選手はいますか

 やっぱり黒岩さん(駿副将、スポ4=長野日大)ですね。あと、ベンチには入っていないんですけど、藤野さん(恭平、人3=茨城・江戸川取手)もですね。速い選手はたくさんいるので、まだ自分が一番だとは思っていないです。

――脚力の点でライバル視している選手はいますか

 黒岩さんが、盗塁の技術がとてもうまいと自分の中では思っているので、その走塁に負けないようにと思っています。ライバルというか尊敬ですね。自分もそれに倣っていけたらと思っています。盗塁の全てにおいての速さがすごいなと、見習いたいなと思っています。

――鈴木選手といえば、高校3年生の春まで公式戦での盗塁失敗が一度もなかったことで有名でした。その記録は引退するまで継続されたのでしょうか

 いや、一度だけ失敗しました。夏の大会の、宇都宮南高校というところなんですけど。普段しない三盗で、挑戦して、失敗だったので。まだ二盗は失敗したことがないです。

――大学進学後も二盗での失敗はないのでしょうか

 そうですね。していないです。

――失敗した三盗に挑戦した際に、記録のことが頭によぎることはなかったのですか

 自分の中では(記録のことは)意識してなかったです。とにかく(自分は)行けそうならば、常に先の塁を狙っているので。盗塁も自分としては、失敗はオーケーだと思っていて、結果的にそれが全部うまくいっているだけなので。そこで失敗しなかったということは、これからも自信にしてやっていきたいなと思っています。

――他大には、足の面で意識している選手はいらっしゃいますか

 あんまり分からないです(笑)。

――明大に進学された丸山和郁選手(1年)など、甲子園を沸かせた同級生もいますが

 ああ。そうですね。丸山選手も足が速くて、甲子園でも盗塁の記録を塗り替えた(1大会8盗塁)ので。そこは自分とキャラクターが似ている部分もあるかと思うので、(丸山選手が)上に出てきたら競り合いたいと思いますね。

――大学で厳しい練習が続く中で、日々のモチベーションを保てているのはどういった理由からですか

 自分は常に「これをやったらうまくなる」、「これを乗り越えればきっとうまくなる」っていうことを信じて、そういうふうに(練習に)取り組んでいますね。

――選手としての理想像はありますか

 自分が理想としているのは秋山翔吾選手(埼玉西武ライオンズ)なので、バッティングで困ったら(秋山選手の打撃の)動画を見ていますし、参考にさせていただいているので、秋山選手のようになりたいと思っています。

――具体的にどのような点を参考にされているのですか

 広角に打ち分けられる勝負強いバッティングが見ていて魅力的だと思ったのと、(自分と同じ)左バッターというのもありますし。あと、守備もうまいですし、全てにおいて参考になるので、自分の理想とする選手です。

――守備の面で普段から心掛けている点はありますか

 とにかく自分は『捕りミス』をしないように、確実に捕るということは気を付けてやっていますね。あとは、打球に対してのスピードと言いますか、(打球への)判断を良くしようということを常に心掛けています。

――これからの大学野球人生における、個人として、チームとしての目標はなんですか

 個人的にはそうですね。やはり記録を残せる選手になりたいと思ってますし、六大学を代表する選手になれるようにやっていきたいと思っています。チームとしては、最近少し沈んできているようなチーム状況なので、なんとか自分たちで上位に食い込めるようにしたいと思っています。

『インスタ映え』王は徳山選手。理由は…

新生活には慣れたという鈴木萌。友人の存在が日々の力になっている

――大学生活のことに関してうかがいます。入学から2カ月が経ちましたが、新生活には慣れましたか

 そうですね。慣れてきました。

――授業などで苦労していることはありますか

 高校と違って、自分で選んだ授業を受けるというところが高校と全然違う感覚なので、自分の中では野球メインという感じの生活です。

――今とっている授業で一番楽しいものは何ですか

 バレーボールの時間ですね。ピッチャーの徳山(壮磨、スポ1=大阪桐蔭)と一緒に受けているんですけど、ワイワイやっていて楽しいです。

――普段からお二人は仲がいいのですか

 同じ宿舎に住んでいますし、ご飯やお風呂にも一緒に行ったりしますし、何かと一緒にいることが多いです。

――以前アンケートの『インスタ映えする選手』の欄に徳山選手を挙げていました。それはなぜですか

 とにかく練習終わりにハーゲンダッツを載せたがるんです(笑)。インスタ映えを狙っているんだと思います。すぐハーゲンダッツを載せるんですけど、何がしたいのかよく分からないです(笑)。

――お茶目な一面ですね

 そうですね。ギャップというか。マウンド上ではちょっとクールぶっているんですけど(笑)。インスタでは全然違った面もあるという感じですね。

――同じ一年生の丸山壮史選手(スポ1=広島・広陵)とは普段お話しされたりするんでしょうか

 マル(丸山選手)とは宿舎が違うんですけど、クラスで受ける授業があって。マルとはクラスが同じなので、そこでは常に一緒にいます。

――どういったお話をされるのですか

 野球のことですかね。真面目なので、マルは。バッティングのこととか、「最近調子いいけど、なんで調子いいの?」みたいな話をよくしています。オフの時は面白いんですけど。お笑いキャラで(笑)。

――鈴木選手自身はオフの時はどういったことをされるのですか

 オフの前の夜に、みんなでご飯を食べに行くことが楽しみです。この間は岩本(久重、スポ1=大阪桐蔭)が誕生日だったんですけど、スポ推(スポーツ推薦)のみんなで食べに行こうということで、焼き肉に行って、岩本以外の三人で(焼き肉を)おごったっていうことがありました。

――今、一番幸せを感じるのは何をしている時ですか

 自分は次の日に早く起きなくてすむと思った時が一番幸せです(笑)。一年生は朝が早いので、それがなくて済む時は幸せです。

――寮のご飯で好きな食べ物は何ですか

 ハヤシライスとかおいしいですね。ルーものは結構(ご飯が)進みます。

――高校の時に比べて、大学に入ってから新たに苦労していることなどはありますか

 自分は高校の時も(練習など、野球に取り組む環境が)かなり厳しかったので、練習面に関してはそこまで苦労はしていないんですけど。授業後の気持ちの切り替えが、高校の時から苦手なので、まだ気持ちの入れ方は難しいです。

早慶戦は「もう一つの特別な場所」

――早慶戦の印象を教えてください

 自分はワセダに来る前に早慶戦を拝見させていただいたんですけど、甲子園と違う独特の雰囲気と言いますか。華々しい、もう一つの特別な場所だと思っているので、自分の中では楽しみにしていますね。

――プレッシャーではなく楽しみとして早慶戦を捉えているのですか

 そうですね。一年生なので、緊張せずにノビノビとやれたらいいなと思うんですけれど。実際直前には緊張してしまうと思うので(笑)。でも、思い切ってやっていけたらなと思います。

――早慶戦に向けての意気込みをお願いします

 ここぞという場面で自分が決められるようなプレーをして、少しでもチームに貢献できるような活躍をしたいと思っています。

――どんな早慶戦にしたいですか

 慶応は優勝が懸かっていると思うんですけど、それを阻止できるように、自分たちの力を出して、ワセダらしく勝ちたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 望月優樹)

色紙には座右の銘を書いていただきました

◆鈴木萌斗(すずき・もえと)

1999(平11)年6月25日生まれ。180センチ、73キロ。作新学院高出身。スポーツ科学部1年。外野手。右投左打。野球部の1年生が全員で受けている授業が、水曜日の一時限目にあるという情報を教えてくださった鈴木萌選手。小手指駅からの坂道を、全員で全力ダッシュするのがお決まりなのだそうです。屈強な男たちが学生服に身を包み、疾走する姿はまさに青春!?その光景が見られたら幸せが訪れるかもしれません!

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