漕艇部

« 特集に戻る

2018.04.19

【連載】早慶レガッタ直前特集『花信風』 第6回 6:鈴木大雅 × 7:飯尾健太郎副将

 今回は花形種目である対校エイトのクルーから飯尾健太郎副将(教4=愛媛・今治西)と2年連続での乗艇となる鈴木大雅(スポ4=埼玉・県浦和)にお話を伺った。最高学年としてチームをけん引するこの二人がラストイヤーの早慶レガッタにかける思いとは。

※この取材は3月1日に行われたものです。

「勝った方が強いのではなくて、強い方が勝つ競技」(鈴木大)

チームの主力の1人として活躍し続けてきた鈴木大

――新体制となりましたが、飯尾選手が副将になられた経緯を教えてください

飯尾 詳しくは聞いていないんですけど、最後に卒業される4年生にいわれたのは、大学からボートを始めた人間なので、今までボートをしてきた人間とは違う見方から意見を述べることができるというのが自分が副将になった一つの理由です。

――選ばれた時はどのようなお気持ちでしたか

飯尾 まさか自分がなると思っていなくて、不安もあったんですけど、自分が入学した時の4年生の藤井さん(英貴、平28スポ卒=東京・本郷)とか3年生の木金さん(孝仁、平29社卒=東京・早実)は自分と同じように大学からボートを始めて、最終学年になって副将を務められた人を見てきたので、僕にもできないことはない、やってやるという気持ちになりました。

――副将に就任された飯尾選手を鈴木選手からはどのように映っていましたか

鈴木大 未経験から対校エイトまで上り詰めてくれて、みんなにとって刺激になっているので、そういう人が副将に座っているというだけでも、部が引き締まるのでありがたいです

――以前飯尾選手は「この代には束ねる力が足りない」とおっしゃっていましたが、新体制が始まって、その点はいかがですか

飯尾 1年生、2年生の時は、3年生と4年生がしっかりしていた分、僕らの学年は付いていくというイメージが強く、上級生や監督、コーチのいうことを聞いていればそれでいいというところがあって、組織をまとめようという力がおのおの足りなかったんですけど、学年が上がって、自分たちが引っ張っていかなければいけない、自分たちが中心となっていかなければいけないというのが自然と芽生えてきているのを同期を見ても感じるので、主将と副将に限らず、新4年生がいろいろな面でリードしてくれているなというのを感じています。

――最上級生としてのご自身の役割は

飯尾 自分は先程も言ったんですけど、大学からボートを始めて、副将を務めているということで、これから大学でボートを始める人間が活躍していれば、違う競技から入ってこようと考えている人の参考になると思うので、そのために自分は活躍しなければいけないなという気持ちもあります。自分は圧倒的な力が部の中であるわけではないので、下級生も同期も一緒に練習していこうと、周囲を巻き込んで引っ張っていけるような、上級生、リーダーを目指しています。

鈴木大 自分は結構対校エイトは長く乗っているんですけど、自分が意見したことが絶対的な意見になることが嫌で、それだけが正解ではないので、後輩からもどんどんいってきてほしいし、同期ともたくさん話すことで、自分もいうけど相手からも引き出したいと思っていて、そうした過程がボートにはすごく大事で、信頼関係だったり、練習の良し悪しも決まってきたりするので、そういった関わり方をすることでチームをつくろうという意識はあります。

――新チームの雰囲気はいかがですか

鈴木大 自分は1年生、2年生の時の最上級生の先輩は怖くて意見することができなかったんですけど、今の最上級生はそういうのってあまりないかなと感じています。

――「互いにあまり干渉しない代」とおっしゃっていましたが、現在のプライベートはいかがですか

飯尾 無関心というわけではなく、この前も同期みんなで集まって飲んだんですけど、1人も欠席していないんですよ。そういう点ではいい意味で仲がいいので、そこが馴れ合いっこでマイナスにならないように、チームがいい方向に行くように結びつけていけたらいいなと思います。

鈴木大 いい距離感なんじゃないかなと思います。あまりくっつき過ぎても気持ち悪いじゃないですか(笑)。あまり離れすぎてバラバラになり、下級生からそのように見られるのはあまり良くないし、いい距離感で、仲良しごっこではなく、団結していないわけではないよね、というちょうどいい距離感を保っている感じはします。

――初期の頃と比べてイメージの変化はありますか

飯尾 あまり変わってないと思うんですよ。

鈴木大 イメージ通りですね。

――何か面白いエピソードはありますか

飯尾 僕らのクルーで唯一2年生で乗っている、海靖(田中、スポ2=愛媛・今治西)がいるんですけど、そいつはいいキャラしていますね。先輩から見た後輩としてはすごく面白いんですよ。

鈴木大 かわいいよね(笑)。

――最近部の中で流行っていることはありますか

飯尾 2年生はゲームやっていますけど、何が面白いのかわからないですね(笑)。

鈴木大 ずっとモンスターハンターやっていますね。

――練習以外の時間は何をされていますか

飯尾 最近は練習がきついので休むか、就活の準備をしていますね。あとは歯医者に行ってますね(笑)。

鈴木大 自分はあまり出歩かないですね。就活の準備をしつつ、疲れたと思ったら部屋に持ち込んだギターを手に取って、弾いています。

――それって他の部屋にも聞こえていますよね

鈴木大 多分聞こえてますね(笑)。藤井(拓弥、社3=山梨・吉田)もベースを持ち込んでいるんですけど、多分互いにギターとベースの音が聞こえ合っていますね。

――セッションとかはされますか

鈴木大 全然しないですね。ソロプレイヤーですね(笑)。

――昨シーズンを振り返っていかがですか

飯尾 大きく分けると早慶戦、インカレ、全日本だったと思うんですけど、早慶戦に関して言えば、僕は初めて早慶戦に出場して勝てたという嬉しさもあり、対校エイトから第二エイトに落とされたという悔しさもあって、2つの両極端な感情が入り混じった大会でした。インカレに関してはこれも対校エイトの選考にはかけられたんですけど上級生に敗れまして、舵手なしペアを同期と組むというクルーでスタートしたんですけど、相方の故障もあり、2、3週間でさっき言った海靖と出ることになって、超即席クルーだったんですけど、あいつもポテンシャルが高かったので予選でいいタイムが出てて、いい順位が狙えると思っていたんですけど予選後あいつが体調を崩してしまったので、しっかりとした準備をして準決勝以降に臨むことが出来なかったので、そういう意味ではすごく悔いが残りました。全日本では色々あって対校エイトに乗せてもらったんですけど、練習ではたまにうまくいくけど、レースになるとそれがなかなかうまく表現できなかったので、練習を試合に100パーセント、あるいはそれ以上に繋げる難しさをすごく感じた大会でした。あとはクロアチアから取り入れた技術で自分たちのパワーを最大限に発揮するために自分たちのローイングをどうしていくかという移行期間でもあって手探りのまま終わってしまったので、トータルで見ると悔しい思いが多い一年になりました。

――点数をつけるなら

飯尾 40点ですね。

鈴木大 早慶戦、インカレ、全日本、全部が対校エイトだったんですけど、早慶戦はワセダとケイオーで1対1なので、正直ケイオーの調子が悪かったら勝ててしまうような側面もあるとは思うんですけど、全部を通して思っていたのが、先輩に対して言いたいことが言えなかったなと。なかなか自分としては練習がうまくいかないことが多くて。ボート競技ってミラクルが起きない競技で実力がそのままで強い方が勝つ競技で、勝った方が強いのではなくて、強い方が勝つ競技なので、練習で表現できないことはレースでは表現できないと思っています。でも、大会を迎えるまでに不安を抱えたまま試合に出たくないから、どこかでごまかして、できていないのに大丈夫と言い聞かせていたところがあったので、そこでもうちょっと突っ込んで発言できればよかったです。あとクルーの意見もバラバラになっていた部分があったと思うのでそこをもう少し後輩としてとして介入していけたら、もうちょっと結果もいいものになったんじゃないかなと思います。そこが一番反省ですね。30点ぐらいですね。

――昨シーズンで成長したところはありますか

飯尾 勢いだけでは勝てないなと。鈴木がさっき言ったことともつながると思うんですけど、本当の実力がないとボートって勝てないなというのはすごく感じました。すべてにおいてじゃないですかね。パワー、技術、メンタル。なんとなく漕がずに狙いを決めて、それを意識しながら集中して練習をしないと本当の力は付かないと感じました。

鈴木大 特にエイトに関しては、9人での意思疎通がすごく大事だなとしみじみ感じました。そこがうまくいかないと練習が良いものにならないですし、個人がバラバラの動きをしてしまって、レース中の勝負所でまとまり切れなかったり、もっと言えばレース中に互いのことを信頼し切れなかったりすると、差が出てきてしまうので、そういう信頼だったり、目に見える技術的な部分での練習でどれだけ議論するというか、ぶつかれるかというところが重要だなと。元々気づいてはいたんですけど、そこがどれだけ重要であるかというそこのウエイトが増しましたね。

――オフシーズンはどのような練習を強化していましたか

飯尾 チームとしてはインカレにピークを持っていくために小目標を設定してやっていこうというのを考えていて、そのためにはとにかく基本ですよね。体力もそうなんですけど、技術向上を狙いとした練習がオフシーズンはチームとしては続いたと思います。個人的に言うと、先ほどいったように、あらゆる面で課題が出たということで、そのテクニックももちろんなんですけどやっぱりパワーですかね。僕はあまりウエイトがあまり得意じゃないんですけどウエイトを嫌がらずにやることを心がけてきました。今除脂肪体重が増えてます(笑)。

鈴木大 チームとしては技術的なところが大きくて、夏の大会に向けても今回の早慶戦に向けても、オフシーズンの期間は誰と誰が組むかはわからないので、その時にチーム全員が全く同じ漕ぎ方をしていればどんな組み合わせで漕いでもいいはずなので、それを統一する期間であったと思います。個人的には練習をいいものにするために、組んだクルーでどれだけ意思疎通が取れるかが一番大きくて、自分が思っていることはいうし、相手がどう思っているかも、絶対聞きとるし、そういう関わり方をすることで、自分のためにもなるし、周りのためにもなるように、そういう練習をしていました。

――今回のメンバー選考はどういった経緯で行われましたか

飯尾 8分の5が決まってまして、あとの3人をどうするかというのをタイムトライアル3本で決めた感じですね。

――お二人は元々決まっていた5人に入っていたのですか

鈴木大 そうですね。

飯尾 ありがたいことに。

――飯尾さんは対校エイトに戻ってこられましたが、決まったときの心境は

飯尾 去年のことがあったので、あんまりほっとしてしてないと言ったらおかしいですけど、もっと頑張ろうというか、身が引き締まる思いでした。

――鈴木さんはいかがでしたか

鈴木大 去年のインカレ、全日本は正直つらかったというか、練習があんまりうまくいかなくて、エイトは人数が多いんで、技術的にも精神的にも合わないからすごく難しいんですけど、そういう種目に戻ってくるというところで、対校エイトに選んでもらったことに関してはすごくうれしいんですけど、そこが去年できなかった分、ことしはそれができないと勝てないなと。そういうことを選んでもらった時に感じました。

「僕はこの早慶戦に憧れて入学してきた」(飯尾)

大学から競技を始め、ラストイヤーで副将として対校のシートを獲得した飯尾

――今はどんな練習をされていますか

飯尾 組み始めはいわゆる合わせということをやっていたんですけど、1、2週間前に大きくモデルチェンジをしまして、それをすり合わせるということと、徐々にストロークのレートを上げていっている感じですかね。簡単に言うと。

――手ごたえはいかがですか

鈴木大 いい意味でみんな丸い性格というか、素直な性格なので、変に反発する人があまりいない印象で、安定して練習ができるクルーかなと思ってます。去年は練習によって波がすごくて。出ない日は全然で出ないし、たまに出る日があったり、狙ったら絶対にいいものが出ないといけない。レースで狙ったものが出せなかったら意味がないので。狙ってみんなが集中して出す、それでちゃんと出るというところはこのクルーのいいところだと思っています。

――手ごたえはいいということでしょうか

鈴木大 現段階ではいい感じだとは思うんですけど、でもおごりは禁物なので(笑)。

――下級生と意思疎通は取れていますか

飯尾 そうですね。クルーに乗っているやつ以外とも僕は結構下級生と接するように心がけているんですけど、僕はどうやらフランクに接しにくいみたいで(笑)。クルー乗っているやつとは問題ないですね。

鈴木大 今リズムを作るポジションに乗っている海靖はあいつが一番下の学年なんですけど、あいつすごく無口で、淡々と練習するんですけど、彼が気持ちよく漕いでくれることがクルーにとって一番いいんで、陸に上がったら「思ったことがあったら全然言っていいんだよ」という言葉はかけてますね。たまに練習中に声が出るようになりました(笑)。

――練習していて課題は見つかりましたか

飯尾 細かいものを言い出したらきりがないんですけど。なんやろ。パワー?

鈴木大 まあ確かに。そうかも。

飯尾 ちっこくて軽い奴が多いんですよ。お前が一番大きいぐらいかな。

鈴木大 多分体重は俺が一番かな。

飯尾 オープン級が2、3人で、あとは軽量級なので。課題はパワーですかね。

――個人的に今の調子はいかがですか

飯尾 まだやっぱ僕はモデルチェンジに対応しきれていない部分があるんですけど、7番に座っているので、とにかく全く同じ動きをして後ろにつなぎます。

鈴木大 自分的にはモデルチェンジで先週バグってたんですけど(笑)。今週に入ってちょっとずつ整理がつき始めたというところで。でも結局目指すところは船が早くはしるっていうそこだけなので、スタイルが変わってもそこへ向かう姿勢は変わらないので、そういう面ではちゃんと練習は出来ているかなと。

――去年の早慶レガッタを振り返って

飯尾 僕だけだと思うんですけど、チームとしての完全優勝と自分も早慶戦に出場できたということで、すごく達成感があったのと同時に、思うようなポジションにつけななかったという、悔しさもあって、両極端の2つの感情が入り混じった早慶戦でした。

鈴木大 結果勝ったんですど、内容をみても紙一重だし、それに至るまでの練習を見ても本当に勝てるのかと思う瞬間が多くて、すごく反省が残りました。結果としては良くても、本当に気持ちよく勝てたかと言ったらそうではなかったので、ことしは文句なく勝ちたいなというところです。

――ことしのケイオーの印象は

飯尾 去年の4年生のイメージが強くて。1年生の時から活躍しているメンバーが多くて豪華メンバーがそろっていた印象なんですけど。今のケイオーはわからないですね。

鈴木大 なんかケイオーってめっちゃ選考するんですよ。クルーを決めるまでに何やっているかよくわかんないですけど、長い期間をかけてメンバーを決めていくんですけど、ほんとに最近決まったのかなってぐらいで。まだやってんのかみたいな。まだ彼らが対校エイトを出して漕いでいるところを全然見ていないので、まだ印象も何もないですね(笑)。

――早慶レガッタの位置づけは

飯尾 僕はこの早慶戦に憧れて入学してきたので。チームとしてはインカレを一番の目標に置いていると思うんですけど、僕はインカレとイコールですね。僕にとってはすごく特別な大会に位置付けています。

鈴木大 こういうボートのレースってこれ以外ないので、そういう意味では特別な大会だなと思うのと同時に、伝統があるとか、去年も5連敗してから勝ったとかあるんですけど、どこまでいっても自分が乗って負けたくない。勝ちたいとどれだけ思えるかがすごい重要で、あまり伝統とか気にしてなくて。たしかに3750を隅田川で漕ぐというのは魅力的なんですけど、結局自分が出るレースで勝ちたいかっていう、それだけです。

――最後に早慶レガッタへの意気込みをお願いします

飯尾 「耐えて勝つ」です。

鈴木大 自分としては「文句をつけさせずに勝つ」ですね。誰が見ても圧倒的に勝ちます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 萩原大勝、石井尚紀)

最後の早慶戦、お二人の活躍から目が離せません!

◆飯尾健太郎(いいお・けんたろう)(※写真左)

1995(平7)年4月28日生まれ。176センチ。70キロ。愛媛・今治西高出身。教育学部4年。これまでの辛い経験の量は部内一だと自負する飯尾選手。色紙を渡すと、迷うことなく『耐えて勝つ』と書いてくださいました!

◆鈴木大雅(すずき・たいが)(※写真右)

1997(平9)年3月13日生まれ。177センチ。77キロ。埼玉・浦和高出身。スポーツ科学部4年。言葉の端々から勝利への執念が感じられた鈴木大選手。ことしも対校エイトを栄冠へと導いてくれることでしょう!

« 特集に戻る