漕艇部

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2018.04.18

【連載】早慶レガッタ直前特集『花信風』 第5回 4:金子怜生 × 2:藤井拓弥

 今回登場するのは金子怜生(社4=東京・早大学院)と藤井拓弥(社3=山梨・吉田)の2人だ。昨季の早慶レガッタでは共に第二エイトの勝利に貢献し、今季は満を持して対校エイトのシートを勝ち取った。互いに初となる対校エイトへ向けた思いを熱く語っていただいた。

※この取材は3月1日に行われたものです。

お互いに届かなかった表彰台

ラストイヤーにしてついに対校の座を勝ち取った金子

――まず昨季全体を振り返って、どのようなシーズンになりましたか

藤井 昨季は早慶レガッタに第二エイトで乗らせていただいて、そこで先輩方から様々なことを教えてもらって、それを生かしてインカレや全日本で戦ったので、着実にステップアップできたシーズンだったかなと思います。ただ、昨季は決勝まで行くレースはあったんですけど、メダルを取ることができなかったので、今季は表彰台に届くように練習を積んでいきたいと思います。

――具体的にはどのようなことを教えてもらいましたか

藤井 昨季からスイープ種目を本格的に始めたので、そういったところでは技術的な部分を手取り足取り一から教えて頂いて。あとは大人数で乗るクルーボートのチーム作りの部分ですね。

――金子選手は昨季はどのようなシーズンになりましたか

金子 昨年はまず早慶レガッタでは部で掲げた全体優勝というのを達成できたのでいい流れでシーズンに入れたと思います。大きな目標になってくる夏のインカレに対しても、いいモチベーションで臨めるのではないかという雰囲気がチームとしても個人としてもありました。ただ、表彰台を目標にしていたんですけど、そこを達成できなかったので悔しい形で終わってしまったかなと思います。

――昨季を通して感じた自身の課題や収穫は何でしょうか

金子 まだまだテクニックの部分を含めて体力の面でも足りないのかな、一新して自分を見直す必要があるのかなと思いました。

藤井 僕も主に体づくりの面ですね。さっきも話したんですけど決勝戦とかでここ一番のときに競り負けてしまうので、 そういうときに踏ん張る力がまだ足りないかなと思います。そういったところでは体力面もそうなんですけど、勝負勘とか、試合の場数を踏まないと得られない部分もあるのかなと思います。

――それは精神的な部分と技術的な部分どちらが大事になってくるのでしょうか

藤井 試合のときの勝負勘という部分では技術的なことはそうなんですけど、メンタル的な部分が大きいのかなというふうに感じています。

――それを踏まえたうえでオフシーズンはどのようなことに取り組んでいますか

金子 まだオフシーズン中なので継続中なんですが、一昨年から先輩たちがクロアチア遠征に行くようになってから新しい技術を取り入れるという部分ではその習得を目指しています。また、冬場だったら自分の体力を数値化するなどトライアルをして客観的に比較することが多くなったので、そういう中で自分に足りないものをデータ的にも見られましたし、そこを見直して強化していくなど、今までよりも頭を使った強化ができたかなと思います。

――データを使うようになった分自分の弱点に合った練習ができるようになったんですね

金子 そうですね。それもそうですし、自分が優れている部分も分かったと思いますし、足りない部分もわかりやすかったかなと思います。

――藤井選手はいかがでしょうか

藤井 オフシーズンは体づくりに注力できたかなと思っています。特に体力をつくるという面では体を大きくしたり、体を休めて疲れにくい体をつくるためにたくさん食べて、ウエイトトレーニングをして、体をつくるという面で着実に成果は出ているかなと思います。あとは金子さんも言ってたんですけど、クロアチアとの交流が始まって今までなかった技術の導入も進んでいて、自分たちの漕ぎのスタイルとの融合が始まって新たなステップにステップアップできたかなと思います。

――ちなみに今クロアチア遠征のお話が出ましたが、今季も行かれましたか

金子 おととしが11月、昨年は9月にそのときの最上級生が行く感じだったので、今季は行かせていただきました。

――実際に行かれて感じたことなどはありますか

金子 直接行ってみてレベルが高いなというのは感じましたね。クロアチアは日本以上にボートが有名であったり、競技人口もおそらく多いので。その中でトップ選手と出会う機会もあって、日本のレベルよりも高いなというのは感じました。

――藤井選手は今季終了後に行くのですね

藤井 そうですね。もし行けたら、ワールドスタンダードというか、世界基準のボート競技を見てみたいですね。

「持ちつ持たれつの関係です」(藤井)

昨季に比べ、レース前に緊張で硬くなることのなくなったという藤井

――お互いの印象はいかがでしょうか

金子 彼は同じ学部の後輩でもあるんですけど、非常に私の成績取得の力になってくれていて、非常に頼もしい限りです(笑)。

一同 (笑)。

――一緒に授業を受けたりなどもされているんですね

金子 はい。僕が飯を投資する代わりにテスト前はよろしくと(笑)。

――成績も発表されましたが、成績のほうはいかがでしたか

金子 おかげさまで一緒に受けていた授業はバッチリでした。一人で受けていたのは一つ落としちゃったんですけど(笑)。

藤井 持ちつ持たれつの関係です。

金子 真面目な性格で、誠実だと思いますよ。

――藤井選手は金子選手に対する印象はいかがですか

藤井 同じ学部ということで凄い面倒見ていただいて、いいお兄さんっていう感じですね。それ以外でも部活では盛り上げキャラというか、ムードメーカーというか、楽しいキャラだと思います。

金子 ただ馬鹿なだけなんですけど(苦笑)。

藤井 (笑)。

――お二人で遊びに行ったりとかはしますか

金子 あまりプライベートではないね。

藤井 怜生さんあんまりオフの日いないですよね 。

金子 いないね。

藤井 ご飯に行くくらいですね。

――最近のマイブームなどはありますか

金子 マイブーム…。彼から聞いてもらってもいいですか(笑)。

藤井 ブーム…。強いて言うならこのオフシーズンで体を鍛えることに目覚めて、練習終わった後の補強でも暇さえあればウエイトをするようになって。なので、強いて挙げればウエイトトレーニングですかね。あと、youtubeで参考になるようなボディビルの動画とかを見て「こういうことをするのかぁ~」とか、「これはヤバいなぁ~」とか調べてます。

金子 超ドMやん(笑)。

藤井 体を鍛えることに快感を覚えつつあります。

――金子選手はいかがでしょうか

金子 僕は最近食かもしれないですね。美味しいもの食べたいとか、きょうはこれの気分だから遠出してこれを食べに行こうっていうのが多いかもしれないですね。

――それは新たに美味しい店を開拓しに行くのですか

金子 美味しい店というか、今まで知ってた店で「これ食べたいなぁ」って思ったらすごく食べたくなっちゃって。一人で食べに行ったりもしますね。

――最近はどんなお店に行きましたか

金子 好きなラーメン屋とかうどん屋があって、ただ単にラーメンが食べたいとかじゃなくて「○○のラーメンが食べたい」みたいな感じで足を運んでますね。

――またボートの話に戻りますが、4年生が抜けてチームの雰囲気で変わった部分などはありますか

藤井 昨季までの先輩は「よしいくぞ、お前らついてこい」みたいなオラオラ系だったんですけど、今はそこまでアグレッシブな感じはないですね。ただ、そうは言いつつも、冷静に目標を見ているイメージの新4年生が多いイメージはありますね。皆でアイディアを出したりとかするときも4年生とか上の人についていくっていうよりかは、自分たちもアイディアを出しながら一緒にやっている感じがありますね。

金子 彼も言った通り昨季の4年生はしっかりした4年生だったので、4年生についていけばいいんだっていう甘えがありました。それが自分たちに足りないところでもあり、 逆に今までの4年生のようにガツガツしてないところで、もう少し下に目を向けながら同じ方向を向いていくっていうような組織になればいいなとは思っています。ただ、変わってから3カ月くらいなので、4年生がいたときに「ここ変えてみたいな」と思ったところを、4年生としては1、2、3年生には感じてほしいかなと思います。

――伊藤大生主将(スポ4=埼玉・南稜)の印象はいかがですか

金子 悩ましいね(笑)。

一同 (笑)。

金子 僕は高校2年の時から付き合いなので、長い付き合いではあるんですけど、勝ちに対して執着していると思うので、彼が言うことの裏には強い想いがあるっていうのは知っているので、彼が「こうやろう」って言ったことは間違いじゃないと思うので、それを4年生の一部員としては支えていければなと思っています。

――長年付き合いがある分やりやすさなどはありますか

金子 競技成績的に高いですけど、カベは感じていないので、逆に話しやすい部分はあります。

――藤井選手はいかがですか

藤井 2、3カ月前から同じ部屋になって一緒にいるんですけど、ガツガツした感じはなくて、本当に体育会の人なのかなって感じの人ですね。ただ、練習になると人一倍パワー出して、僕のなかではカッコいいというよりかわいいんですけど頼れる人ですね。あと、人一倍努力もされてると思うんですけど、周りに伝播させて周りも頑張るっていうキャラではなくて、オフのときはゆったりした人なので、面白いですね。

――オンオフの差が激しいのでしょうか

藤井 でも、オンのときもそんなに激しいわけではないので、穏やかな人ですね。

金子 そうですね。なので、後輩から見ても近寄りがたい存在ではないと思いますよ。 親しみやすい存在なのかなと思います。

――早慶レガッタについての質問に移らさせていただきます。昨年は2人とも第二エイトとして出場されましたが、当時のレースを振り返られていかがでしたか

金子 気持ちいいレースでしたね。最初から(前に)出られて、そのままのレース展開ができた試合だったので、楽しめたレースでした。

藤井 金子さんの言う通りなんですけど。本当に予想していたレースプラン通りに運んで。途中でちょっと追いつかれそうになったところもあったんですけど、そこも突き放して。戦略と心と体とがすべて噛み合って、9人で勝ち取れたレースだったんで、すごく楽しかったのを覚えています。

金子 今日は早スポ仕様に『金子さん』呼びなんだね(笑)。

藤井 そうですね(笑)。いつもは『怜生さん』です。

――藤井さんは去年早慶レガッタに初出場されたということですが、その当時の心境はいかがでしたか

藤井 去年は早慶戦がスイープ種目で出る初めての種目だったので。はっきり言って、スイープ種目としてオール1本で漕ぐということが全然できていなくて。そこの状態から選考にかかって、無事にシートを獲得できたんですけど、本当に半人前みたいな状態だったので。そこから先輩に手取り足取り教えていただいて、本番も「もし何かミスしたらどうしよう」という気持ちもあったんですけど、やっぱりいざレースになると落ち着いて(レースに臨むことが)できて。そこは、「もしこういうことが起こったらこうしよう」というのを何から何まで想定していたので、こういう緻密な積み重ねが結果になったレースだったのかなと思います。

――レース前の緊張も特になく試合に臨まれたのですか

藤井 いやでも、レース前はやっぱり緊張しましたね。水の前に出るまではすごく緊張していたんですけど、水の上に出てしまうと、いつもここ(戸田公園)でやっている練習と違ってものすごく水面が荒れているので。(出発地点に)着くまでにびしょびしょになっていたので、「これはいつもと全然違うレースなんだ。緊張してもしょうがないな」と思って、スタートの時には穏やかな気持ちになっていました。

――今年の対校エイトに出場されるメンバーのうち、約半数は昨年第二エイトを漕いだ時と同じメンバーですが、それに関して安心感などはありますか

金子 ああ、僕はそういう風に思ったことはなかったですね。言われて初めて気がつきました。僕はそれよりは、4年生が5人出ることの方が大きいと思います。

藤井 そうですね。去年第二エイトに乗っていたのと同じ人が乗っているメリットは、対校エイトは部のトップクルーなので、失敗が許されない重圧の中で練習からやっていて。そこでちょっと負けたときにも雰囲気が悪くなったりとか、そういう瞬間を第二から見ていたので、そこをすぐに感じて、切り替えられるところは去年第二(エイト)に乗っていた人ならではだと思います。

金子 それはあるね。やっぱり去年の悪いところを見ているので、そうならないようにしようという気持ちはあります。

――現在のクルーの皆さんの仕上がり具合はいかがですか

金子 まだまだですね。まだあと2か月弱ありますから、ここからいくらでも強くなれると思います。

――金子さんは4番、藤井さんは2番で出場されるということですが、それぞれのポジションとしての役割はどう考えていらっしゃいますか

金子 真ん中あたりの人はエンジンとして働くので、ずっと漕ぐ中での出力を保ち続ける役割として(動きたいです)。あとで(藤井が)話すと思うんですけど、後ろの方のポジションっていうのは全体を見渡せるので、そうやって見てくれたところを前の人たちにつなげていく役割っていうのも多いかなと思います。

藤井 バウに乗ってる尾崎さん(光、スポ4=愛媛・今治西)と2番の僕の役割は、前に乗っている人のオールの動きが見えるので、そこがずれていたりとか、疲れていそうな動きをしている人がいたら、そこに向かって声を出してクルーの士気を高めたり、協調性を持たせたりとかですね。漕ぎながらコックスの役割をしなければいけないところがあるので、クルーを奮い立たせたりとか、煽ったりとかできたらいいなと考えています。

――早慶レガッタに向けた特別な練習などはしていらっしゃいますか。

金子 特にないですね。意外と皆さん分からないと思うんですけど、(水面が)荒れていると漕げないんですよ。僕は今回出られるとしたら5回目の早慶戦なんですけど、高校時代の早慶戦とかで「疲れないで終わっちゃったな」みたいなレースがあって。荒れている中でいかに普段通りに漕ぐかという勝負に なるので、逆にいつも以上に基礎をしっかりやるということが大事かなと思います。

――早慶レガッタはいつも以上にお客さんが多く入るレースになりますが、それに関して緊張などはありますか

藤井 去年初めて出たので、完璧に早慶戦のことを把握できているわけではないんですけど。3キロ漕いできて、少し経ったところで応援の歌とか太鼓の音が聞こえてくるんですよ。他の大会の時にも応援部の方たちは来てくださっているんですけど、それと違って、長い距離を漕いできているので。さっき怜生さんが「まともに漕げない」と言っていたんですけど、そうはいっても3キロ超えてかなりヘロヘロになっているところで応援の音とかが聞こえてくると、そこでもう一回力が入る感じは、去年漕いでしましたね。

金子 さっき(早慶戦に出るのは)5回目と言ったんですけど、 良くも悪くも『重い』と思いましたね。いい部分で言えば、やはりそれだけ注目していただけますし、それが自分のモチベーションにもつながりますし。あれだけ大きな場所で自分たちのためだけに応援してくれるっていうのはどこのボートコースでもないことだと思うので、それは良さであり、「自分もあの舞台に立ちたい」という原動力の一つではあります。悪い面でいえば、やはり(応援に来る)OBの方とか、応援してくださる方とかの数は多くなるので、男子ではエイトが2つしか出ていない中で、そこに掛ける皆さんの思いの密度も高いものがあって。やっぱりその人たちのためにも勝たなきゃいけないというのは辛いところではありますね。あまりそうは思わないようにしているんですけど、独特の緊張感というのはやっぱりあると思います。

――今年度の早慶レガッタで、ここに注目してほしいというポイントがあれば教えてください

藤井 良くも悪くも、ボート競技ってあまり見どころがないんですよ(笑)。見ていても遠いし、同じ動きをずっと続けているし、スパートをかけるときも、多分見た目から(分かるほど)劇的に速くなるわけではなくて、ちょっと速くなるくらいで。でも強いて言うなら、いつも直線で走っているコースを、(水面が)荒れてしかも(コースが)蛇行した中でやるので、僕らとしては絶対なってほしくないんですけど、チャンバラと言ってオールが絡まるようなシーンが出てきたりするので。そういうところで、どっちが出られるかみたいなところが見どころかなと思います。

金子 先ほどカーブがあるという話が出たんですけど、インカーブであれば有利なので、ワセダが内側になったときは注目してほしいです。あと、レース前半はインカーブだったものが、レースの中で何個もカーブがある中で変わったりするので。「あ、いまワセダはインコースで出られてる。よっしゃ」とかじゃなくて、「今は出られてるけどこの先どうなるんだろう」みたいに予想すると面白いかもしれないですね。あとはぜひ、対校エイトのレースだけじゃなくて、ほかにも高校生が出たりとか他のレースもあるので、そういったところも見ていただけたらなと思いますね。

――金子選手は最後の早慶レガッタとなりますが、どのような心境でレースに臨まれるか教えてください

金子 高校の時から大学の対校エイトというのは自分の中でも大きい存在だったので、最後の年にしてその出場権を得られるところまで来ているんですけど、そこで満足せずに。どんなレースでも勝ちたいという思いが強かったので、そういう気持ちを忘れずに、『乗れる』ことをゴールとせずにやっていきたいですし、最後の早慶戦は勝てたとずっと言えるようにやりたいです。意気込みとしては、「勝ちます」というか、「負けません」という感じですね。

――お二人の早慶レガッタに向けての思いをお願いします

藤井 ワセダとケイオーと、たった2校しか出ないので、勝ってナンボというか。勝ちに対しては絶対気持ちを譲らずに。さっきも言ったように、普段と全く違った漕ぎになるので、普段通りのことをしっかりとできるように、本番良いかたちでレースに入れるように頑張ります。

金子 やっぱり最後というところで、なにか残せるものがあればいいかな、と。来年、再来年に出るだろう2年生も乗っていたりするので、そういう人たちに続いていくような。後輩たちが僕らの早慶戦に対する姿を見て、「ここは先輩を見習いたいな」って思ってもらえるようなものを残していけたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 新開滉倫、望月優樹)

社会科学部の先輩後輩、終始笑いの絶えない対談となりました!

◆金子怜生(かねこ・れお)(※写真下)

1996(平8)年9月26日生まれ。166センチ、73キロ。東京・早大学院出身。社会科学部4年。取材後、色紙に書く文字をとても悩んでいた金子選手。選んだ言葉は『築』という漢字一文字でした。最後の早慶レガッタということで今まで『築』いた経験でワセダを勝利に導いてほしいですね!

◆藤井拓弥(ふじい・たくや)(※写真上)

1998(平10)年1月14日生まれ。171センチ、69キロ。山梨・吉田高出身。社会科学部3年。オフにも体作りに励むなど真面目さが垣間見える藤井選手。対談の答えからもボートに対する真摯(しんし)な姿勢がうかがえました。ちなみに、冬季五輪に出場するならボブスレーやスケルトンで出場してみたいそうです。

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