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2018.04.13

【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勝利への渇望』 第11回 髙橋広監督

 「優勝しかない」。昨季70年ぶりに最下位に沈んだ現実を受け止め、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は並々ならぬ思いを抱いて新チームを統率してきた。どん底から日本一に返り咲くため、当然選手に求める要求は例年以上に高くなる。覇者の誇りを懸けて臨む東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)開幕を前にした指揮官からは、終始厳しい言葉が並んだ。

※この取材は3月28日に行われたものです。

「ちょっとスッキリしないなという感じですね」

春季リーグ戦への危機感を口にした髙橋監督

――開幕まであと2週間少しですが、現在の心境はどういったところでしょうか

 きょうの試合(鷺宮製作所戦)もピッチャー陣がかなり社会人に打たれましてですね、ちょっとスッキリしないなという感じですね。

――新チーム発足から見ていて、ことしのチームの印象はいかがでしょうか

 最上級生がやっぱり試合に出る人数が少ないので、どうしてもチームを引っ張る上で、チームの中軸に下級生がいるのでそこらへんがちょっと。まあ4年生は4年生なりに一生懸命やっているんですけど、まだまだ下の方がそこまで危機感を持ってないというか、そういう部分があるなという感じはしますけどね。

――新入生の岩本久重選手(スポ1=大阪桐蔭)や丸山壮史選手(スポ1=広島・広陵)も活躍されていますが、ことしの1年生はどういった印象でしょうか

 大阪桐蔭のバッテリーは全国優勝のバッテリーですし、丸山にしてもそれぞれいい素材が入学してくれたなというのはありますけど、逆に言えば上級生何してるのというところもありますけどね。まあでも、現在のワセダからしたらプラスアルファの新戦力が増強されたわけですから、チームとしてはプラスに展開していることは間違いないですね。

――目指す野球としては、ことしも『守り勝つ野球』でしょうか

 守り勝つ野球というか、なかなか打ち勝つほどの攻撃力がないので、逆に言えば。だからもう守らざるを得ない、特にピッチャーを中心に守って負けない野球を目指さないと、どんどん打ち勝っていくという打線ではないので。やっぱり肝心なのはピッチャーなので、きょうみたいにピッチャーが崩れると試合をなかなかつくれないですよね。

――練習の面で去年から何か変えたことなどはありますか

 実戦形式というか、やっぱり守備練習は多くやってますけどね。

――ことしからスタッフが新しく入られましたが、それで何か変わったことなどはありますか

 監督の立場からすれば、今まで一人だったのが二人の助監督、コーチが手伝ってくれるわけですからね、非常に私としては)助かります。佐藤助監督(孝治、昭59教卒=東京・早実)はチーム全般を見てくれて、道方コーチ(康友、昭51教卒=東京・早実)は投手コーチですから、彼は元社会人の監督でもあるし、自分がピッチャーの出身なので非常に投手力のアップにはすごいつながってると思います。

――投手力というお話がありましたが、第1先発は小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)だと思いますが、第2先発は今西拓弥投手(スポ2=広島・広陵)でしょうか

 早川(隆久、スポ2=千葉・木更津総合)を(先発に)持ってくると、今度ストッパーというかリリーフがいないんですけど、ゲームを考えたときに例えば早川の方がいいのに後ろに置いておくというのはもったいない状況ですね。第1戦を小島でいって、後ろを早川で1イニングないし2イニング、もしできて、第2戦の先発が早川というのが理想かも分からないですよね。

――徳山壮磨選手(スポ1=大阪桐蔭)が先発をするという可能性は

 いやそれも試しているんですけどね。まだやっぱりちょっと力不足かなというところを感じますね。

――新チームになってから伸びてきたなと思う選手はいらっしゃいますか

 吉澤(一翔、スポ2=大阪桐蔭)あたりがバッティング的にはちょっと伸びてきたかなとは思います。

――吉澤選手は中軸に固定していく方向でしょうか

 そうですね、今ホームランからしたら彼が一番打ってますからね。特にワセダの安部球場はレフトが110(メートル)ありますからね。だから右バッターのホームランというのは本当に値打ちあるというか、神宮だったら十分入ってる、左バッターは(ライトが)100(メートル)ですからね、神宮よりちょっと短いぐらいのところですけど。右バッターの吉澤のホームランはやっぱり風も関係なく入ってますので、非常に価値はあると思いますね。

――ことしの沖縄キャンプを通して得た課題や収穫はどういったところでしょうか

 全体的に天気にも恵まれて練習量も豊富で、チーム力全体は上がったと思うんですけども、やっぱりオープン戦やってみるとなかなかそれだけの成果が出てこないのでね。練習のための練習をやってたとは言わないけど、やはり試合に直結するような危機感を持った練習になかなかなってないんじゃないかなというような感じはしますけどね。

試行錯誤

――ではポジションごとにお話をうかがっていきます。まずは投手から。小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)には主将としてはどういった役割を期待したいですか

 本人、今の自分の置かれた立場とかワセダの野球部の置かれた状況というのを非常に良く分かってますから、やっぱり自ら『捲土重来(けんどちょうらい)』というチームのスローガンを目指して率先垂範でよく練習もやってくれてますし、チームをよく引っ張ってくれてると思いますね。

――先発投手の駒が足りないという状況だとおっしゃっていましたが、救援陣は充実しているかと思うのですが、いかがでしょうか

 いやー…。ちょっと藤井(寛之、法3=福岡・東筑)が、1イニングぐらいだったらいけるかなと。柴田(迅、社2=東京・早大学院)もやっぱり抑えに回してもきょうなんかでも失点しますしね。実際に早川だってきょう2失点ですからね。だから枚数がいるだけで、じゃあ誰を持っていくのと言ったらちょっと厳しいですね、状況としては。

――徳山選手のピッチングを見ての印象はいかがでしょうか

 徳山は非常にまとまってるし、コントロールもいいのでね。1年生としては上出来なんですけど、まだまだ感覚が、自分が高校野球のピッチャーで抑えられると思って上から目線で投げてる状況で大学に来てるので、まだ通用しないということが実感として分かっていないんじゃないですかね。

――では続いて捕手。きょうも三人の選手が出場しましたが、今後も併用というかたちは続いていくのでしょうか

 五人ぐらいよく似たレベルで、まあ標準よりは上だとは思うんですけども、決め手に欠けるんですよね。みんなが帯に短し、たすきに長しじゃないですけど、なんかやっぱりちょっと足らない、決定的なものがないという状況なんですよね。

――捕手を固定していきたいか、それとも調子のいい選手を使って競争させていきたいのか、どちらでしょうか

 固定するのが絶対チームとしては一番いいんですけどね。でもピッチャーとの相性もありますし、本当は相手のピッチャーの右、左でこっちのバッター代えようかなと思ってたんですけど、ちょっとそうもいかないんでね。いわゆるハード面で言うと、岩本が一番当確なんですけど、ソフト面が入ってくると中林(健吾、スポ4=三重)かなとか。ちょっと難しいところがありましてですね。難しいですね、今。まあ併用というかたちになりますね、実際は。

――岸本朋也副将(スポ4=大阪・関大北陽)に副将として期待することはどんなことでしょうか

 キャッチャーでもありますし、きょうなんかでもベンチでよく声も出したり、よく引っ張ってくれてますんでね。小島が基本的にピッチャーなので練習もピッチャーの練習と野手の練習は別なので、副将と言いますけどやっぱり引っ張ってくれるキャプテンですよね、野手の中での。実際の練習ではほとんど岸本がキャプテンとして、岸本と黒岩(駿副将、スポ4=長野日大)と二人副キャプテンなんですけど、そこらへんが中心で引っ張ってくれてると思います。

――黒岩選手はベンチでもずっと声を出されていますが、チームにとってどういった存在でしょうか

 もうほとんどムードメーカーだと思いますね。

――では野手について。ことしから加藤雅樹選手(社3=東京・早実)や福岡高輝選手(スポ3=埼玉・川越東)などポジションを変更した選手も多いですが、守りの面ではいかがですか

 まあ加藤は守りは合格点ですけど、福岡はちょっとやっぱりサードは厳しいですね。吉澤と福岡は3番、5番打てるバッターなので、それをファーストに二人を埋めておくだけの余裕が現在のワセダにはないので。そしたらどっちがサードかなとなると、福岡がサードになるので。まあでもサードもファーストも守備的には不安ですよね。

――二塁手の丸山選手の守備はいかがでしょうか

 いやまだ1年生ですから。守備的には西岡(寿祥、スポ4=東京・早実)の方がいいんですけどね。西岡のけがが治ってくれると守備的には西岡が入ってくると思いますけどね。ただ逆にバッティングは丸山の方がいいので、丸山先発で、西岡を終盤に守備固めというかたちになるかも分からないですね。

――檜村篤史選手(スポ3=千葉・木更津総合)は安定した守備を見せていますが、守備の要は檜村選手ということになりますか

 まあ悪くはないですよね、抜群にいいという状況でもないですけどね。

――外野手では、左翼手は池田賢将選手(スポ4=富山・高岡南)でしょうか

 池田ですね。もうだいたい決まりですね。バッティングではやっぱり池田が一番安定してると思いますね。

――きょう1番に置いたのはどういった意図でしょうか

 出塁率、やっぱり彼が一番いいですからね。

――打線においてのキーマンは誰になってくると思いますか

 やっぱり4番でしょうね。加藤の出来だと思いますね。そこそこは打ってますけど、得点圏打率がやっぱり高くないですよね。ヒットは出てるけど、という感じですね。

――山田淳平選手(教3=東京・早実)がずっと1番で起用されていましたが、打撃を見ていていかがですか

 まあ思い切りはいいんですけどね、きょうは打ちましたけどね。思い切りはいいんですけど、やっぱりちょっと出塁率が低いですよね。

――1番としては球を見ていった方がいいのでしょうか

 いや、積極的に打つのは悪くはないと思うんですけど、それでやっぱり塁に出てくれないと。初球から打っていって例えばヒットになるとかいうのはいいですけど、ミス打ちしたときにファールになって粘り切って次フォアボールで出るというようなバッティングじゃないとね。ミス打ちしたときに彼はほとんど内野に飛ぶので、結局そこがもったいないですよね。率が落ちますよね。

――山田選手と池田選手の守備に関してはいかがですか

 まあ上手くはないけど、そこそこじゃないですかね。

賜杯の行方を占う開幕カード

最少失点で守り勝つ野球を目指す

――春季リーグ戦の日程を見て、対戦の順番はどのように感じましたか

 いやもうそれは仕方ないですよね。立教、明治、東大、法政だからね。

――立大は昨春優勝したチームですが、対策などはどういったところでしょうか

 やっぱり田中誠也(3年)はほとんど1、2点しか取れてないのでね、どの試合でも。だから逆に言えばワセダのピッチャーが立教打線に点をやると、なかなか崩すことができないと思います。1、2点のロースコアの勝負で勝てるような状態にしないと、3点、4点取って勝つというのは難しいと思うので、まずワセダのピッチャーが1点、取られても2点までに、2点でもちょっと厳しいかも分からないですね。田中誠也に本当正味1点取れてるか取れてないかですよね。当然それが開幕ゲームに、ワセダの初戦に入ってくると思いますからね。

――早慶戦までの4カードでカギになってくるのはどのカードになると思いますか

 それは第1節からでしょうね。立教に4シーズン勝ち点取ってないですよね、たしか。それがいきなり第1節ですからね、そこでやっぱり勝ち点を落とすことはなかなか乗ってこれないので、是が非でもやっぱり初戦から1勝、トーナメントと一緒ですよね。

――特に警戒するチームは立大でしょうか。法大もなかなかメンバーがそろっていると思いますが

 メンバー的には優勝候補筆頭は法政でしょう。ほとんどメンバー変わらないわけですからね。それで新人のピッチャーでいいの補強できてますからね。

――昨季同率最下位になりましたが、去年と比べて重圧を感じる部分というのはありますか

 いや重圧はないですね。これ以上、下がないですからね。

――最後に春季リーグ戦への意気込みをお願いします

 いやもう是非、頑張って優勝したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 皆川真仁)

まずは是が非でも、開幕戦の勝利を目指します!

◆髙橋広(たかはし・ひろし)

1955年(昭30)2月4日生まれ。愛媛・西条高出身。1977年(昭52)教育学部卒業。早大野球部第19代監督。就任初年度に三冠を達成して以降は低迷。春季オープン戦での積極的な采配からは、今季に懸ける思いがひしひしと感じられました。新たにスタッフに加わった強力な援軍と共に、再び頂点を目指します!

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