ア式蹴球部

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2018.04.06

【連載】関東大学リーグ戦開幕前特集『変革』 第2回 岡田優希×高岡大翼

     新体制になるにあたってビジョンを見直した今オフのワセダ。変革の中心にいるのが、FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)とMF高岡大翼副将(社4=広島皆実)だ。『新生ワセダ』を表現するべくまい進するお二人に、いよいよ開幕するリーグ戦に向けて、意気込みをうかがった。

    ※この取材は3月20日に行われたものです

    早関定期戦で途中出場し、キャプテンマークを巻く岡田

    ――12月に行われた東京都トーナメント学生系の部予備予選(天皇杯予選)ではMF相馬勇紀選手(スポ4=三菱養和SCユース)がキャプテンマークを巻いていました。お二人はどういう経緯で役職に就かれましたか
    岡田 僕はケガしていたので出ていなかったんですけど、あの負けた試合を見てやろうと思いました。リーダーを誰がやるんだとなった時に、「これはやるしかないな」と覚悟を決めた試合でした。それで立候補して、承認をもらってなりました。

    ――その決断の理由としては、どういったことがありますか
    岡田 僕以外のリーダー候補だった6人が試合に出ていて、そこでのプレーぶりとかキャラクターを考えても、チームを引っ張ったり、中心となって進めていくような選手がいなくて、僕はそれができると思ったので、だったら僕がそれをやってこのチームを勝たせたいし、やらないといけないなという両方の思いを持ったので、立候補しました。
    高岡 あの試合には自分も出ていたんですけど、みんなが自信なさげにやっていたし、ピッチの上で圧倒的に引っ張れる力を持った選手は必要だなと感じました。自分自身もそれが出せなかったという部分もあったんですけど、キャプテンを決めるとなって、うちの学年のキャラクターとか能力を考えた時に、岡田がやるのがチームにとって一番いいという判断になりました。色々なことを考えながら岡田がキャプテンになったと思います。

    ――高岡選手はいかがですか
    高岡 岡田がキャプテンをやると決まって、自分自身もどういう役職に就いたらチームのために一番いいのかということを考えた時に、チームの全体を把握したり、問題が起きたりした時にそういう選手を立ち直らせていく役割は絶対にチームにとって必要だと思ったし、自分の力でそういうことをできると思ったので、副将としてチームのためにやりたいって思いました。

    ――お二人とも、もともと主将や副将就任を考えていたというわけではなかったのですか
    岡田 まさか自分がキャプテンをやるとは思ってなかったですね。
    高岡 まあ自分は、今までも学年の中でリーダー的な感じでやってきてはいたので、そういう役職に就いて引っ張っていきたいなというのはありました。

    ――最初の仕事として、ビジョン決めがあったと聞いていますが、どういう経緯で決まったのですか
    岡田 僕が出しました。目標は決まっていたんですけど、これまでのア式の活動指針的なものが『ワセダ・ザ・ファースト』という言葉しかなくて、それもものすごく抽象的だったので、いろいろと変わっていく中で、自分たちがこういうことをやったというものを何か残したかったというのが一つです。そういう基準ができることで、積み上げができると思ったので、もう一度組み直すことが必要だなと考えていて、ちょうど理念と指針が大事だという話を授業で聞いて、自分なりにワセダやア式を分析して、大学スポーツをいろいろ見ながらああいう形で考えました。スタッフに提出して、最終的にはスタッフが決めました。

    ――どういった考えのもとで『日本をリードする存在になる』という言葉に決めたのですか
    岡田 ア式のブランドや価値は何なのかなと考えた時に、まずは日本のサッカーを引っ張ってきたOBの人たちがいるというサッカー方面での力と、社会に出てから活躍されている人が多いというところで、慶応と違った良いところがあると思っているし、他の大学にもないところだと思いました。それで、近年は人として一番であれということになっていたんですけど、人として一番であるということが何なのかということは落とし込めていなかったし、方向性が全く見えていなかったと思ったので、日本をリードするために必要な経験とか能力を培う場だということを定めて、その言葉にしました。

    ――コンセプト決めには外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)も大きく関わったと聞いています。監督についてはどういう印象をお持ちですか
    岡田 まだ2カ月しか経っていないので、こういう人だというのはわからないんですけど、少なくとも何かを疑う目を持っている監督だなと思いますね。
    高岡 僕はポジティブな人だなという印象があります。ア式として今までやってきた固定概念を取っ払ったりもして、みんながいきいきとやれる環境を大事にしている人だなと思います。

    昨年12月に行われた天皇杯予選でも、2戦両方で先発出場した高岡

    ――この2カ月間を振り返って、チームづくりの点で手応えはありますか
    岡田 手応えはまったくないですね。そういうレベルの相手とまだ(試合を)やっていないので、どれだけできるかは全くわからないです。それはある意味、恐怖がないという部分でいいかもしれないですし、実際始まってみてどうなるかはわからないので、手応えがないことには良さも悪さもあると思っていますけどね。
    高岡 早関定期戦も勝って、練習試合とかもあまり負けることがなくてということで、なんとなく結果が出ていて、なんとなく良い雰囲気があるとは思います。負けるよりはいいし、勝って少しずつは手応えを感じていますけど、そこに対してはまだまだ満足してはいけないし、そこで満足してはこの先絶対勝てないというのもわかっているので。でも、この前の早関定期戦とか、公式戦という雰囲気をみんなでつくった中で、チームとしてどう戦っていくかということをみんなが理解した上で勝てたというのは、チームにとっていいことだったのかなと思います。

    ――昨年とことしの戦い方に違いは感じますか
    高岡 去年は自分たちが理想とするサッカーがあって、それを相手とか関係なしに突き通すというスタイルで試合をやっていました。ことしはそこにひとつ柔軟性が加わったかなと思っていて、相手の状況とか試合の流れとか、そういうことを考慮しながらチームとしてどう戦っていくのかということはすごく大事にしている部分です。そういう部分で、少し変化があるかなと思います。
    岡田 あとは外池監督の言う『ドライブ』であったり、コンセプトがしっかり決まっているので、その基準のもとで相手がこうしてきたからこうする、というのは出てきたかなと思います。

    ――ことし卒業した選手たちは主力を張っていた選手が多かったと思います。その点で苦労することなどはありますか
    岡田 でも、いる戦力で戦わなければいけないので、それに関しての苦労は特に無いですね。そのチームで戦わないといけないから、チーム力をどう上げていくかしか僕は見ていないです。
    高岡 一つあるのは、関東1部を経験した人数が少ないというのはデメリットとしてあると思っていて、その中でことし1部で優勝を目指していくということで、経験値として低い部分は多少なりともあるのかなと思います。でも、今言ったように、今いる人で戦わなければならないし、それで優勝ということを目指しているので、そこまでネガティブな思いはあまりなくて、このメンバーで優勝するんだというモチベーションでやっています。

    ――ポジション争いについてはいかがですか
    岡田 争いはありますけど、最終的に出るんだと覚悟は決めています。競争があるのは選手として当たり前のことなので、特別に気にしたりということはないですね。
    高岡 もちろん前に立ってやっていくからには説得力が必要だし、そういう点で言えば試合に出なきゃいけないし、そういう責任はあると思っています。競争が激しかったりしますけど、試合に出なきゃいけないということは感じていますし、試合に出るというよりは出て活躍しなきゃいけない、それでチームを引っ張っていくんだということは思っています。

    ――4年生になり、今までと心境が変わった部分はありますか
    岡田 キャプテンになったからというのもありますけど、今までだったら組織の中の1人として自分がいて、という立場でやっていたんですけど、今は自分の後ろに何人もいて、その人たちに対して絶えず責任を負っているわけなので、景色が違うというか、相手にしているものが全く違うなと思います。
    高岡 責任の部分が一番大きいかなと思っています。練習試合1つをとっても、自分が出ている試合も含めて、チームとしてやっている試合の勝敗がすごく気になるし、そこで大きな責任を感じる部分は、今までと少し違うかなと思います。

    ――チームを引っ張っていく上で、理想像はありますか
    岡田 自分がキャプテンをやったことはなかったので、何がいいのかなということは考えたんですけど、自分がキャプテンをやっている以上は、自分が思ったものとか伝えたいことを重要視するようにはしています。もちろん理論ベースのものも取り入れてはいますけど、理想があるというよりは、今何をどうできるかということにこだわっています。
    高岡 自分は、チームのために必要なことであれば何でもしたいと思ってやっているし、そういうふうにやっている姿を見て、周りの人や下級生が自分のことを信頼してついてきてくれる存在になりたいなとは思っています。

    ――リーグ戦開幕が近付いてきましたが、きょう岡田選手がチームに「危機感を持つべき」ということを伝えたとお聞きしました
    岡田 さっき大翼が言ったように、なんとなくいい感じですけど、自分たち視点で見ていたら優勝は絶対にできないと思っています。トップを取るとか、相手に勝つという基準がある中で、自分たちの実力があると思うので、そこのギャップをいかにして埋めていくかというところの視点が、これまでを振り返るとほとんどなかったかなと。自分たちの歩みを一歩一歩進めているだけで、上を見てアプローチをしていくことはできていなかったと思います。僕自身はずっとそこを見ながらやってきたので、みんなにもそこを見てほしいなということで、危機感ということを伝えました。
    高岡 去年と変わったところもあって、オフシーズンはこれでいいのかなと思いながらやってきた部分もあります。チームがやっていることに対して自信を持って、これで大丈夫だと思って試合に臨んでいくことが大切ですけど、どこまでチームに危機感をもたせるのか、どのくらいまで自信を持っていいのかということは、やっていく中で感じていた部分です。リーグ戦が近くなってきた中で勝負に勝つってそんなに簡単なことじゃないですし、なんとなくいい雰囲気でやっていてもダメなんだということは感じているので、きょう岡田が言ってくれたことが全てだと思うし、もう一度見直していかないといけないと思っています。優勝であるとか、自分たちが目標としているところに行けるのかと言うと、まだまだの部分があるということを感じているということです。
    岡田 今は少しうまくいっているということで、ギャップの部分が見えなくなっていると思います。チームが変わってきて手応えを変につかんでいるのかなと思っていて、そこをいかにして一人一人が目を向けてやっていけるかなので、関東リーグレベルの相手をイメージして、自分自身のプレーを検証して積み重ねていくということを、チームとしても個人としてもやるということが一番成長につながると思います。自分がそれを一番やって、それを見てチームが動いてくれればいいなと思います。

    ――シーズンを占う意味でも、開幕節は非常に重要かと思います
    岡田 初戦というより、序盤の4試合がカギになると思っています。桐蔭(桐蔭横浜大)の後が去年のリーグチャンピオンの筑波、インカレチャンピオンの流経(流通経大)、おととしのリーグチャンピオンの明治ということで、そういうチームとの試合で何ができてどういう結果に持っていけるかが、後につながってくると思っています。自分たちの現在地を突きつけられる試合だと思いますね。
    高岡 チームとしてはまず開幕戦に向けて良い準備をして、開幕戦を取るということです。そこに向けた取り組みとして、オフシーズンを4期間に分けて良い準備をしていくということはチーム全体で共有されていることなので、全員が開幕戦で勝つということに対して一つになって取り組めていると思います。

    ――試合を見る上で、どういうところに注目すれば良いですか
    岡田 おそらく見てもらえれば、(昨季との)違いは分かると思います。僕たちが言っているビジョンはピッチ内だけの話ではなくて、ピッチ内外の取り組みで、そういった部分を一から積み上げてきたので、違いはどこかと言われると逆に難しいくらい変わっていると思います。

    ――シーズンを戦う上でのキーマンはいますか
    岡田・高岡 うーん…。
    岡田 難しいですね。でも、キーマンがこの人って言えないということも、チームの状態として良い傾向なのではないかと思います。チームとしてやっていく中でそこに個人が入ってくるという流れができているので、キーマンが今パッと出てこなかったのはそういう理由だと思います。
    高岡 まあでも、個人的には岡田なのかなと思います。体制が変わったりとかいろいろあって、外から見ていちばん目につくのはキャプテンだと思いますし、変わった環境の中で一番の頼りどころはキャプテンであるし、そこに皆がついていっているので、岡田が持っている覚悟やそこから出るプレーというのは周りとの差が絶対あると思います。

    ――最後にシーズンへの意気込みをお願いします
    岡田 優勝する絵は僕自身持っているので、そのために必要なことは気付いていけると思うので、障害になるものを一つ一つ取り除いていって、リーグ戦が終わった後にその絵を僕だけではなくてみんなが見れるようにしていきたいと思います。
    高岡 タイトル奪還という目標のためには、自分は何でもしようと思っているし、そういうことでチームに貢献していきたいと思っているので、全員で関東リーグ優勝とか日本一を獲って、今まで積み上がってきた『強いワセダ』を取り戻す一年にしたいと思います。

    ――ありがとうございました!


    ◆岡田優希(おかだ・ゆうき)

    1996年(平8)5月13日生まれ。身長170センチ、体重67キロ。神奈川・新城高出身。前所属・川崎フロンターレU18。スポーツ科学部4年。FW。関東大学リーグ戦1部通算11試合出場1得点。同2部通算15試合出場10得点。

    ◆高岡大翼(たかおか・だいすけ)

    1995年(平7)7月22日生まれ。身長171センチ、体重64キロ。広島皆実高出身。社会科学部4年。MF。関東大学リーグ戦2部通算4試合出場。


    (取材 守屋郁宏)

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