ア式蹴球部

2018.04.04

【特集】『平成30年卒業生特別インタビュー』第3回 J3福島ユナイテッドFC・武颯

 早大入学後はケガに苦しむ日々が続いたが、最終学年となった昨年は、その得点力で関東大学リーグ戦2部優勝に一役買った武颯(スポ=横浜F・マリノスユース)。『関東大学2部得点王』という肩書きを引っ提げて新たな舞台での挑戦を選択した彼に、改めてその決意をうかがってきた。

※この取材は3月27日に行われたものです


時折笑顔も見せながら取材に応じてくれた武

――ずっと目標にしていたJリーグに入ってしばらく経ちましたが、現在どのような心境でしょうか
学生とは違って、学校がなくサッカーに集中できるという面はすごく新鮮で、いいかなと思っています。

――キャンプを経て開幕を迎えたこの2カ月間について、どう感じていますか
キャンプの時はあまりコンディションが整っていない状態だったんですけど、今はシーズンも始まって、すごくコンディションも整ってきていて、田坂さん(田坂和昭監督)のサッカーにも自分の中で慣れつつあって、すごくいいかなとは思っています。

――サッカーの面で通用している部分とそうでない部分を感じていれば教えてください
ゴール前の戦い方であったりは通じるかなと思います。あとはフィジカルの面はあまり負けている感じはしないので、そういった部分は通用しているかなと思います。

――福島ユナイテッドが目指すサッカーは
『繋がりタオす』ですね。

――その中で田坂監督は選手に「足を動かすこと」を求めているとおっしゃっていました。練習中も常に求められるわけですか
そうですね。つながるためにはやっぱりボールに関わり続けるであったりだとか、ボールを持っていないときにも関わり続けないといけないので、それをするためには選手一人一人が足を動かしてというのは大事かなと思っています。

――ア式のサッカーと福島でのサッカーはやはり違いますか
全然違いますね。どちらかというとワセダは一人一人が戦っていればいいみたいな、個人個人が戦っているイメージでしたけど、プロになってからはチームとして戦うというか、関わり続けるであったり、そういったところがより求められているかなと思います。大学の場合はサイドを自分で仕掛けて(クロスを)あげればいいとか、前の選手が点を取ればいいとか、個人個人の戦いが大きかったとは思うんですけど、プロになってからはチームとしてどうカバーしていくであったりだとか、チームとしてどう突破したり打開したりしていくだとか、サッカーの考え方が違うかなと思います。

――田坂監督の印象はいかがですか
練習参加させていただいたときも含めて、本当に優しい方で、自分に対してこれが良いとかこれが悪いとかしっかり話してくれますし、コミュニケーションも選手全員ととっていたりだとか、そういった部分で本当に素晴らしい監督だなと思います。試合になると人が変わったように怒ったりだとか、ギラギラするようなところもあって、使い分けがうまいなと思います。

――監督から求められていることは
やっぱりゴールを求められていると思います。以前仙台大と試合があったんですけど、その時に「ゴール前では王様になっていい」と言われたりもしました。あとはチームで守備をしなくちゃいけないというところで、FWは点とってればいいとかそういうことではなくて、FWもチームに関わりながら、つながりながら守備で良いところを出しつつ、攻撃でも自分のいいところを出すということが求められているかなと思います。

――実際のチームの一員となって、その雰囲気をどう感じていますか
本当に良い雰囲気というか、下から上まで明るい人ばかりです。上の人はベテラン感を出していないというか、若手に対して積極的にコミュニケーションをとってくれたりだとか、チームが良い風にいくように声をかけてくれます。そういうのがあるからこそ、下の選手は伸び伸びとプレーできると思いますし、ミスをしても「次やればいいよ」とかそういう声をかけてくれます。すごく良いチームだと思います。

――先日、地元のラジオに出演されたそうですが、地域の雰囲気はいかがですか
(チームが)地域と近い距離にあるので、いろんな人が声をかけてくださったりだとか、ラジオのときも多くの方が見に来てくださいました。ふれあいができますし、いいかなと思います。

4年時の関東大学リーグでは、2部得点王と同ベストイレブンを獲得した

――改めて大学4年間を振り返っていかがですか
きつかったというのが一番の印象ですね(笑)。ケガであったりだとか、あとは古賀さん(古賀聡前監督、平4教卒=現・名古屋グランパスU18監督)のサッカーになかなか慣れないところもあったりだとか、あとは自分の我が強いところがうまくチームに生かせなかったり、そういったところで結構苦しかったなというのはありますね。

――ア式での4年間で最も成長したことは何ですか
やっぱりプレーで言ったら守備の面ですかね。あとは人間性という部分ですね。それまでも悪い方ではなかったと思うんですけど、ア式に入って古賀さんが見せてくれる態度であったりとか、「人として一番であれ」ということを掲げる中で、みんなが人として一番であるためにはどうしたらいいのかということを、思考を止めずにやっていて、それができたからこそ心も充実してきて、プレーにつながってくるとか、そういったことがあったかなと思います。

――ア式での経験のうち、新天地でも生きているなと感じることは
コミュニケーション能力ですかね。話さないと自分の思っていることも伝わらないですし、相手が思っていることもわからないので。サッカーはチームで戦うので、できるだけ多くの人とコミュニケーションをとって、そのチームの輪というのを強くしていきたいというのと、自分のプレーの幅も広がると思うので、意識しています。

――合同記者会見の際に「ライバルは同期」というお話がありました。秋山陽介選手(平30スポ卒=現・名古屋グランパス)、熊本雄太選手(平30スポ卒=現・モンテディオ山形)はスタメン出場を続けていますが、どのように感じていますか
大学でも、陽介やクマは3年生の時にも試合に出場していて、自分の中ではちょっと上にいかれているなというのはあったし、プロから声がかかったときのチームであったりその数にも差はあったので、やっぱり上をいかれているというのはありました。今回プロに入ってからも、頑張っている姿を見て素直に応援しているというところもありますけど、やっぱり悔しいという面もあります。でも、そこで焦っても仕方ないので、自分の今やれることを少しずつやって、差を少しずつ減らして、次は上にいけるようにやりたいなと思っています。

練習でシュートを放つ武

――「開幕スタメンが目標」と公言されてきましたが、途中出場を続けている現状をどう捉えていますか
コンディションは悪くないですし、いつでもスタメンで出られる状態ではあります。でも今はチームがいい状態ですし、それは監督が決めることなので、悔しいという思いはありますけど、途中出場でも点を決めることはできますし、そこで自分が結果を出せていないということが問題かなと真摯に受け止めています。少しの出場かもしれないですけど、そういうところでゴールを決めたりすればスタメンで使ってくれると思いますし、良い準備をし続けるということだと思います。

――第3節の鹿児島戦で、途中出場途中交代という経験をされました。交代直後は結構感情的になっていたように思います
やる気がないとかそういうわけではなかったんですけど、その中で交代させられてしまったことに対してというところと、交代させられたということは自分にダメなところがあったということなので、その両方の悔しさがあって出てしまいましたね。

――原因をどう分析していますか
あの時は1点を取らなきゃいけない状況で、自分が出たら点を決めようと思っていたので、前の方にポジションをとってしまって、自分が孤立していた状態が続いたので、それが原因かなと思っています。ああいう状況でも、まずは守備から入るということが大事かなと思って、その次の試合(J3リーグ第4節秋田戦、○2-1)も途中からだったんですけど、その時に守備から入ることを意識したらうまく試合に入れて、田坂さんからも「すごく良かった」と言われました。

――目標のJ3得点王に向けて、必要になってくることは
常にゴールを狙い続けることですね。守備から入るということは大事ですけど、それでもゴールは常に狙っていないといけないですし、あとは出たら結果を残し続けるということじゃないかなと思います。

――キャリアにおける夢はありますか
やっぱり日本代表に選ばれるということだと思いますね。高校の時に選ばれたりしていたんですけど、自チームのエンブレムをつけることにも誇りを持っていますけど、やっぱり日の丸をつけると別人になるような、そういう気分もあって、絶対にいつかはあそこに戻りたいというのがあります。やっぱりサッカーをやっている以上は、いろんな方から応援されたり目標にされたりしてくると思うので、一番上には行きたいなと思っています。最終的な目標に海外に行きたいとかはありますけど、まずは日本でナンバーワンになれるように結果を残さないといけないかなと思います。

――最後に、改めて今後に向け抱負をお願いします
得点王になるということと、J3優勝というところに対して、ぶれずにやっていきたいなと思います!

――ありがとうございました!


◆武颯(たけ・はやて)

1995年(平7)7月17日生まれ。身長175センチ、体重67キロ。神奈川・金沢総合高出身。前所属・横浜F・マリノスユース。スポーツ科学部。FW。関東大学リーグ戦1部通算6試合0得点。同2部通算18試合15得点。

◆福島ユナイテッドFC

2017年シーズンはJ3リーグ10位。昨季から引き続き、スローガンに『Link 繋がりタオす』を掲げ、『福島スタイル』による勝利と上位進出を目指す。田坂和昭監督。


★田坂和昭監督に武選手の現状をうかがいました!

福島を率いて2年目となる田坂監督

――チームにおいてFWの選手に求めている役割というのは何でしょうか
FWだけではないんですが、まずやらなくてはならないのは足を動かすということです。サッカーというのはパスをしながらゴールを奪いにいくんですが、出し手がパスを出して走れと言っても(パスは)なかなか通りません。しっかりと受け手が準備をして、受け手が足を動かすというところのサッカーをして、ボールが動かせると。FWがゴールに近いから動かなくていいのかというと、我々のサッカーではそれは違います。しっかりと前の選手も足を動かしながらボールを受けにいき、守備にいくときも足を動かして守備にいくと。前の選手からスイッチを入れて後ろの選手が連動するところで、一番何を求めるかというと足が動くということで、そういう選手でないとなかなか試合には絡んでこれないかなと感じています。

――チームのサッカーを理解した上で、運動量がカギになってくるのですね
もちろんそうですね。サッカーというのは相手がいるので、似たような場面はありますけど、同じ場面はないので、そのときの判断であったり、動きは選手の重要なポイントにはなってきます。先ほども言いましたが、そのときに止まってプレーするのではなく足を動かしながらプレーするということが我々のサッカーでは重要になってきます。

――その上で、現在の武選手への印象はいかがでしょうか
去年練習に来た時から非常に高いポテンシャルを持っていると。今までマリノスユース(横浜F・マリノスユース)や早大、そしてまた福島に来て違うサッカーを経験しているんですけど、パワーやシュートのうまさというものには非常に可能性を感じています。ただ、今は試合に途中から出ているんですけど、まだまだ彼の良さは出ていない部分があって、チームとの連携、コンビであったりグループというところも高めていかないといけないでしょうし、守備のところも今までやってきていないようなやり方なので、多少戸惑っている部分があるかもしれません。でも、これは私もしっかりと見てあげて、先ほども言ったように持っているものは素晴らしいので、どんどん上に行ってもらいたい選手の一人なので、じっくりと彼の成長を見守りながら成長させてあげたいなと思います。

――今後武選手が成長するために必要なことは何でしょうか
辛抱強く彼のスタイル、チームのスタイルを続けていくことだと思いますね。結果を出さないといけないとか、焦りがプレーに出てしまうとそれはいいことではないので、チームのために戦う、チームのためにプレーすることで、自分のプレーの良さも出てくると思います。彼はメンタル的にも強い部分がありますので、私も彼の将来を考えて辛抱強く見守って、良い所は良い、足りないところはこういうところだよと気付かせながらやっていきたいなと思います。


(取材 新開滉倫、写真 守屋郁宏、新開滉倫、石黒歌奈恵)