ラクロス部

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2018.03.10

【連載】『平成29年度卒業記念特集』第48回 細見千明/女子ラクロス

妥協なき挑戦

 女子ラクロス部の試合ではいつも、部員の和気あいあいとした応援がグラウンドに響き渡る。ゴールが決まれば全員が自分のことのように喜び、応援も一層盛り上がる。その応援を背に受け、躍動してきたのは、女子ラクロス部の主将を務めた細見千明(文構=千葉・昭和学院秀英)だ。チームの核として感じていた覚悟や苦悩、そしてその先に得た喜び。大所帯の部をまとめ、日本一を目指して走りぬいた細見の4年間に迫る。

 高校時代はバスケットボールに打ち込み部長も務めた。そんな細見がラクロス部に興味を抱くことになったのは、「大学でも毎日がっつりスポーツに打ち込みたい」という動機からだった。真剣に日本一を目指している先輩方の姿を目の当たりにしてからは、自分もそこに加わりたいとより強く思うようになった。入部後4か月、1年生の夏に初めて挑んだ新人戦であるサマーステージでは見事優勝。順調な滑り出しとなる。「自分たちの代は特に勝ちにこだわる姿勢が強かった」と振り返るように、小さなミスでも同期の間で厳しく声をかけあった。まだ1年生だから、といって決して妥協はしなかった。その後2度目の新人戦、ウインターステージでも頂点をつかむ。勢いは止まらない。2年生の5月、最後の新人戦であるあすなろカップでも優勝を果たし、早大女子ラクロス部としては初の快挙となる3連覇を成し遂げた。「最強世代」と呼ばれることも増え、先輩からの期待も寄せられた。

主将としてチームをけん引した細見

 順調なラクロス生活を送っていたが、2年生の時に転機が訪れる。19歳以下女子日本代表の選手に選ばれたのだ。ワセダでは試合に安定して出ることができていたため自信をもって臨んだものの、代表では試合に出ることができない。ワセダで手ごたえを感じていた細見にとって初めて挫折を味わった経験となる。しかしそこで終わらないのが早大ラクロス部主将、細見である。「うまくいかなかった経験が自分のプレーをすごく成長させてくれた」と語るように、その後の意識の変化につながり、技術だけでなく精神的にもより強くなった。代表で学んだことをワセダラクロスにも還元できるようになっていった。

 「4年生のおかげで、自由気ままに純粋にラクロスを楽しんでできた1年だった」と振り返る3年目。3年生ながらA チームでスタメンとして出場していた。しかし、チームは関東学生リーグ戦ファイナル4へと進出するも負けを喫し、その先のステージへと駒を進めることはできなかった。「思うがままに楽しんでいるだけでは勝ちきれない」と気づいた細見は、主将として最終学年を迎えることとなる。先輩から日本一の夢を託され、今年こそは勝たなくてはいけないという責任感が強くあった。2年前には自分たちの代が三冠を果たしたのだというプライドもあった。「主将として、先輩として、後輩に自分の背中を追いかけてほしい」普段の挨拶からはじまり、ゴミを拾うこと、自主練への参加、など一見ラクロスとは直接関係がなさそうなこともすべて、自分が率先して行動するようになっていた。当たり前のことをおろそかにしていては、日本一は取れない。3年間の経験から学んだことだった。

 強い思いをもって臨んだ最後のリーグ戦。ラクロスの神様は微笑んではくれなかった。結果はファイナル4への進出を逃し、日本一の夢はまたも散ることとなった。「人生で1番というくらい悔しかった」と振り返る細見の言葉には試合から4か月経っても悔しさがにじむ。結果には満足していない。しかし「早大で主将ができるなんて想像もしていなかった」と話す表情は晴れ晴れとしていた。4年間ともに走ってきた仲間の存在もまた、結果以上の財産となっているのだろう。「同期は個性が強い」屈託のない笑顔で何度もそう語っていた。

 日本一の夢を託すことになった後輩に伝えたいことを尋ねると、「後悔することがないように、何事にも妥協しないでほしい」という言葉が返ってきた。このメッセージが、これから先の細見自身の歩みの指針ともなるのかもしれない。

(記事 村上萌々子、写真 岡田静穂)

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