ワンダーフォーゲル部

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2018.03.02

【連載】『平成29年度卒業記念特集』第38回 吉岡颯/ワンダーフォーゲル

自然に魅せられ

 中高でバスケをしていた吉岡颯(創理=千葉・暁星国際)がワンダーフォーゲルと出会ったのは早大の入学式。自然が好きで山登りと自転車に興味を持ち、大学ではアウトドアスポーツをしたいと考えていた。そんな中、入学式の新歓で先輩に声を掛けられ入部を決意したという。

 入部して間もなく、右も左も分からない状態で新歓合宿に参加。初めての山登りは想像以上に過酷で、心から楽しむことはできなかった。続く錬成合宿では重い荷物を持って歩き回るという、体力的にも精神的にもさらにつらいものだった。部を辞めようとも考えたが、とりあえず夏までは続けようと決めた。そして自身の転機となる秋合宿を迎えた。そこで吉岡は紅葉の美しさに魅入られ、自然の豊かさに感銘を受ける。「自然を楽しめ、四季折々の美しさを身近に感じられる部」とワンダーフォーゲル部について語るように、自然の魅力にのめり込んでいった。

スキー板を履いて雪山を登る山スキー

 主将に選ばれ、方針として掲げたのは『一所集中』。方針を決める際、全員で一緒に活動をするか、個人で自分の好きな活動に力を入れるかで同期の意見が分かれた。ワンダーフォーゲル部では山登りの他に自転車、ボート、沢登りの三つの活動がある。それぞれが好きな活動に力を入れることでその活動のレベルは上がるが、部としての一体感が欠けてしまうと吉岡は考えた。三つの活動を多くしたい、という同期の意見も尊重しつつ部としての一体感をどう出すかで悩んだ。その末に出した答えは、1つの地域に全員で行くことだった。合宿ではやりたいことやレベルに合わせて複数のグループに分かれ、それぞれがテーマを決めてその地域の魅力を最大限見いだせるように活動をする。その活動を同じ地域で行うことで部としての一体感を出そうと考えたのである。「方針に沿って楽しく活動ができた」と笑顔で吉岡はこの一年間を振り返った。

 過去には死亡事故や凍傷事故もあり、活動は常に変化し続ける自然の厳しさと隣り合わせ。責任は主将である自分にあるため、活動中は一切気が抜けない。同期が8人と吉岡の代は人数にも恵まれ、監督やコーチに頼ることなく現役の部員だけで全ての合宿に行くことができた。週末に各自で三つの活動を行うワンダリングに行く回数も増え、実践経験を多く積むことで部として確実に成長していった。

 「ワンダーフォーゲルの最大の魅力は生涯スポーツであること」と吉岡は語る。卒業しても、同じ釜の飯を食べた仲間との関係はずっと続いていく。ワンダーフォーゲル部で得たものは強い精神力や体力だけでなく、仲間との信頼関係や一瞬の判断力。これらは今後、生きていく上で大きな糧となるだろう。

(記事 大山遼佳、写真 ワンダーフォーゲル部提供)

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