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ホッケー部

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2018.02.23

【連載】『平成29年度卒業記念特集』第30回 片柳陽加/女子ホッケー

積み上げた証

 ホッケーは様々な音が行き交う。スティックでボールを弾く甲高い音。白球を追いフィールドを駆け抜ける音。そして、主将がチームを鼓舞する声音。積み上げた音の数だけチームは成長できる。「誰よりも声を出す」。ホッケーをプレーする上で片柳陽加(スポ=栃木・今市)が心得とした言葉だ。数々の逆境を乗り越え、チームのために力を尽くした闘将の目には何が映っていたのだろうか。

 ホッケーとの出会いは高校生の時。友達からの誘いで片柳はホッケーの世界へ飛び込んだ。当初は試合に出られない時期が続き、不安と悔しさからホッケーをやめようと思うこともあったが、周りに支えられながら練習に打ち込んだ。そして、高校3年時にインターハイに出場。準決勝ではアシストも決め、大舞台の決勝まで駒を進めることができた。地道な鍛錬が実を結び、「やって来たことは間違っていなかった」。そう思える瞬間だった。そんな片柳には追い続ける1人の選手がいる。2つ年の離れた八木澤江里(平28スポ卒=栃木・今市)だ。「自主練習で毎日夜遅くまで指導してくれた」と、尊敬の念を抱き、いつしか片柳にとって八木澤は大きな存在に。そして「大学でも一緒にプレーがしたい」と、エンジのユニフォームに袖を通す決意を固めた。

常にチームを鼓舞し続けた片柳

 大学入学後も絶えぬ向上心で、懸命に腕を磨いた片柳。しかし、大学でのホッケー生活にも慣れた2年の春。突如として悲劇に襲われた。前十字靱帯の断裂だ。長期離脱を余儀なくされ、苦しいリハビリに耐える日々。だが、決して無駄な時間ではなかった。ケガをしたことで食生活を見直し、トレーニングへの取り組み方も変わったという。また、周りの人に支えられながら復帰を目指していく中で「いい環境でホッケーができている」と、改めて気づかされた。ホッケーへの熱い思いを胸に戦線に戻った背番号『17』。より一層輝きを増しフィールドを駆け抜けていた。

 迎えたラストイヤー。片柳は主将としてチームを支える立場に。『打倒4強』を掲げ『全員ホッケー』を胸にチーム一丸で戦う。離脱者が相次いだ春を乗り越え、夏には厳しいトレーニングにも取り組んだ。全ては高きカベを打ち破るためだ。集大成となった全日本学生選手権で『4強』の一角である立命大と対戦。ディフェンダーとしての誇りを胸に「DFがしっかりしていればチームが安定する」と、守り勝つホッケーで強豪相手に食らい付く。しかし、それでも力は及ばなかった。険しく続く『打倒4強』への道のり。それでも、片柳が残したものは必ずや早大ホッケー部の血となり肉となる。積み重ねた音が、花を咲かせる日はそう遠くないはずだ。

 片柳に大学でのベストプレーを尋ねると意外な答えが返ってきた。「駿河台大との練習試合でタッチシュートを決めたこと」と、屈託無い笑みを浮かべた。本来相手の攻撃を防ぐポジションの片柳にとって、この得点は確かに偶然の産物かもしれない。しかしそうは思わない。これまで積み上げた努力の証である。そう思わずにはいられなかった。

(記事 成瀬允、写真 榎本透子氏)

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