庭球部

2018.01.06

【不定期連載】『早稲田からWASEDAへ』第1回 島袋将

 早大庭球部のエース島袋将(スポ2=三重・四日市工)。昨夏の全日本学生選手権では初戦から1セットも落とさずに優勝を果たした、正真正銘学生テニス界のトッププレーヤーだ。そんな島袋は、2017年からATPツアーの下部にあたるフューチャーズトーナメントに本格的に参戦している。少しずつではあるがATPポイントを積み重ね、じわじわと世界ランキングを上げてきている島袋。「早稲田からWASEDAへ」――早大から世界へ羽ばたこうとしているテニスプレーヤーが、今思うこととは。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「国際大会でもっと戦っていきたい」

世界への思いを語る島袋

――2017年から本格的にフューチャーズトーナメントに参戦を始めたと思いますが、1年間を終えてみての感想はいかがですか

 ことしの2月に初めて海外の大会に出て、インドネシアに行ったんですけど、そこで初めて外国人選手ばかりの大会を経験したので、自分自身チャレンジ精神を持って挑もうと思っていました。インドネシアでは最後の週にシングルスベスト4、ダブルス準優勝という結果を残せたことが何よりも一番大きな自信になったと思います。日本のフューチャーズでも、前半3週はあまりいい結果が残せなかったんですが、それでも後半3週はベスト8に入ることもできて、それでもベスト8とベスト4の間に高いカベがあるなと感じました。ベスト4以上にいくにはもっと力をつけていかないといけないなと思いましたね。

――学生大会との両立は大変でしたか

 そうですね、忙しかったです。部活は団体メインなので、フューチャーズを回ってると普段の部活動や全体練習に参加できなかったときもあって、リーグ前とか王座前とか重要な時期ではないんですけど、まあそれでもチームでやってる以上少し迷惑をかけてるかなという意識もあります。まあ難しいところです。自分としてはもっと世界で戦っていきたいので、団体戦で戦いたい思いもあるんですけど、一番は国際大会でもっと戦っていきたいというのが本音です。

――学生でありながら国際大会を回る環境も整っているということでしょうか

 そうですね、整っていると思います。あと早稲田フューチャーズ(三菱電機早稲田大学フューチャーズトーナメント)があるのも一つ大きなことだと思います。でもフューチャーズと学生大会どちらも出ると学業の方に影響が出てくるので、もう少し計画的に試合に出ないといけないと感じましたね(笑)。

――先日の全日本学生室内選手権ではケガをしているとおっしゃっていましたが、それは1年間フルで試合に出続けた疲労からなのでしょうか

 そうですね、こんなに試合に出た年はこれまでなかったので。ことしはチャレンジャーに挑戦したり、学生大会にもしっかり出たりした結果、最後はケガをしてしまったので、やはり計画性が大事だなと感じました。こんなケガをしたのはテニス人生で初めてで、やっぱり体が資本なんで、しっかり計画を立てて、体とも相談していかないといけないなと思いましたね。

――先ほどからおっしゃっている『世界への意識』というのは大学に入る前から持っていましたか

 はい、ありました。いつ頃やろうなあ・・・中学くらいからですかね。プロになりたいと思い始めたのは。高校で活躍してそのままプロになりたいと思っていたんですけど、高校では結果が出なかったので、その分大学でもっと力をつけようと思って、大学入学を決めました。

――数ある大学の中で早大を選んだ理由は

 環境としてすごく恵まれていますし、先輩や同期がすごくレベルが高いので、これ以上の環境はないと思いました。

――昨年参戦したITFサーキットでは前半は結果が出ませんでしたが、後半は橋本総業東京有明国際オープン(ベスト8)、昭和の森国際オープン(ベスト8)など徐々に成績を残していきました。その要因はどこにあると思いますか

 なんでしょう・・・慣れですかね(笑)。これまでは学生大会しか出ていなかった分、プロの大会ではボールの質、ゲーム展開も戦術が全然違うなと感じていて、戸惑いが大きかったと思います。その中で勝つために何をすればいいのかを最初の週が終わってから監督やコーチと相談して、それが後半勝てたことにつながったかなと思います。

――プロ選手と対戦してみて自分との差はどんなところに感じますか

 勝負強さ、ですかね。学生と違ってプロの選手たちはテニスを職業としてやっているわけで、一勝が大きかったりするので、大事な場面での一本のこだわりが違うなと思いました。

――逆にプロ相手にも通用するなと感じたところは

 フューチャーズとかに出てみて、自分のプレースタイルは全体的に通用したかな、と思います。

――最近は慶大の上杉海斗選手(4年)、中大の望月勇希選手(2年)など国際大会でも結果を残している学生もいますが、刺激になりますか

 やっぱり刺激になります。自分もやってやるぞって。上杉さんはチャレンジャーでベスト8に入ったり、望月もフューチャーズで優勝したりと、そういう結果を残している学生が実際にいるので、自分もやっぱりことしはダメだった分、来年はタイトルを獲ったり、いい成績を残していきたいと強く思いましたね。

――近年は早大OBの選手たちも国際大会で活躍を見せていますが、やはりOB選手たちの活躍は励みになるのでしょうか

 よく言われるのが、大学4年間はテニス人生の中ですごく大事な時期だということで。大学卒業してからプロに入るのは遅いと言う人が多い中で、今井さん(慎太郎、平28スポ卒=現東通産業)とか片山さん(翔、平24スポ卒=現伊予銀行)のような先輩たちが実際にランキングを上げていたりタイトルを獲っていたりするのを見ると、卒業してからでも遅くないというのを感じることができました。自分もそこが目標なので、プロに入ったらどんどん勝っていって、大卒でも遅くないということを伝えていきたいと思います。

――同世代ですでにプロとして活動している選手も多いと思いますが、対戦してみての印象はいかがですか

 めっちゃ堂々としてます。プロとしてのオーラというか、そういうものを対戦していても感じますし、プライベートで話していても感じます。

――特に意識している選手などはいますか

 高橋悠介選手(三菱電機)は、小さいときから仲良くしてもらってて、僕からしたらずっと雲の上の存在であまり対戦する機会もなかったんですけど、最近フューチャーズでよく当たって、率直にすごく強いなと。成績もすごく残していますし、すごくストイックで、そういうところもプロを目指す上では真似していきたいと思います。

世界トップレベルを体感

――昨年の島袋選手を語る上で欠かせないのが楽天ジャパンオープン予選出場があると思います。まず、出場を知らされたときはいかがでしたか

 率直に未知でしたね。実は、これ裏話なんですけど、最初はリーグ戦の早慶戦で、自分と上杉さんの試合で勝った方が楽天予選に出れるとコーチはナショナルの方に言われていたらしいんですよ。それは自分には知らされてなかったんですけど、結局試合には負けて、試合後報告言った後にこういう話もあったんだって聞いて、「うわーまじかー」ってなりました。そのときは本当にショックでしたね。チャンス逃したって。でもいろいろあって結局チャンスをいただけて、そのときの心境としては、うれしかったというよりはとにかく未知の世界だなというのが本音です。一つでも勝てば大きな自信になると思いましたし、ワイルドカードで出させていただいたからには、少しでも頑張らないとと思いました。

――実際にトップレベル選手と対戦してみていかがでしたか

 歯が立たないというか。学生大会やフューチャーズでは通用していたプレーが全く通じなかったり、シングルスはスコアだけを見れば接戦という感じだったんですけど、自分的にはすごく差を感じました。

――ダブルスでは本選まであと1勝というところまで進みましたね

 あれはもう勢いで勝ったという感じだったので、そのまま行きたいところだったんですけど、相手の方が経験値も断然上でしたし、レベルが高いところで戦っている選手なので、勢いだけでは勝つことはできなかったですね。

――楽天ジャパンオープンに出場していたマリン・チリッチ選手(クロアチア、ATP世界ランキング(2018年1月1日付)シングルス6位)やケビン・アンダーソン選手(南アフリカ、ATP世界ランキング(2018年1月1日付)シングルス14位)など世界トップの選手を見かけることなどはあったのでしょうか

 あーみんな見ました(笑)。プレーヤーズラウンジに、普通にいるんですよ。ずっと、「おおー!見たことある!」って感じでした(笑)。カルロビッチ選手(イヴォ・カルロビッチ、クロアチア、ATP世界ランキング(2018年1月1日付)シングルス80位)やトミック選手(バーナード・トミック、オーストラリア、ATP世界ランキング(2018年1月1日付)シングルス140位)という世界トップレベルの選手と練習することもできて、すごくいい経験になりましたね。

――少し話は逸れるのですが、島袋選手が憧れのテニスプレーヤーは誰ですか

 フェデラー(ロジャー・フェデラー、スイス、ATP世界ランキング(2018年1月1日付)シングルス2位)です。プロになりたいって思ったのは、フェデラーの試合を見てからで。全豪オープンかなんかだったと思うんですけど、すごく楽しそうにのびのびとテニスをしていたのがすごく印象的で、そこから、「自分もこんな風になりたい」、「プロのテニス選手になりたい」って思うようになりました。フェデラーのテニスは今見ても刺激を受けますし、あの年であんなに勝てるというのは、本当に、とにかくすごいと思います。

――現在島袋選手のATP世界ランキングはシングルス880位、ダブルス979位(2017年12月8日付)ですが、普段自分のランキングは気にされますか

 そんなしないですね。最近は試合出てないんで。試合出た後は気になりますけど。でもすごくランキングが動くのです。試合数が少なくてポイントを持ってると変動が大きいみたいで。

――プロを目指すにあたってはシングルス、ダブルス共にランキングを上げていく方向なのでしょうか

 自分がダブルスうまいほうじゃないんで、シングルスで戦っていきたいというのが一番です。その中でもダブルスでも勝って、どっちでも行けるというか、二刀流とでも言うんですかね(笑)、単複共に成績を残していける選手になりたいと思います。

「まずはランキングを上げていく」

昨年の楽天オープンでプレーする島袋(右)

――在学中にランキングをどこまで上げていきたいというのはありますか

 2018年にはシングルスは500位代を切りたいというのがあります。あとは単複どちらかでフューチャーズでのタイトルを獲得するというのも目標です。

――2018年も2017年と同じようにできる限りフューチャーズトーナメントに参戦していく予定なのでしょうか

 はい、そうしたいです。後期の成績がやばくなければ、ですけど(笑)。ことしのようにたくさんの試合に挑戦しながらも、ケガだけはしないように、計画的に行こうと思います。

――正直なところもっと試合に出たいというのはあるのでしょうか

 めちゃめちゃあります。まあでもちゃんと単位を取るっていうのが条件なので、学業もしっかりやります。

――では2018年の目標は

 まずはランキングを上げていくというのが一番の目標です。

――来年も海外遠征にも行かれるのですか

 はい、2月頃に。去年はインドネシアだったんですけど、インドネシアフューチャーズがなくなってしまったので、トルコかスペインか・・・みたいな。スペインは増田さん(啓孝、政経4=チリ・Nido de Aguilas International School)がいて、「スペインなら俺の家泊まっていいよ」って言われたんで、交通費だけで行けますね(笑)。通訳もしてくれますし。でもサーフェスがレッドクレーなので、あんまり勝てないと思うので、ポイント取るならトルコしかないのかなあ・・・でも治安的な問題もありますし、近くなってきたらコーチとも相談したいと思います。

――部員数人で行くのでしょうか

 そうですね。ランキング持ってる人が何人かいるので。あとは香港フューチャーズにも何人か行くので、そこで(ATP)ポイントを取れればって感じですね。

――将来的な今後のテニス人生の目標はどのようなものでしょうか

 自分自身の大きな目標は、東京五輪です。それに向けてランキングを上げていきたいといういのがあります。それとあとはやっぱりグランドスラムのような大きな大会で戦っていけるような選手になりたいです。

――最後に、2018年への意気込みをお願いします

 まずは来年フューチャーズで成績を残す、タイトルを獲るというのを目標に、将来的にはATPツアーで戦っていける選手になりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 松澤勇人)

島袋選手の世界への飛『翔』に期待です!

◆島袋将(しまぶくろ・しょう)

1997年(平9)7月30日生まれ。身長183センチ、体重75キロ。三重・四日市工高出身。スポーツ科学部2年。昨季の主な実績は、関東学生トーナメント男子シングルス優勝、全日本学生選手権男子シングルス優勝。全日本学生ランキングシングルス2位、ダブルス11位(2017年12月付)、ATP世界ランキングシングルス879位、ダブルス920位(2018年1月1日付)。普段は動画でATPツアーの試合を見るという島袋選手。夢中で見ていると気づいたら2、3時間経っていることも多いそうです!