ボクシング部

2017.11.20

早慶主将対談

 今年12月2日で、我らが伝統の試合、早慶戦は、61回目の開催を迎える。両校はこの日に備え、多大な努力を重ねてきた。そんな正にライバルというべき相手との熱い戦いを前に、早大の井上稜介主将(スポ4=東京・八王子東)と、慶大の折敷出陸主将(法法4=東京・慶應義塾)が語った。

※この取材は10月23日に行われたものです。

「後輩たちにみせられる舞台にしたい(井上)」

強敵であり友である

――お二人は交流や面識はありますか

井上 同級生で、1年生の頃から面識があります。以前はワセダも2部にいたので、同じ会場で試合することもありましたし、毎年早慶戦もやっていて、その後の食事会などでもお話しする機会がありました。

――部員同士の交流の場があるのですか

井上 早慶戦の後の食事会だけで、プライベートで色々ということはありませんが、(早慶戦やその後の食事会のように)公式な場でお会いしていました。

折敷出 試合の後に少しお話しする機会もありました。

――今回対談することが決まっていかがでしたか

折敷出 素直に嬉しいと思いました。ボクシングにこうしてフィーチャーしてくれるのは嬉しいです。

井上 自分も同じく注目していただけることは嬉しいです。そして、実は、ケイオウさんは3年くらいで代替わりするときいていたので、どなたとお話することになるんだろうと不安も覚えていました。折敷出さんとは話しやすいのでよかったです(笑)。

一同 笑。

――お二人がボクシングに関わることになったきっかけを教えてください

折敷出 自分は高校1年生の冬からボクシング部に入りました。それまでは何も部活に入っておらず退屈を感じており、格闘技好きな父に影響されて、ボクシングやプロレスを観戦する中で、ボクシングが自分にとって身近に感じられ、また部内の雰囲気も良かったので、入部しました。

井上 5歳頃から10年ほど柔道をやっていて、格闘技に対する抵抗がなかったことが大きな理由だと思います。

――ボクシングはお好きですか

折敷出 好きです。ボクシングは殴り合う野蛮なイメージがありますが、実は頭を使って作戦を立てるスポーツであり、そのギャップに惹かれました。

井上 あまり好きではないです。自分はあまり殴り合いが似合うタイプでもありませんし、友人や知り合いに話せば、自分がボクシングをしているとは信じられないと言われることがほとんどです。実際に辛いことが9割ですが、残りの1割に、周りの方々が評価してくださるという喜びがあるから、今でも続けているのだと思います。

――ご自身のボクシングスタイルを教えてください

井上 自分は泥仕合に持ち込むことが一番勝機のある試合の仕方だと思っているので、いかに泥臭くできるかという点を意識しています。

折敷出 自分はボクシングの頭を使うところが好きなので、作戦を立てて臨もうとするのですが、いざ試合になると、がむしゃらに殴り合ってしまうときもありますね。

――主将としてボクシングに関わるということは、どのようなものなのでしょうか

折敷出 部活としてボクシングをやっているので、自分のことだけでなくチーム全体について色々考えます。難しいことも多いですが、自分以外の選手のことも考える機会を持てたことは非常に楽しい経験になったと思います。

井上 例年主将になっている先輩方と違い、自分はあまり目立つタイプではないので、組織の中で自分が周囲に貢献できるように努めています。

――主将を務めていかがですか。良かったことや辛かったことはありますか

折敷出 主将を務めなければOBとお話しする機会もありませんでしたし、色々な方と関わることができたのは良かったと思います。練習中も同期や後輩をよくみるきっかけになりましたし、自分からどんどん考えて人と関われるようになったことは、主将を務めたからこそではないでしょうか。ですが同時に周りに目を向けがちになり、自分自身について気が回らなくなるのが辛いと感じることもありました。

井上 主将ですから、皆さんにちやほやしてもらえるのが嬉しいです(笑)。試合の面では貢献もできませんし、こうして注目してもらえることも、主将でなければなかったのではないでしょうか。そういった意味で、(主将という)肩書がついたことは良かったです。ですが反対に、肩書がついたからこそ、周囲から期待を寄せられます。あまり自分は自信を持ってふるまうことが得意ではないため、嬉しいですがその分緊張することも多いですね。

――主将として部内をみる際に気を付けていることはありますか

折敷出 自分の意見を押し付けてしまわないように気を付けています。怪我で困っている選手がいたら、その選手にしかわからないこともあると思うので、まずは話をしっかりきき、それから解決策を考えるように努めていました。

井上 自分は一対一での対話に努めています。周りに部員がいると言えないこともあるでしょう。勿論自分は4年生で主将ですから、自分にも話しづらいかもしれませんが、なるべく一対一で、他言することなく話をきくようにしています。

――自校の特徴を教えてください

井上 個性的な部員が多いという印象です。キャンパスの外れにある道場に、学内で行き場を失った学生たちが集まってきますから(笑)。大変なことやいらだちも多くある一方で、一人一人が個性的で、しっかりと接すれば面白い部員が多いのだと感じます。

折敷出 慶大でボクシングをしようというのですから、慶大ボクシング部もやはり変わり者も多いです。ですが、『真面目な変わった人』というのが多いように感じます。変だけれど皆いい人たちなので、良い部活だなと思います。

――相手校へ抱くイメージはいかがですか

折敷出 ワセダさんは個が強いイメージです。個人個人がしっかり自分を持って練習していることが、チームとしての強さにつながっているのだろうと思っています。

井上 ケイオーさんは仲がいいイメージがあります。人数が多いからというだけでなく、皆さんでたくさん練習していると思いますし、厳しいことを共有している分、絆も深いのではないかと思います。

――お二人が早慶戦に抱く思いを教えてください

井上 今年最後の試合なので、後輩たちにみせられる舞台にしたいです。自分だけでなく他の上級生も、普段から後輩にあまり良い場面をみせられていないと思うので、早慶戦では、後輩に、「こんな先輩たちもリングに上がれば違うのだ」とみせたいです。また選手だけでなく他の部員たちも、サポートの面から学んで、成長してくれればいいと思います。

折敷出 年生の僕にとっては勿論最後の試合ですし、慶大ボクシング部にとっても今年度最後の試合なので、全員で一丸となって、勝利に向かっていけるようにしたいです。僕個人としては、4年間最後で、高校1年生の頃からみてきた慶大ボクシングに現役として関わることも最後になりますから、有終の美を飾りたいと思います。そしてワセダさんと折角毎年試合をしているので、こういった場でもっと交流を深めていければいいですね。

――ボクシングを観戦する一般の方に、試合を通して、ボクシングがどのようなものだと伝えたいですか

折敷出 ボクシング自体は個人競技で、リングの上では一対一で戦いますが、早慶戦は同じボクシングでも団体戦で、チーム対チームの戦いですから、全体として勝利や応援にも目を向けながら観ていただきたいです。

井上 初めて来てくださった方には難しいかもしれませんが、選手たちは長い時間をかけて準備し、やっとリングに上がって、3分3ラウンド戦います。両校の選手ともそういった思いをもってリングに上がっているので、それを少しでも感じながら試合を観ていただくと、また違った形で楽しんでいただけるのではないでしょうか。

――お二人のプライベートについても教えてください

折敷出 試合前の減量中に調べた、美味しそうな料理を食べることが基本的には楽しみです。

井上 (料理の)リストアップは僕もしますね。でもいざ終わって食べに行くと…

折敷出 思っていたほどではないこともありますね(笑)。

井上 他のスポーツ選手に比べて人一倍食には敏感だと思います。

――やはりお減量はお辛いですか

井上 そうですね。苦しんでいます。自分は2年生のときが一番辛かったですね。フライ級という階級で52キロまで5キロほど体重を落とさなければならず、また当時は2週間ごとに試合があったこともあり、2週間ごとに5キロ減量するのは辛かったです。

――そんなときはどのようにストレスや苦痛を解消しているのでしょうか

折敷出 サンドバッグを殴って解消しています。

井上 苦しいですが、自分はあまりぴりぴりしませんね。自分は寝ることが一番だと思います。寝ると食べないで済みますし、体重も落ちるので、寝て紛らわすことが多かったです。

――昨年お二人は早慶戦で対戦されていますが、お二人の関係は変わりましたか

折敷出 早慶戦前よりは断然話せるようになれたと思っています。僕は。

井上 僕もそう思っていますよ。それに、その後の折敷出さんの試合結果が気になって、試合の動画を見ることもあります。特に気になる存在ではありますね。

一同 笑。

――もし、今年もお二人が対決する場合、何か意気込みはございますか

折敷出 昨年負けているので、今年は勝って、さらにケイオウとしても勝利を収めたいです。
井上 正直自分は対戦したくないです。勝ち逃げしたいですね。昨年も判定が割れていましたし、運よく勝利が転がり込んできたという印象でした。

井上 正直自分は対戦したくないです。勝ち逃げしたいですね。昨年も判定が割れていましたし、運よく勝利が転がり込んできたという印象でした。

折敷出 勝ち逃げさせたくありませんね(笑)。

井上 今年もし試合するとなったら、腹をくくって、泥試合に持ち込みます。

一同 笑。

――早慶戦に向けて、お互いへのメッセージをお願いします

井上 ケイオーさんの方が格上ですので、ワセダは不利な状況で分も悪いと思いますが、一戦必勝で頑張っていきたいです。

折敷出 昨年はホームでの試合でしたが、4対3というぎりぎりの勝利でしたので、今年は早稲田での開催ですから気の抜けない戦いになると思います。7試合一つ一つでしっかり勝って、勝利を収めたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 茂呂紗英香・庄司笑顔)

早慶戦へ意気込む両校主将

◆井上稜介(いのうえ・りょうすけ)(※写真右)

1995年(平7)6月17日生まれ。身長168センチ。東京・都立八王子東高校出身。早稲田大学スポーツ科学部4年。尊敬する先達を思いながら、伝統ある早大ボクシング部を率いてきた主将。昨年の早慶戦では見事勝利を収めた上敢闘賞も受賞するなど、確実に勝利を掴んできた実力者だ。今年は主将として、ワセダに勝利をもたらすに違いない。

◆折敷出陸(おりしきで・りく)(※写真左)

東京・慶應義塾高校出身。慶應義塾大学法学部法律学科4年。大所帯の慶大ボクシング部を支えてきた。頭脳的なボクシングを楽しむ切れ者で、今年の早慶戦の勝敗を左右するかもしれない。