ボクシング部

2017.11.12

早慶主務対談

 早慶対談企画第2弾、今回は主務対談である。主務は部活を、練習、運営など様々な面から支える。責任は重く多忙を極めるが、主務なくして部活は成立しないのは自明の理だ。今回は、両校ボクシング部を支える新村久瑛主務(教4=東京・戸山)、小笠原夢生が、普段なかなか表には出てこない仕事内容や、主務という役割と共に歩んできた道のり、それにかけてきた思いなどを語った。
※この取材は10月23日に行われたものです。

「私にとっては、『皆が輝ける場所』です(新村)」

2年間ワセダを支えてきた新村主務

――昨年に引き続き、今年も早慶対談企画が行われることになりましたが、いかがですか

小笠原 わざわざ(取材に)来ていただいて、こうして注目してもらえるというのは凄く嬉しいです。

新村 そうですね、ボクシングはどうしてもマイナーなスポーツで、皆さんの知らない部分も多くあると思いますから、このように記事にしていただいて、少しでも多くの人にみてもらえる機会があるというのは、非常に有難いことだと思います。

――お二人に元々面識はありましたか

小笠原 はい。

新村 あります。去年の早慶戦で大変お世話になりました。

――お二人のボクシングとの出会いを教えてください。

小笠原 自分はたまたま高校の部活の先輩がボクシング部に在籍していまして、新歓のときに催されたバーベキューに、気軽な気持ちで参加してみましたら、その先輩に勧誘され、また、自分自身とても面白そうなスポーツだと興味を抱き、試しにやってみたらすっかりはまってしまって、入部に至りました。

新村 私は、一年生の途中までは別の同好会に入っていたのですが、「折角の大学生活だから、もっと本気で打ち込める何かが欲しい」と思って退会しました。そこへ、ボクシング部の方が「マネージャーをやってくれないか」と声をかけてくださって、見学に行ったところ、「ここだったら、もっと一生懸命打ち込めそうだな」と思い、入部いたしました。

――主務になったきっかけを教えてください

小笠原 もともとスタッフという主務の下で働く形で、二年生のときも仕事をしていたのですが、自分の一つ上の主務であった先輩から色々お話を伺っていて、(主務を担う)心の準備をしながらその一年間を過ごしました。そして、世代交代の際に、先輩が自分に「(主務を)やってくれ」と声をかけてくださり、自分自身も、「ここまできたら、いけるところまでいってみたい」と思い、主務という仕事に就きました。

新村 私もやっぱり、上の代の主務の先輩や、前監督、OBの方々にも、「是非主務としてやってもらいたい」と言っていただいたので、「お力になれれば」と思い、主務になりました。

――両チームの主務のお仕事について教えてください

小笠原 結構難しい質問なのですが…部活の普段の練習のマネジメントだけでなく、OBや他団体との連絡役など、様々な仕事があります。

新村 そうですね、基本的な仕事は恐らくケイオウさんと同じで、大学内だけでなく、外部の組織とのやりとりを行うというのが、やはり主務の主な仕事だと思います。

――主務に求められる資質は何だと思いますか

小笠原 難しいですね(笑)。周りをよくみることができるような人であることや、誠実さでしょうか。

新村 部員と部員、OBとOB、あるいは部員とOBなど、常に部に関わる方々のパイプ役となれるような存在でありたいとは思っています。そうすると広く全体をみる目が必要です。さらに、主務というのは縁の下で部を支える役職ですから、部員が知らないところで一生懸命仕事をやらなければならないときもあります。(陰で)一生懸命頑張れるという気持ちが大事なのではないでしょうか。

――主務をしてきて思ったことは何ですか

小笠原 勿論大変な仕事ではありましたが、やはり(自分が)関わる人が増えていったことは大きな財産になったと思います。今まで普通のボクシング部の一個人でなら関わらない方々もいたと思いますが、主務という役割をいただいたことで、自分に対してお話ししてくださる諸先輩方や、他の大学の方とも交流することができたのはとても良かったと思います。

新村 私は主務を二年間務めているのですが、一年目はとにかく仕事をこなすことに一生懸命でした。(二年目の)今年は、自分の仕事、主務という役割や部に対する思いを、後輩にも伝えていかなければならないという使命感があり、それがどうすれば上手く伝えられるのか試行錯誤してまいりました。ですがなかなか難しい面もあり…私自身それでこの一年悩むことも多かったのですが、悩んだからこそ忍耐力がつきましたし、得るものは多かったと思います。また、立場が人を作ると言いますか、様々なことを考える力もついたので、そこは昨年より人として少しは成長できたのではないかと思います。

――主務業をしていて辛かったことはありますか

小笠原 たくさんありますが…早慶戦の開催が一番辛かったかと思います。ある程度やることはリスト化されていて決まっているのですが、実際開催してみると、「何か足りていないのではないか」と感じてしまう、見えないグレーゾーンのようなものがあり、無事に開催できるだろうかとずっと気になってしまいます。

新村 私も早慶戦が早稲田大学で開催されるので、ずっと準備をしているのですが、小笠原さんがおっしゃったように、毎晩何かを忘れているのではないかと考えながら眠ります。終わるまではそれは変わりません。早慶戦は両校の伝統ある行事ですから、仕事の責任も重く、やはり大変な仕事だと思います。また、他人に強く言える性格ではないので、自分の気持ちを周りに言えず一人で悩んだこともありました。仕事も皆の目が届かないものが多いので、自分の思いが伝わっていないのではと日もありました。

――主務の苦労を部員は感じていると思いますか

小笠原 うちの部員はある程度分かってくれていると思います。こういう性格ですから、陰で仕事をやりつつ、結構周囲に話をしていました。主将にも迷惑をかけることもあり、逆に主将は大変だったかもしれないと思いますが、その分、自分がどんなことをやっているのかを認識してくれていたと思います。

新村 私はあまり自信がありません(笑)。わかってくれている部員もいるとは思いますが、あまりわかってくれていない部員もいると思います。ですが私は自分で抱え込みがちなので、最後の早慶戦というこの大きな機会で、自分の想いを部員にたくさん伝えられたらいいと思っています。

――主務としてのやり甲斐はありますか

小笠原 ありますが、先程も申し上げた通り、たくさんの方と関わることができるという点で、主務として関わるだけでなく、今までの人生のお話など、主務以外のお話もしてくださいます。そういったお話ができることは、主務だからこそだと思っているので、それは良かったです。また、自分に決定権があることが多いのも、主務の良いところだと考えています。ものを買う際や、部活の効率を上げる際も、主務の判断の影響が大きいので、低学年の頃は提案をしてもあまり通らなかったのですが、今は色々な人の意見をききながら、最終的には自分が決められますから、面白い仕事だと思います。

新村 小笠原さんが決定権があると仰っていたように、主務が動かないと部の運営は回らないので、自分がやっていることが部を支え、動かしているのだという実感を得ることができるというのは、学生生活で大きい組織や大きい行事を動かすという貴重な経験であり、一つのやり甲斐であると思っています。もちろん大変な仕事で、自分がこなした仕事量に対して反応が少ないこともありますが、たまに自分の仕事を見ていてくださる方の存在を感じられると、自分が役に立っていると実感できます。

小笠原 確かにそうですね。

――早慶戦における主務の活動というのはどういうものなのですか。

小笠原 たくさんあります。例えばパンフレットを制作する際に、何事にもお金がかかりますから、まず広告協賛を募るだとか…基本的に主務はどのような仕事においても…進んで自分から働きかけることもありますが、どちらかというと、主に仕事を振り分けて確認をするという感じでしょうか(笑)。

新村 主務の仕事というのはそういうものだと思いますよ。会場の手配やスケジュール管理など、仕事は本当にたくさんあります。今小笠原さんのお話を伺って、私ももっと仕事を振り分けられるようになりたいと思いました(笑)。

――主務業についてなど、お互いに何か質問はありますか

新村 主務業についてではないのですが、小笠原さんは私と違って、選手も主務もやられてとても大変だったのではないかと思います。どのような気持ちで、どのように過ごされていたのか興味があります。

小笠原 自分は選手もやっていましたが、同期のマネージャーに非常に救われていました。その人たちがいなかったら、自分も選手としてやっていけなったと思います。逆に今、主務業がないので、あったときの気の抜けない、集中できていた感じを思い出し、物足りないような気がしてしまうときもあります。

新村 一生主務をやりたいですか?(笑)

小笠原 いや、それはちょっと…(笑)。もう二度とやりたくないですが、あのときが一番充実していたと思います。

――逆に小笠原さんから新村さんに質問はありますか

小笠原 自分は選手として練習することで、主務の仕事を抱え込むストレスを晴らして調和させていましたが、(選手でない)新村さんは、そういう場所がないのではないかと思います。いかがですか。

新村 そうですね、正直息切れしている感じはあります。「抱え込んでしまうのが良くないのかもしれない」と、今日お話を伺いながら思っていますが、話す相手などを悩んでしまって、なかなか言うことができません。ですが、主将を始め同期に話を聴いてもらってます。また、私は食べることが好きなので、美味しいものを食べて発散します。誰か一人でも理解してくれたらいいなという思いで、言えることはできるだけ言うようにしながら、後輩には私の背中をみてもらえるよう、行動で示していけたらいいと思っています。

小笠原 後輩指導は難しいですよね。

新村 難しいです。後輩指導はどうされていましたか。

小笠原 自分も上手くできていなかったと思います(笑)。ケイオウもマネージャーの人数が増えてきましたが、自分は一人を指導してしまいがちで、皆平等に教育ができなかったことは心残りですかね。何かアドバイスがいただけたらいいなと思いますが(笑)。

新村 ケイオウさんは人数が多くて羨ましいなと思いますが、その分まとめたり伝えたりするのが大変なんですね。ワセダは人数こそ少ないですが、マネージャーである後輩2人を始め、後輩たちがよく動いてくれるので助かります。

小笠原 難しい問題ですね。

――くだけた話題にはなりますが、お二人のオフの日の過ごし方を教えてください

新村 お昼くらいまでぐっすり眠ってしまいますかね。

小笠原 自分はオフの日が一番早起きですね。起きちゃうんです。朝からパチンコ屋に遊びに行って…閉店まで友達と一緒に過ごしています(笑)。

――お二人は部活以外に趣味はありますか

小笠原 食べることは好きですね。あとはスロットが(好きです)。本当に、人生の半分くらいはスロットで、四分の一くらいは部活をして、あとは遊びだったり休んだりです(笑)。

新村 結構夜行性なので、夜遅くまで起きています。あと、長風呂が好きです。温泉もいいですね。

記者 最近何処か(温泉に)行かれましたか。

小笠原 自分も鬼怒川には行きますよ。

新村 いいですよね!

――お二人からみて両校の印象はいかがですか

小笠原 恐らく毎年言っていると思うんですが、ワセダさんは本当にキャラが濃いですよね。一人一人のキャラが濃いというイメージがあります。

新村 ケイオウさんは、(部員が)たくさんいらっしゃるのにまとまりがあって、一つの方向に向かって皆で汗を流しているというイメージがあります。爽やかな感じがしますよね。

小笠原 どうでしょうかね…(笑)。

一同 (笑)。

――自校のボクシング部の魅力や特徴について教えてください

小笠原 人数が多いことは大きな特徴だと思います。(試合に)出られない選手もいますので、応援の練習も行っています。また出られない悔しさを味わっているからこそ、自分たちの学年が上がっていくにつれ、出たいという思いは増していきます。そういった人数が多いならではの悔しさというのが、良い影響を与えている一面もあるのではないでしょうか。

新村 ワセダは逆に人数が少なく、さらに部員一人一人がかなり個性的で、普段は好き勝手やっているようなイメージがあっても、いざというときに…本人たちはあまり意識していないかもしれませんが、本番では「一つになっているなあ」と感じられて、そこが魅力だとますね。

小笠原 共感できます。うちも早慶戦のときだけ、(団結力が)半端ないです(笑)。

――今までの早慶戦で印象に残っている場面はありますか

小笠原 三つ上に長谷川さんという、基本的にウェルター級で活躍されていた方がいるのですが、その方が最後ダウンをとったシーンが、自分にはとても印象的です。自分はその方に憧れてこの部活に入ったので、その方がダウンを決めてくれたのが、自分には強く印象に残っています。

新村 私は二年前の早慶戦で、当時の主将であった赤井さんが、ボクシングを大学から始めており、主将という役職にも4年の半ばから就いたのですが、キャプテンらしい方で、部をまとめるのも盛り上げるのも上手く、早慶戦のときも熱い試合を繰り広げてくれました。そのときは主将も勝ったし、チームとしても勝てたので、とても印象に残っています。

――昨年の早慶戦は4対3で慶大が勝利しましたが、これをどのような思いでご覧になりましたか

小笠原 自分は(試合)に出たいという思いがある一方で出られなかったので、ケイオウが勝利したことが嬉しかった一方で、個人としては非常に悔しい思いをしました。しかし、ホーム(慶應義塾大学)で開催して勝利できたことは、主務として嬉しかったです。

新村 昨年は慶應義塾大学の日吉記念館という大きな会場で開催され、60回という記念すべき回だったこともあり、たくさんの方に足を運んでいただいて、注目された大舞台でした。負けてしまったのは非常に悔しかったですが、一つ一つの試合が接戦で、正にいい試合という感じだったので、「次こそは(勝ちたい)」という気持ちにつながる試合になれて、とても良かったと思います。

――小笠原選手が、今回の早慶戦に選手として出場するという可能性はありますか

小笠原 あると思います(笑)。ですが、同じ階級に結構たくさん選手がいますから、部内戦を勝ち抜かなければならないので、まだわからない、としかお答えできません。

――早慶戦に対する思いはいかがでしょう

小笠原 思いは勿論あります。自分は4年間ボクシング部員としてやってきましたが、リーグ戦に出たことはあっても、早慶戦には一度も出たことがありません。早慶戦に出て、勝って、有終の美を飾って引退したいと強く思います。

新村 自分にとって最後の早慶戦であり、ホーム(早稲田大学)開催でもあるので、最後は勝ちたいという思いがあります。そして、自分が2年間主務としてやってきたこと、そして今まで部に関わってきたことが、正しかったのか、ちゃんと皆に伝わっているのかと悩んできましたが、それを確認する場もなかなかありませんから、再確認し伝える場にできたらいいと思っています。また、主務として、皆が輝ける場にしたいと考えています。

――初めてボクシングを観る方に注目して欲しい点はありますか

小笠原 プロボクシングは3分12ラウンドである一方で、アマチュアボクシングは3分3ラウンドという短い凝縮された形になっていますから、手数や打ち合いは圧倒的に多いです。特に早慶戦は白熱した試合になりますから、それが7試合観られるというのは、魅力ではないでしょうか。

新村 3分3ラウンドという短い時間の中には、ただの殴り合いだけではなく、リングに上がるまでの減量や練習、悔しい思いがぎゅっと詰まっています。そんな選手同士がぶつかり合い、たった3分3ラウンドの間に思いをぶつけ合っているのだということを、頭に入れておいていただければ幸いです。

――お二人にとって早慶戦とは何ですか

小笠原 自分は4年生で選手なので、『輝ける場』としか考えていません。自分を一つの『ステージ』にできたらいいと思っています。

新村 私にとっては『皆が輝ける場』です。戦っている選手だけではなく、それまで携わってきた部員や関係者の方々、当日応援してくださる方々の全てが輝ける場になることを願っています。

――記事を読んでくださっている方々へ、早慶戦への意気込みをお願いします

小笠原 部員も全員一生懸命練習しているので、7試合全て熱い試合をお届けできると思います。是非観に来てください。

新村 早慶戦の舞台を作るにあたって、様々な人の協力を経て当日を迎えています。会場の熱い雰囲気を作り上げる一員となって、是非楽しんでください。

――ありがとうございました!

(取材・編集 茂呂紗英香・庄司笑顔)

終始にこやかな早慶主務

◆新村久瑛(にいむら・ひさえ)(※写真右)

1996年(平8)1月30日生まれ。身長158センチ。東京・都立戸山高校出身。早稲田大学教育学部4年。昨年も主務を務めており、自身の多様な業務をこなす一方、広く周囲をみつめ、部員への細やかなサポートにも気を配るベテランだ。その働きが、ワセダの勝利の大きな鍵になるだろう。

◆小笠原夢生(おがさわら・ゆめき)(※写真左)

東京・慶應義塾高等学校出身。法学部政治学科4年。選手として活躍しながら、主務としても大所帯の慶大ボクシング部を支えてきた凄腕で、その体力と精神力には思わず目を見張る。愛嬌たっぷりの選手だが、今年は選手としても、ワセダの脅威となるかもしれない。