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2017.09.08

【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『pride』第7回 佐藤晋甫主将×佐藤厚志新人監督

 もしあの時ミスをしなければ、もしあの時あそこに投げなければ、もしあの時勝てていたら――。春はそんな『たられば』が重なったシーズンだった。あれから3カ月、ワンプレーの重みを痛感したチームは『一』にこだわり続け、全員で頂点を目指してきた。その中で、どのような変化が生まれてきたのだろうか。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)を前に、トップとしてチームをけん引してきた佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)と佐藤厚志新人監督(スポ4=茨城)の二人にお話を伺った。

※この取材は8月29日に行われたものです。

詰めの甘さが出てしまった春

ここまでチームをけん引してきた主将と新人監督

――春は優勝争いに絡めそうで絡めず4位に終わってしまいましたが改めて春のシーズンを振り返っていかがですか

佐藤晋 春のシーズンは、守りの面でピッチャーがフォアボールも多かったですし、フォアボールを出した後に野手が続けてエラーすることもあり粘り切れなかったという感じです。攻撃に関しても、バントのミスや(走者を)進められなかったとか一本出なかったとかそういうところが多くて。終盤追い上げる試合も多かったんですけど、粘り切れなかった、勝ち切れなかった試合が多かったかなと反省ですね。

佐藤厚 相手どうこうではなくて、自分たちで負けてしまったという印象が強いです。晋甫も言っているのですが、守備であればやはりバッテリーが打たれてはいけないバッターに打たれてしまったり、ミスが出てしまったり。攻撃に関してもバントミスとか、自分たちでチャンスをつぶしてしまって逆にピンチを広げてしまった試合が多かったです。そこは相手どうこうではなくて自分たちの試合ができなかったかなと思います。ただ終盤においては、立教戦の追い上げなど本当に粘りを見せた試合はできていたので、そこは秋につながる試合だったかなと思います。やはり春、他の五大学も実力が均衡している中で、もしかするとあの1勝をしていれば優勝争いに加わることができた、優勝できたと考えると本当に悔いが残るシーズンでした。

――僅差で負けた試合や、粘り強さを見せた試合もあったと思いますが、一番印象に残ったゲームを挙げるならどのゲームになりますか

佐藤厚 やはり僕たちを象徴しているのは、立大の2試合目ですね。1戦目で小島(和哉、スポ3=埼玉・浦和学院)が頑張って1-0という試合ができて。監督さん(髙橋広監督、昭52教育卒=愛媛・西条)も「1-0が一番いい試合だ」とおっしゃっている中でそういう試合ができました。2試合目は終盤までリードを許す苦しい展開だったのですが、立大の中川くん(颯、1年)から3点取って追い付いて、よし行けるぞ!と思ったところで逆転できず、また追い付いた後すぐ逆転されサヨナラ負けを喫してしまったのは、印象的というかやはり自分たちの春の戦いを表していたんだと思います。実際あそこで2連勝できていれば優勝争いに加わることもできたと思いますし、立大に優勝されることもなかったと思うので、すごく印象に残っています。

佐藤晋 自分もその立大の2試合目ですね。1試合目、なかなかヒットは出なかったんですけど、守り切って守り切っていいかたちで1-0で勝てて。なんとかその勢いで2試合目というところで、追い付いたのは追い付いたのですが、点を取り切ることができなかったというのが・・・。厚志もさっき言っていましたが、追い付いた後すぐに点を取られて逆転されて、勢いに乗り切れず。あそこで勝っていればまだチャンスはあったかもしれないですし、あそこが詰めの甘さというか、春の反省点があの試合で出ちゃったのかなと思っています。

――「詰めの甘さが出てしまった」ということですが、その原因はどこにあった考えていますか

佐藤厚 自分が思うのは、同点にして試合が決まったわけではない中で、同点してオッケーというか。もちろん同点にしないと試合は続かないので、気が抜けていたわけではなく逆転しようという感じではあったのですが、そこを逆転し切れない雰囲気だったのかなと思います。実際そういう試合も本当に多かったです。六大学の他の五大学のチームは力もあるので、少しでも気を抜くとそこにつけこんでくると思うのですが、自分たちの流れにした時や自分たちが有利な展開になった時にもうちょっと相手に畳みかけようとかと思うことが少なかったのかなって思います。そういう試合は本当にいっぱいあるので、精神的に足りなかったのかなっていうのはあります。

佐藤晋 厚志が言ったこともそうですし、押せ押せでかなりいい流れ、いい勢いで攻められてたとは思うんですけど、こちらのミスであったり、相手が連打したりという何かあった時に、雰囲気がふっと落ちちゃうというか。そういうところ、集中力、盛り上がり、勢いが続けられないという部分がちょっとあったかなと思っています。

――今はそういう部分が減ってきた、なくなってきたということはありますか

佐藤厚 夏のオープン戦では晋甫はケガで全早慶戦以外ベンチに入っていないと思うのでちょっと分かりにくい部分もあると思います。やはり展開的にそういう厳しい展開の試合がオープン戦の中ではないのですが、全早慶戦の愛媛の時とか、この前の駒沢大の試合とか、実際いいところまでいって追い付けなかったとか、そこから逆転できなかった試合があった一方、この前の関学大戦ではサヨナラで勝ててあの試合が出たのは良かったのかなと。加藤(雅樹、社2=東京・早実)が打って同点に追い付いて、宇都口(滉、人4=兵庫・滝川)も打って。ああいう展開に持ち込めたのは良かったのかなと思います。

――春のシーズンを終えてから、チームでどのようなことを話して、秋に向けてどのような目標を立てましたか

佐藤晋 ピッチャーに関していえば、春はコントロールというかフォアボールも多かったですし、高めに打たれがちだったので、低めを狙うことです。低めを狙って投げた球がボールになったり、打たれたりするのは仕方がないから野手も見逃してほしいというか、そこは納得して守ってほしいけれども、高めに浮いたボールを打たれたり、高めに浮いた球がボールになってフォアボールになったり、そういったところは厳しく指摘していいからという取り組みをするっていうことを始まる前にやっていました。

佐藤厚 野手に関しては、監督さんがよくおっしゃっていることなのですが『一』にこだわるということです。野手というかチーム全体でそうなんですけど、バントとかもそうですし、一つのフォアボールであったり、一つのエラーであったり。一球の重みというのは春のリーグ戦からずっと言われていることなのですが、その中でも野手に関してはバッティングにおいて一球で仕留めることです。甘いボールを見逃すことがリーグ戦では多かったので、そこは失くしていこうということをしたり、あとは相手ピッチャーに対する対策を試合中のミーティングでも密に話し合いをしたりするようにしています。

――こういったことを踏まえてシーズンを終えて以降、春と現在とで練習の量や質を変えた部分はありますか

佐藤厚 練習量においてはそこまで増やしてはいないです。春のリーグ戦までは量をやることをやってきたと思うんですけど、質にこだわるということも本当に大事なことだと思うので、バッティング練習やシートバッティングなどの中でも一つ一つのプレーに対して声掛けをしていくようにしています。

――少し話が変わるのですが、全日本大学選手権(全日本)では六大学を代表して出場した立大が優勝しました。それに関して感じたことはありましたか

佐藤晋 やはり六大学の代表として全日本に出てもらって、そこでも六大学の伝統というか強さを見せつけてくれたというか。優勝することで実証してくれたのでそこに関してはすごくありがたいと思っていますし、僕たち自身もすごく応援していたので優勝してくれたのはすごくうれしかったですね。

佐藤厚 うれしい反面もありますけど、実際立大に勝ち点を取れるところまでいっていたのでそういった意味では自分たちもあの舞台に立ちたかったなという思いもありました。また秋のリーグ戦を戦う上で春に日本一になったチームが六大学にいるというのは大きな刺激にもなりますし、やはり秋は自分たちが今度は日本一を取りたいなというのは立大の優勝した瞬間を見て感じましたかね。

「晋甫がここまで悩んできている分、秋天皇杯を晋甫に受け取ってほしい」(佐藤厚)

新人監督として現場の指揮を担当してきた佐藤厚

――佐藤晋選手は6月下旬に左太ももの肉離れをされたと伺ったのですが、どういった状況でしたか

佐藤晋 練習で疲労とかがたまって、ランとトレーニングをやっている時にぶちって感覚はなかったのですが、次の日朝起きたらみたら動けないくらい痛かったみたいな感じでした。ちょっとケアを怠ったのかなって思っています。

――いまの状態は

佐藤晋 本格的に動き出したのが先週の初めくらいなので、ちょっと遅くなりすぎたかなっていう部分はあります。2軍のほうの練習に出させてもらって2軍戦にも行かしてもらっているのですが、動いていない時期、期間も長かったので自分のプレーもまだまだできていない状況です。焦りもあるんですけど、しょうがないかなって割り切って調整しています。

――今までケガをされたことはありますか

佐藤晋 いや、大学入ってから大きなケガなないですね。高校の時に足を疲労骨折したくらいで、そういうのはほとんどないです。

――当初から開幕には間に合いそうという感じだったのでしょうか

佐藤晋 ここまで長引くとは思っていなくてなんとか間に合うようにできればいいな、やらなきゃなと思っていたんですけどなかなか痛みが引かず動ける状態になくて・・・。

――先ほど焦りというお話がありましたが、練習量がこなせていないことによる焦りでしょうか

佐藤晋 練習量もそうなんですけど、今やってみて全く動けてない、キレがない、ボールも思うように打てない、守れないという状況なので・・・。練習量というより現状を見てちょっと焦りがあると感じています。

――もどかしさを感じることがあったり、プレーができないことによって考える時間も増えていたりするのでしょうか

佐藤晋 そうですね。ずっと動けない分いろいろ考える時間が多かったです。グランドで引っ張ることができないので、厚志にもみんなにも申し訳ないなと言う思いもありました。吉見(健太郎副将、教4=東京・早実)が中心になってやってくれたんですけど、吉見にも感謝もあるのですがすごく申し訳ないなというふうに思っています。

――現在1軍戦は吉見副将が主将代行となって戦っていると思いますが、今の1軍の状況はどのように映りますか

佐藤厚 吉見が春のリーグ戦にいなくて自分はすごくさみしかったんですけどそういう意味でもうれしいですし、吉見はプレー以外でも引っ張ってくれるところがあります。晋甫は晋甫で引っ張ってくれるところがあるので、そういう意味でも主将副将という関係ですね。ここにケガ人とかも出て苦しい夏のオープン戦だったところもあるのですが、そこに他に新しく台頭してきた選手もいます。春もレギュラーが固定されていない状態でやっていたと思うんですけど、夏のオープン戦は夏のオープン戦でケガ人が出たことで不幸中の幸いと言っていいのか分からないですが、新しい選手も出てきたと思うのでそこは良かったかなと思います。チームの雰囲気としても、やはりことしの代は元気があり、ただそれがぐっといけないときがあるのですが、吉見とか他の4年生が何とかしようと考えているのでこれをリーグ戦に向けて一番いい状態に持っていければいいのかなという気がしています。

――佐藤晋選手は特に現在チームを一歩外から見る状況だと思いますが、その視点から見て感じることはありますか

佐藤晋 さっき厚志も言っていたのですが、ケガ人がいる分他の選手が下から上がってきて、今まで出場する機会がなかった選手が何人も試合に出るチャンスをもらっています。高いレベルで競争意識を持ってやってくれるので、そういった意味ではすごくいい刺激になっているのかなとすごく思っています。吉見がベンチに入るようになって、吉見がいるだけで質のいい声を出してくれますし、試合も盛り上げてくれますし、いろいろ声も掛けてくれるのでベンチの雰囲気はすごく良くなっているんじゃないかなと思います。

――今下級生などいろいろな選手は台頭してきているというお話がありましたが、特に東京六大学フレッシュリーグ(フレッシュリーグ)で優勝に貢献した選手がいま1軍で活躍していることも多いです。そういった選手が出てきてくれることはうれしいですか

佐藤晋 そうですね。まあやはり自分の代なんですけど、自分の代で早大が終わるわけではないので、やはり下が今後上級生になっていくときに引っ張っていかなきゃいけないと思います。そういった意味でオープン戦やリーグ戦を経験できるというのは次の代の選手にすごくプラスになると思っていますし、すごくうれしいです。

佐藤厚 フレッシュリーグで優勝して力のある1,2年生の選手が多いです。そういった選手たちは、春はなかなかリーグ戦で絡む機会がなかったんですけど、やはりリーグ戦が終わった後の練習ですごく勢いがあります。自分もリーグ戦が終わった直後に教育実習で抜けていた期間があったのですが、帰ってきて2年生とかすごく勢いというかエネルギーあるなと思ったので、そういった選手たちがレギュラー争いに食い込んできているのは自分の立場としても本当にうれしいです。チームにとってもやはり晋甫が言った通り、来年再来年これからの早大を担っていく選手が今の時点でたくさんいると思うので、うれしいです。

――細かいカテゴリーに分けて練習されているとお伺いしたのですが、それも競争意識を芽生えさせている部分もありますか

佐藤晋 そうですね。リーグ戦終わった時にもっと競争意識を持って徹底してやっていけたらと思っていて、それぞれの練習に対する熱意などそういうのがより刺激できるんじゃないかなと感じて、学生コーチと話をしてそれでちょっとやっていこうとなりました。

――そういった取り組みが上手い方向に回っているのでしょうか

佐藤晋 いろいろ問題もあったんですけど・・・。そうですね、はい。

――チームのことについてお伺いします。先ほどこのチームは明るくて盛り上げられるがそのいい面と悪い面があるというお話がありましたが、具体的に挙げるとしたら何がありますか

佐藤晋 吉見がしっかり声出して盛り上げてくれますし、熊田(睦、教4=東京・早実)などおもしろくてユニークな選手も多いので、やっぱりここって時のちょっと緊張しているときに笑いで盛り上げてくれて、集中力を出したいときに集中できるところがすごくいいところかな。元気になるいいチームかなと思っていますね。悪いところはちょっとふざけがすぎるところがあると言えばありますね。練習中にメリハリがつけられないとか、そういうところがちょっと気になる部分もあるので言うんですけど、それ以上にいい面の方が大きいのでそういうチームかなと思います。

佐藤厚 いいところは、さっき晋甫が挙げてくれた4年生のメンバーを中心にガッと行けることですね。そういうので試合の流れを変えたり、自分たちが厳しいところで流れを持ってくることができたりすると思いますし、それだからこそ春や夏のオープン戦でもビックイニングをつくるゲームができたんだと思います。逆に自分たちがちょっとここ踏ん張らないといけないとなったときにどうしてもやり切れないことがあります。ビックイニングをつくることもできるんですけど、逆にビックイニングされてしまう試合も全早慶戦を含め春にもあったかと。そこをチーム全体でここを粘りたい、ここを少し我慢しようというのが、できるようにはなってきているんですけど、それをチーム全体で試合に出ている選手もそうですし、出ていない選手も、自分の意識や考えが試合の結果に影響するんだと感じ、もっとそこに関心を持たすことができるようになれば変わってくると思います。

――今挙がった全早慶戦のこともお聞きします。全早慶戦は「課題の残る試合をしてしまった」と以前の取材でおっしゃっていました。全早慶戦2試合合わせて22失点となりましたが、全体を振り返ってどのように感じていますか

佐藤晋 やはり投手力というか、慶大打線がすごく良かったというのもあるのですが、あそこまで点を取られてしまうと試合がつくれないというか・・・。

佐藤厚 晋甫が投手力といったのですが、自分は守備のミスというか細かいスコアとかにはエラーで出ないようなミスで、二塁打を三塁打にされてしまったりとか、無駄な進塁打を許してしまったりとか、サインミス、バッテリーミスもあったなと思います。そういう試合をしているのは実際ピッチャーだけの責任ではないかなと思っていて、ピッチャーに押し付けるつもりは全くないですし、チームとして負けているのであればチームが実力がないだけなので。もちろんピッチャーも苦しい展開になったと思うのですが、そこで野手がミスしてしまったところもあると思うので、そこのカバーができるように攻撃だけじゃなくて守備ができれば良かったかなというのが22失点の中でもあったなと感じます。

――やはり今後はそういった小さいミスをなくすことを詰めていかないといけないという感じですか

佐藤厚 そうですね。2試合ともOBの本当に社会人のトップレベルでやっている選手と一緒に試合をさせていただいたのですが、試合後や試合中に話させていただく中ですごく印象的だったのが、細かいミスをポイントと考えておらず、あまり言うことができてなかったことについて「あれどういうことなんだ」と言われたことです。やはり「そういうことをちゃんと選手間で意見を出したりできないようであれば勝てない」と言われたのがすごく印象に残っています。監督さんの言っている『一』ということと同じなのですが、ワンプレーワンプレーにこだわらなきゃいけないなというのを感じました。負けてしまって22点取られた中でも、OBの人たちからいただいた刺激やアドバイスはすごく心に残っていますね。

――それはOBの方皆さんから言われたのでしょうか

佐藤厚 自分は2戦目の時に、一緒だった宇高さん(幸治、平23スポ卒=現日本生命)、右京さん(河原、平28スポ卒=現トヨタ自動車)に。佐竹さん(功年、平18人卒=現トヨタ自動車)ともお話しさせていただく機会があったのですが、宇高さんには試合中や試合後にもすごく熱い言葉を頂きました。右京さんとも一対一でお話しする機会を取っていただいて結構お話しする機会があったのでそういうのはすごく貴重な経験だったなと思います。

――佐藤晋選手もOB選手の方から頂いた言葉はありますか

佐藤晋 そうですね。1試合目、道端さん(俊輔、平28スポ卒=現明治安田生命)にまあいろいろ話をしてもらいました。道端さんは明治安田生命でやっていますが、明治安田生命と試合をやった時に明治安田生命の選手はすごく盗塁とか、すごく走って積極的にやっていて、そういうのを何故かという話をしました。どんどん盗塁だけじゃないですけど、いろいろトライすることをチームで積極的にやることを良しとしよう、失敗してもいいから、それはリーグ戦でしなければいい、リーグ戦でしないためにもっともっとオープン戦で積極的な取り組みやどこまでできるのかというのを自分が分かるためにもどんどんチーム全体に共有するなどといった取り組みをしていったら強くなるんじゃない?というお話をされて。あと2試合目西条の時に宇高さんに厚志と同じようなことを言われました。

――そういった面で刺激をもらった部分も大きかったですか

佐藤晋 大きかったですね。

――今は積極的にトライしていこうというチームとしてはなっていますか

佐藤厚 そうですね。ミスしても良しというか、積極的なプレーに関してはいいプレーだと。もともとそんなに否定的ではないのですが、もっと積極的にしようとなりました。

――お二人についてのお話をお伺いします。お互いから見て、どのような主将、新人監督に見えますか

佐藤厚 自分たちの代でもともと引っ張る選手があまりいなくて、いろいろな局面であの場面だったら誰がとか、一人が中心なってやるというよりいろいろな人が引っ張っていく代なのですが、晋甫はそんな中で主将という肩書きを新チームになってから背負うことになって大変なところもあると思いますし、すごく真面目な性格をしているところがあって背負い込んじゃうところもあります。実際春もリーグ戦最中に苦しんでいるなと感じる場面もありましたが、それでも早慶戦で3戦連続本塁打を打つなどそこを打開してくれる男です。自分は本当にチームの中でも信頼していますし、逆に晋甫がここまで悩んできている分、秋は天皇杯を晋甫に受け取ってほしいです。やはり春の閉会式で本当に悔しかったので、なんとか最後背番号『10』を前に出して閉会式で天皇杯を受け取ってほしいなと思いますね。ケガして焦る気持ちもあると思いますが、戻ってきてくれると思っています。チームはチームでまとまって、(晋甫は)チームのことを考えすぎずにちゃんと直してそこから戻ってきてほしいなと思います。

佐藤晋 すごく根が優しいんです。リーグ戦後もリーグ戦中も悩んでいたっていうふうに言っていたんですけど積極的に「大丈夫か?」と話を聞いてくれますし、いろんな人に声を掛けているのを見ます。すごく優しい、優しい気持ちを持った人ですね。ただ、そんな中でやらなきゃいけないこともすごく分かっていて、まあ練習中でもすごく優しいんですけど、言わなきゃいけないと分かっていると思うので、厳しいことを大きな声で話してくれます。すごく責任感も強いですし、そういった意味で頼りになるというか、学生コーチとしてチームを引っ張ってくれていると思っています。

――佐藤厚選手はいろんな人に声を掛けにいこうと心掛けているのですか

佐藤厚 やはり自分が学生コーチとして一人でも多くの選手にいい結果を残してほしいとか、いいプレーをしてもらいたいという気持ちがあります。新人監督とか学生コーチというメンバー構成やベンチ入りも決める立場で、声を掛けることが果たしていいことなのか悪いことなのか難しいところだとは思うんですけど、一対一で話をすることで何を考えているとか、今どういうモチベーションでやっているのかとか、何か悩みあるのかなとか一対一じゃないと分からないことがあると思うので、そこをすごく感じ取りたいと思って声を掛けるようにしています。

――現在は役職もあって変わらなきゃいけない部分もあったかと思いますが、初めて会った時と今で変わった部分はありますか

佐藤晋 厚志はすごく優しいというか、1年生の頃から人が嫌がるような仕事を積極的にやってくれるすごく責任感をあるいいやつでした。その反面ちょっと人に言いにくいこととかなかなか意見できないようなタイプだったんですけど、こういう役職に就いたことで言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないと厳しいことをしっかり言ってくれるようになって、そこは変わったかなと思っています。

佐藤厚 今高校生練習会やっているじゃないですか。(4年前に)晋甫が来ていて自分も来ていたんですけど、なんか名前の順に並ばされて、一緒にキャッチボールとかさせてもらって。晋甫が甲子園出ていたのは知っていたので、その時はこんな人と一緒に野球やりたいなと思っていました。実際入って最初はすごく怖いというか静かだったのでどういう人かなと感じたのですが、でも真面目なのは本当に真面目でした。そんな中でもキャプテンになって新人戦のキャプテンをやっていく中で、自分だけじゃなくて他の人にチームのことについて意見することを意図的にやっているんだろうなって思っています。

――佐藤晋選手は怖いとみられがちですか

佐藤晋 そんなに社交的じゃないというか、積極的に話しかけに行くタイプじゃないので、やっぱり無口だと不愛想に見えるという印象を持たれやすいのかなと思っています。

――全然そんなことないですよね

佐藤晋 そんなことないですよ(笑)。

――それぞれの役職に就任してからもう半年以上が経過していますが、就任当初こんな主将になろう、学生コーチになろうと目指したところから変わったところはありますか

佐藤晋 やはり自分がキャプテンにやるときに、中村さん(奨吾、平27スポ卒=現千葉ロッテマリーンズ)や石井さん(一成、平29スポ卒=現北海道日本ハムファイターズ)、右京さんを見ていて、やはり自分がプレーで引っ張っていこうという思いがありました。レベルが高い人ばかりだったので、自分がプレーで引っ張っていかなきゃと思っていたんですけど、なかなかうまくいかないというか・・・。元々守備が得意じゃなかったので、そこで自分がエラーした時に申し訳ないというか。そうじゃなくて、やはり自分のことだけじゃなくて、やはりチームにもっともっと目を向けて気を配って、という風にやっていかなきゃいけないんだなと、厚志と話したりして気付きました。もちろん完璧にやっていくのが理想なんですけど、できないからってそこで放棄するんじゃなくて、チームのことを第一に考えなきゃいけないので、そこは変わったというかそんな感じですね。

佐藤厚 いろんな人から助言を頂くこともありましたし、自分らが1年生から3年生の時にお世話になった新人監督の姿も頭にはあったんですけど、でもそれも結局は自分が自分らしくやるためにどうしたらいいかなというのを考えていきたいと思っています。できないこともありますし、学生コーチとしてあるべき姿というのはあるとは思うんですけど、もちろん正解はないと思うので、そういうのを模索しながらやっています。試合中に声を出したりとか、ベンチから選手を迎えたりというのを意識的にしているのですが、リーグ戦を戦っていく中でこれがチームとってプラスになっているなら続けていこうという感じでやっています。

――部員が多く全員のモチベーションを保つのは難しい部分があるかと思いますが、そんな中でチームまとめるときに気を付けていることはありますか

佐藤厚 難しいですね・・・。

佐藤晋 でもやっぱり声を掛けることじゃないですかね。メンバー内外、1年生、4年生問わず。自分が1年生の時にメンバーに入っている4年生とかに話しかけてもらったりすると、やはりすごいなというか、一緒にやって自分も、という機会にもなりますし。やはり野球を教えてくれたり、バッティングのことも苦手だなと思うこともいろいろ教えてくれたりする機会があるとやはり頑張ろうと思います。チームのためにやろうという意識が生まれてくるんじゃないかなと思っているんで、声を掛けてあげることですね。あげるというか、コミュニケーションがすごく大事なんだなと思います。

佐藤厚  自分の立場としてはいろいろ選手と学生コーチの関わり方っていうのがあると思うのですが、特定の選手だけじゃなくて、下級生でも4年生でも、どうやったら話をするか、どうやったらチームの優勝のために一人一人がもっと重く何ができるかというのを考えると、まず自分が一人一人の部員のことを知らないといけないと思います。それは話をしないとか、他の人から聞いた話で印象を決めるのではなく、一対一で話をして「そういうことを考えているんだな」と気付けますし、話をしていく中でチームのことも個人的な話もできるのでそれを大事にする。晋甫がさっき言ってくれたように、声を掛けて話を聞くっていうのは大事にしていますね。

――夏は遠征が多くあったと思いますが一番印象に残っている場所はありますか

佐藤晋 なんだろうな・・・。ああでも、熊本ですかね。球場に行くまでに、家があったけどさら地になっているとか、石垣が崩れているとかそういう震災の跡を見させてもらって、そういうところで僕たちが行って野球をすることに意義があると感じましたし、少しでも現地の人々に元気をあげられるようにしたいなと思いました。やはりああやって大変な思いをした中で、全早慶戦を企画して開催してくれるのはすごいありがたいことだなと思ったので、そういう意味で印象に残っています。

――佐藤晋選手は広島県出身ですが、全早慶戦や東京六大学オールスターゲーム(オールスター)にご家族やご友人などは見に来ていらっしゃいましたか

佐藤晋 西条と宮崎は親が来てくれました。西条は自分は試合に出ていないので何にもしてないんですけど、宮崎は試合に出られて。話もちょっとだけしました。普段はリーグ戦終わりの早慶戦だけは見に来てくれることが多いんですが、それ以外はほとんど会わなくて会うとしても年末くらいなので良かったです。

――ことしの夏は夏らしいこともされましたか

佐藤晋 はい。チームみんなで海行ったんですけど、海に行った日が大雨で。行く前から雨降っていることが分かっていたんですけど、熊本あって西条あって宮崎あって、空いている週が真ん中の週しかなくて、そこで行こうぜとなって行ったら大雨だったんで。まあ夏らしいことをしようと思ったけど、結果夏らしいことできなかったなみたいな。行って大雨の中海入りました(笑)。

――全員で海に行くということなど、学年でのイベントは普段あまりないですか

佐藤晋 全員集まるってなかなかなくて。その時も何人か来られなかったんですけど、いい思い出と言えばいい思い出です(笑)。

佐藤厚 人数も多いですし学年でそういうことするってのが難しいと思うので企画してくれた人にも感謝したいですし、いろいろ雨が降ったりとかあったんですけどいい思い出になるかなと思っています。

「試合に出ても出られなくても、全力プレーでチームを引っ張っていく」(佐藤晋)

部員からも慕われる存在である主将の佐藤晋

――最後に秋に向けてのお話をお伺いします。先日のオールスターでの取材で、今後やっていきたいこととして佐藤晋選手は「得点のかたちをつくりたい」というお話をされていました。佐藤厚選手は、開幕まで2週間切っている中でチームとしてやりたいことはありますか

佐藤厚 もちろん晋甫が言ったことは試合の中でだと思うのですが、チーム全員でリーグ戦を勝ち抜く一つの目標に向かって全員で行くっていうのを再確認したいですね。2週間を切った中できょうの練習で少しずつノックや声出しとかも4年生中心にできてきていると思います。それをリーグ戦に向けて、リーグ戦2カ月あるのでどこに一番に行くかというのも難しいと思うのですが、そこをチーム全員ガッていくことやっていきたいです。試合では晋甫も言った通り。春は入りではいろいろ模索していく中でやっていたのですが、秋のリーグ戦ではどうなるか分からない中でもどこからでも点が取れるようにしていきたいですし、それをリーグ戦を戦っていく中でつくっていければいいなと思います。

――現在オープン戦では勝ち越していますが、現状をどう受け止めていますか

佐藤晋 例年は社会人相手が多かったんですけど、今回ちょっと少なく2試合しかないのでそういう相手に勝てるぐらいじゃないといけないのかなと思っています。どうだろう?

佐藤厚 まあでもいろいろな選手が出てきていますし、勝つという結果はいいと思うのですが、いろいろ課題も出ている中でちょうどいい節目に全早慶戦がありました。序盤に熊本があってちょっと良くなったかなと思ったら愛媛があって。そこでまだこれでも慶大には勝てないなというのは感じました。節目節目で慶大とやってまだ自分たちに足りないことを確認できているので、そこを帰ってきてオープン戦でやっているので、勝っていることどうこうではないですね。

――手応えを感じた試合や、課題が露呈してしまった試合はありますか

佐藤厚 難しいか晋甫は。

佐藤晋 見てない試合もあるからね。

佐藤厚 さっき話したサヨナラ勝ちした関学大戦はいいかなと。さっきから全早慶の話ばっかりで申し訳ないのですが、1戦目に比べれば2戦目の方がスコア的にも、最後少し追い上げましたし、ああいう試合はできるとは思いました。でもやはりあの中でもミスがあったのでそれをなくす。そこができれば10月の最終の早慶戦で慶大から勝ち点を奪うことにつながると思います。春は慶大から勝ち点を奪えていないので、慶大から勝ち点を奪ってリーグ戦で優勝するのが最高だと思います。その手応えを感じるというか、2週間無駄じゃなかったのかなという風に思ってほしいですね。

――髙橋監督は「この代は優勝したい気持ちが強い」とおっしゃっていますが、それに関してはいかがですか

佐藤晋 やるからにはやっぱり優勝したいというのはみんなの共通認識です。4年生の代で優勝する。4年秋が最後のシーズンなので、そこでいいかたちで終わるのが最高というのはみんな共通の認識だと思っているので。俺たちの代だからとか、どの代もそう思っているとは思うんですけど。監督さんの目からそうやって映っているのかな。まとまりがある風に映っているのかな。

佐藤厚 僕らがちょうど2年生の時に、右京さんたちの代を見てきたので。あの時の代は刺激になりますし、2年生という一番いろんなことを感じられる時期に優勝を経験できたので、みんなそれでいろいろな思いを持ったのかなと。僕は参考にしているのかなと思いますね。

――早大のユニフォームを着るのも残り2カ月となりましたが、個人的にやりたいこと、やり切りたいことはありますか

佐藤厚 自分はもう最後までやり切ることです。4年前の練習会のときもそうですけど、やはり早大のユニフォームを着ることをずっと夢見て野球をやってきたので、本当にいまそれを着て戦えていることに感謝しなければいけませんし、だからこそあと2カ月後悔しないようにやり切りたいと思って。高校の頃の監督さんに「やり切ることが大事だ」と言われて、それが自分中でものすごくキーワードになっていて大事にしなきゃいけないことなので、それはやっていきたいなと思います。

佐藤晋 やはり早大のユニフォームを着てプレーする以上は後輩も見ていますし、OBの方も見ていますし、応援される方も見ていますし。キャプテンとして、試合に出ても最悪出られなくても、見ていて印象に残るというか、気持ちよくなるような全力プレーでチームを引っ張っていくことですかね。とにかく全力でやることです。全力でやります。

――最後に、秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

佐藤晋 最後なのでチーム一丸となっていけるように。自分が引っ張って最終的には優勝できるように秋のリーグ戦頑張りたいと思います。

佐藤厚 自分にとって野球人生最後のシーズンなので、自分どうこうじゃなくてチームが優勝して日本一になって最後4年生38人で笑って終われるようにしたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤佑紀乃)

チームを引っ張る二人の強い覚悟が垣間見えた対談でした

◆佐藤晋甫(さとう・しんすけ)(※写真左)

1995(平7)年6月10日生まれ。174センチ、80キロ。広島・瀬戸内高出身。教育学部4年。今回色紙には秋季リーグ戦への意気込みを書いていただきました。佐藤晋選手が書いた言葉は『完全優勝』。色紙に書く言葉がなかなか思い付かない佐藤晋選手は「吉見、お前の力が必要だ」と隣で対談をしていた吉見選手にアドバイスを乞い、この言葉に決めました。笑顔で言葉を考える二人の姿から、主将と副将の変わらず信頼関係が垣間見えました。

◆佐藤厚志(さとう・あつし)(※写真右)

1995(平7)年11月7日生まれ。183センチ、88キロ。茨城高出身。スポーツ科学部4年。春のリーグ戦後に教育実習のため、故郷・茨城に帰り母校を訪れた佐藤厚選手。懐かしさを感じた一方で、担当学級でトラブルもあり大変なこともあったんだとか。ちなみに遠征で訪れた愛媛も茨城と雰囲気が似ていてお気に入りの場所となったそうです。

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