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2017.09.14

【ラグビー連載】関東大学対抗戦開幕特集『WORK HARD』第1回 フランカー/NO・8下川甲嗣×フランカー/NO・8丸尾崇真

 この春、赤黒のユニフォームに袖を通したバックローのルーキー二人。それがフランカー/NO・8丸尾崇真(文構1=東京・早実)とフランカー/NO・8下川甲嗣(スポ1=福岡・修猷館)だ。デビュー戦以降Aチームでスタメンとして出場し続ける下川と、熾烈(しれつ)なポジション争いの中でAチーム定着を狙う丸尾崇。着々と成長を遂げていく二人の、初の関東学生対校戦(対抗戦)を前にした今の心境を聞いた。

※この取材は9月5日に行われたものです。

「チームの力になれるように」(下川)

1年目からスタメンとして活躍する下川

――入部の経緯を教えてください

下川 ワセダに入学を決めたのは高校3年の5月で、それまでは全然(早大進学の)話はありませんでした。学校で部活をして家に帰って寝ようとしていた時に高校の監督から電話がかかってきて、「あした山下監督(大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)がお前に話をしに来るから、きょうのうちにどうするかを決めろ」と言われました。それで一晩寝ずに考えて、次の日に山下監督に会って監督の熱い思いに心を打たれて、ワセダで『日本一』を獲りたいと思って入部しました。

丸尾崇 僕は兄(隆大郎、社3=東京・早実)につられてラグビーを始めて、小学校からワセダの初等部だったのでワセダのラグビーを観て、ワセダでラグビーをやりたいと思って入りました。

――丸尾選手は、大学に進学したらラグビー部に入ろうというのは早い段階から決めていらしたのですか

丸尾崇 そうですね。

――高校時代などで、入部する前に抱いていた早大ラグビー部のイメージはどのようなものでしたか

下川 ワセダのラグビー部のイメージとしては、高校時代は有名ではなかった選手とかそんなに知られていなかった選手が、自分の力で赤黒を着るまで登り詰めて、そういう選手が集まった強いチームだなと思っていました。

――実際に入部してみて、想像と違ったことはありましたか

丸尾崇 思っていたより練習がきつい(笑)。

下川 自分もそうです(笑)。

――お互いに他己紹介をしていただけますか

丸尾崇 下川は、プレーは安定していてすごいと思います。私生活はちょっとスベってます(笑)。ちょっとと言うか、ずっとスベってますね(笑)。

――では、下川選手から見た丸尾選手はどのような方ですか

下川 (お互いの出身校が)修猷館と早実ということで毎年交流試合があったのでその時から知っていたのですが、体も大きくてプレーも堂々としていて、恐らく大学で一緒になるんだろうなとライバル視していました。私生活は結構几帳面でしっかり者で、たまにふざけるところはふざけて、メリハリがついている感じですね。しっかりするところはしっかりしていて、同期がいけないことをしている時はとことん指導するしっかり者ですね。

丸尾崇 こんなに言ってくれるなら(下川の)もっといいこと言えば良かった(笑)。

――バックロー同士、お二人は練習以外でも話すことが多いのですか

丸尾崇 そうですね。一緒にいる時間は一番長いかもしれないです。合宿とかで部屋が一緒だったり、結構一緒にいるよね。

下川 階が違ってもね。

丸尾崇 ついてくるんだよね、お互いに(笑)。

下川 確かに一緒にいる時間はチームの中で一番長いですね。

――他によく話す1年生はいらっしゃいますか

丸尾崇 みんな結構しゃべるよね。寮生はよく話すし、外勤とも話そうと意識しています。

――ことしの1年生のカラーはどうですか

丸尾崇 静かな人が多い。

下川 確かに。

丸尾崇 おとなしめです。

――ここからは、これまでのシーズンの振り返りをしていきたいと思います。入部してからの半年を振り返って思うことを教えていただけますか

丸尾崇 チームとして勝つという結果が出ていないので、僕自身もあまり自信を持つことができませんでしたし、勝ち切ることの大事さを感じました。

下川 厳しい試合を想定した練習は春夏とやってきたんですけど、その練習が試合に結びついていないなと思いました。技術の部分で負けているところもたくさんあるんですけど、気持ちの部分で、ワセダのラグビー部でプレーしているというプライドが足りないのかなと春夏の試合を通して感じました。

――帝京大と東海大はことし2回ずつ対戦し、どちらも大敗という結果に終わりました。帝京大や東海大との差としてはどのようなところが挙げられますか

下川 個人としては、技術面もまだまだ足りないし、体力も足りないんですけど、そもそもメンタル面でも負けていたのかなと思いました。

――具体的にはどのようなところでしょうか

下川  ワセダに比べて帝京大・東海大というのはいい選手がたくさんいて、その中でも自分の体のこととかを自分たちよりも考えているのかなと思います。向こうの方が体が大きくて技術もあって、その相手に対してワセダは体とか技術で劣っている分を運動量とか1人1人の仕事量でカバーしないといけないんですけど、帝京大や東海大の方がまだそこが上だったので、まだ差は縮んでいないのかなと思っています。

――丸尾選手はいかがですか

丸尾崇 帝京大とか東海大という大学の名前だけで相手を実力以上の相手だと思ってしまったことが反省点ですね。

――この半年間で印象に残っている試合はどの試合になりますか

下川 流通経大戦で初めて校歌を歌って試合に臨んで。そこで改めてワセダでラグビーをしているんだと感じましたし、全国大学選手権(大学選手権)の決勝の舞台でまた校歌を歌って優勝したいなと思いました。初めて校歌を歌った試合ということで、その試合が印象に残っています。

丸尾崇 僕は夏の帝京大戦です。僕はふがいないプレーをしてすぐに交代してしまったんですけど、春の帝京大戦はケガで出ていなくて、初めて夏に帝京大と対戦して自分の力の無さを、特にメンタル面で痛感した試合だったので落ち込んだというか、印象に残っています。

――ことしの夏(7月・網走合宿・菅平合宿)では個人としてどのような目標を設定されていましたか

丸尾崇 僕はまずはスタメンを勝ち取って、そこで80分間戦い続けて相手に勝つことを意識して過ごしました。

下川 春の東海大戦からずっとスタメンで出させてもらっていて、コーチにも「お前がボールを持った時はゲインできている、だからお前はボールに触る回数を増やせ」と言われていて。1年生だけど試合に出れば学年関係ないですし、そこに期待してもらっていると思っているので、チームで1番多くボールを持って前に出て、チームを引っ張っていきたいと思っていました。

――改めてお二人のデビュー戦である春の東海大戦を振り返っていかがですか

下川 僕たちはそれまでボールを触らない基礎的な体づくりをやっていたんですけど、試合の2週間前に「あしたから練習に入れ」と言われて、自分はその時にもうスタメンに名前がありました。試合は本当に緊張しましたし、2週間ではチームが今までやってきたことを理解しきれていなくて、分からないままがむしゃらに、チームの足を引っ張らないようにやっていました。

丸尾崇 僕は最初からスタメンだったわけではなくて、直前にケガ人が出てスタメンになりました。結構不安もあったんですけど、試合前に花道を通った時に勇気が湧いて頑張れました。

――下川選手はその後全てのAチームの試合に出続けました

下川 毎週毎週Aチームで練習する人も下で練習する人も変わっていて、毎日競争が激しくて。その中で自分なりに努力した結果が(Aチーム、スタメンに)つながって良かったです。でもワセダのバックローはタックルが激しくて運動量が豊富で、自分はタックルもチームの中でもそんなに行けていない方ですし、そういったところはまだまだだと思います。

――丸尾選手もその後もAチームでの出場機会がありましたね

丸尾崇 自分は運動量が少ないので、まずはその部分を改善していかないと定着できないと思っています。

――チーム内でライバル視している選手はいらっしゃいますか

丸尾崇 甲嗣かな。ライバル視しているわけではないけど、いい意味で、ね。

――お互いに高めあう仲なのでしょうか

丸尾崇 そんなかっこいい言葉かな(笑)。そういうことにしておきましょう(笑)。

――チームのことに関してですが、夏はアンストラクチャーの部分やセットプレーに取り組んだとお伺いしました。その成熟度や手応えについてはいかがですか

丸尾崇 アンストラクチャーの部分は、練習では結構できていると思います。セットプレーについては、モールでトライを取って、相手にはモールでトライを取らせないために網走合宿で結構モールをやったんですけど、まだ足りていないなと思います。

――改善されているところとまだまだのところがあるということでしょうか

丸尾崇 そうですね。

――この半年間で得られたもの、成長できたと感じることは何かありますか

丸尾崇 高校の時はディフェンスをあまりせずにアタックばかりしていたんですけど、大学になってディフェンスもやるようになって、悪くないなって思いました(笑)。

――ディフェンスへの意識が変わったということでしょうか

丸尾崇 そうですね。高校は全くしなかったので、ディフェンスに取り組む意識が芽生えました。

――下川選手はいかがですか

下川 自分も高校の時はディフェンスは味方に任せっきりというか。自分はディフェンスがしたくなかったのでディフェンスをしていなかったんですけど、対抗戦とか大学でレベルが高い試合では全員がディフェンスやタックルをしなければ勝てないので、ディフェンスをやるようになったことで今までの自分を捨ててしっかり自分と向き合ったというか、ちゃんとチームの力になれるように頑張ろうと思って練習しました。

「失くした自信を取り戻す」(丸尾)

熱い思いを語った丸尾崇

――対抗戦を間近にした現在のチームの雰囲気やチーム状況はいかがですか

丸尾崇  チームとしてはまだ発展途上というか。(開幕まで)あと少ししか時間はないですけど、ここで一気に上がれるか上がれないかが大事になってくるので、そういう意味では結構緊張感があります。

――お二人にとって初めての対抗戦を迎えますが、対抗戦に対する思いや緊張などはありますか

丸尾崇 結構不安が大きいんですけど、赤黒を着て戦う以上は全力でやらなければいけないと感じています。

下川 春(関東学生春季大会)も公式戦なんですけど、秋の対抗戦は本当の意味での公式戦なので、試合に出させてもらっている感謝の気持ちを忘れずに、試合に出られない部員の気持ちも背負って、チームの代表として『日本一』を絶対につかむんだという強い気持ちを持って臨みたいと思います。

――自分以外に早大のキーマンを挙げるとしたらどなたを挙げますか

丸尾崇 甲嗣かな。

下川 それじゃ面白くないって(笑)。自分は古賀由教くん(WTB、スポ1=東福岡)ですかね。

丸尾崇 あー。よっしー(古賀)すごいよね。

――古賀選手を選んだのはなぜですか

下川 ボールを持ったら絶対にゲインしてくれる安心感を自分たちの中でも感じます。

丸尾崇 ボールを持ったら何かをしてくれるんじゃないかとみんなが思えるようなプレーヤーだと思います。

――他大でライバル視している選手はいらっしゃいますか

下川 他大・・・。みんな怖いです。

丸尾崇 みんなすごいよな。あんまり人のことを考えている余裕はないです。来たら向かっていくって感じですね。

下川 かっこいいね(笑)。

――対抗戦のヤマ場となるのはどの試合だと考えていますか

丸尾崇  1番のヤマ場はやっぱり帝京大戦かなと思っています。夏に大敗して失くした自信を取り戻すには帝京大に勝つしかないと思うので、ヤマ場は帝京大戦だと思います。

下川 僕は筑波大戦かなと思います。もちろん最初の日体大戦と次の青学大戦でも自分たちのラグビーをして圧倒していきたいんですけど、筑波大戦のあとは(成蹊大戦を挟んで)帝京大・慶大・明大と強豪が続くので筑波大戦でいい勝ち方をしたいですし、そこでいい勝ち方ができるかがその後の試合がどうなるかを決めるような試合になるんじゃないかと思います。

――チーム内で自分に求められている役割はどのようなものだと思いますか

丸尾崇 チームとしてはハードワークを求められていて、僕個人としてもハードワークが全然足りていないので、それをすること。あとは思い切ったプレーをすることかなと思います。

――思い切ったプレーというのは、ディフェンス・アタックどちらを指していますか

丸尾 両方ですね。

――下川選手はいかがですか

下川 ボールタッチの回数を増やすことは練習の時からずっと言われているので、ボールを持ったら必ず前に出ること。それが自分の役割というか、使命だと感じているので、ボールを持ったら必ず前に出る。あとはセットプレーの安定です。全員がやることでもあるんですけど、自分はラインアウトでリフトしたりボールに絡んだりすることが今の課題だと思っています。自分がそれをうまくできたら得点にもつながると思いますし、そういったものが求められていると感じているので、そこを頑張りたいと思います。

――対抗戦での個人の目標はありますか

丸尾崇 まずは試合に出続けることですね。

――そのために必要なことは何だと考えていますか

丸尾崇 ハードワークをすることだと思います。

――下川選手はいかがですか

下川 前に出ることです。春夏とずっと試合に出させてもらって、チームの戦術や自分のプレースタイルについても理解できてきたので、対抗戦を戦っていく上で選手はいっぱいいますけど、その中でもケガなく全試合に出場することが目標です。

――では最後に、対抗戦に向けての意気込みをお願いします

丸尾崇 対抗戦は『日本一』になるために強豪校と戦う場であるので、そこで自信を取り戻せるように頑張ります。あとはがむしゃらに1戦1戦、1秒1秒戦い続けることが大事だと思うので、戦い続けたいと思います。

下川 赤黒を着られることに感謝して、出られない人の分まで死に物狂いで敵に向かっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小川由梨香)

私生活も一緒にいることが多いというお二人。対談からも仲の良さが感じられました!

◆下川甲嗣(しもかわ・かんじ)(※写真左)

1999(平11)年1月17日生まれ。187センチ。100キロ。福岡・修猷館高出身。スポーツ科学部1年。ポジションはフランカー/NO・8。寮で同部屋のSH齋藤直人選手(スポ2=神奈川・桐蔭学園)によると、部屋ではよくスマホを触っているという下川選手。ドラマを観ることにハマっているそうです。試合では縦横無尽にフィールドを駆け回り、積極的にボールタッチを狙います!

◆丸尾崇真(まるお・たかまさ)(※写真右)

1999(平11)年1月8日生まれ。182センチ。97キロ。東京・早実高出身。文化構想学部1年。ポジションはフランカー/NO・8。小さいから早大ラグビー部の試合を観ていたという丸尾崇選手。大学での赤黒はやはり憧れだったようです。下川選手と切磋琢磨しながら成長し、これからますます活躍してくれることでしょう!

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