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2017.03.14

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第52回 岡本拓夢/合気道

合気道が、好きだからこそ

 理想の主将像とは何だろうか。今年度合気道部主将を務めた岡本拓夢(商=神奈川・聖光学院)には確固たる理想があった。それは道を示す主将だ。どう勝つのか、綺麗に勝つのか、とりあえず勝つのか。部を引っ張るうえで主将が口ばかりでは後輩はついてこない。だからこそ背中で見せることを目指してやってきた。

 大学で何か武道や格闘技をやってみたい、黒帯を持ってみたい。そんな思いから新歓でたまたま見つけた合気道部。部の雰囲気や、先輩後輩の仲も良さそうだった。「せっかく始めるのであればサークルではなく部に入って全力で取り組みたい」(岡本)。高校時代まで運動未経験ながらも、強豪ワセダの合気道部への入部を決意した。当初は疲労骨折や怪我などに見舞われ、1年生のなかでも出遅れているのではないかという意識もあった。しかし2年春の新人戦で初めて他校の選手と対戦し、3回戦まで進んだことで、自分の合気道がある程度通用すると気付き、自信がついた。だが、同時に根本的に体力や筋力がまだまだ足りないことも痛感。自分の立ち位置がわかる、大事な大会になったという。

主将として1年間戦い抜いた

 転機となったのは2年秋の関東学生大会。上級生の相次ぐ怪我により団体戦を同期4人と先輩1人で戦うことになる。決勝まで進むも、優勝とはならなかった。同期中心で戦うというのはいわば4年生を見据えた前哨戦。「確かに団体戦は楽しかった。でもそれだけでは勝てないと知った」と岡本はいう。歴代の先輩が当然のように築いてきた華々しい成績、結果を残す大変さや偉大さを実感。その時から、勝つため、結果を残すための合気道を目指すようになっていった。

 もともと裏方で支えるタイプだと漠然と思い、将来は主務になるのではないかと考えていた。ただ試合に出場すると、「意外と勝てる、勝つたびにもっと勝ちたくなる」。最終的に全国大会でもライバルになるのはワセダの選手であることが多い。そのため、部内でも負けたくないという思いが強くなった。もともとは控えめだったが、次第に人間関係や新歓なども積極的に関わっていこうと意識を変えていった。そして最上級生になった時に監督から告げられた主将という立場。岡本にとって主将のイメージは自らが1年時の主将である久保田雅弘(平26教卒)。初めて見た体育会のかっこいい主将の姿への憧れもあり、主将を務めることになったのは嬉しかった。こうして迎えた主将としての1年間を「楽しかったが、辛かった」と振り返る。理想の主将像に近づくように自分が実践してみせることを大切にした。毎日の練習メニューは、部員の状況を踏まえて一から考えなければいけない。主将になってからは弱い姿を見せられないと痛みを周囲に隠し、無理を押して練習もした。それでも部をまとめることができたのは、「同期や後輩に助けられた」からだと語る。部員みんなで刺激し合い、高め合う雰囲気ができていった。そして迎えた最後の全国大会では、男子団体で優勝。「4年間で一番嬉しい体験」。試合が終わった瞬間岡本は喜びが抑えきれなかった。

 岡本にとって、合気道とは。「合気道とは自分にとって、本当に趣味のひとつ。仕事でもなく好きだからやってること。好きだからこそやりこみたいものだった」。合気道を心から楽しみ続けた岡本らしい言葉だ。今後は毎日稽古する生活ではなくなるが、趣味として合気道を続けていくつもりだ。4年間ワセダの体育会部員として合気道と向き合い過ごした日々は、今後の人生の糧となっていくことだろう。

(記事 石黒歌奈恵、写真 當間優希)

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