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2017.03.10

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第48回 中嶋恒太 /ワンダーフォーゲル

失敗を通じての成長

 「ワンゲルは成長させてくれた場所」とワンダーフォーゲル部として過ごした日々を振り返る中嶋恒太(国教=長崎・青雲)。その競技生活は決して順風満帆なわけではなかった。一年間留学で部を離れざるを得なく、経験が浅いまま主将となったこと。加えて、唯一の同期が冬の活動には参加できなかったこと。それらの困難を乗り越え、成長した先に見えたものとは。

  中学・高校ではバスケットボールに打ち込んだ中嶋。しかし、勝ち負けを競う競技スポーツが性格に合わず、大学では新しく熱中できるものを探していた。そんな時に出会ったのがワンダーフォーゲルだ。登山・スキー・自転車など多種多様な競技ができる点に心惹かれ、ワンゲルの活動に打ち込んだ。

山スキーの活動をする中嶋

 中嶋が主将になったのは留学から帰ってきてすぐの3年生の9月。一年間のブランクがあり、最初は主将として何をすべきかがわからなかった。組織全体について全く考えず「無事に楽しく終わればいい」と思っていた。しかし、冬合宿で早くも自分の考えの甘さを知る。(雪山を登る際に雪を払いのけ、風を避けるために使う)外張りを部員が忘れるなど、多くのトラブルが起こってしまったのだ。その一つ一つはささいなことのように思える。しかし、命の危険と隣り合わせのワンダーフォーゲル部での活動では常に最悪の事態を想定する必要があり、それらのミスは大問題だったのだ。そして、その責任は全て主将が背負う。監督やコーチに叱られ、部員全員の命を預かる意識が希薄だったと痛感した。それからは部員の命を守るためにやれることはすべてやらないといけないという意識が芽生え、責任感という言葉の意味を身に染みて理解するようになった。

 その次のプレ春合宿では準備段階から心を入れ替えて挑んだ。冬合宿での失敗を経て意識を切り替えたのは中嶋だけではない。部全体として一つのミスも出さない、何としてもこの合宿を成功させるという雰囲気が生まれ、指示される前から皆が考えて行動するようになった。皆で同じ方向を向いて準備・活動する姿に初めて「部員全員の一体感」を感じ、自分自身だけでなく組織として大きく成長できた手ごたえを得た。

 「とにかく感謝しかない」。中嶋が成長できたのは、駄目だった自分を最後まで見守ってくれた監督とコーチ、頼りになる同期、優秀な後輩がいてこそ。自分を支えてくれた多くの人々への恩義を中嶋は忘れない。卒業後は、後輩たちにアドバイスを送る側として今後も部活に関わっていく。今度は、自分が後輩の成長を見守る番だ。

(記事 境智鷹、写真 ワンダーフォーゲル部提供)

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