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2017.03.09

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第47回 小路安希 /水球

完全燃焼

 「水球人生でやり残したことはありません」。この春ワセダを去る小路安希女子主将(スポ=埼玉・秀明英光)は14年間の水球人生を全うした自身を労うように、晴れ晴れとした顔で語ってくれた。同期が一人もいない中、女子水球部を一人で引っ張ってきた小路。初めはチームがまとまらず、水球を辞めることを真剣に考えた時期もあった。そして、関東学生リーグ戦の結果もふるわないまま日本学生選手権(インカレ)に。人数が少なく、選手層に不安の残るワセダにとっては厳しいかと思われたが、強豪・日体大とのシーソーゲームを1点差で制し、昨年度から順位をひとつ上げて2位となった。チームと共に歩み、成長させた小路とはどのような人物なのか、その4年間に迫る。

  名門・秀明英光高で水球をしてきた小路にとって、大学でも水球をするのは自然な流れであった。「高校までは監督の指示に従って練習を重ねれば強くなれていた」と語るように『教わる水球』をしてきたが、大学では『自分で考える水球』に憧れて学生主体のチームであるワセダの門を叩く。入部当時は同期が2人いたものの、1年生の10月には小路だけとなり、それからは先輩に助けてもらいながら仕事をこなしてきた。

 迎えた最終学年、一人で部をまとめるのは大変だった。人数が足りないためできない練習の代わりとなるメニューの考案、監督と選手たちのパイプ役であるがゆえに全体でのコミュニケ―ションや共通意識の浸透に難しさを感じ、辛い時期もあった。「大学生はサボることは簡単だけど、勝ちたいなら自分で考えて練習する必要がある」。選手主体であるからこそ、自らの水球に対する姿勢がそのまま試合結果に表れてしまうのがワセダだ。主将の立場は仕事として割り切って、後輩に厳しい指示を出したこともあるという。チームがひとつにまとまりだしたのは夏頃。「勝ちたいって気持ちでみんなが同じ方向を向くようになった」。インカレ優勝が現実味を帯びてきたのも、同時期だ。惜しくも決勝で敗れ結果は2位だったが、チームで積み重ねてきた努力が目に見える形としてあらわれ、小路の努力が報われた大会であった。

主将を務めた一年間、小路は強くあり続けた。

 「水球で得たものは一生ものの仲間です」。過ごしてきた時間の長さと密度は、一般的な大学の友達とは比べ物にならない。小路にとってチームメイトはかけがえのない存在となっていた。部員としてだけではなく、私生活でも多くの時間を共有してきた。その中でも、本音をぶつけ合ったからこそ気心の知れた仲となった次期主将の齋藤有寿(スポ3=山形工)には辛い時期に支えてもらった分、大きな信頼を寄せている。先輩からの期待を胸に、後輩たちはさらなる活躍を見せてくれるはずだ。最後のメッセージとして「努力は必ず報われる」と残し、小路は新たなステージへと歩みを進める。

(記事 上野真望、写真 井嶋梨砂子)

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