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2017.02.28

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第36回 宮崎俊哉/ホッケー

ホッケーのない人生なんて

  この春、1人の男が都の西北を去る。早大ホッケー部の主将を務めた宮崎俊哉(スポ=福井・丹生)だ。人並み外れた華麗なテクニックを武器にグラウンドを縦横無尽に駆け回り、エースとしても実力を発揮してきた。強豪校の推薦を断り、エンジの『3』を選んだ宮崎。たどった道のりは決して平坦ではなかった。自ら学び、経験してきた4年間は宮崎の目にどのように映っているのか。

  宮崎がホッケーを始めたのは小学3年生のとき。先に始めていた兄の影響と、ホッケーが盛んな地域で育ったのがきっかけとなった。さっそく才能を開花させ、次々と輝かしい成績を残していく。実戦経験を積み、大きな自信を持って早大に入学した宮崎。練習も試合も自分たちで考え、実行に移すスタイルにこれまでとの違いを感じたという。とはいえ高校屈指の有名選手であった宮崎は入学直後から試合に出場。ここでホッケー人生の転機となる出来事が起こる。1年次の春季関東学生リーグは5戦3敗。1部7位に沈み入替戦に臨んだ。「ここまで負け続けたことはない」。敗戦に敗戦を重ねていく、初めての経験に苦しんだ。同時に宮崎は1年生で唯一試合に出場しているにもかかわらず結果を残せないもどかしさを抱える。しかし逆境の中「何とかしなければならない」という気持ちが湧き、チームが勝つために意見を述べるなど、自分で考えて実践する早大のホッケーを会得していった。また、2年次には日本代表に選出。それまでは自らの技術を与える立場が多かったが。だが、宮崎を待ち受けていたのは卓越した技術や戦術を有する代表選手からひたすら吸収する、これまでとは全く逆の立場。かつてない刺激的な日々から大きな影響を受けた。

グラウンドで存在感を放った宮崎

  そして迎えた最終学年。満を持して主将となった宮崎を待ち受けていたのは苦難のシーズンだった。春季、秋季関東学生リーグ(秋季リーグ)通して準優勝、王座決定戦だった去年に比べ、勝利がつかめず先の見えない日々が続く。はつらつとした雰囲気は鳴りを潜め、主将としてチームを勝たせてあげることができないことに対し「申し訳ない」という言葉が目立つようになった。また、自らを前面に押し出しプレーをしてきた3年間に比べ、主将という立場からチーム全体について考えるようになったという。秋季リーグにおいては入替戦出場が確定し、失意の底で迎えた早慶戦。ようやく手にした大量得点での勝利に笑顔が弾けた。「早慶戦での勝利は特別」。苦しい中にも光明は見えた。

 相手を巧みに抜き去るドリブル、強烈なシュート。様々な武器でグラウンドに圧倒的な存在感を放ってきた宮崎は、どのような局面においても「彼ならやってくれるはず」という期待を受けてきた。ときに重圧となる期待を跳ね返すような圧倒的なプレーの根底にあったのは『自信』。苦しい場面でも「自分ならできる」と言い聞かせることで、グラウンド内外からの期待に応えてきた。

 「ホッケーのない人生なんて考えられない」。これまでの人生で、宮崎の隣には常にホッケーがあった。それは卒業し、社会人となってもそれは変わらない。「続けられる限りは続けていきたい」。エンジの『3』を背負い、グラウンドで輝きを放った姿はもうない。舞台を変え、自分を作ってくれたホッケーとともに次のステージへと進んでいく。

(記事、写真 榎本透子)

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