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2017.02.25

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第32回 加藤樹/米式蹴球

悔しさをバネに

 創部史上初の2年連続での甲子園ボウル出場を果たし、その立役者となった加藤樹(商=東京・早大学院)。時に人々は彼のことを『怪物』と呼ぶ。並み外れたスピードと卓越したテクニックを武器に、相手を粉砕する姿はまさしく、ワセダが誇る『怪物』。日本一へ向け、ディフェンスの柱としてチームを支え、不屈の闘志を燃やし戦い続けた男の軌跡をたどる。

 早大学院で米式蹴球部に入部した加藤は、全国高校アメリカンフットボール選手権(クリスマスボウル)で3連覇を果たし、最優秀ラインマン賞(安藤杯)を獲得した。先輩からの誘いを受けBIG BEARSに入部したが、1年時には大学のレベルの高さを痛感。「フィジカルが無いと話にならない」と、フィジカルにフォーカスした練習を積み重ねた。地道な努力が実を結び、徐々に大学でも頭角を現し、大学日本代表に最年少で選出される。「新鮮で衝撃的で、自分に足りないものを見つけ、プレーの幅を広げることができた」と、この経験が加藤の転機となり、更なる飛躍をもたらした。

復帰戦の慶大戦で躍動した

 チームに欠かせない存在となった加藤は、3年時に強豪校である法大、日大を破り、甲子園ボウルへの切符を手にする。加藤にとって、超えたくても超えられない存在であったコグラン・ケビン(平27商卒)と共に、甲子園で守備の要として奮闘するが、わずか1点差で破れ、涙をのんだ。「この悔しさを1年間忘れてはならない」と、副将としてチームをけん引することを決意した矢先、悲劇に見舞われる。膝の大けがだ。長期離脱を余儀なくされ、苦悩の日々が続いた。それでも、決して下を向かなかった。それは、チームのため、日本一のため。懸命なリハビリの末、リーグ優勝の行方を大きく左右する慶大戦で復帰を果たすと、その後の法大、日大との試合に快勝し、逆転で関東連覇を達成。2年連続で甲子園ボウル出場へ導いた。日本一へあと一歩。しかし、その一歩が遠かった。持ち味のスピードで幾度となく相手に襲いかかったが、攻守ともに高い完成度を誇る関学大に力負け。「去年の悔しさを思い出し、自分なりに必死にやってきて、悔いももちろんあるが同時にやり切ったとも思う」と、夢を後輩に託し、エンジのユニフォームを脱いだ。

 「アメフトは自分を支えてくれたもので、無くてはならないもの」と、語る加藤は、誰よりもアメフトに真摯(しんし)に向き合い、戦い続けた男。学生屈指の名LBの雄姿は、人々の目に焼き付けられたに違いない。卒業後もアメフトを続ける予定で、都の西北を離れてプレーすることになる。しかし、やるべきことは変わらない。ただ精進を重ね、頂を目指すのみ。加藤の飽くなき挑戦は終わらない。

(記事 成瀬允、写真 大槻竜平氏)

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