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2017.02.19

【連載】『平成28年度卒業記念特集』第21回 佐藤風薫/卓球


快挙の裏に

 昨年7月に行われた全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)で、見事創部史上初の優勝という快挙を遂げた女子卓球部。個性溢れるチームを持ち前の明るさでまとめ上げたのが、佐藤風薫(スポ=岡山・就実)だ。主将としてチームをけん引し、有終の美を飾った佐藤の卓球人生は続いていく。

 佐藤が父親の影響で卓球を始めたのは6歳の頃。週1回の練習から始まり、学年が上がるごとに練習頻度も増え、すぐに卓球にのめり込んでいった。中学3年時、佐藤は大きな決断をする。親元を離れ、岡山の名門校である就実中学・高等学校に転校したのだ。厳しい環境に身を置き、「何度も辞めたいと思った」とくじけそうになりながらも、4年間必死に練習に食らいつき実力を伸ばした。そして、高校時代に早大の練習に参加し、和気あいあいとしていながらも、メリハリのある雰囲気に魅力を感じ、ワセダへの進学を決めた。

  カットマンでありながら、プレーでは強気な姿勢を示した佐藤

 大学での練習は量やメニューなど、自分で主体的に考えて取り組まなければならなかった。だが、佐藤はこの練習環境の中で純粋に卓球を楽しめるようになっていた。1年時から団体戦に主力として出場し好成績を収め、順風満帆なスタートを切る。そんな中、2年時に佐藤は思わぬスランプに陥った。他大学から徹底的にマークされ、自分のプレーを封じられたのだ。「あそこまで勝てなくて悩んだのは初めてだった」。しかし、その苦境を自ら乗り越える強さが、佐藤にはあった。自分の弱点に正面から向き合い、試行錯誤を重ねる。その成果は徐々に表れ、佐藤は復調を果たした。そして、強豪早大女子卓球部の主将として大学ラストイヤーを迎える。

 「プレッシャーを感じずに思い切ったプレーをしよう」。これは、主将として、佐藤が最も意識してきたことだ。守備型戦術のカットマンだが、チャンスボールがくれば力強くラケットを振り抜く強気な主将の背中を後輩たちに見せた。金子碧衣(スポ1=愛知みずほ大瑞穂)と鎌田那美(スポ1=北海道・駒大苫小牧)ら、1年生をはじめとする後輩たちも堂々としたプレーで応え、ワセダは試合を重ねる度に力をつけていった。また佐藤がこだわったのはコート外での一体感。オフには自ら後輩を遊びに誘うなど、積極的にコミュニケーションを図ることでチームの結束を深めた。そして迎えた昨年7月のインカレ。「優勝は特に意識していなかった」と振り返る通り、ワセダの選手たちは落ち着いていた。試合に出場する選手は思い切ったプレーで、ベンチの選手たちは明るく一体感のある応援で盛り立てる。佐藤自身も全勝でチームの勝利に貢献し、チームは順調に勝ち上がった。迎えた決勝戦、ワセダの選手たちは持てる力を出し切り、見事創部史上初の優勝を達成。「まさか自分が主将をやることになるとは思っていなかった」。悩み、苦しみながら主将としてコートに立ってた佐藤だが、主将として任務を十分に果たした。そして、笑顔を絶やさず明るく引っ張ってきたチームは早大女子卓球部の歴史を変えたのであった。

 「来年こそはグランドスラムを達成してほしい」。佐藤の期待は後輩にも伝わっているはずだ。佐藤が見せた思い切りの良さや明るさは、ワセダの礎となり、きっと苦しい試合を乗り越える力となるだろう。自主性を重んじるワセダでの四年間で技術的にも人間的にも大きく成長した佐藤は卒業後、実業団に所属する。同期や後輩、スタッフ陣など周囲への感謝の念を忘れず、謙虚さに溢れる佐藤には明るい未来が待っていることだろう。「もっと成長して、悔いのない人生にしたい」。佐藤の歩みはまだまだ止まらない。

(記事 吉田寛人、写真 本田京太郎)

 

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