メニュー

競走部

« 特集に戻る

2016.10.16

【連載】駅伝強豪校主将特集『俺たちのキャプテンシー』第1回 明大・射場雄太朗主将

 先日行われた東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の予選会。明大はエース坂口裕之を欠きながらも見事2位で本戦通過を果たした。昨年度の箱根、まさかの14位に終わったチームをここまで率いてきたのが射場雄太朗主将だ。予選会にはどのような思いで臨み、本戦である箱根をどう戦い抜くのか。古豪復活を託された射場主将のお話を伺った。

※この取材は9月10日に行われたものです。

「主将としてお手本となるような行動を取る」

今季明大の主将を務める射場雄太朗主将。真摯(しんし)に質問に答える姿が印象的だった

――きょうはどういったメニューをこなされたのでしょうか

 きょうの練習はクロスカントリーのコースで60分ジョグ、きのう30キロ走を行っていますので、疲労抜きという意味合いもこめて各自のペースで練習を行っていました。

――約1カ月後(※取材時は9月10日)には箱根の予選会を控えていますが、射場選手から見た今のチームのコンディションはいかがですか

 8月1日から合宿が始まって徐々にチーム全体としてのコンディションも上がってきているかなと思っています。まだ特に1年生などはこれから疲れが出てくる時期だと思うんですけど、そこをなんとか乗り越えて10月15日(箱根予選会)に向けて万全な状態でスタートラインに立ちたいなと思っています。

――合宿はこの夏に何回かされていると思うのですが、この合宿では何をメインに練習されていますか

 今回は駅伝シーズン前最後の合宿ということでかなり実戦を意識した練習メニューが組まれています。今までは土台作りという側面が大きかったんですけど、今回は試合を想定したペースの練習をメインで行っていますので、やはり試合で、特に箱根の予選会のラスト5キロでいかにペースを上げていけるかというのをテーマにやっています。

――この合宿で射場選手個人が強化していることはありますか

 まずはケガをしないということが一つと、あとは予選会がすぐにありますので、後半周りがきつくなったときにいかに自分がしっかりと前に出ることができるかを意識してやっています。

――この合宿でのチーム全体の目標というのはありますか

 さっきと同じようになってしまうんですけど(笑)。予選会が1カ月に迫っているのでそこをメインに、予選会を突破した上で全日本(全日本大学駅伝対校選手権)、箱根といった今後結果を出すための合宿という意味でやっています。

――射場選手から見て、同じ大学内で動きの良い選手はいらっしゃいますか

 1年生の阿部弘輝と中島大就はこの合宿に入って非常に元気かなと思っています。あとは4年の籔下響大がチームを走る面で引っ張っていく存在なのかなと思っています。

――ここからトラックシーズンを振り返っていきます。射場選手自身、5月に自己ベストを出されていると思いますが

 自分は就活もしていまして。練習量としては今までの中で一番少なくて正直不安もあったのですが、その分少ない時間の中で質の高い練習を心がけた結果、自己ベストを出すことができたのかなと思っています。一方で5000メートルですので、自己ベストという結果は良いのですけど、あくまで駅伝とは全く別物だと考えています。

――チーム全体のトラックシーズンを振り返ってみていかがですか

 自己ベストを出した選手が割と多かったのかなと思っています。4月のトラックシーズンが開幕した頃は故障者が多くて足並みがそろわない部分が多かったのですが、関カレ(関東学生対校選手権)あたりからチームとしても好タイムが出てきたので良い傾向なのかなと思っています。 

「本当のやりがいは、おそらく箱根で目標となる順位でゴールしたとき」

――ここからは射場選手個人のことについてお聞きしていきます。ことし駅伝主将を務められているということですが、主将の決め方というのはどういったものだったのでしょうか

 ことしの箱根が終わったあとに西弘美駅伝監督の方から指名がありまして主将を務めることになりました。

――それは何か前触れといったものはあったのでしょうか

 例年だと8月や10月に誰がなるといったことはあったのですが、今年に関しては全くなくて。自分自身も昨年の後期に会計部屋という4年生の会計係の部屋に所属していて、そこに半年いたので自分は会計係になるのかなと思っていたので、最初指名されたときは驚いたというか意外でした。 

――例年、西駅伝監督からの指名といったかたちでやっているのでしょうか

 はい、そうですね。

――実際主将に決まったときにはどのように感じましたか

 率直には驚いたというか。今までの明大の主将というのは鎧坂哲哉さんや、菊地賢人さん、横手健さんのようにチームのエースとなるような人が務めていたので、果たして今まで駅伝などで実績がない自分ができるのかといった、不安ではないですけど、戸惑いがありました。ただ、指名されたからには今まで1年間横手さんの背中を見てやってきていたので、今年のチームはどういう風にしていきたいかというビジョンはすぐに浮かんできました。

――毎年西駅伝監督からの指名ということですが、射場選手を指名された理由などはお聞きしていますか

 一応新聞やメディアを通じて人をまとめる力があるというのは言っていただきました。あとは西さんと直接話をして言われたのは、他の4年生でも箱根に出た選手はいるんですけど、そういった選手と違って周りのことも見ながら、またプレッシャーにならずに自分のこともしっかりできるから選んだとは言ってもらいました。

――具体的に主将というのはどのようなことをされているのでしょうか

 そうですね、特別な取り決めはないんですけど、本当に小さいことだと朝の集合のときの体操の掛け声だったり、あとはチームの集合のときに自分があいさつして何か連絡事項があれば自分が伝えたりして、改善点があるときはその場で伝えるようにしています。 

――チームをまとめるために意識されていることはありますか

 そうですね、なるべく双方のコミュニケーションを取ることを意識しています。昨年までは月1回の選手ミーティングというものがあったんですけど、それが形式ばったかたちになってしまっていて、なかなかチーム全体でミーティングをしていると下の学年から言いたいことを言えていないなということがありました。それなら腹を割って本質的なことを話したほうが意見や考えというものをくみ取ることができるので、あえて選手ミーティングの頻度を下げて自分から選手全員に積極的に話しかけるようにしています。

――そこで得た意見の中で印象的残っているものはありますか

 1つあったのは故障者のことですね。新チームになってから故障者がチームの半数いまして、まず自分が故障者一人一人に話してそこで(選手たちの)焦りを感じたんですよね。自分自身も故障の期間が長かったのでとても共感できる部分があって。故障の度合いにもよるんですけど、治すことを目標にしようということ、今すぐに走りたくなる気持ちは分かるけれども、それをこらえて段階的に上げていこうと話しかけたことが一番印象に残っているエピソードです。

――確かに、そういうことは全体では言えないことですね

 そうですね。一人一人脚の状態は違うので、それを全体で話すというのは違うのかなと思いますので。もっと練習しないといけない選手もいますし、故障しがちな選手はもう少し練習を抑える、前へ前へという気持ちを自分が抑えてあげるというのが役割だと感じています。そういうのは大事ですね。

――射場選手自身一度も駅伝経験がない中での主将ということですが、何か大変なことはありますか

 やはりスポーツの世界ですので、結局は結果の世界だと思うんですよね。どんなに自分が正しいことを言っていても結果が伴っていないと選手は付いてこないと思うので。今までの過去の実績はないんですけど、ことし主将としてやっていく上でお手本となる行動、数少ないですけど出場した記録会では必ずベストを出す、あるいはベストに近いタイムを出すというのは心掛けています。

――主将をされていてやりがいを感じる瞬間はありますか

 そうですね…やりがいを感じる瞬間…。本当のやりがいはおそらく箱根で目標となる順位でゴールしたときが一番のやりがいになるのかなと思います。例えば今周りから「今のキャプテンは良い」と言われていても結果が伴わないと本物にならないので。逆に周りから良いキャプテンと言われるだけだと馴れ合いになってしまうので、そこをこらえながらやっているところです。

――射場選手自身の理想のチーム像というものはありますか

 そうですね、先ほど1年生に元気があると言ったんですけど、理想としては4年生が一番元気なチームが良いのかなと。駅伝メンバーの理想としては、4年生が4人出て3年生が3人、2年生が2人、1年生が1人というが理想的なチームなのかなと思っています。

「自分が必要だと思ったことに、選手たちが率先して動くことができるのが明大の強み」

「やらねばならない」と語る射場主将

――昨年の箱根はシード落ちという結果に終わり、ことしは予選会からの挑戦となります。重圧はありますか

 重圧というよりかはやらねばならないというか、使命感に駆り立たれている気持ちですね。また、8年ぶりの予選会で、チームも大変苦しい状況で、自分自身もケガなどでこの4年間苦しい状況に置かれてきました。その中で個人としてもチームとしても、そういった逆境というものを乗り越えていけるようなシーズンにしていけたらと思っています。

――14位に沈んだ昨年の箱根を振り返っていかがですか

 14位という順位になったのは、3区の坂口裕之が直前にケガをしてしまい、5区を走った藪下が低体温症になったということはあったのですが、そういったことが起きた原因というのがチーム全体の選手層の薄さ、そしてそれを引き起こしたのが故障者が多いということでした。エントリーメンバー16人はいましたが、16人走れる状態でなかったというのが実情でして。そういった反省点を踏まえて、できれば16人全員が走れる状態、もっと言うと20人くらいが走れる状態を作り出して、メンバー争いができる状態になれば去年のようなことは起こらないのかなと思います。

――いま名前の上がった坂口選手、薮下選手ともに、今季はチームを引っ張っている印象があります。射場選手から見てどのような選手ですか

 坂口は高校時代から、僕からするともうエリートランナーなのかなと思っています。彼の考えていることは正直自分よりも上のレベルにあるなと思う時もありますし、2学年下ではありますが、尊敬している面があります。藪下に関しては入学した時は僕たちの学年で一番走れていなかったのですが、それでも腐らずにずっとやってきた結果、5区を走るまでになりました。昨年度の箱根の後はやはり藪下も精神的に辛いところがあって、僕と吉田(楓)と三人で話した時には、藪下本人も5区は走りたくないと言っていたのですが、その時僕らが「ここで逃げてどうするんだ、今のチームで5区を走れるのはお前しかいないんだから、やるしかないだろ」という話をしたんですね。本人の中でも5区でリベンジをするんだという気持ちを持ってやっていると思います。

――昨年度の箱根後の率直な感想は

 まずは悔しいな、と。それはチームとしてもですし、自分としても木村(慎)さんと山田(稜)さん、2区と10区の付き添いをしたのですが、付き添いをしている自分がふがいなかったというか、腹立たしいというか、そういう気持ちがありました。また、ゴールした後に先輩方の悔し涙を流している姿を見て、3年生として申し訳ないなという思いがありました。

――ことしは横手選手やいま名前の上がった木村選手といったエース格の選手が抜けることとなります

 客観的に見ればそれはマイナスになるかもしれないのですが、そういったエースとなる選手がいたからこそ今自分たちが甘えていた部分が見えてきました。その意味では、そういったエース級の選手がいない中で今度は自分が主役になるんだと、自分がエース格になるんだという思いを持つ選手が増えたのかなと思います。

――その流れの中で、主将として変えたことなどはありますか

 さきほど言った、選手ミーティングの頻度をあえて下げたというのが一つと、あとは具体的なものでは体幹補強についても変わりまして、日体大が優勝した時の(同校の)トレーナーである方にBCTを教わったり、準備体操も一から見直していて、そういったことをしていく中でケガ人も減ってきている状況です。それが春のトラックシーズンでも自己ベストがたくさん出たということにもつながっているのかなと思います。

――出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)はことしは出場がかないませんでしたが

 シード取っていないと出られないというのがあるので、誰も出雲のことは口にしていないです、正直。はい(笑)。

――その後の全日本についての意気込みは

 去年シード取っていますので、箱根の予選会の後一度リフレッシュしてからまたことしもシードを取るのが第一条件かなと思っています。そういった意味で、予選会で勢いをつけるのも非常に大事なことなのかなと思います。

――箱根の予選会と全日本は時期的に近いですが、ピーキングは難しくありませんか

 正直難しいと思います、例年とは違うスケジュールになっているので。ただ、そういったことを想定して今の練習になっています。合宿もことしは練習メニューや日程が例年と異なっていて、対応できる練習になっているのかなと思います。

――予選会を前にして、現在のチームの雰囲気は

 いよいよ1カ月と少しという期間を意識する時期になってきまして、まだそこまでピリピリムードではないのですが、徐々にそうなっていくのだろうと思います。

――予選会での目標はありますか

 トップ通過したいかなと思っています。通過すればいいということはありますが、そのくらいの気持ちでやらないと予選会は何が起こるかわからない、12人走って2人より多くミスをすれば(箱根の本戦に)出られなくなってしまいます。その意味でもトップを狙うつもりでやっていきたいと思います。

――その目標のために、何が大切になってくるでしょうか

 当日になってみないとわからない部分はあるのですが、まずはやり残すことがないように当日までしっかり準備をするということ、そして試合当日に関してはラスト5キロで選手一人一人が気持ちを切らすことなく、ゴールテープをきるまで油断せずに走りきることが大事なのかなと思います。

――射場選手個人の予選会での目標は

 僕はもちろん出ないと話にならないですね(笑)。これでまた誰かの付き添いをしているようではダメだと思うので。スタートラインに立てばある程度結果を出すことのできる自信というか、そういったものを今までの練習で培っていたと思うので、まずは万全の状態で臨みたいと思います。

――射場選手の現在のコンディションはいかがですか

 いまは本当に疲労がすごくて。先日の北海道での合宿でもハードな練習をしてきましたし、距離も踏んでいるので疲労がピークにきています。なのでこの合宿でも練習の1時間前くらいに起きて、初めはお風呂に入って体を温めてから入念なストレッチを行って、準備は怠らないように心がけています。

――そういったケガ予防の準備は射場選手個人が始めたことなのでしょうか

 練習前の準備は僕が一番やっているのかなと思います。それは本当に今までケガをしてきてしまっていたという経験があるので、もう繰り返したくないという思いがありますね。

――ここからは早大の選手との関わりについてお伺いしますが、プライベートな付き合い等はありますか

 そうですね、ぼちぼち。武田(凜太郎、スポ4=東京・早実)とかとはよく話します。それから、佐藤淳(スポ4=愛知・明和)と就活の時に会ったんですよ(笑)。そこで、お互いに近況…就活も含めてですね。競技の方はどうなんだ、なかなか練習時間が取れない中で、早大の就活生はどうしているんだ、という話をしたりとか。面接は一緒ではなかったんですが、もし一緒だったら困ってたかもしれないですね(笑)。彼は箱根に出ているので僕のインパクトがなくなっちゃうので(笑)。

――射場選手から見て、早大の選手たちの印象は

 早大の選手は自主性があるなと思います。うちも自習生を重んじるところではあるんですが、ワセダの選手は練習以外の面できびきびしていて。集合の時間に早めに来てストレッチをしている選手が多かったり、学ぶ点が多いなと思います。

――早大の強みと思われる部分はありますか

 うちは高校時代実績のある選手が多かったりするんですが、ワセダさんは推薦枠が3人と限られている中で、下からの突き上げが多いかなと。一般入試や付属校から入ってきた選手が、箱根に出るほどの主力になっている、そういった泥臭さがワセダさんにはあるのかなと。ことしの明大もそういった泥臭さを出していきたいな、出していこうという話をしています。

――逆に明大の強みはどのようなものでしょうか

 ワセダと似ているかもしれませんが、個性の強い選手が多いですので、選手一人一人自分の考えを持っているのかなと思います。他大との違いと言えば、みんなが右を向くのでなくて、自分が必要だと思ったことに選手たちが率先して動くことができるのが強みなのかなと思います。

――箱根での目標を教えてください

 5位以内というのを掲げています。田村厚監督が口にしてくださっているのですが、選手がそれ自体を過度に意識しているわけではなくて、今いる選手全員がベストパフォーマンスを出せれば、5位以内というのは夢でも理想論でもなく、達成可能な目標なのかなと思っています。みんなも口にはしませんが、心の中には5位という目標があるのかなと思います。

――射場選手自身の目標は

 まずは4年分の思いを箱根にぶつけて、自分自身の結果としても区間5位以内というのは一つの目標にしていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 岡田静穂、平野紘揮、佐藤詩織)

« 特集に戻る