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空手部

2016.10.09

【特集】関東大学選手権前特集『 Wake Up,Break Out!』 最終回 末廣哲彦主将×末廣祥彦×今尾光

 この3人が男子組手躍進のカギを握る。下級生時から主力選手として活躍してきた今尾光(スポ3=大阪・浪速)、ケガから復帰し後期はこれまで以上に期待が掛かる末廣祥彦(スポ3=東京・世田谷学園)、そして主将としてチームをけん引する末廣哲彦主将(スポ4=東京・世田谷学園)だ。苦杯をなめた前期、そして夏合宿を経てついに後期がやって来た。新チーム始動時から目標に掲げてきた『日本一』へのラストチャンス。そして末廣兄弟にとっては『特別な』シーズンにもなる。後期の開始を目前に控えた彼らの胸中に迫った。

※この取材は9月22日に行われたものです。

攻め切る気持ち

――まずは前期の戦いを振り返ってみていかがですか

末廣哲(以下、哲彦) 前期はスタートダッシュが良かったかなと思いますね。やっぱり最初の目標にしていた六大学戦(東京六大学大会)で優勝できたのは一つ大きなことでした。その後の東日本(東日本大学選手権)で対戦した国士舘大も、正直勝てる相手だったと思いますね。ただ、そこで勝ち切れなかったというのが、まだまだ僕たちの甘さなのかなということは痛感しました。そこから個人(戦)に変わっても笹野(由宇、スポ1=東京・世田谷学園)しか全日本(全日本学生選手権)に行けなかったので、本当にスタートダッシュだけが良くて失速してしまったというのが、前半を振り返って思いましたね。

――失速してしまった、というお話がありましたが、負けた試合では「有利な状況だからこのまま守っていれば大丈夫」や「後ろに下がってしまった」という声も聞こえてきました。そのあたりも自分たちの甘さだったということでしょうか

哲彦 そうですね。ブザーが止むまで攻め気でいられるかと言われれば、残り時間が少なくなってきた時に「このまま逃げられる」とか思ってしまう部分がやっぱりまだあったのかなと思います。そういうところは直さなければいけないと思っていたので、この間までしていた合宿でも「ブザー鳴るまで前に出ろ」というふうには声を掛けていましたね。

末廣祥(以下、祥彦) ケガから復帰して練習や試合を離れて見る機会が多いのですが、勝ち負けにつながらなかったとしても「今のところで引かなければ普通に勝てていたのに、最後にポイントを取られたな」と感じることがあります。AチームとBチーム関係なく、そういうところがあると思います。離れて見ると本当によく分かりますね。

今尾 団体戦についてはお二人がおっしゃった通りです。個人的には結果が全然伴っていないので、自信を失うところもありました。後期に向けてはやるしかないなという感じなので、とりあえず後期の団体戦と個人戦共に結果がちゃんとついてくるようにやっているところです。

――ブザーが鳴るまで攻め気でいる、というお話がありましたが、2分間の心の持ち方が後期のカギになるとお考えですか

哲彦 そうですね。東日本で強いところとどんなにいい試合をしたといっても、3回戦負けには変わりありません。それが自分たちの現在地だと思いながら一戦一戦、いうならば6―0で勝つぐらい全員が最後まで攻め切る気持ちを持って関東(関東大学選手権)に臨みたいと思いますね。これを忘れちゃダメだよ。

祥彦 はい。

今尾 『日本一』を目標に掲げているので。それに向けてせめて勝ち気だけはどのチームよりもないと勝てないと思います。

祥彦 2分間、ずっと勝ち気でいるのは難しいと思います。試合が始まったときに相手が強いところだったら、たぶん最初の1分間見合ったりすると思うんですよ。でも、強い大学は出だしから手が触れるところまで来たら、技を出しています。個人的な課題でもあるのですが、ワセダはやっぱり見る時間が長いです。2分間のうち最後の1分で詰めるというよりは、2分間で相手が来たら全部叩く、自分から突っ込むくらいの気持ちでいたいなと今は考えていますね。

――前期最後の大会が終わってから関東大学選手権までしばらく期間が空きましたが、モチベーションをどのように保ってきましたか

哲彦 僕は最後の個人で負けて、その悔しい気持ちは忘れませんでした。その気持ちがあったので、モチベーションが下がるということは全然なかったですね。それはオフ期間に入ってもずっと思っていました。ちょっとリフレッシュでアメリカ行きましたけど(笑)。(大学での競技生活が)残り少ないというのはあるのですが、後期の練習が始まってからも僕自身のモチベーションは高いと思っていますね。

今尾 自分でモチベーションを高めることは大変ですが、モチベーションの高い主将が引っ張っているのでチームもすごくピリッとしています。

哲彦 お前、テンションが下がっているときは本当に下がっているもんね(笑)。

祥彦 合宿で思ったのは、自分がきつい練習をしていないと他に怒鳴りにくいなって。でも無理して練習するというよりは、他の人に声を荒げてケツ叩いてやっていた方が部のためになるんじゃないかなと思ったので、そこは割り切ってできました。モチベーションを自分自身で高めることも大事ですが、どちらかというと前期は周りを見落とさないというか(モチベーションが)下がっている人を気に掛けてやっていた感じはありましたね。自分の中で今までとは全然違う部の見方ができたのだと思います。

自身のケガの具合や、その中でどう空手と向き合っていたかを言葉を選びながら話す末廣祥

――末廣祥選手にお聞きします。今のケガの具合はいかがですか

祥彦 激しい運動ができないと医者に言われている段階です。関東の組み合わせが出て、2回戦で帝京大と当たることが分かった時、すごい焦りがあったんですよね。今まで練習をしていないということもあって。でも、練習が始まってちょっと組手をやり始めたのですが、組手の感覚が悪くなることはありませんでした。むしろ良くなっているんじゃないかと思うぐらいです。ケガの状態は良くないですが、組手の状態は悪くないと思います。なので、心の持ち方が楽になりましたね。もうちょっと焦ってガーッとやるかなと思っていたのですが、あまり焦らずに徐々にやればいいというふうに今は思っています。

――組手の感覚が良くなった要因は何だとお考えでしょうか

祥彦 筋力はたぶん落ちたと思うのですが、少しずつリハビリをして回復し始めました。その筋肉を動かす機会がなかったので体が軽いというのはあると思いますが、間合いとかもあんまり詰まることもなく、離れすぎることもありませんでした。それはこの前期ですごいシミュレーションをしてきたからだと思うんですよ。試合や練習ができないぶん、頭の中でシミュレーションをやってきたので、例えば練習を見ていて「この人にはこういう組手をしたらいいんだよ」と他の人に教えることで、自分でも「そうやってやればいいんだ」と思うようになりました。そういう見方をしたのが大きかったと思いますね。

――下級生の頃から試合に出場されてきましたが、痛みはいつごろからありましたか

祥彦 本当に気になったのは大学2年生の前期ぐらいからですね。1年生の時はそれほど気にしないでやっていました。いろいろ治療をしてきたのですが、回復しなくてずるずる引きずってきた感じはありますね。

――手術された時の心境を聞かせください

祥彦 人生で初めての手術だったので、不安しかなかったですね。これまで前十字じん帯の手術をした人を知っているのですが、長期動けずに足がだんだん細くなっていっていきました。そういうのを見ているので本当にどうなるんだろうと思っていたのですが、手術自体がそんなに大きくなかったのでブランクというほど長い期間空手をやらないということはありません。最初は不安しかなかったですけど、終わって振り返るとそこまで不安を感じていませんでした。

――お二方から見て、当時の末廣祥選手の様子はいかがでしたか

哲彦 練習中にすごくやりたそうにしているなと感じるときはありましたね(笑)。練習ができていなくて、周りも伸び悩んでいたりするとワーッてたまに声を荒げたり。俺も人のこと言えないか(笑)。自分のモヤモヤをいい意味で消化していたのではないのかなと、周りへの指導のやり方を見ていて思いましたね。

今尾 見られているという感じがするとやっぱり抜けないなと思いますね。すごく怖いので。最初にアップをしてその後に基本(練習)をするのですが、自分は基本が下手くそで。頑張ってやっているのですが、一緒にやっているのと見られているのとでは全然違って、ちゃんとやらないといけないなと。ちゃんとやっているんですけど!

祥彦 それやってないでしょ(笑)。

一同 (笑)。

今尾 よりやらないといけないなと思うようになるので、自分としては見てくれていて刺激を受けています。

祥彦 いい監視役だね(笑)。

哲彦 見られてなくてもやれよ!

今尾 一緒に練習できないのは残念だったんですけど、そういういい面もありました。

――「モヤモヤをいい意味で消化している」というお話がありましたが、それを受けていかがでしょうか

祥彦 光が言っていたみたいに元々、結構怒るタイプなんですよね。人に物事をいろいろ言うタイプなので。

哲彦 俺と違って穏やかじゃないから。

祥彦 それはたぶん兄に似たと思うのですが(笑)。みんなが自分の言ったことを受け入れてくれたのが良かったです。あまり練習をしていない人からそういうことを言われたら、単純に嫌だと思うんですよ。でも、声を荒げても言ったことをちゃんと受け取ってくれました。こっちが「またやっているのか。それは何回も注意しただろ」という雰囲気もちゃんと感じ取ってくれるので、そういう点ではやりやすかったです。「何だよ、あいつ」ではなくて言ったことを受け入れてくれたので、やりやすかったというのもいい意味でストレスを発散できたと思います。

――ケガから復帰し、後期の試合へのモチベーションは高いですか

祥彦 そうですね。やっと動けたというのがあって、今は組手が楽しいというのが第一です。それがいいかたちで練習に出ているので、調子がいいなと感じているのではないかと思います。シミュレーションをしてきたので、いつでも戦う準備はできています。ケガは治っていないのですが、今はもう戦えるなと思います。

今尾 天才なんでね(笑)。

――次は今尾選手にお聞きしたいと思います。下級生の頃からチームの中心メンバーとして活躍されてきましたが、今のチームでの役割をどのようにお考えでしょうか

今尾 もう3年生になったので、「絶対あの先輩だったら勝ってくれるな」という存在にはなりたいのですが、そういう存在になれているのかという不安もあります。個人戦で負けてしまったことを本当に引きずっていて、正直自信があまりないのですが、関東の2回戦で帝京大と当たることになったので、絶対に自分が勝たないといけません。そういう面では本当にやるしかないなという感じですね。

――今季は先制点を取られてしまった後の組手がうまくいかない部分もありました

今尾 本当に先制点を取って、さっきも先輩がおっしゃたんですけど、攻め気で常にやって1ポイント目を取りにいこうというスタイルで後期はやっていこうと思っています。

――具体的にはどのような点を強化されてきましたか

今尾 怖がらず前に入っていけるように、積極的に仕掛けるようには意識してきました。

哲彦 あとはモーションをなくせれば。入る(技を出す)ときにたまに力が入る瞬間があるので、それだと相手にとっては技が来ることが分かりやすくなってしまいます。

今尾 今はダッキングといってかわす動きがあるので、そういうモーションがあるとばれてかわされることがよくあります。それを逆に利用できればいいのですが、正直に行ってしまう部分があるのでそれが課題ですね。

哲彦 性格と違って、組手は正直だよな(笑)。

今尾 はい、正直ですね。人間がやっぱり出てしまうところがあるので。

哲彦 嘘つけよ。全然そんなことないだろ、お前!

一同 (笑)。

今尾 そうですね。

哲彦 そうですねじゃねーし、全然!

今尾 ありがとうございます。

――主将にお聞きします。これまで主将として主体性のあるチームづくりをしてきましたが、どのぐらい仕上がっていると思いますか

哲彦 チームとして前半の調子が良かった頃はみんな一生懸命考えてやっていたと思うのですが、やっていくと高校時代はそんなに空手をやっていなかったり、大学から本格的に始めたりした人だと考え方が分かっていないというところが出てきました。Bチームでまだ試合に出ていない選手の場合は、基本的なことを教えてあげることを今は一番にしていますね。その中で自分がどう感じるのかというのは大切にしてほしい部分です。僕も指導していて「そこで何でこういうことをやるの」と疑問を投げ掛けるのですが、普段から自分が注意していることがそのまま返ってくるだけになっています。言われたことだけをまだやってしまい、「こういうことを考えたらこういうふうになったのですが、それはどうですか」というのがありません。みんな真面目に練習するんですけどね。ただ、まだ主体性の部分では欠けているかなというのが正直な部分です。

――主将として部を引っ張る立場ですが、常日頃からどのような姿勢を見せたいと思っていますか

哲彦 特に組手ですが、自分が後輩と立ち会うときは絶対に負けないつもりでいます。負ける気は元々ないんですけど、点も与えたくないなと思っていて。闘争心を一番むき出しにしてやることを心掛けてやっています。

――お二方から見て、主将の姿はどのように映っていますか

今尾 オンとオフの切り替えがすごくしっかりされてると思います。本当にちゃらんぽらんなんですけど。

哲彦 やかましいわ(笑)。

今尾 普段はそんな感じですが、練習では鬼のようです。チームで一番ガッツがあって、日本一という難しい目標を設定されただけあるなと思います。

祥彦 兄弟というよりは先輩後輩の関係の方が長いので、引っ張っていく姿はずっと見てきました。高校はある程度みんな実力がある世界だったのですが、始めたての人もいる中で引っ張っていくはすごく難しいと思います。信頼がすぐになくなることもあると思うのですが、部員だけじゃなくOBからも信頼が厚いのは、主将らしい引っ張り方ができているからだと思います。ずっと見てきましたが、大学ではワセダの主将らしく引っ張っていけているのではないかと思います。

――それを受けていかがでしょうか

哲彦 オンとオフといった部分は本当に意識していますね。練習をずっとガーッてやっちゃうと疲れてくるのも分かるので、「みんなで遊ぼうよ」というときはもちろん思いっきりふざけます。そういうときも全力でふざけるんですけど(笑)。そういうふうにずっと周りを見ながらどういう練習をするのか考えています。1年の時のキャプテンだった丸山先輩(政宏、平26社卒=東京・世田谷学園)がそうだったように、もともと組んでいたメニューを柔軟に変えてやっていくことはできているのかなと思います。ただ、丸山先輩ほどうまく引っ張っていけているのかといえば、自信がないので頑張っていきたいなとは思っています。

――現在、丸山さんはコーチをされています

哲彦 そうですね。たまに来てくださいます。今は地方に行っているのですが、それでも新幹線でわざわざ土曜日とかに来てくださったりするので、すごく刺激になりますね。いまだに勝てないので天才だなと思っています(笑)。本当に偉大な人ですね。

――少し話はそれますが、今尾選手は昨年の対談で試合前のルーティーンとして油そばを食べるとおっしゃっていましたが、今も継続されていますか

哲彦 あ~言ってたね。

今尾 それはもうなくなっちゃいましたね。

――何かきっかけはありましたか

今尾 本当にただ単に食べ飽きました。

一同 (笑)。

――新しいルーティーンはできましたか

今尾  カレー…、はもう止めました。

――カレーの時期もあったのですか

今尾  カレーの時期もあったのですがそれも止めて。今はルーティーンというより楽しみができて、お酒に酔い潰れるという。

一同  (笑)。

今尾  最近よくあるので、その時に本音を言います。

哲彦 でもお前たまに泣くじゃん(笑)。

今尾  最近あまりいいことがなかったので。発散ですね。

――お二人は何かありますか

祥彦 昔は焼肉でしたよね。

哲彦 行ってたね。昔は(試合前に)家族で焼肉よく行っていました。あとは漫画を読みますね。最近ずっと好きで買っている漫画があって、マガジンで連載されている『DAYS』というサッカー漫画なんですけど、下手な主人公が名門校に入って努力して活躍するという感じです。その周りの人たちも魅力的なので、おもしろいなって。それは去年の夏くらいからですかね。たまたま読んだ次の日の大会で調子が良くて、同じスポーツだしテンション上がるなって。当日の朝はケツメイシ聞くくらいですかね。

祥彦 試合の日にご飯を食べないことです。朝も昼も食べないです。前日に「これで戦おう」って感じで寝るじゃないですか。寝て起きて支度して「よっしゃ、行こう」となった状態のまま戦いたいので

哲彦  お腹空くでしょ?

祥彦  いや、空かないんですよ。本当に昔からご飯食べないんです。昼飯とかも。食べられないというより食べないんです。

哲彦  ちっちゃい頃とか朝お弁当とか昼の分買っていくじゃないですか、僕だけかごにバンバン入れてこいつはほとんど買わないんですよ。

祥彦 ウイダーくらいですかね(笑)。弁当とかもらっても試合が全部終わってひと段落して食べます。

――試合後のごほうびでは・・・

哲彦  犬みたいじゃん(笑)

祥彦  いや、楽しみにはしてないですね。たぶん(食べないことで)気持ちが落ち着くんだと思います。喉を通らないのではなく食べたくないです。

今尾 あ、やっぱりモチベーションを高めるために試合の時の自分が勝っているときの映像を観ます。

一同 (笑)。

アメリカで・・・

終始対談を盛り上げた今尾

――学期末からのオフの期間には何をされていましたか

哲彦 (今尾と)一緒にアメリカに行きました。ワセダのOBの先輩が開かれているアメリカの道場がことし60周年で、その中で大会もあったので出させていただいて。寝坊したんですよこいつ!俺お前のこと2時間くらい待っていたぞ。

今尾 出発の前日にオールで飲み明かしまして、結局寝ちゃって先輩を待たせるという…。飛行機には間に合ったんですけど、集合時間に間に合わなくて。

哲彦 14時くらいの飛行機で、13時50分くらいにはいないといけないのにお前が来たのその20分か30分前だし。

今尾 いや、そうなんですけど主将が早すぎるというところもあるんですよ

哲彦 いやいや(笑)。

今尾 14時台のフライトなのに「10時前にいく」みたいな。

哲彦 OBの先輩にも混んでるって言われていたんですよ。だから早めに行こうと思って、行く時間も伝えておいたのに普通に遅れてきましたからね。僕の姿が見えたところから走り出すという。

一同 (笑)。

今尾  それ鉄板ですね。

哲彦  空手部で言う『嘘走り』です。

――アメリカでは観光などされましたか

哲彦 最初に試合をしてそのあとは二人で本場のディズニーに行きました。あとはハリウッドか。チャイニーズシアター?手形がいっぱいあるところあるじゃないですか。

今尾 サンタモニカの海に行ったり。着いて次の日に大会でしたよね。

哲彦そうだね。だからそのあとはずっと遊んでましたね。すごく楽しかったです。

今尾 向こうの人もすごく人が良くて。快く歓迎してくださいました。

哲彦 いい経験だったよね。

――食事の面はいかがでしたか

哲彦 食事は基本ハンバーガーですね(笑)。

今尾  ホームステイステイで朝は日本食を作っていただいていたんですけど。

哲彦 昼はハンバーガー、夜はステーキみたいなね。だいたい昼すぎたあたりからお酒は飲みだすみたいな(笑)。

――祥彦選手はいかがでしたか

祥彦  通院、リハビリ、バイト、歯医者ですね。練習ができないんでそんな感じです。あとは甲子園を観て。

哲彦 8月にお前と会った記憶ほとんどないんだけど。同じ家に住んでいるのに(笑)。

祥彦 会ってないんじゃないですかね。

――甲子園ということでしたが、空手以外のスポーツは普段ご覧になりますか

哲彦 野球を観ますね。甲子園は観ています。

祥彦 ずっと甲子園出たかったんですよ。本当に(笑)。

――高校野球の魅力というのは

祥彦 単純に共感できるじゃないですか。「あの時は手が届かなかったな」とか思いながら観ています。前年度優勝でその次の年に負けてというのは自分たちもそうだったなと。共感できるところじゃないですかね。

――オリンピックはご覧になりましたか

哲彦 ちょくちょくかな。でもほとんど観てないですね。アメリカにいる期間とちょうど被っていたのであまりテレビ観る機会がなくて。そんなにスポーツは観られなかったですね。

――早大勢の活躍もありましたが

哲彦  瀬戸くん(大也、スポ4=埼玉栄)ですよね。1年生の時に同じクラスで、一緒の教室にいた人だということを疑います。世界水泳もすごかったですけど、オリンピックというのは特別ですね。刺激になるというレベルの人じゃないなと(笑)。でも一人の早大生として誇りに思いますね。

今尾 次元が違うという感じですね。先輩もおっしゃったように同じワセダとしてうれしいですけど、世界が違うなと。あまり実感が湧かないです

祥彦 応援していたという感じですね。刺激というよりも「頑張れ」みたいな(笑)。

――オリンピックと言えば、2020年の東京大会では空手が正式種目に加わるというニュースもありました

哲彦 オリンピックという世界的に最も大きな舞台で空手の魅力を世界に知ってもらえるというのが、今まで空手をやってきた人間としてうれしいことですね。僕はもう大学で競技は最後になるのですが、それが東京で観られるというのは楽しみですね。

今尾  出る出ないに関係なく、空手が入ったというのは本当にうれしいです。今までなかなか入らず、今回やっと入ったので。みんな空手をやっていて一つの目標ができたんじゃないかなと思いますね。2020年だけじゃなくてそれ以降も入ってほしいなと思います。

祥彦 日常のバイト先や髪切りに行った時とかに「空手やってるんですか」という話になった時に空手で 認知されるようになったのが一つ大きな違いかなと。きのうも髪切りに行ったら「オリンピック出るの?」と言われて。

哲彦 それ言われる!なんだろうね。

祥彦 「オリンピック種目になったね」で認知されるというのは違いますね。それは単純に嬉しいです。

――知り合いの選手が出場することも大いにありえるのではないでしょうか

哲彦 僕の同期の國米(櫻、国際コミュニケーション研究科M2=京都・同大)が目指しているので、たぶん出るんじゃないですかね。

「やり切ったと思えるように」(末廣哲)

集大成となるシーズンを前にした心境を語る末廣哲主将

――それでは、夏の取り組みと後期に向けた質問に移ります。まず夏合宿ではどのようなことに取り組まれましたか

哲彦 まず、今まであった伝統的な練習を監督(福田聡、昭54政経卒)と相談して全部なくしたんですね。僕自身、今までやってきた中でことしが一番日本一を取るチャンスだと思うので、監督にもお願いしました。あとはBチームの人もいるので午前中はトレーニングと基本だけ、午後は形・組手に分かれてそれぞれの専門に取り組みました。基本をキツくやったと思いますね。キツかった?

祥彦 見ていてキツそうでした。

今尾 キツかったです。

哲彦  結構しんどいことはやったつもりです。

――「前に出る」というお話でしたが具体的には

哲彦 今までは正式な形で審判を4人付けた試合はあまりやらなかったんですけど、そういうかたちを毎日取り入れました。やはり実戦が一番効果的なのかなと。その中で下がろうとするときは「そうじゃないでしょ」と。「もっと前いけよ」という声掛けをして前に出させました。そこでポイントが取れた人は合宿が終わってからも前に出ようという意識を持ってやってくれているので、良かったかなと思います。

今尾 試合は自分の課題が一番見つかるので、試合の後に何を意識しようと思えるのですごくいい合宿でしたね。

――夏合宿を越えて部内の結束というのは高まってきていますか

哲彦 どうなんですかね…。合宿でいいかたちで終われた人とそうでない人がいて、(部内で)顕著に差が出始めているので、Bチームの人たちは(気持ちが)下がっていると思います。でも、そこでくよくよするのではなくて「哲先輩何言ってんだ、俺をもっと見ろ」と言ってくるくらい頑張ってほしいので、今ここで優しくするつもりはなくて「へこんでんじゃねえよ」と言ってやりますね。

――合宿では一緒にご飯を食べて一緒に寝て、というように生活する中で新しく見つかった部分はありますか

哲彦 学年別で部屋が分かれるんですけど、朝起きたら松浦(佑樹、スポ4=静岡・富士)がいてすごく気分悪くて、それは発見でしたね(笑)。後輩の部屋に遊びに行った時も3年生の部員が空手以外のことで悩んでいて「好きってなんですか」とか聞いてきたりもしたので(笑)、そういう空手以外の部分を知れたのは良かったですね。やっぱりみんないろいろ考えている大学生なんだなというのが見えましたね

――夏の期間を経て手応えは感じていますか

哲彦 僕はアメリカへ行って外国の方と試合をしたというのが大きな経験でしたね。試合をした相手の方がアメリカの軍隊出身の方もいたので、空手で一番大事な『気持ち」が下がらない。何をされようと相手が出てきたところを殴るんだという気持ちをあっちの人はみんな持っていたので、そういう人たちと戦うことで前に出ることの大事さというのは自分の中で再認識できました。それは大きな財産だと思います。

今尾 初めて(素手で)アメリカの方たちと立ち会って怖かったのもあるんですけど、その怖さに比べると普段グローブを付けてやっているので、余裕だなという感覚になったので、すごく良かったと思います。

祥彦 長期離脱をしたことで他の人の成長を見られました。自分がまだケガしていない時に「ダメだ」と言っていた人も、自分がケガで離れて外から言って、そして今復帰して立ち会ってみると本当にちょっとした違いでも変わっている人が多いので、自分が離れる前の5月とは全然違いますね。個人的な手応えより、他の人の成長に対する手応えというか、課題の克服の仕方をチーム全体で徐々に分かってきているのではないかなと思います。

――後期の団体戦での上位進出、そして目標の『日本一』に向けては何が重要になってくると考えていますか

哲彦 昨年の関東大学選手権で負けた日大、5月の東日本大学選手権で負けた国士館大とは1点を取る必死さという部分、技術云々ではない部分で負けたと思っているので、相手より強い気持ちで1点を取りに行く、1点を守るというのが大事かなと思っていますね。

彦祥 「勝てればいい」ではなくて、「倒しにいこう」です。「1ポイント差でも勝とう」というのは試合の中での最終的な判断だと思うんですよ。最初の意気込みとしては特に早慶戦の時なんか「倒しにいこう」と思っているのですが、それは相手が慶大でなくても一緒なので、そのつもりでいます。

今尾 自分の場合は勝ちたい気持ちが全面に出てしまうと慎重になりすぎてしまうところがあります。勝ちたいという気持ちは持ちつつ試合を楽しもうと思うと組手に生きてくるので、積極的に試合を楽しもうと思っています。

――哲彦主将は長い競技生活の集大成となるシーズンになりますが、どのようなものにしたいと考えていますか

哲彦 今尾も言っていますが、楽しんで最後に思い切りやれたなと思いたいというのが僕の選手としての思いですね。もちろん目標は『日本一』なのでそれを達成して終われるのが一番です。ただ最後の早慶戦はここ2年負けているので、早慶戦は何が何でも勝って終わりたいというのもありますね。

――最後に、後期への意気込みを一言ずつお願いします

今尾 ワセダに入学したきっかけは主将がいたというのがすごく大きくて。その主将と組めるのがことしの全日本大学選手権で最後なので、そこで絶対に勝ちたいという気持ちが強いです。そのために貢献したいです。

祥彦 兄とは中学から団体戦を組んできたのがここで最後になるので、一番いいかたちで終わりたい。最後なので「自分が勝ってやろう、勝たせてやりたい」という気持ちは誰よりも強いです。それが親孝行にもなると思うので。特別な最後になると思うので、そのつもりで臨みます。

哲彦 僕自身選手としてやり切ったと思えるように。そして17年空手をやってきていろいろな人と関わって、教わって、支えられてきたので、そういう人たちに「良かったよ」と最後に言ってもらえるような選手生活の終わりにしたいと思います。あとは主将としてどれだけチームに何か残せるか。来年になった時に「哲先輩が言っていたことがやっと分かった」と言ってもらえるように、後輩にも何か残せるような後期にしたいと思います。頑張ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 郡司幸耀、渡辺新平)

『修文錬武』をバックに。後期は旋風を巻き起こします!

◆末廣哲彦(すえひろ・あきひこ)(※写真中央)

1994年(平6)4月25日生まれ。172センチ、68キロ。東京・世田谷学園高出身。スポーツ科学部4年。普段から哲彦主将の仕掛けるいたずらに手を焼いている部員も多いそう。それでも男子組手のメンバーが口をそろえて言うのは「主将を勝たせてあげたい」。哲彦主将に憧れてワセダに入学した部員も多く、信頼は絶大。ちょっぴりやんちゃな主将に導かれたチームが『日本一』へと突き進みます!

◆末廣祥彦(すえひろ・よしひこ)(※写真右)

1995年(平7)5月2日生まれ。身長172センチ、体重67キロ。東京・世田谷学園高出身。スポーツ科学部3年。手術後の病室には空手部だけでなく、高校時代の同期や後輩、大学の友人の姿が。「支えてもらっているのを実感しました」と祥彦選手。厳しいリハビリ生活を経て、次の大会では元気な姿が見られそうです!

◆今尾光(いまお・ひかる)(※写真左)

1995年(平7)6月12日生まれ。身長173センチ、体重68キロ。大阪・浪速高出身。スポーツ科学部3年。最近の趣味は空手部や友人と一緒にドライブをすることだという今尾選手。先日は箱根に行ってリフレッシュしてきたそうです。気力が充実し、団体戦での活躍に期待が集まります!