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ラグビー部

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2016.09.15

【連載】対抗戦開幕特集 『THE 15』 第3回 SH齋藤直人×SO岸岡智樹

 昨年度の花園を沸かせた二人が、今季は早大でハーフ団を組む。SH齋藤直人(スポ1=神奈川・桐蔭学園)と、SO岸岡智樹(教1=大阪・東海大仰星)だ。1年生ながら、卓越したゲームメーク能力を武器としてAチームの試合に出続けている。ルーキーとして臨む関東大学対抗戦(対抗戦)を前に、その思いを伺った。

※この取材は9月8日に行われたものです。

「すべてにおいて大学日本一を目指せる環境にある」(岸岡)

入学の経緯を話す岸岡

――入学の経緯を教えてください

岸岡 まずはワセダのラグビーに魅力を感じました。それから大学でも日本一を目指すにあたって帝京大が連覇をしていて、そこが一番近いのかなという考えもありましたが、文武両道を目指すことにおいてはワセダのほうが歴史もありますし、上を目指せると思いました。

齋藤 憧れですね。行けるならワセダに行きたいとずっと思っていました。

――齋藤選手は高校時代に山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)からお話はありましたか

齋藤 そうですね。山下監督からお話をもらったりして、いままで憧れだったのが段々現実に近づいてきました。それで決めました。

――ワセダの一員になって感じたことはありますか

岸岡 すごく環境が整っているなと感じました。高校と違っていろんな施設だったり、すべてにおいて大学日本一を目指せる環境にあるのではないかと思います。

――その環境の中で一番良かった部分はなんですか

岸岡 ご飯ですね。体づくりにおいては食事のサポートが一番大きいと思います。

――二人は1年生BKということで寮でよく話したりしますか

齋藤 僕は1階で岸岡が2階なので、ご飯食べるときとか風呂に入っている時ぐらいしか会わないです。

――階が違うとあまり会わないのですか

齋藤 1階が5人くらいで、あとは全員2階なので1階の人が2階に行かなければあまり会わないです。

岸岡 会うけどね(笑)。でも、特にないか。

齋藤 こいつずっとゲームやってるんですよ。僕はあんまりやらないので。

――夏合宿の部屋も一緒だったそうですね

岸岡 そうですね。黒木さん(健人、教3=宮崎・高鍋)と中野将伍(スポ1=福岡・東筑)と一緒でした。

齋藤 網走からずっと一緒でした。

岸岡 あの時は、寝てたよね。

齋藤 うん、寝てるかゲームしてるかですね(笑)。

――プレーに関しての話などはされましたか

岸岡 そうですね。試合の後だったら、ここはこうだったなとか、そういうのはあります。

――お互いの最初の印象はどうでしたか

岸岡 話しかけづらかったですね。

齋藤 うそつくなよ(笑)。

岸岡 今は全然大丈夫なんですけど、ちょっと不愛想なので。みんなも言ってました。

齋藤 僕はしゃべるのが苦手なのでそう言われがちなんですけど、全然そんなことないです。

――初めて会ったのは高校生の頃ですか

齋藤 合宿?

岸岡 高3の合宿かな。

齋藤 試合を毎年やるんですけど、試合後にちょっとしゃべりました。

――齋藤選手から見た岸岡選手はどうでしたか

齋藤 すごいオーラがあって、話しかけづらかったです。

岸岡 うそつけお前(笑)。

――寮でよく話す先輩などはいますか

齋藤 僕は部屋の人と佐藤真吾さん(スポ2=東京・本郷)とか詠真さん(桑野主将、スポ4=福岡・筑紫)とか結構話してくれます。

――1階に住んでいる他の方は誰がいらっしゃいますか

齋藤 佐藤真吾さんと、詠真さんと、貝塚さん(隼一郎、政経5=埼玉・早大本庄)と中野将伍です。

――貝塚選手は5年生で途中から入られたということですが、話しかけづらかったなどありますか

齋藤 いえ、そういうのは全然ないです。

岸岡 逆にすごくフレンドリーです。

――大学の授業はどうですか

岸岡 二人とも単位がやばかったです。

一同 (笑)。

――スポーツ系の授業などは取りましたか

岸岡 僕は取ってないです。

齋藤 僕は水泳と器械体操と陸上です。

――春シーズンを振り返っていかがでしたか

岸岡 最初は負けが続いていて今後どうなるんだろうと思っていたんですけど、監督も言っていたように、最初は土台作りの我慢の時で夏合宿から上昇気流に乗るぞ、というのがあって計画通りに進んでいるのではかなと思います。苦しい時期もあったんですけど、自分たちのやってきた成果が夏合宿とかで出てきてまだまだ期待するところはあるかな、と思いますね。

齋藤 僕はあんまり試合に出ていなかったんですけど、サインをあんまり覚えられていなくて置いて行かれている感じがあったので、ビデオを見ながらなんとか付いていこうと頑張っていました。

――春からの出場に緊張はありましたか

岸岡 ありましたね。緊張しました。ただやりやすかった面はありました。厳しさもあるなかでアドバイスなども適切に出してくださったので、やりやすかった印象の方が大きいです。

齋藤 緊張は結構するんですけど、思いっ切りできました。

岸岡 1年生なのでミスすることも緊張しているのも想定に入れてもらってるというか、思いっ切りやっていいぞと言ってくれるので、すごくやりやすいです。

――一緒に試合に出てお互いのプレーの印象はどうでしたか

齋藤 ここでこれやるか、というひらめきみたいのがあります。普通ならこっち蹴るだろってときに思いっ切り逆に蹴ったり、全体がよく見えてるなって思います。

岸岡 大体僕が最初にサインを決めるんですけど、僕がいないときとか巻き込まれて何もできないときに直人が指示を出してくれます。高校の時は僕がいないと手詰まりになったりしていたのが、今はないのでそれは助かってます。

――齋藤選手のパスはどうですか

岸岡 本当に捕りやすいですね。

齋藤 いや全然でしょ。最近荒れまくってるので(笑)。

――春を振り返って改善点はありましたか

齋藤 個人的にはカウンターのシステムをまだ理解し切れていないところがあるので、そういうところです。

岸岡 一番はやっぱりキックの精度の部分ですね。

――齋藤選手もよくボックスキックを蹴っていますね

齋藤 それに関しては僕も精度ですね。

岸岡 うまいもんな、お前。

齋藤 うまくねえよ(笑)。

――高校時代プレースキックは二人とも蹴られていましたが、今は岸岡選手ですね

齋藤 前は練習してたんですけど、今は岸岡が蹴ってるので練習してないです。

岸岡 春の直人がいないときに僕がずっと蹴っていて、直人が帰ってきても変わらずって感じです。

齋藤 試合きついので、たぶん僕は蹴られないです。

――最近のお二人の調子はいかがですか

岸岡 夏合宿で(ウエイトの記録が)少し落ちたかもしれないです。ウエイトの回数が夏合宿で少なくて、大幅に下がってないですけど、キープって感じです。

――オフは大阪に帰省しましたか

岸岡 帰りましたね。二日くらいだったんであんまりゆっくりはしていないですけど(笑)。地元の友達と遊んだり家でゴロゴロしたりですかね。

「チームとして通用した部分が多く見えた試合だった」(齋藤)

夏の帝京大戦を振り返る齋藤

――夏合宿では主にどういう練習をされたんですか

岸岡 夏合宿では主に新しい攻め方の戦術の確認があって、その精度の向上ということで行ったアタックの練習が一番大きいですかね。そうですね。ほとんどディフェンスしかやってこなかったので、春はディフェンスで我慢するとことをやってそれがずっと続いていて。いい調子できていると思います。春みたいにすぐ抜かれることはなくなったのでディフェンスの精度も良くなっていると思います。

――サインプレーも増えたと思いますがアタックの完成度はいかがですか

岸岡 そうですね、最初はミスが多かったんですけど完璧ではないですが段々監督が思い描いているかたちにはなってきたのかなと。

――合宿中も試合が多かったと思いますが、印象に残った試合は

岸岡 帝京大戦ですかね。やっぱりそこをピークに持っていくっていうことでやっていたんで、前半だけは秋につながるような試合運びはできたかなと思いますね。手ごたえはみんな感じたんじゃないかなというのが一番大きいですね。

齋藤 僕も帝京大戦ですね。個人的に初めてのことが多くてあんまりうまくいかないことがあったんですけどチームとして通用した部分が多く見えた試合だったなと思いますね。

――夏合宿に行く前と行った後で何か変わったことはありますか

岸岡 夏合宿前は一度も勝ったことなかったんですけど、通用する部分が結構あったので、そこが変わったかなと思います。

齋藤 うん、そうだね。いけるな、みたいな。

岸岡 改善する部分はまだまだあるんですけどこれからやっていけるなという自信はついたかなという感じですね。

――部全体の雰囲気はどうですか

岸岡 みんな、いけるんじゃないかという雰囲気になりましたね。手ごたえを感じ始めた人が多いと思うので。

――夏合宿を通してお二人がそれぞれ伸びたと思う部分は

齋藤 自分ではわからないですね。

岸岡 チームとしてはアタックですね。いままでやってこなかったので。みんなトライ取れたりするとうれしくりますし、新しい動きが入ってきて、バックスでもトライ取れたりボールがよく動かせていると思います。試合を見ている側も楽しいのかなとは思いますね。

――齋藤選手はよくスクラムに絡んでいくポジションだと思うのですが、スクラムを近くから見ていて合宿前と後で変わったなと思う部分はありますか

齋藤 実戦で組んだときも押せたりしているし、スクラムだったりラインアウトだったり、セットプレーが安定すると試合の流れが変わるのでバックスとしてもすごく助かりますね。

――合宿でもアタックの練習をされていたということで、春にずっとやってきたディフェンス面は十分通用するレベルになったのではないでしょうか

岸岡 そうですね。ほとんどディフェンスしかやってこなかったので、春はディフェンスで我慢するとことをやってそれがずっと続いていて、いい感じですね。春みたいにすぐ抜かれることはなくなったのでディフェンスの精度も良くなっていると思います。

――この人のタックルが上手だなとかディフェンスが上手だなと思う選手はいますか

岸岡 タックルは、佐藤真吾さん(スポ2=東京・本郷)とロックの山口さん、(和慶、スポ4=福岡)ですかね。

――網走合宿で走り込んだと聞いたんですが

岸岡 練習きつかったっすね。

齋藤 走ったよね。毎日走らされてたわけじゃないんですけど。それでもそのおかげで、初戦は緊張もあって40分でバテバテだったんですけど、最近は一応80分出れてますね。

「一試合一試合を大事にしていきたい」(岸岡)

岸岡は春季から多くの試合にAチームとして出場している

――秋についての話をお伺いします。秋はこういうプレーをしたいという目標はありますか

岸岡 SOというポジションなので、チームを勢いづけるようなゲームメークというか、勝ちを持ってこられるような試合をつくっていきたいです。

齋藤 自分もゲームをつくる側なので、いいキックといいパスができればと思っています。あとはディフェンスを上手くコントロールしていきたいですね。

――春の反省点で何か活かせそうな部分はありますか

岸岡 アタックはいい感じで攻められるんですけどトライ取りきれないことが最近多くて。最後ミスで終わってしまうことが多いので、しっかり攻めてトライ取ることですかね。いまだにまだ精度が低くてノックオンしてしまうことがあるので。そこでトライ取り切れたら勝ちは大きく見えてくるのかなと思いますね。

――ちなみに春のベストゲームは

岸岡 やっぱり点差詰めることができた明大戦ですかね。

――岸岡選手のキックがさえていた印象でした

岸岡 あー、あのとき上手くいった気がします(笑)。あんまり覚えてないですね(笑)。

齋藤 絶対覚えてんじゃん(笑)。

――秋シーズンのヤマ場は

岸岡 まずは筑波大になんとしてでも勝ちたいです。山下監督も、ただの勝利じゃなくて圧倒して勝つ、とチームでも言っているので、そこでどれだけできるかですかね。しっかりと勝ちたいと思います。

――初めての早慶戦と早明戦となりますが、いかがですか

齋藤 観衆も多いと思うので楽しみですね。慶大だからとかそういうのはあんまりないんですけど、勝ちたいですね。

――観衆というと花園もかなり観衆は入ったと思いますが、観衆の多さは慣れていますか

齋藤 そうですね。準準決勝が一番入ったと思います。あんま気になんなくない?

岸岡 試合始まったらあんまり気にならないですね。

齋藤 普通に緊張はします。

――秋シーズンのご自身のアピールポイントなどはありますか

岸岡 まあアタックに関してはほとんど決まっているんですけど、判断というよりは80パーセント成功できるようなサインプレーをしようかなと思います。難しいことより確実なことをやっていきたいですね。その中での一瞬の判断がうまくいけたらいいとは思っています。

齋藤 僕はやることって言ったらパスかキックしかないと思っています。テンポのいいさばきと正確なボックスキックをこなしたいですね。

岸岡 どこのチームも選手の判断は一つの中に二通りくらいあって、一瞬の判断で前にパスを放ったり後ろに放ったりとかあるんですけど、それだったらミスしたときのリスクが大きいんですよね。それより確実にゲイン取れるほうを精度の高いやつでやろうってやっているので、最初は判断というより正確性ですね。選手の判断というかサインプレーの数で勝負していきたいと思います。

――サインプレーの数は多いのですか

岸岡 そうですね、春はなかったんですけど網走合宿で増えました。

――それは試合前にきょうはこのサインを使ってと言われるのですか

岸岡 そうですね、試合前に監督から相手のディフェンスはこうだからとかいうお話はありますね。

――相手ディフェンスについては選手たちで分析するのですか

岸岡 いやそれはもう監督だったり分析の方だったりがしてくださいます。

――残りシーズンの意気込みを教えてください

岸岡 チームではとりあえず筑波大戦にピークもってきて、そこでいいプレーできるようにしていきたいです。これから練習試合だったり対抗戦も始まるので、一試合一試合を大事にしていきたいですね。

齋藤 一試合一試合を全力でやっていきたいと思いますね。

――チーム内のライバル選手はいますか

岸岡 僕は横山さん(陽介、スポ3=神奈川・桐蔭学園)ですね。

齋藤 僕は吉岡航太郎さん(スポ3=国学院栃木)です。

――大学に入って注目されている実感などはありますか

岸岡 そうですね。実感はしますけど、高校時代とあんまり変わってないというか(笑)。

――高校時代から注目されていましたね

岸岡 花園のときは記者さんが多かったですね。

――応援してくださるファンのかたにメッセージをお願いします

岸岡 春にやった招待試合とかで地方に行くと、負けとかも続いている中で、ファンの方々がいっぱいいてくれるので、その人たちが喜んでくれるような試合をしたいですね。

――対抗戦の中で個人的に楽しみな相手などはいますか

岸岡 同じ高校出身の同級生が出ているチームとかとはやってみたいですね。一年生で出ている人がいるチームは少ないですけど、そういうチームとやってみたいっていうのはありますね。

齋藤 僕は同じ高校出身の選手がで明大に多いので、勝ちたいですね。

――1年生がこれだけ出ているチームも他に少ないと思いますが、それに関してはいかがですか

齋藤 試合に出させてもらっているぶん、変なプレーはできないな、と思いますね。

岸岡 まあ僕らは思いっきりやるだけですね。

――ワセダの中で注目の選手はいますか

岸岡 それはもう、斎藤選手ですね。

齋藤 黙れって(笑)。じゃあ僕は岸岡選手で(笑)。

――お互いどんなところに注目ですか

齋藤 キックですかね。

岸岡 直人もキックですかね。ボール動かすのがうまいので、直人は。あとは自分で走っていったりとかしてほしいと思います。積極的に攻めるタイプのSHなので、そこに注目ですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋団、寺脇知佳)

期待のルーキー二人のゲームメークに注目です!

◆岸岡智樹(きしおか・ともき)(※写真左)

1997(平9)年9月22日生まれ。173センチ、80キロ。大阪・東海大仰星高出身。教育学部1年。ポジションはSO。

◆齋藤直人(さいとう・なおと)(※写真右)

1997(平9)年8月26日生まれ。165センチ、73キロ。神奈川・桐蔭学園高出身。スポーツ科学部1年。ポジションはSH。

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