自転車部

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2016.08.22

【連載】インカレ直前特集『Wを胸に』 第2回 伊藤和輝×中川拳×納家一樹

 百戦錬磨のベテランと、フレッシュな2人の新人。全日本大学対抗選手権(インカレ)を前に、4年生として最後のインカレに臨む伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)と、今回がインカレ初出場となる納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)、中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)という2人の1年生に、大舞台に懸ける思いを語ってもらった。

※この取材は8月2日に行われたものです。

「筋肉をどれだけ効率よく使うことができるか」(伊藤)

練習について語る伊藤

――今季を振り返っていかがですか

納家 前期は無事クラス3からクラス2に上がることができて、何とかインカレに出場できるようになったので順調に進んできているのかなと思います。理想はクラス1に上がりたかったんですけれど、前も3位で、1位じゃないとクラス1には上がれないのでそこが残念だった点ですね。

中川 ことし大学生になって、高校の時よりも乗る時間が取りやすくなってこの7月までの間しっかり乗り込めたのですが、あまりいい成績はないのでインカレではしっかり成績を残せるようにあと1か月大事に過ごしていきたいです。

伊藤 前期の最大目標は4月にあった全日本選手権トラックで、それ自体はきょねんの10月からずっと動きがあって、ワセダじゃなくて学連選抜のほうで団体追い抜き2位になれたんですけれど、まあ優勝できる内容だったので一番大きいポイントとしてはそこで優勝しきれなかったことですね。一番大きい目標として掲げていたこの大会で優勝できなかったことが悔いの残るところなんですけれど、そこからは絞った大会に関してはいい成績を残してくることができました。たとえばマディソンで個人戦(全日本学生選手権トラック)に出ようという話になって。個人戦では3位になれたんですけれど、もっと詰めたら上を目指せるよねって話をして翌週のJICF国際トラックカップでしっかり優勝することができたので、前期に限って言えば効率よくトレーニングをして幅広くいろんなトレーニングに取り組んで絞った大会で結果を残せたので順調にここまできているなという感じです。

――その中で特に印象に残っている大会は

納家 僕は全日本学生RCS・第1戦の菜の花飯山ラウンドですね。大学入って初めての大会で周りがどんなレベルか分からなかったんですけれど思ったより走れて、成績も残してクラス2に上がることができて、自信をつけることのできた大会でした。

中川 僕は6月にあった個人戦ロードレース(全日本学生選手権個人ロードレース)です。180キロという今まで走ったことのない距離で距離に不安要素があったんですけれど、そこまでに練習でしっかり乗り込めていたので、180キロ最後まで走り切ることができて、結果はあまりいいものではなく入賞とかもできなかったんですけれど、最後まで走り切れたことが印象に残りました。

伊藤 1番大きい舞台の全日本選手権トラックと言いたいところなんですけれど、成績がやっぱり悔しいものがあるので、今振り返ってみればJICF国際トラックカップのマディソン優勝が一番うれしかったですし、印象にも残っています。

――練習では特にどのような点を意識してきましたか

納家 インカレは修善寺のアップダウンが激しいコースでのインターバルなので、それに合わせて上りがだいたい4、5分ということを意識した練習をしてきました。

中川 僕は、大学生になってカテゴリが上がって距離も伸びたので、まずはことし7月までの練習は強度もそこそこ出しつつボリュームをしっかり出すように意識して練習していました。

伊藤 自分は今季最後なので自転車に乗ることも大切かなと思ったんですけれど、スポーツ科学部で勉強してきて人間ってかなりたくさんの種類の筋肉がついていることを知って、競技中にどれだけ自分に付いている筋肉を使うことができるか意識するようになりました。筋肉を新たに付けることも大事なのですが、今自分に付いている筋肉をどれだけ効率よく使うことができるかっていうところにも着目してウエイト、スタビリティなどの点をトレーニングして詰めていきました。

――練習メニューは全て自分で組み立てているのですか

納家 全体の練習があってそれプラス自主練という感じで、今言ったのが自主練の部分の話です。

――練習メニューはロードとトラックで一緒なのですか

伊藤 いや、短距離・長距離・女子でそれぞれ決まっていて、中距離は僕ひとりしかいないので僕は100パーセント自主練です(笑)。

――ロードのメニューは誰が決めていますか

納家 金子智哉(商4=神奈川・相模原)さんですね。

――それぞれ意識して練習されてきて、成長を感じた点はありますか

納家 具体的に僕の自転車にはパワーメーターがついていて数値が出るんですよ。出力がワットで出るんですけれど、その数値が大学入学してから20ワット上がって、20ワットって結構な値なんですけれど、そこで成長が目に見えたかなと思います。

中川 ボリュームを意識してたくさん練習したことで、スタミナなどは付いたかなと思います。

伊藤 スタビリティトレーニングに関して、ちょっとトレーナーの方の介入を得て新しいトレーニングを続けてきました。開始2か月くらいでちょうど個人戦トラック(全日本学生選手権トラック)があって、タイム的には全然だめだったんですけれども、4キロのレースで体験相手が思ったより早くて。僕は指定のラップをきちんと刻んでいたんですけれど抜かされてしまいました。追いつくと失格になるというルールがあるので追いつこうにも追いつけず、ルール上そこから前の選手が詰まってしまって自分の力を出し切ることのできなかった試合だったのですが、4キロのうちの前半では目標ぴったりのところまで来ていたんで・・・質問なんでしたっけ(笑)。

――成長を感じられた点です(笑)

伊藤 あっ(笑)。結果は良くなかったのですが前半6周に関してはやってきたことが身に付いているなと感じられたレースでした。

――スタビリティトレーニングとは具体的にどのようなものですか

伊藤 体幹を鍛えるとかそういう感じです。よく長友選手の体幹トレーニングの本とかあるじゃないですか、あんな一般的なものもありますし、バランスボールとかでこれやんのかって感じのもあります。ただやはり自転車競技は地上の自転車の上でやるものなので、いかに自転車に乗ってるフォームとか自転車に乗ってる時につかう筋肉を使うとか、そういうことを意識しながらスタビリティトレーニングしていますね。

「ワセダが一番良い環境」(中川)

中川はツールド北海道に北海道代表として出場する

――ではプライベートなことに関してもお話を聞かせてください。納家選手、中川選手は入学して4か月ほど経ちましたが、学校や部には慣れましたか

納家、中川 はい、だいたい慣れました。

――二人はなぜワセダを選んだのですか

中川 僕は他大学さんからも声を掛けていただいていたんですけれども、練習環境とかも考えてワセダが一番良い環境じゃないかって思ったからです。ロードだと街を走ると信号が多いので、信号を抜けるのにワセダの練習環境が比較的抜けやすいかなと感じました。あとは先輩方が優しいと聞いていたので。

納家 僕はあんまり他の大学から声が掛からなかったっていうのもあるんですけど(笑)。その中でワセダが一番自主性を重視してやっているというのを聞いて、僕は自分でトレーニングプラン立てたりするのが好きだったので、それをスポーツ科学部で学びつつ、自分でプランニングして練習ができるのはここじゃないかと思ったからですね。

――4年生の伊藤選手から見てこの1年生2名はどのような印象ですか

伊藤 納家選手に関しては昨年の和歌山国体で会って。何走ってたんだっけ。

納家 僕は1キロメートルタイムトライアルです。

伊藤 そうだ、納家は1キロを走ってたんですけどその時はあまり印象には残ってなかったのですが。でもその時点でもうワセダに入るって聞いててしっかり挨拶にも来てくれて入学前から印象が良かったですね。その上入学してからは、大会会場でテントの設営とかいろいろ雑務があるんですけどすごくしっかり動いてくれて、部活動としてとても優秀な後輩だと思っています。中川選手は天然だなと思います(笑)。

一同 (笑)。

伊藤 ただ、天然で面白いんですけど色々考えていて。個人戦ロードレース(全日本学生選手権個人ロードレース)では後ろの集団はレースというより完走目指して走るって雰囲気になってしまっていたんですけれど、そっちにはいないで、しっかりレース展開を繰り広げている前方集団でいい走りを見せてくれたのでインカレにも期待しています。1年生ですけどしっかり着を狙えるんじゃないかと期待している後輩です。

――中川選手の天然エピソードなどあるのですか

伊藤 タコパのやつしか思い浮かばん(笑)。

納家 そうですよね(笑)。

伊藤 この前部でたこ焼きパーティーしたんですよ。で、こいつ1年生なんでみんなの分たこ焼きひっくり返したりしてくれてたんですけど、ひとつ前のが一個残っていて「これ誰が食べる」ってなって。それで中川が「はい、僕食べます」ってなったんですけど、みんなの分ひっくり返してたやつでそのままそのたこ焼き刺して(笑)。孫崎(大樹、スポ2=京都・北桑田)が「お前それで食うんか」って確認したのに真顔で食ってしまって、3秒くらいしてから「あっ」て気が付いて「あっすいません」とか慌てだしたんですよ。いやいうたやんみたいな。

一同 (笑)。

伊藤 ほんと天然です。

――日常生活において伊藤選手はどのような先輩ですか

納家 一番頭の切れる先輩というか、一番気が回るというか、大会や練習での指示がすごく的確です。自分の意見をきちんと述べていて、本当に尊敬できる先輩です。

中川 練習の時もすごくリードしてくれて、頼りがいのある先輩です。あとは、僕が初めて一緒に練習したのが3月の合宿の時だったのですが、最終日に団体追い抜きの練習に参加させていただいて、僕にとって初めての種目だったんですけど伊藤先輩がずっと見てくださいました。

伊藤 具体的に何教えたんやっけ。

中川 ライン取りとかそういう初歩的なところから、初めての僕に一から教えて下さって、すごく助かりました。

――では納家選手の印象はいかがですか

納家 なんで頭見るんですか(笑)。

伊藤 いやもう髪の毛染めてチャラチャラして(笑)

納家 大学生っぽいこともしたいと思って(笑)。

伊藤 でも真面目な話、一番周りがよく見えていて自分がどう動かなきゃいけないかきちんとわかっていて、上手に力を抜きつつ上手に立ち回ってると思います。

中川 納家君は僕と同時期に寮に入って練習も始めたのですが、そんなにたくさんではないものの1年生の仕事があるんですけれど、それを進んでやってくれて助かっています。

――では中川選手の印象はいかがですか

納家 トレーニング法とか自分で勉強していてすごい知識がありますね。僕も色々教わってます。あと、部の仕事やってるって僕に言ってくれたんですけど、多分一番やってるのこいつで。いつも本当に感謝してるというか、僕もやらなきゃいけないんですけど(笑)。

伊藤 納家みたいに周りをしっかり見てるというよりも、自分のすべきことをしっかり把握していて分からない時はきちんと聞いて、その聞いたこともすごく的確に捉えて動いていますね。その、僕が指示したことの意図とかまでちゃんと汲み取ってくれるというか。天然だけど理解力高いんです(笑)。

――中川選手はツールド北海道に出場されるのですか

中川 はい。インカレが終わってすぐの9月初めにあるのですが、地元の北海道代表というかたちで出場させていただきます。3日間で500キロを走る、ステージレースという3日間連続で行われる大会です。一応国際レースという位置付けで、海外のプロの選手も来て、もちろん国内のプロの選手も出場するようなレースです。僕がことし出場する試合の中で最も格式の高いレースです。

――地元北海道での開催ですね

中川 そうですね。ツールド北海道選抜チームは5人で出るんですけれど、ほかのメンバーは全員顔見知りで、久しぶりにその人たちと走れるというのも楽しみです。

――納家選手は欧州遠征に参加すると聞きました

納家 そうですね、学連の欧州遠征に行きます。ベルギー、オランダです。初めての海外遠征なので色々学ぶこともあると思うので、挑戦してみたいと思います。あと僕チョコレートが好きなんで、ベルギーの本場のチョコをいっぱい食べてきたいと思います(笑)。

伊藤 この記事を読んでいる皆さん、お土産が欲しい方は納家まで連絡を(笑)。

一同 (笑)。

納家 何千人とかきたら困るじゃないですか(笑)。

「部に貢献したい」(納家)

秋には欧州遠征が控えている納家

――続いてはインカレについてお伺いしたいと思います。まず、皆さんにとってインカレはどのような位置付けの大会なのですか。

納家 部の中で一番重要な大会ということですし、自分の中でも一番に近いくらい大きな重要な大会だと思っています。ここでの成績がこのシーズンの成績といってもいいくらいだと思っています。

中川 僕もきょねんの10月くらい、ワセダに入学する前から(インカレがある)8月終わりに調子のピークを持ってこられるように意識して練習とかも組んできました。それくらいやっぱり意識している重要な大会ですね。

伊藤 自分は逆に、今はあまりインカレを特別は意識していないです。年間を通して要所要所の大会で結果を出して、その要所のひとつとしてインカレがあるという意識でいます。その後も国体がありオフシーズンのRCSの行田ラウンドも、という大きな流れの中で、ひとつの大きな大会だという感じで捉えているので、すべてをインカレに向けてという感じではないです。僕も2年生までは何よりインカレに重点を置いてやっていましたが、きょねんの後半くらいからその(年間を通した戦い方をする)方が成績がいいなとわかってきて、今はそういった重きの置き方をしていますね。

――それぞれどの種目で出場されるのですか

納家 僕はロードレースのみです。

中川 団抜き(団体追い抜き)とロードレースです。

伊藤 自分は団抜きと、4キロ追い抜き(4キロメートル個人追い抜き)と、たぶんスクラッチも出ます。あとはロードレースですね。

――4種目出場というのはやはり多いと感じますか

伊藤 大学ではロードならロード、トラックならトラックとしっかり分かれているパターンが多いんですけれど、そうですね、本当にロードで狙いに行く選手はほとんどトラックには出ないですね。逆にトラックでポイントレース1位2位とか取るような選手でしっかりロードも狙ってくるっていう人もいますね。ことしはスクラッチという中距離種目が増えたので、どうなるか分からないですね。きょねんまでは(中距離種目が)4キロだけだったので強い選手が両方出るというパターンはあまりなかったですね。それにスクラッチが加わったので、ことしに限っては各大学どんな動きをしてくるか読めないですね。

――では今はインカレに向けて調整を行っていると思いますが、特に意識しているポイントはありますか

納家 僕は初めにも言った通りインターバルを意識しています。

中川 7月までは練習のボリュームを一番に考えてきたのですが、8月からは少しボリュームを抑えてしっかりと深く追い込むこと、強度を意識して練習することです。あとは、常に身体の動かし方とか意識して練習しています。

伊藤 暑くなってきているので体調管理ですね。4月、5月と同じ練習をしていては体力の消耗の度合いが違うので。体調崩したりしたら1週間くらいまともな練習が出来なくなってしまうので注意しています。トレーニングの内容としてはさっき言ったような体幹トレーニングだったり、自分の筋肉を最大限に動かせるか意識しています。

――では最後にインカレへの目標を聞かせて下さい

納家 インカレは完走が少ないような過酷なレースなので、まずはしっかり先輩のサポートをすることですが、それをしつつ完走することでポイントを獲得して部に貢献したいと思っています。

中川 僕が監督さんにワセダに誘っていただいたのは、やはりロードで結果を残すことを望まれてるからだと思っているので、最低でもポイントを取れる順位にいることで、その中でもやっぱり狙うのは表彰台です。

伊藤 僕はたくさんの種目に出場させていただきますが、ロードはおそらく完走は無理なので。っていうのも完走狙いでいるとどうしても温存しちゃって思い切った走りができないんですよ。でもインカレはやっぱりそれではだめで個人ロードの時みたいに鹿屋体大が前に動くというパターンになると予想されるので、他のチームとしっかり逃げをつくってそこにワセダを送り込んでいく、そうしないと結局ワセダが集団の中できつい思いをしないといけなくなるので、しっかり積極的に動いて、それでも100キロまでですね。その間にしっかりチームメイトを温存させて、そこからは多分納家たちが頑張ってくれると思っています。脚のある選手が多いので早いレース展開になると思うので、その中で何回かこのレースを経験してコースも知っている自分が大事なポイントでしっかり動いて、チームメイトのアシストをしたいと考えています。トラック競技に関してはことしスクラッチがどんな展開になるか分からないのですが、各校ひとりずつしか出場できないので、チームメイトとアシストし合ったり協力したりということができない完全に自分の力勝負の展開になりますが、そこでしっかり表彰台狙っていきたいです。4年間続けて出場してきた4キロ(4キロメートル個人追い抜き)はかなりの激戦なので、毎年ナショナルチームの人が入賞するような種目ですが、そこになんとか自分の名前を入れられたらと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 久野映、本田理奈)

(左)から「経験」(納家)、「根性」(中川)、「最後」(伊藤)

◆伊藤和輝(いとう・かずき)(※写真右)

1994年(平6)7月24日生まれ。身長174センチ。東京・昭和第一学園高出身。スポーツ科学部4年。周りへの気配りと確かな実力で後輩から慕われている様子が伝わってきた伊藤選手。随所で盛り上げて下さり終始笑いの絶えない対談になりました。最後のインカレでは、その雄姿を後輩の目にしっかりと焼き付けてくれることでしょう!

◆中川拳(なかがわ・けん)(※写真中央)

1997年(平9)9月22日生まれ。身長171センチ。北海道・帯広三条高出身。スポーツ科学部1年。天然だと評された中川選手ですが、折り紙つきの実力にも関わらず謙虚に質問に答えて下さる姿が印象的でした。初挑戦となるインカレではその持ち味を存分に発揮し、表彰台という目標を達成してくれることに期待がかかります!

◆納家一樹(なや・かずき)(※写真左)

1997年(平9)6月14日生まれ。身長172センチ。東京・八王子桑志高出身。スポーツ科学部1年。伊藤選手と息の合った掛け合いで楽しませて下さった納家選手。冗談を交え盛り上げつつも、ひとつひとつの質問に対する真摯な受け答えからは自転車競技に対する熱い思いがうかがえました。初めて臨むインカレに向け気合い十分です!

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