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漕艇部

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2016.04.16

【連載】早慶レガッタ直前特集『4月17日』 最終回 内田大介監督

 昨年度輝かしい戦績を収め、躍進の一年となった早大漕艇部。それを語る上で欠かせない存在は、組織をまとめ、栄冠へと導いた内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)だ。昨年の雪辱を果たすべく挑む伝統の一戦。『One WASEDA』のスローガンの下、早慶戦完全優勝に向け内田監督はどのような指導をしてきたのだろうか。現在のチーム状況とともに、その心境を伺った。

※この取材は3月12日に行われたものです。

新体制の状況

昨年、インカレ優勝へと導いた内田監督

――昨年の全日本大学選手権(インカレ)優勝を踏まえた上で、ことしの早慶戦の位置づけというのはどういったものになるとお考えでしょうか

 一昨年まではひとつひとつのレースがうまくつながっていなくて、ひとつずつトレーニングを考え直していました。継続的でない部分があったんですけど、きょねんは早慶戦から全日本(選手権)までひとつの流れとしてとらえたことがうまくいって、全日本は外しちゃいましたけどインカレはそこにはまったという感じでした。なので、ことしも春の早慶戦はもちろん雪辱は考えていますけど、早慶戦で終わらないように、早慶戦のトレーニングがインカレと全日本につながるような流れをつくりたいなと思います。 

――いまはどのような練習を行っていますか

 この時期というのはボート競技では低いピッチでゆっくりした動きの中で長く動作を繰り返す時期なんですね。陸上でいうとマラソンみたいな。それは体力的には持久力をつけるのですけど、技術的にゆったりした動作の中で反復練習、基礎基本をやっていかないとなりません。いよいよ本番に近くなっていってハイレートになっていったときに基本的な練習をやっているようでは間に合わないので。春先が一番大事な技術練習の時期でもあります。たくさん繰り返す、ここを大事にしていきたい。 

――新体制の状況は監督の目から見ていかがでしょうか

 ことしの卒業生というのは男子は長田(敦前主将、平28スポ卒=石川・小松明峰)を中心に、女子は土屋(愛前女子主将、平28スポ卒=現明治安田生命)、榊原(春奈前女子副将、平28スポ卒=愛知・旭丘)を中心に非常に国際大会の経験豊かな選手がいたので自分たちで作り上げていくという部分がありました。それプラス彼らが私の方針にうまくベクトルを合わせてくれたので、きょねんは良い感じになったんですね。ことしは一部の人間以外は国際大会まで経験している人間は少ないながら、きょねんの長田、土屋、榊原に育ててもらった勝負の勘とか、基礎基本が残っているので質的にはきょねんよりも安定していて高いと思います。それは技術的な話で非常にまとまっていると思います。メンタル的には、きょねんは一流選手が多かったのでグイグイ引っ張っていく感じでしたけど、ことしは私が組織で勝とうということを言っているので、非常にそういう面では是澤主将(祐輔、スポ4=愛媛・宇和島東)や佐藤紫主将(紫生乃、スポ4=宮城・塩釜)もチーム内のバランスをうまく考えていると思います。仲良くするということではなくて、当然スポーツだからぶつかり合うのですけど、問題解決をどうしたらいいか丁寧にやってくれているかなと。組織的にはマネジャーも含めて育っていっていると思います。一流選手がいない分、ボトムアップしていって組織で勝つという気持ちでいます。 

――是澤主将と佐藤紫女子主将にはどのような印象をお持ちでしょうか

 バランスが取れていて良いと思います。グイグイ引っ張っていくわけではないけど良い意味で背中を押しているっていう感じです。きょねんの長田たちは背中を見せてグイグイ引っ張っているイメージでしたけど、逆にボトムアップ、ミドルアップで中間層を押し上げているという感じです。 

早慶戦に向けて

――現在のクルーの状況はいかがでしょうか

 男子については基礎基本の積み重ねが十分できてきているので、あとはトレーニングの中身をどれだけ練習量を確保するかと、早慶戦に関していうとことしはスタートが後ろにずれてスタートするんですね。なので、竹内(友哉副将、スポ4=愛媛・今治西)が非常に瞬発力があるので、とにかく最初が重要ですね。そこについていけるような技術であり体力を他の人間も構築中ですね。舵手に頼るような高い技術力を有してきていると思います。女子に関しては種目が代わりまして、一人で2本持つスカル種目からスイープ種目に代わりました。若干心配していたところもあったのですがスカル種目を長くやることで、バランス感覚が非常に良いと思います。上達の具合でいうと男子よりも早くうまくなっているかなというくらい良い仕上がりになっています。ただケガ人が多いので心配です。クルー全体は良い仕上がりだと思います。 

――女子は種目変更となりましたが、例年と練習法など変化した点はございますか

 基本的には種目が代わっても基本の動作は変わらないのでそこまで大きく計画を変えるということはないですね。ただ動きが少し違う、左右対称の動きから片側の動きになるので、そこの習得を早くすれば、トレーニングの中身自体を変えなくてもいいです。 

――なぜ種目変更となったのでしょうか

 今回はケイオーの方から部員がエイトを組める状況になったのでぜひエイトでやりたいという申し出があって、我々も国内の対校戦で女子のエイトが史上初なのでぜひやりましょうというのがありました。 

――隅田川で行われるレースですが重点的に行う練習法はございますか

 春先の長く漕ぐということです。隅田川のコースも通常の戸田のコースに比べると約倍のレースコースなのでそこはうまくリンクさせて、スタミナというかスピードのあるローイングを長く続けられるっていうところをいま隅田川に向けてはメインでやっています。プラスでことしはスタートがずれているので春先から瞬発的なトレーニングはやらなきゃいけないかなと思っています。女子はほぼ直線のコースなのでこれは基礎基本で、長く速く加速していくという夏につながるような目標をしっかり反復しています。

――監督就任2年目の早慶戦となりますが、監督自身意識されていることはありますか

 きょねんは残念な結果だったので、比較的早めにトレーニングには入ったのですがモチベーションを長く保っていくのは難しいなと感じています。そこを丁寧にひとりひとりの部員と話しをしていますかね。私から見て悩んだり、伸び悩んだり、あるいはチーム内の人間関係であったり個人的なことであったりというのに対しては非常に丁寧にコミュニケーションを取ってフォローアップをしていますね。 

――昨年は長くて有効なストロークを意識した漕ぎ方を重視するというお話しを伺いました。ことしはどういった漕ぎ方を意識されますか

 基本的には同じです。加えて、ケイオーのハイレートに負けないスピードをプラスアルファしたいと思っています。特に前半ですね。 

――ことしのケイオーの印象はいかがでしょうか

 クルーの体格も非常に良いし、トレーニングしているところを見ても昨年とは指導方針が代わっているようで、随分ノーマルなローイングというか基礎基本に徹したローイングをしているので怖い存在だなと思っています。体力測定の結果を見ても、ほぼ互角なのでまったく侮ってはいないですね。

――コースのポイントはどこでしょうか

 最初の両国橋のカーブを並んで抜けられるかどうかでしょうかね。 

――レースのキーマンは

 男子はストロークの竹内ですね。彼のリズム作りやスタートダッシュのスプリントにかかっているかなと思いますね。あえて言えばそれを後ろにつなぐ石橋(広陸、スポ3=愛知・豊田北)ですね。この二人です。女子も慣れないスイープなので淡々とリズムを刻まなければならないです。いまのストロークの田口(えり花、商3=埼玉・浦和一女)はきょねんのインカレでスイープ種目で優勝している選手なので非常に安定したローイングができると思います。相当ラフで波が出たとしても安定して漕げるだろうなと思います。あと主将の佐藤紫が進行方向に乗っていますので後ろからみんなのことが見えるんですね。たぶん冷静に指示を出して、指揮をしてくれると思うのでそこの二人はキーマンかなと思います。 

組織で勝つ

――完全優勝に向けてのポイントはどこでしょうか

 焦らずにとにかく基礎基本を積み上げるだけですね。あとは組織で勝つという目標なので補欠ですよね。ことしは男子はサードエイトまであるので補欠とトレーナー、マネジャーでそれぞれのポジションを部員が全員が責任を果たして『One WASEDA』で勝てる意識を、組織で勝つということを体現してくれることがポイントだと思います。 

――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします

 4連敗してますけれども、過去は振り切って、後ろは振り返らずに、我々が狙っているローイングをしたいと。それをみなさんにぜひ見ていただきたいです。それとインカレ、全日本に向けて『One WASEDA』のまとまりの結晶である漕手のメンタルから体力、スキルを含めてすべてを見ていただきたいなと思います。 

――ありがとうございました!

(取材・編集 黒田菜々子)

◆内田大介(うちだ・だいすけ)

1956(昭31)年6月19日生まれ。長野・岡谷南高出身。早稲田大学教育学部卒。レースの戦略だけではなく、車の運転から日曜大工までもこなしてしまうという内田監督。選手からの信頼も厚く、コミュニケーションは欠かさないとおっしゃっていました。『組織で勝つ』をモットーに、早大を必ずや栄冠へと導いてくださることでしょう!

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