バレーボール部
2015.11.28
【連載】全日本大学選手権直前特集『KNOCK』 第3回 福山汰一主将×山口頌平副将×田中健翔
男子部の最終回は福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)と山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)、田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)の対談。常に先頭に立ってチームをけん引してきた三人は、一年の集大成である全日本大学選手権(インカレ)にどのような思いをもっているのだろうか。そして、ラストイヤーを迎えた福山の胸中とは。
※この取材は11月11日に行われたものです。
「花を持たせて卒業させてあげたい」(田中)
特別な思いを持ち、インカレへの意気込みを語る田中
――今シーズン、ここまで振り返ってみていかがですか
山口 ことしを通してそこそこの成績は残せてはいると思います。ただ、勝ち星こそまあまあつきましたが、内容として見れば秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)は特に自分たちのミスが多かったりだとか、自分たちが勝ちにいったというよりは相手のミスを待っていたりして、そういう部分ではもっと勝てた試合がありました。インカレではそういう試合をしていたら勝てないと思うので、成績とかいうのは捨てて、できることをやりたいと思います。
福山 今シーズンを振り返って、たぶん例年よりも下級生が多くて上級生が少ないので、きつめのメニューをやってきたつもりです。春リーグ(春季関東大学リーグ戦)や東日本(東日本大学選手権)、秋リーグはそれなりの結果がついてきたと思います。でも、まだまだ自分たちには甘いところがありますし、やらないといけないことができなかったりということがあるので、全カレに向けてそのあたりをしっかり詰めていけたらいいなとは思います。
田中 今シーズンはいまのところまずまずの成績を収めてますけど、春は自分たちのチームがそんなに変わっていなかったので、それなりの結果が出たんじゃないかと思っています。東日本では他のチームのいろいろな選手が抜けていて、勝てる相手にしっかり勝って優勝できたという感じです。秋リーグはみんなだいぶ全カレに向けてチームを固めていっている時期で、他のチームも大体ちゃんとメンツがそろっているという中で勝てずに4位という結果でした。全カレは本当に最終決戦というかたちなので、どこのチームもしっかり仕上げてきています。そういう中で勝ち上がるのは容易ではないので、まだまだ練習が足りてない部分があるのかなと振り返って思います。
――春季リーグ戦は2位、東日本インカレは優勝、秋季リーグ戦は4位とここまで好成績を収めていると思いますが、その要因は何だとお考えでしょうか
山口 さっき健翔からもあったように、きょねんと比べてメンバーの大幅な入れ替えというのがあまりなく、ある程度やり慣れたメンバーでスタートできました。東日本は他の大学はユニバ(ユニバーシアード競技大会)とかで主力選手が抜けている中での優勝でした。そういうのも重なっての成績だと思うので、そこまで意味はないかなとは思います。
福山 結果はそんな感じになっているんですけど、自分たちのスタート位置が他より高かったっていうのがあります。最初に春リーグの結果が悪かった大学とかはそれなりに東日本、秋リーグ、インカレに向けて追い込んできていると思うので、そこら辺で追いつかれた結果、秋リーグ4位というかたちになりました。現状はそこなので、あまり結果は関係ないかなと思います。
田中 勝った要因としては東日本のときにはしっかりとブロックとレシーブを見直したりして、基礎に戻ってそういったところをきっちり固めたからだと思います。秋リーグは4位でしたけど、勝てそうで落としてしまったセットとかもたくさんあったので、インカレまでそういったところをまだまだ改善していかなければなという感じです。
――一方、チームの課題はサーブとレセプションでしょうか
山口 はい、そうですね。いっぱい詰めたい部分はあるんですけど、大きい部分はそういう感じですね。
――松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)からたびたびメンタル面の指摘がありましたが、その点に関してはいかがですか
福山 メンタルというのは正直個人個人の気持ちの強さなので、ぶれない人もいればぶれる人もいるというのが現状だと思うんですけど、全カレに向けてどれだけ自分が自分を鍛えられるかっていうのもすごく大事になってくると思います。しっかりと周りがやれなくても自分はやるという気持ちを一人一人が持っていれば、そのメンタルの部分は試合でも生きてくるんじゃないかなとは思います。
――昨シーズンからチームとして変えたこと、あるいは変わったことはありますか
山口 チームの方針として自分が入学してからずっと松井さんに言われているのは、センター線の速攻やパイプからの攻撃の展開というのはチーム全体として取り組んできています。個人的にはキャプテンで4年生のプレーヤーというのが汰一さん一人しかいないので、自分もことしは副将という役職をもらっていて1年生から出させてもらっているということもあり、できるだけ練習でも試合でもついていく側ではなくて引っぱっていく側として頑張っていきたいなっていう気持ちをことし一年持ってやってきました。
福山 きょねんに比べてプレーヤーとしては自分一人なので、3年生の意識というはことし一番大事なところです。たぶん自分と同じ気持ちでやれっていうのは難しいんですけど、そこに近いレベルでどれだけ3年生がやってくれるかっていうのは、きょねんとは違うと思います。ことしはさらにトレーナーさんとかも入ってきて、練習のトレーニング量も変わり、きょねんと比べて全然違うメニューをやっていて、そういったところはは変わったかなと思います。
田中 昨シーズン、僕は全く試合に出ることがなかったんですけど、今シーズンからオポジットで起用してもらって、昨シーズンベンチで見ていたワセダのチームと、ことしコートに入ってという中で比べたときに、ことしは4年生が汰一さん一人と少ないですが、3年生である僕と加藤(久典、スポ3=東京・早実)と山口と後藤(光明、社3=東京・早実)ら上級生がコートに結構入っています。そこで全カレに向けてってなったときに、4年生が最後ということもあって気持ちがすごく入るのは当たり前なんですけど、下級生に気持ちが入るか入らないかによってチームの強さが変わってくると思います。きょねんに比べたらチームの仲が良いので、汰一さんのために4年生のためにという思いが強くて、そこがきょねんと違うと思います。
――田中選手はレギュラーとして初めて一年間プレーされましたが、振り返ってみていかがですか
田中 1年の時に膝の半月板の手術をして、2年生では全くできませんでした。僕はスポーツ推薦で入らせてもらって、スポーツ推薦の他の選手がチームで活躍している中で、自分だけ全く試合に出られないというとても悔しい思いをした二年間がありました。3年になってやっと出させてもらって、本来僕はウィングスパイカーなんですけど、オポジットというかたちで入りました。最初は慣れないポジションだったんですけど、練習を積み重ねるうちに慣れてきて、意外としっかりはまってきたのかなというのは自分の中であります。オポジットはスーパーエースポジションでアタックが大事になってくるのですが、秋リーグで負けている試合はまだまだ自分が(ポイントを)取り切れてないというのがあるので、全カレでは仕上げられたらいいなと思います。
――個人的に見つかった課題や収穫はありますか
山口 秋リーグの序盤などは速攻を中心に攻めていこうというかたちだったんですけど、なかなかセンター線が合わなかったりした部分もありました。その中で自分はもっと高い位置でトスを上げるっていうのを意識し始めてだんだん修正できたので、トスに関しては早くボール下に入って高い位置で上げるのが課題ですかね。サーブではことしはボール(試合球)がMIKASAじゃなくてmoltenで、自分はフローターサーブなんですけど、なかなか変化するようなボールではありません。なので、もっとスピードのあるサーブを打ったりして、サーブでももう少し相手を崩せるようなプレーをしたいと思います。
福山 現在このチームでやっているのが、どれだけサーブで崩してブロックで引っかけて切り返すかということです。チャンスボールが返ってきたときに、センターでパイプを入れてサイドを切り込ませつつ、ライトの速いのを入れていくというのをやっています。最初のサーブに関してはことし天皇杯までやってきて、打つまでの気持ちの作り方というかメンタルの部分では、サーブで攻めるときに点数差を考える部分もあるんですけど、しっかり準備するというかしなければいけないと思いました。そこがことし収穫というか自分の中で気付けた部分です。でも、結局みんながサーブで攻めて崩してもスパイクが決まらないこともあるので、切り返すときにどれだけブロックが来ても上手くこなしていけるよう、全カレではもう少しやっていかないときついのかなと思います。
田中 先ほども言ったようにことしからスタメンで試合に出るようになって、リーグ戦や夏の企業合宿などで大学バレーボールのレベルの高さというのを初めて知りました。企業合宿に行ったときも、プロの企業さん相手にこのプレーは通用するんだ、これはしないんだとか、こういうボールが来るんだとか、全ての試合と練習において僕の中では良い経験になった一年ではありますね。初めて体験したバレーボールのレベルだったので、ことしは楽しくバレーボールができたかなっていうのも自分の中ではあります。
――福山選手は主将であり、かつ4年生で唯一のプレーヤーということで様々な苦労があったかと思いますがこの1年を振り返ってみていかがですか
福山 ことしが始まって、最初は松井さんにいろいろどうすればいいのか1週間くらい聞いていました。しかし途中からユニバの選考やジュニア(アジアU-23男子選手権)のコーチでいなくなって、途中からは全部一人でやらざるをえなくなりました。そこでメニューやチームの雰囲気、試合に向けて春リーグ、秋リーグ、東日本前の段階の計画とかを一人で考えるのはことしが初めてでした。いままでそこまで考えたことがなかったので、そこが一番大変だったのかなとは思います。やってみればそこまで文句も何も言われなかったので、逆にやりやすい環境にあったのかなとは思います。
――メニューの考案などをするうえで、唯一の同期である阿部あずさアナリスト(スポ4=神奈川・洗足学園)の存在は大きかったですか
福山 そうですね。まあ阿部ちゃんにもデータのこととかいろいろアドバイスをもらったりしました。視点がプレーヤーとまた違うので、試合の後とかにしっかりアドバイスをもらいました。反省点や今後どうするかっていうのは一緒に結構話していたので、そこは良かったのではないかと思います。
――山口選手と田中選手にお聞きしますが、お二人にとって福山選手はどのような存在ですか
山口 自分は大学に入学して、みんな九州出身で知っている存在ではありました。大学に来て汰一さんとはことしで3年目ですけど、きょねんまでの汰一さんはふわふわした感じで練習していました。ことしのチームでキャプテンになって、さすがにリーダーらしくチームを引っ張ってくれてるなと思います。
――山口選手のお話しを受けて福山選手はいかがでしょうか
福山 4年になるまでプレッシャーはなく、やりたいようにやっていたので多分周りの印象はそうなのかなと思います。
――田中選手はいかがでしょうか
田中 僕は汰一さんとは中学3年生のときから顔見知りで、高校も同じだったので、どういう人かはチームで一番知っているのかなとは思います。頌平が言ったように、3年のときはちゃらんぽらんな感じはあったんですけど、僕が高2で汰一さんが高3のときにもキャプテンをやっていました。そのときも上級生が三人でコートには一人で入っていて、苦労していたのを見ました。また早稲田でも一人でやって、若干同情や大変だろうなというのもあります。4年生になったらしっかりやるというのもわかっていて、案の定こうやってしっかり引っ張っていってくれているのはさすがだなと尊敬の目で見ています。あとプライベートでもずっと仲良くしてもらっているので、高校のときは彼が上級生のときに花を持たせて卒業さしてあげられなかったので、大学は次こそはしっかり花を持たせて卒業させてあげたいなと思います。
――福山選手にとって山口選手、田中選手はどのような存在なのでしょうか
福山 頌平に関しては1年のときから試合に出ていますが、結構監督を中心に回っていた高校だったので、大学に入ったらどんな感じになるかなと思っていました。1年のときから試合に出ていたからか、真面目にやってきているので試合中の信頼感というのは自分の中にないこともないです。
山口 (小声で)あるって言えばいいよ。
一同 (笑)。
福山 ワセダのバレーを、コートの中で自分以外だったら一番わかっているので、その辺の安心感がありますね。健翔に関しても中3から一緒にやってきて、高校でもしっかりやっていました。試合に出始めたのはことしからなんですけど、春リーグが終わって東日本になったときにスパイクに関してもチームで目立つようになって成長が見られたので、試合では彼なりにしっかりと結果を出してくれると分かっています。彼ら二人にはあんまり自分から口出しすることはないので、これからも全カレやその先も考えると楽しみな存在ではあります。(山口選手に向かって)それを受けてどうですか。
山口 偉大なるキャプテンからそのような言葉をかけてもらえるとは思わなかったので感動しています(笑)。
――今シーズンで特に印象に残っている試合やプレーはありますか
福山 自分の中で秋リーグの中大戦は一つの収穫があった試合だと思っています。ずっと秋リーグまでセンター線をどれだけ使って最終的にサイドで勝負させられるかというのをやっていたんですけど、サーブのことまでとやかく言っていませんでした。秋リーグの最終週くらいからサーブとかを攻めさせたんですけど、中大もサーブで攻めてくるので、自分たちが攻めていった場合はどうなるのかなと思っていました。打ってくる人は打ってくるけど、打ってこない人は相手にしても入れにくるかたちだけになって、サーブレシーブも崩れるときは崩れていました。しっかりと拾えるボールは拾って、決めれるボールを決められていたらもっと良い試合ができたと思うので、サーブを強く、コートの良いところに打てれば試合はがらりと変わるんじゃないかなと思った一つのきっかけでした。自分が一番印象付けられたのがその秋リーグだったと思います。
田中 僕は秋リーグの東海大戦が結構印象に残っています。3-0のストレートでボコボコにされて負けました。その東海大との前の対戦が東日本の決勝で、結構優位なかたちで勝てていたのですが、秋リーグになってお互い仕上げて万全の状態で戦ったときに、明らかに力の差がありました。そこで改めて自分たちの弱さを知ったというか、まだまだ全然足りてなかったなと思い知った試合だったので印象に残っています。
山口 自分もどっちかって言うと、勝った試合よりも負けた試合の方が印象に残っています。春リーグも格下との国士舘大に負けたりしたんですけど、秋リーグでは東日本や春リーグで勝っていた東海大に3-0で負けたりとか、そういうもろさが出て、勝てる相手に負けてしまったりしました。自分たちの力不足という問題もありますが、長丁場のリーグを通してメンタル面の問題というか、まだまだ波があります。そうであってはインカレのトーナメントでは厳しいと思うので、準備をもっとして臨みたいなと思います。
――みなさんは他校の選手で意識している選手はいますか
山口 同じポジションでいったら、中大の関田(誠大)さんです。きょねんからずっと中大に負けているので、何とか勝ちたいですね。
福山 自分はあまりそういうのはないので、正直気にしている人はいません。気にし始めたら自分のプレーができなくなるので、相手どうこうというよりも自分ができることをしっかりできるようにという考えなので。
田中 誰か一人に絞るって言われたら絞れないんですけど、僕が高校の時の春高から戦ってきたいろんなライバルが出ているチームには負けたくないなというのはありますね。僕はことしから出始めたけど、1年のときから出ている同期もいるので、そういうやつらには二年の遅れがあるので負けたくないです。
――チーム内で一目置いている選手はいますか
山口 僕は1年生の藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)と中野博貴(教1=東京・早実)です。よく声を出していて、練習中は自分も声とかでそいつらに負けないぞという気持ちにさせてくれますね。
福山 自分はこの副将の山口だと思いますね。結局ゲームづくりを一番やるのはセッターなので、壊すのも簡単だと正直思います。そこで彼がどれだけ能力を発揮してくれるのかが全カレでも大事になってくると思います。
山口 プレッシャーをかけてきますね。
一同 (笑)。
田中 僕はキャプテンですね。一緒に大学でもバレーをやってきて、彼は決まらなくなってくるとプライドが高いのでイライラし始めます。それを出しているつもりは多分ないんだろうけど、一緒にやっているチームメイトにそれが見え始めると下級生がしゅんとなってしまうことが、いまはあんまりないんですけど、ありました。全日本では万が一決まらなくなったときに彼がやる気なくなってしまうとワセダが崩れてしまうと思いますし、それは監督も結構言っています。東日本のときは監督がいなくて、自分で引っ張ってくれたおかげで優勝できたと感じているので、そこに期待しています。
福山 健翔から試合中に直接そのことを言われることもあったので、そこは影響がすごいあると思っています。それも自分の中の一つの課題だと思うので、もし決まらなくなったときにどう言うことができるのかもしっかり考えていきたいですし、そうならにようにしっかりと自分の仕事をするのも大事だと思うので、そのための準備を全カレに向けてやっていこうかなと思います。
九州出身トリオのプライベート
ウィットに富んだ発言をする山口
――ここからは少し話を変えて、プライベートのことをお聞きしたいと思います。オフの日などは三人で遊びに行くことはありますか
山口 そうですね、全くないですね。
一同 (笑)。
――他のバレー部の選手と遊びに行かれているのですか
田中 たまに後輩を連れて遊びにいったりしますね。僕と山口はもう同部屋で365日ずっと一緒にいるので。
山口 遊びまで一緒にいなくていいかな(笑)。映画に行こうと思ったりしたらとりあえず加藤でも誘っておけば、あいつは暇なので行くって言ってくれます。あとは寮にいろんな部活の人がいるので、寮のやつとも遊びに行きます。
――オフにしている気晴らしは何ですか
田中 僕は最近ちょこっとお酒を飲んだりするのが好きかなという感じです。リフレッシュになります。
山口 日曜日は寮のご飯がないので大体寮のメンバーなんですけど、飲みに行ってわいわいしたりとか、暇で何かしたいときは加藤を誘います。
――お三方とも九州のご出身ということで、帰省などはされたりしますか
田中 年末年始くらいですね。
――帰省されたときに何かすると決めていることはありますか
田中 お墓参りは絶対するようにしています。けがを自分は結構していたので、けがをしないようにという願掛けもして行ったりします。あとは地元の友達と絶対飲みにはいきます。
山口 なかなか親戚にも会えないので、正月に親戚の集まりには絶対顔を出すようにはしていますし、あとは地元の中学の友達とかと遊んだりしますね。
福山 年末に帰って、従妹やじいちゃんやばあちゃんに帰る度に会いに行っています。それと馬刺しとかおいしいものをしっかり食べるくらいですね。
山口 熊本アピールするな。
一同 (笑)。
山口 自分もちゃんぽん食べます。
田中 僕も熊本なので、大体何でもおいしいですね。あとはお母さんの肉じゃがが好きで、帰ったときは好きな食べ物を作ってくれます。おふくろの味って言うんですかね。
――他校の九州出身の選手とよくお話をされているところをお見かけするのですが、みなさん仲が良いのでしょうか
田中 僕は鎮西の同級生のやつが法大にいて、2部に落ちてしまったのは残念ですが、話す機会があったら話します。
「やってきたことをすべて出して上で一番になれたらいい」(福山)
試合では表情をあまり変えないが、対談では笑顔を見せた福山
――インカレに話を戻します。いまのチームの雰囲気はいかがですか
山口 あと1ヶ月を切り、組み合わせも決まって、だいたい対戦していくだろうなというチームも予想がついています。やっていくことが決まってきて、ことしのチームでできる最後の試合ですし、キャプテンの最後の試合でもあるので、段々チームの意識というのも高まってきていると思います。監督からも最近よく言われるのですが、もっと選手同士でぶつかり合いながらこの1ヶ月間、詰めていくところをしっかりと詰めて、「もっとああしとけば良かった」といった悔いを残さないようにして挑みたいと思います。
福山 秋リーグが終わって、そこからすぐに天皇杯(ブロックラウンド)だったのてすが、そのときにしっかりとサーブのこととか指摘をしっかりとしました。ぶつかれといった話もありましたが、それを含めてきのうも練習の雰囲気もすごく良くて、みんな声を出していたので、それの継続が大事になってくるのではないかと思います。あとは、全カレに対して1年生は初めて経験する雰囲気があるので、そこら辺で気持ちを強くもってもらってチーム全体として一試合一試合しっかりと成長できていけば、まだ伸びしろがあるチームだと思うので、そういったところを大事にできればと思います。
田中 きのうからまた新しいトレーニングも始まって、残り1ヶ月しかないという気持ちで一日一日、練習の質を高めていけたらなというのを思っていますね。1、2年生も汰一さんが最後だという気持ちがすごく出てきていると思います。僕ら自身もそれを当たり前として声も出し始めているので、雰囲気としてはしっかりとワセダらしいものになっていると思います。
――先ほどチーム内でぶつかり合うということをおっしゃっていましたが、それはお互いのプレーを指摘し合うということでしょうか
福山 そうですね。とりあえず甘いことはガツガツ指摘していかないと、「これでいいのか」というふうになってもらっては困るので。簡単なミスが出てくると全カレはちょっと春とか秋みたいにうまくいかないので、そこら辺が一つ大事になってくると思います。しっかりと注意し合わないといけないとは思います。
――昨年はベスト8という結果でしたが、いま一度振り返ってみていかがですか
山口 明治との試合では1、2セット取ってからの逆転負けというかたちで、勝利が本当に見えかけてからの敗退となり、一番悔しい負け方をしてしまいました。きょねん一年を通してフルセットになって勝つ試合が本当に少なくて、最後の最後もフルセットで負けてという、一年を通して課題が解決できないまま終わってしまった感じがありました。大学に来てから自分の中ではあの試合が一番悔しい負けになると思います。ことしのインカレでは1、2セット取ってからの負けとか、何が起こるか分からない、最後の1点を取るまで試合は分からないというつもりで頑張りたいと思います。
福山 2セット取って3セット取られるという逆転負けをしたので、逆転勝ちはあっても逆転負けはないように気を抜かずにしっかりと戦って、同じことはやらないようにやっていきたいとは思います。
田中 僕は出てなかったのですが、ベンチから逆転負けをした瞬間に4年生の人が泣き崩れるのを見ました。最後の1点を落としてしまって終わってしまったというのが(昨年の)4年生だったので、自分たちは最後の1点を取って終わりたいなというのをそのとき感じましたね。
――今季は関東大学連盟に所属しているチームの中では唯一中大に勝てていません。やはり警戒しているのは中大でしょうか
山口 うまくいけば準決勝で当たると思うのですが、そこに行くまでで負けてしまったら何もないですし、自分たちもトーナメント最初の方から厳しい戦いになるだろうという感じなので、先のことは考えずに目の前の一試合一試合をしっかりやっていけば良い結果はついてくるのかなと思います。そこまで中大を意識せずに自分はいきたいなと思います。
福山 準決勝で中大に当たる可能性があります。やるときは目の前の試合に集中しなければいけないんですけど、とりあえず準決勝までは負けられない相手と戦っていくと思うので、しっかりと目の前の一戦一戦に集中して勝ち上がっていきたいです。中大のときにどれだけ勝負ができるのかという先も見ておかなければいけないので、センターコートまでの過程がまた一つ大事になるのではないかと思います。
田中 中大はいまのところ全国で一番強いと思うのですが、てっぺんを狙っていくので中大を倒せるレベルのチームをつくらないといけないというのはあります。全カレで準決勝で当たる可能性があり、優勝するためにはそこで勝たなければいけないのですが、中大を意識するよりも自分たちを強くすることを意識しています。
――改めてインカレに向けて意気込みをお願いします
福山 とりあえず4年生は自分と阿部ちゃんだけなのですが、結果を残せたらすごいことし一年間の収穫になると思うので、それまでの過程をしっかりと練習から取り組んで試合でやってきたことを全部出せれば良いかなと思います。ことし一年間やってきたことをすべて出して上で一番になれたらいいので、それまできょうからしっかり頑張っていきたいと思います。
山口 4年生が最後ということで勝って引退させてあげたいです。チームとしても自分自身としても、ことし一年は自分が1年とか2年のときに比べて一番練習も長くなっていると思うので、やってきたことをしっかり全部出し切って終わりたいですね。
田中 4年生が最後ということと汰一さんとたぶん同じコートでできるのが最後になるということと、いろんな思いがあるんですけど、何よりも汰一さんに花を持たせたいというのが自分の中にあります。いま振り返ってみるともっと自分がチームのためにできることがあったんじゃないかなと思っていて、あと1ヶ月しかないですけど、負けてからではなくいまここで気付けたので、バレーボールに打ち込んでいきたいなという気持ちがありますね。最後の1点を取って、汰一さんを引退させてあげたいです。ことし勝てないとらいねんも勝てないなと思っているので、そういうことも含めて全力を出し切って終わりたいなと思います。
(取材・編集 新庄佳恵、本田理奈、吉澤奈生)
悩み抜いて書き上げて下さった色紙にも注目です!
◆福山汰一(ふくやま・たいち)(※写真中央)
1993(平5)年12月20日生まれ。190センチ。熊本・鎮西高出身。スポーツ科学部4年。後輩からの人望は厚く、チームを引っ張る姿はまさにキャプテン!熊本に帰省する際には、馬刺しなどおいしいものを食べるとのことです
色紙:『自ら機会を創り出し 機会によって自らを変えよ。』
◆山口頌平(やまぐち・しょうへい)(※写真右)
1994年(平6)7月21日生まれ。173センチ。長崎・大村工高出身。スポーツ科学部3年。ツッコミを入れるなどお茶目な一面を見せた山口選手。インカレではプレーはもちろんのこと、持ち前の明るさでチームを盛り上げる姿にも注目です!
色紙:『克己心』
◆田中健翔(たなか・けんしょう)(※写真左)
1994年(平6)7月1日生まれ。身長186センチ。熊本・鎮西高出身。スポーツ科学部3年。帰省した時にお母さまが作る肉じゃがを食べることが大好きだそうです。試合のときに見せる真剣な表情とは対照的に、優しい笑顔で語ってくれました!
色紙:『全てにおいて 心 放つ』