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バレーボール部

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2015.11.27

【連載】全日本大学選手権直前特集『KNOCK』 第2回 及川香奈×平山璃菜

 4年生が三人しかいない女子部において、3年生が果たす役割は大きい。その中でも平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)と及川香菜(スポ3=宮城・古川学園)はレギュラーとして4年生と共にチームをけん引している。私生活でも仲が良いという二人に全日本大学選手権(インカレ)に向けた思いを聞いた。

※この取材は11月15日に行われたものです。

「やっと二人がそろって一緒に戦えた」(及川)

平山と共にプレーできる喜びを語る及川

――まずは今季を振り返っていただきたいのですが、1部昇格を決めた春季関東大学リーグ戦はいかがでしたか

平山 秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)の印象が強くてすごい前のことだなと感じます。1年の春に2部に落ちてから何とか1部に上がりたいという思いでやってきましたが、なかなか実りませんでした。ことしは4年生の人数が少ないということもあって、3年生の自分たちがいかに上級生として自覚を持って下級生を引っ張りながら4年生についていくかという思いでこのチームが始動しました。春リーグを戦っていく中で苦しい試合もありましたが、1部の入替戦の切符をこのチームでつかめたことは嬉しかったです。入替戦は緊張感もありましたが、このチームでできる楽しさやありがたさを感じました。リーグや入替戦を通してたくさんのOB、OGさんが会場に足を運んでくださったり、友達が応援に来てくれたりして、そういった人に支えられて1部昇格を果たせたと思います。

及川 春はあっという間というかすごい前のことに感じます。私たち二人は1年生の頃からコートに立ち、それからずっと2部で戦ってきました。その途中でいろんなカベにぶつかり、やっと3年生になって一緒のコートに立てたので、自分の中でも1部に上がりたいという気持ちでした。いろんな思いがこみ上げるのですが、2年生の途中にケガをしてどっちかが欠けるという場面もあって、でもやっと2人がそろって一緒に戦えたということは嬉しかったし、絶対1部に上がりたいと思っていました。

――秋季リーグ戦を振り返ってみていかがですか

平山 結果を見て分かるように全敗に終わってしまいました。1部に上がった喜びを胸に始まった秋季リーグでしたが、全然勝てずにチームの雰囲気も下がっていました。ですが、その中で下から上がってきた分失うものはないし、とにかく自分たちのバレーをしようということでリーグ後半から少しずつそれができ始め、チームの雰囲気も上がってきました。結果的には10位で入替戦という結果にはなってしまいましたが、秋季リーグ始まって何もできずに終わってしまうのではないかという思いもあった中で、最後チームとして、個人としての収穫が得られたのは大きかったなと思います。2部で戦っていれば勝つということはできると思うのですが、1部で勝てないから勝てる2部でやりたいかと言われたらそうではないし、1部の舞台でできるありがたみをすごく感じました。

及川 秋やっと1部に上がって全力でやってきましたが、結果はなかなか出なくて前半戦もチーム全体で苦しい場面がありました。正直結果を求めてしまっていて結果がついてこなくてどうしようとか不安はありました。ですが、中盤の試合から自分自身も切り替えて、ただ試合をするのではなくて今後につながるものを収穫したいと思ってやれました。チーム全体としても良い方向にモチベーションが上がっていったのは1部の試合を通して得られたことなのではないかと思います。

――やはりターニングポイントは青学戦で1セット取ったことでしょうか

平山 自分たちでもこれだという試合があるわけではないのですが、青学戦で1セット取ったことはすごく大きかったとは思います。1セットも取れないでやってきて、このままじゃ終われない、何か変えなければという一人一人の小さな思いがチーム全体を良い方向に向かわせるきっかけになったのかなと思います。

――1部で戦うことで見つかった収穫と課題はどういったところでしょうか

平山 2部で戦っている時にサーブとブロックを軸としてやってきて、こうやれば自分たちのバレーが展開できるというのは春リーグや夏の短期練習を通して得られた部分はありました。1部という舞台の緊張があっていつも通りのサーブができていないというのもあったとは思うのですが、2部だったら通用していたサーブが1部では通用しませんでした。それでも筑波大を相手にサーブが機能するだけで自分たちのバレーが展開できました。手応えがあり、攻撃面だったり通用する部分もたくさんあったと思うので、らいねんもう1年戦うチャンスがあるという意味ではことしの収穫として生かしていきたいなと思います。

――1部と2部それぞれで戦ってみて、一番の違いはどこにあると思われましたか

及川 高さとスピードが全然違うなというふうに思いました。2部で戦っていた時は自分たちが上という立場の方が多くて、スパイクも決まることが多かったのですが、1部に上がって通用しないとなったときに1部のレベルの高さを感じ取りました。2部と1部を比べたときに一番の違いは組織で強いところかなと感じました。

平山 香菜が言っていた通り高さと速さは圧倒的で、もちろん上から打たれることもあったし、ブロックがついていけず相手の速い展開に持ち込まれて全然自分たちのバレーができないというのが正直な感想でした。

――今季最も印象に残っている試合や場面はありますか

及川 やっぱり青学戦からの印象が強くて、そこから波に乗ったと自分自身思っています。どの試合も悪いというより良いことしか自分の中ではなかったです。

平山 私自身秋リーグずっと調子が悪くて、結局抜け出せずに終わってしまい、入替戦までの2週間でやっと戻せたかなというくらいだったので、自分だけのことを考えてしまうと特に印象的な試合はないです。ですが最後1勝して終わろうと臨んだ順天(順大)相手に結果的にはフルセットで負けてしまったのですが、2週間後の入替戦につながる試合ができたという部分では印象的な試合でした。

――チームを引っ張ってきた唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)、関根早由合副将(スポ4=神奈川・橘)はどのような存在ですか

及川 サラさん(唐木のコートネーム)は自分の中では大きい存在です。同じポジションということもあってどっちかが支えてどっちかが頑張るとかそういう関係もできていて、自分が決めきれなかった時に安心するような言葉をかけてくれたりだとか、お互い何でも言い合える存在です。リンさん(関根のコートネーム)はセンターポジションなのでバックに行くとコートを抜けてしまうのですが、前にいる時はチームのことを常に考えているなとか、練習の時もサラさんを支えながら全体を見ているなという感じがします。

平山 自分たちが入学した時の2年生で、一番一緒に戦ってきた学年なのでその分思い入れは強くいです。サラさんはキャプテンとして、1プレーヤーとしてプレーでチームを引っ張ってくれました。チームが苦しいときのサラさんの一言だったり、スパイクの1本だったり、サービスエースだったりというのが、チームに息を吹き込み活性化するような頼もしい存在です。リンさんはセンターの絶対的な存在で、リンさんがセンターにいるだけですごく安心します。ローテーション的に隣にいるのですが、個人的にゲーム中にかけてくれる声がありがたくて、少し焦っているときに一言声をかけてくれるだけで安心するし、4年生は大きな存在ですね。三人しかいない中で、佳苗さん(高園、文構4=東京・田園調布学園)はコートには入っていないのですが、自分たち下級生が思い切りプレーできるように周りからのサポートをしてくれていて、佳苗さんがいるから自分たちがコートで頑張らなければというのもあります。3人でチームを引っ張っているというのは尊敬するしすごいなと思います。

――今季は下級生の活躍も目立ちましたが、下級生に期待することはどのようなことですか

及川 とにかく思い切ってやってほしいなというのはあります。私自身も1、2年生の頃はとにかく思い切りやれという仕事や役割を教えてもらってここにたどりつきました。勝ち負けというのは3、4年生の責任だと思っているので、1、2年生は3人コートに入っていますが、何も気にせず自分のプレーを楽しんでほしいなと思っています。

――チームの中で意識している選手はいますか

平山 1年の森佳央理(スポ1=群馬・高崎女)が入ってきてセンターやるかライトやるかという話になった時に一瞬焦った部分があって、誰と言われたら佳央理かもしれない(笑)。高さもあるしキレもあるし、入ってきた時は率直にうまいなと思ったのですが、2個上の先輩として譲りたくはないです。自分自身、入学した時に香菜と一緒にコートに入れてもらって、1年の春を戦わせてもらったのですが、結局自分は手術でコート離れることになってしまいました。自分がプレーヤーとして復帰したら次は香菜がケガしてというのがあって、ことしは一緒にコートに立って戦いたいなと思っていました。どちらかというと速攻とかではなくセミが多くて、佳央理とは同じタイプだと思っているのですが、やっぱり尊敬する部分はあるし見習うべき部分もあります。後輩ではありますが良い刺激を受けていて、お互い高め合っていけたらいいなと思います。

及川 ライバルはいますね(笑)。同じポジションで言ってしまえば加納(茉未、社3=北海道・札幌大谷)なのですが、常にライバル意識を持っています。春一緒に戦った後に(平山と)二人ともケガをしてしまい、結局一緒にコートに立てたのが3年生からだったので、一緒に立ちたいという思いが強かったです。タイプが違うのでどうしたら勝てるのかとかを常に考えていました。どれだけ自分の良いところを伸ばすかだとか細かいミスをしないだとか雰囲気づくりだとか、何かチームに貢献できる選手になれれば絶対(コートに)戻れるというのもありました。ずっと璃菜と一緒にいて私生活でも相談に乗ってくれていたりだとか周りの力があって自分はコートに立てていて、ライバル意識を持ちながら頑張れているというのはあります。

――そんなチームを支えている吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)はどんな監督ですか

及川 自分の中では素晴らしい監督というか、プレーしていてやりやすいと思います。常に選手のことを考えながらアドバイスしてくれるときはしてくれて、自分で考えるべきことは自分で考えなさいとか、バレーのことだけではなくて選手を人として自分の足で立てるように育ててくださっているなという感じがします。

平山 自分たちが入学した時はコーチという存在で、そこから監督という立場になられました。自分が今までバレーをやってきた経験上、これまでの監督よりも距離が近いというのがあり、それが良いのかなと思う部分もあります。選手ともコミュニケーションを取ってくれて、もちろん技術面も教えてくれるので自分たち部員で戦うことはもちろんですが、スタッフさんも含めてワセダとしてチームとして戦えているなと思います。

仲の良い二人の日常

会話が弾み、仲の良さがうかがえた

――ここからはお二人のプライベートに関する質問に移りたいと思います。お二人がバレーボールを始めたきっかけは何ですか

及川 私には3つ上の姉がいるんですが、姉が小学校2年か3年くらいの時に(親と)迎えに行っていました。その時にボールを触って遊んでいたんですが、隣でやっているバレーがすごく楽しそうだったんですよ!それでやってみたいなあって。最初はそんな軽いノリだったんですけど。

平山 私は3姉妹の末っ子なんですけど、姉が2人ともバレーボールをやっていてその練習について行っていました。小さいころからずっと体育館に行っていて、端の方でボールを触ったりしていました。まあ、やりたいと思ったというよりはやる運命だったのかなと自分では思っていて、小学校3年生くらいの時からクラブチームに入ってバレーボールを始めました。

――お2人の初対面の印象はどのようなものでしたか

平山 えー、覚えてないよね(笑)。覚えてる?あ、でも髪短いなあって思った(笑)。

及川 入学前の12月くらいに練習参加があって、その時二人しかいなかったから「あ、どうも…」みたいな(笑)。その後遊びに行ったよね?

平山 あー、その当時したメールの文章とかまだ残ってるんですよ!もうなんかすごい初々しくて(笑)。「香菜ちゃん」って呼んでましたし!

一同 (笑)。

――お二人ともスポーツ科学部でどのようなことを学ばれていますか

及川 私は教育とかコーチング、医学などに興味があってそれらを中心に勉強することができています。バレーにもそれを生かせているなと思いますね。

平山 スポーツについて学ぶことは、スポーツをずっとやってきた身としては、最初はどんなことを学ぶんだろうと思っていたんですけど、いまはビジネスコースに所属していてスポーツが社会にもたらす影響などを学んでいます。自分の知らないスポーツの一面を知ることができて新しい発見があり、その部分で面白いと思いました。あとは香菜が言ってたように、コーチングとか、解剖学などで自分の体がどうなっているのかを学んだりですね。

及川 解剖学は自分の中では結構大きいですね。やっぱりケガが多かったので、ちょっと知識を持っているだけで対応も全然違います。ケガしたら終わりというのも分かっているので予防として学ぶことができました。

――スポーツ科学部の授業で他のスポーツをやったりしますか

平山 いま私は卓球やってます。香菜はいっぱいやってるよね。

及川 教職を取ってるので水泳、陸上、友だちからの誘いでバドミントン、バスケなどですかね。ずっとバレーだけやってきたので、他のスポーツもこんなに楽しいんだと思ったりします。

――バレーボール以外で得意なスポーツはありますか

及川 バスケですかね。なんかバレーとそこまで変わらなくないですか?いや、結構変わりますけど、大きいボールを扱うのが得意なのかもしれないです(笑)。テニスとか卓球もできなくはないんですけど、小さいのはダメですね(笑)。

平山 私は走るのが嫌いなので、陸上とかは苦手ですね。何が得意なんだろう。でも得意とかじゃなくて、テニスとか卓球、バドミントンとかのラケットスポーツはすごい好きですよ。

――オフの日は何をして過ごされますか

平山 私はアルバイトか、友だちと遊んだり飲みに行ったりですね。でも1人でふらっと買い物とか行くのも好きなので、たまにぷらぷら出かけたりします。後は香菜とか誘ってちょっと遠出しようとか言って、出かけたりもしますね。

及川 私は高校までオフというものがなくて。大学に入って初めて自由な時間ができたというか、本当に最初は何をしていいのかわからなくて、「どうしたらいいの!」みたいになってました。でも平山と「どっかいこうよ!」、「おおいいね!行こう行こう!」みたいなノリでどこか行ったり、TAをしている学校のバレーの授業で一緒の友だちとご飯とか飲み行ったりとか、とにかくオフの日はバレー以外の好きなことをしてメリハリをつけるようにしています。いろんな人と楽しく過ごしたいですね。

――同期の皆さん仲がいいんですね

平山 結構同期のみんなとはよくご飯行ったりしますね。

――そうした中でもバレーボールの話をみなさんでしたりするのですか

平山 しますね。何の話してるかって聞かれたら思い出せないようなくだらない話ばっかりかもしれないんですけど(笑)。

――目標とする選手はいらっしゃいますか

平山 目標としてる選手でこの人というのは特にないんですけど、苦しい中でトスが集まるのはレフトだと思うし、レフトがエースとして活躍できるように、自分の理想としてライトというポジションとして常にコンスタントに得点を取れる安定感のある選手でありたいなとは思いますね。

及川 私もこの選手というのは無いんですけど、安定した選手というのを常に目標としています。レフトはサーブレシーブもスパイクもしなくちゃいけないので、どうしてもブレが生じるといままでの経験で感じていました。なので、みんなが頼りにして香菜なら決めてくれるって思ってくれるような、周りからの信頼感のある選手になるために安定したプレーをしたいと思っています。

「笑って終われるように頑張りたい」(平山)

落ち着いた口調で話す平山

――それではインカレの話に移りたいと思います。インカレに向けて現在の練習で取り組んだり意識していることなどあれば教えてください

平山 インカレに向けて、このチームで戦える最後の試合でもあるし、3年間一緒にやってきた4年生と一瞬にやれる最後の機会でもあるので、思い切り楽しめるようにいまやるべきことは一日一日、悔いの無いようにやっていくことかなと思いますね。

及川 新しい技術を身につけるとかよりも、いまできることは4年生が最後なので練習でどれだけ悔いが残らないようにできるかだと思っています。特別なことではなく4年生がこの一年間で教えてくださったことをもう一度復習しなおしてバレーをすることが4年生に対しての恩返しだと思います。もし私が4年生の立場なら、教えてもらったことをプレーで返すというのは、嬉しいというかついてきてくれたんだなあと感じると思いますね。

――インカレでの具体的な目標を教えてください

及川 ベスト4、センターコートに立つことですね。

――それでは最後に改めてインカレに向けての意気込みを教えてください

平山 ずっとチームではセンターコートに立つことを目標としてやってきて、さらに春に1部昇格、秋リーグでは1部でベスト4というのが(目標として)ありました。春に1部昇格はできたんですけど、秋リーグの目標には全く届かなくて。やっぱり最後に自分たちの掲げたインカレベスト4っていう目標を達成するためにチームも意気込んでいるので、下級生には下級生らしく思いっきりプレーしてもらいたいと思いますし、4年生にとっては最後の大会なので本当に楽しんでやってもらいたいと思います。自分たち3年生六人がしっかりと力を合わせてこのチームが最後の試合を良いかたちで笑って終われるように頑張りたいと思います。

及川 4年生最後の大会で、リーグ戦とは違ってトーナメント方式で一度負けたら終わりの一発勝負なので、本当に4年生には楽しんでやってほしいし、下級生にはのびのび思いっきりやってもらいたいです。私たち3年生が4年生を支えつつ下級生を引っ張るという役割をしっかりと果たせば、組み合わせ的にも勝てない相手ではないので本当に死に物狂いで頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 川浪康太郎・吉澤奈生)

笑顔で対談を締めくくっていただきました!

◆及川香菜(おいかわ・かな)(※写真右)

1994年(平6)11月7日生まれ。身長168センチ。宮城・古川学園高出身。スポーツ科学部3年。教育やコーチング、医学といったスポーツ科学部での学びを通して、バレーボールに真摯(しんし)に向き合っている及川選手。平山選手と共にインカレではその力強いスパイクでチームを勝利に導いてくれることでしょう!

色紙:『執念』

◆平山璃菜(ひらやま・りな)(※写真左)

1994年(平6)5月9日生まれ。身長170センチ。東京・文京学院大女高出身。スポーツ科学部3年。及川選手とはプライベートでも大の仲良しだそうで、入学前出会ったばかりの頃に交わした初々しいメールも残してあるとか。普段から相談に乗ることも多く、コートの中でも外でも絶大な信頼を置かれているようです!

色紙:『WASEDA SPIRITS』

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