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米式蹴球部

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2015.04.27

【連載】『第63回早慶戦直前特集』 第9回 濱部昇監督

 濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)がBIG BEАRSを率いてから、今季で3年目を迎える。真価が問われる勝負の年。学生フットボール界きっての名将は何を見据えているのか。そして早慶戦への思いとは。話を伺った。

スケジュールの見直し

ことしのチーム状態を語る濱部監督

――現在のチーム状態はいかがですか

 課題をつぶせるようにこの春のシーズン取り組んでいて、一番はフィジカルアップとTOP8で第4クオーター(Q)まで戦いきれる部分というのが欠けていたので、今季はフットボール練習を少なくしてトレーニングを増やしています。昨年は第4Qで力を出しきれなかった部分があって、そういうところにフォーカスして取り組んできていて、成果も上がっている部分もありますし、まだまだという部分もあります。

――1、2年目と3年目の違いはありますか

 1年目はもう本当に全てを見直すということで、ゼロからチームを立ち上げて作ってきました。2年目はそれが少しずつチームに浸透してきて軌道に乗りかけていたのですが、リーグ編成が影響して、それを前提にしたプログラムとしては準備が足りなかったということは感じています。3年目は基本的なチーム作りは変わらないのですが、昨年トップ8という新しいリーグ編成にあったスケジュールというものを春から見直してやってきて、成果が出ればいいなというところです。

――昨季は法大、日大と対戦してスコアの上では惜敗という形でしたが、振り返っていかがでしたか

 繰り返しになるのですが準備が足りなかったかなと。フットボールは準備のスポーツなので、春シーズンというのは秋のシーズンに向けた準備となっていて、2年目も1年目と同じような準備をしたのですが、秋のシーズンそのものが違った。新しいリーグ編成でチームのピークも1ヶ月くらい例年より早めないといけなかったし、そもそも初戦から強豪と戦わなければいけなかった。明らかに1年目と2年目はリーグ編成が違っていたのにも関わらず、1年目と同じスケジュールにしてしまったのが僕は敗因だと認識していて、秋のシーズンに向けて全体的なプログラムを見直したんだけど足りなかったかなと。そういう反省をもとに今季の春のシーズンは、トップ8を想定してプログラムを組んでいます。そういう点では修正して臨めていますね。

――逆に昨季は通用したので引き続き伸ばしたいという部分はありますか

 基本的なチーム作りとかタイムマネジメントとかはうまくいったのではないかと思います。もう少し具体的に言うと学生としての学業と部活の両立とか、部活以外のボランティア活動とかをやりだしたのですが、今までやってこなかったことをやりつつ時間をやりくりする中で、確実にそれがチームに浸透してきているし、練習時間がコンパクトになり選手も集中して取り組み成果が上がってきていい方向にきていると思います。

――選手のスローガンの『覚悟』についてはどうお考えですか

 なんでそういうスローガンが出たかというと、昨年の4年生を否定するわけではないのですが、昨年は幹部とか一部の人がチームを引っ張って、その他4年生はなんとなくそれについていけばいいやとか、監督が濱部に変わったからなんとなくうまくいきそうだなというところで、部活は部活、学業は学業、就活は就活、プライベートはプライベートとクールに考えていて、昨年は『本気』というスローガンでしたが、なぜ『本気』にしなければならなかったのかというところが根本的にはあって、本気になりきれていない。だから本気になろうとスローガンを掲げたのですが、僕の監督としての裁量が悪かったのかもしれませんが本気になりきれなかった。『日本一』という目標を掲げている割には、それに向けて取り組んでいるのかなと少し微妙でした。幹部に頼りすぎている部分があったと思います。それを下級生が見ているので、同じことでは勝てないなと。同じように『日本一』という目標を掲げるのであれば、それ相応の取り組みをしなければならない。それにはそれ相応の覚悟が必要だよねということで、覚悟を持って臨みたいということだと思います。選手の気持ちやチームの現状をよく表しているスローガンですね。

――その『覚悟』という点について、チームは始動したばかりですが、いかがですか

 まだまだ甘いといえば甘いし、その中で頑張っているといえば頑張っています。選手の可能性というのは無限に広がっていると思うので、ここまでやればいいというものではなく、答えのないものです。ここまでやってきたことは評価するのですが、満足していない。もっとできると思うし、もっとやれば可能性を広げられると思うので、そういう意味では、ここまでよくやっている、頑張ったねと監督としては言わないようにしています。

――チームをまとめるうえで、また戦術のうえでキーとなるポジション、プレーヤーはいますか

 チームをまとめるというのは主将の村橋(洋祐、スポ4=大阪・豊中)が絶対的な要素ですね。ことしは主将を決めるときは立候補してもらって、その中でプレゼンをしていったのですが、村橋が不器用で荒削りなんだけど、勝ちたい、チームを引っ張りたいという気持ちが前面に感じられたので、らしい主将がいいのではないかということで、主将にしました。村橋がいかにチームを引っ張れるか。可能性にすごく期待をしています。オフェンス、ディフェンスに関しては、春の段階でみんなうまくなってくれると思うので、誰というのは言いにくいのですが、強いて挙げるならオフェンスはOLというポジションがあって、これがキーだと思っています。スペシャルなユニットとして成長や活躍に期待しています。ディフェンスはDLと言いたいところですが、いまのフットボールではパスが多彩になってきているので、フォーメーションもパターンもたくさんありますし、いくら前が強くても後ろが弱いと厳しいのでそういう意味ではLB、DBといったバックフィールドに期待しています。

――先ほど『早大らしさ』とおっしゃっていましたが、濱部監督の考える『早大らしさ』とは

 また難しい質問をするね(笑)。男らしさというか、女性の部員もいますが荒々しさも持ちでも思いやりや優しさも、インテリジェンスも持っているという部分が僕の早大のイメージで、女子学生もいるのでなかなか難しいですが、たくましさかな。もともと早大というのは『在野精神』を目指しているところもあるので、そういうたくましさ、その中で男らしさ、女らしさもあるということだね。なので、フットボールでもそういう風にしたい。強さだけでなく優しさとか思いやりとか知的な要素もありというようにしたいです。

「とにかく勝ちたい」

今季、就任3年目を迎える

――監督は早慶戦をどのように捉えていますか

 慶大はライバルだと思っているので、勝ちたいですね。何か慶大に負けると気分悪いんだよね(笑)。どんな試合でも慶大の人たちが喜んでいるのは面白くないです。慶大はライバルと言われていますが、僕は父も早大でそういうのが子供の頃から染み付いているから、とにかく勝ちたい(笑)。

――昨年の早慶戦を振り返っていかがですか

 主力選手が第1回大学世界選手権でいなかったりというのと、春だからであったりというのがあって、春の時点で自分たちのやりたいことができればいいなというのがあって、昨年の早慶戦については何が何でも勝ちたいという意識が僕自身希薄だったかな。それは認めるところで、あのメンバーでいい試合ができて、あのパスが決まっていればという状況だったじゃないですか。なんとなく満足したというわけではないですが、秋に勝てばいいかなと。この段階でこのぐらいできればいいかなと正直思っていました。そういうところをつかれてしまったと思うし、新人早慶戦も秋の早慶戦も、どこかでおごっていた部分があったかなと。秋の関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)でも慶大が強いということは分かっていたし、最後までもつれるということも分かっていたけど、立ち上がりあんな感じで入っちゃって、こんな感じだったのかなというのが選手の中でも自分の中でもありました。前半はミスもあったけどゲームプラン通りの展開になったので気が緩んでしまったという部分があったのではないかと思います。慶大は、数年前は勝てるチームの1つだったのですが、デビット・スタントHC(慶大)というプロのコーチを雇ってチームが急激に変わってきて、もともとのポテンシャルが高いので手ごわいし、油断はできない相手です。今季は春の早慶戦もあるし秋のリーグ戦もあるので、しっかりと準備して徹底的に叩く。少しでも隙を見せたらやられるなという気持ちでいます。

――とりわけ今季の慶大をどう見ていますか

 大黒柱のQB高木翼など主力が何人か抜けていますが、決して早大が有利ではないと思います。コーチ次第でいくらでも変わるので。QBが変わった中できちんとトレーニングをして能力を最大限に引き出せるようなゲームプランで臨んでくると思います。能力が高いプレーヤーがたくさんいて、そういうタレントを駆使すればQBに経験がなくても十分にいいチームが作れると思います。少しでもおごれば昨年のように足もとをすくわれるので最後まで全力でやりきっていい勝負になるかなと。そんな気持ちでいます。

――最後に早慶戦とこれからの抱負をお願いします

 早慶戦に関しては、昨年春の早慶戦、新人早慶戦、秋のリーグ戦と3連敗している。春の早慶戦から慶大を徹底的にたたきたい。そのための準備をしっかりとします。春は立命大とか関大とか関西の強豪とも練習試合を組んでいるのですが、そこでもしっかりと戦って、チームを仕上げて秋のシーズンに臨み、ことしは80年の歴史の中で1度も達成していない、『学生日本一』、そして本当の意味での『日本一』を目指して取り組んでいきたいと思います。目標は掲げるだけでは意味がないので何としても達成したいという覚悟で臨みます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 鈴木泰介)

色紙には力強く『結果を出す』と書いていただきました

◆濱部昇(はまべ・のぼる)

1963年(昭38)10月7日生まれ。東京・早大学院高出身。1987(昭62)年教育学部体育学専修卒。監督のチーム論はインタビュー後にも。「チームは生き物」と絶えず鍛錬を続ける大切さを教えていただきました。就任3年目となり、その卓越した理論でチームを必ずや勝利へと導いてくれるでしょう。

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