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2015.02.28

【連載】『捲土重来』 第7回 三浦雅裕

 昨年の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の6区で駅伝デビュー、区間2位と一躍チームの中核となった三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)。自身2度目となる箱根路でも遺憾なく実力を発揮し、見事6区・区間賞を獲得した。しかしながら決して満足などしていない。超えることができなかった目標タイムと総合順位5位という結果。最高の記録を残すためにすべきこととは。箱根を終えた今、本心に迫った。

※この取材は2月11日に行われたものです。

「悔しさの残る結果」

箱根の走りを冷静に分析し振り返る三浦

――きょうはどのように過ごされましたか

朝練習を6時からして、ご飯を食べて再びまた練習をしてという普通の部活生のような練習をしていました。

――現在の調子はいかがですか

箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)の疲労もだいぶ取れてきて、今は日本学生ハーフマラソン選手権(立川ハーフ)に向けて練習に取り組んでいます。疲労が完全に取れていない中では、とてもいい状態をキープしています。

――香川丸亀国際ハーフマラソン(丸亀ハーフ)には出場されなかったということですが

箱根が終わってからけがをしてしまって、ケガで抜けていた期間が少し長かったので体力的に丸亀ハーフには間に合わないだろうという上の判断で欠場させていただきました。

――ケガの状況は

膝の炎症です。現在はもう良くなって、練習に復帰しています。

――箱根から一カ月が経ちました

箱根が終わってから、次の僕たちの代でどのように勝つかという土台作りをした1カ月でした。

――その土台作りというのは

やり方を変えました。例えば、練習での集合で普通でも補強はしたりしますが、さらにもう少しプラスしていったり、決まっていたものを必要に応じて変化させていくように
なりました。また、チームの雰囲気も変わって、全員で戦っていこうという意識を作り上げていて、そういった意味では本当に1月は濃い期間になりました。

――率直に箱根を振り返ってみていただけますか

青学大に力負けした印象が大きいです。個人としては箱根で狙っていたタイムには届かなかったので、チームとしても個人としても悔しさの残る結果で終わりました。

――昨年も6区を走られましたが、その経験は生かすことができましたか

やはり6区のコースは走れば走る分だけ、最短距離も分かりますし、つらいポイントをどのように処理すべきか知っているので早くなります。なので、間違いなく経験は生かされたと思いますし、大きかったです。

――コースの変更がありましたが影響や気を付けたことなどは

確かにコースの変更はありましたが、大きく距離が変わってはいないので特に支障はありませんでした。

――気温が低く、厳しいコンディションでの試合となりましたが対策は

気温が低いと低体温症であったり、試合においても動きにくかったりするので、アップを多めにすることによって体を温めることと水分補給を多く取ることでアクシデントが起こらないように気を付けていました。

――路面の状況は

思ったよりも状態は良かったです。まったくではありませんが数カ所しか凍っているポイントはなく、その場所も目には見えていたので、冷静に対処することができました。

――前回区間2位ということでプレッシャーはありましたか

ことしは区間賞が取れるという自信はありました。理由は目標のタイムが58分00秒から20秒の間、またはそれに近いタイムを出すことで、目標をクリアすることができれば区間賞は自然とついてくるものと思っていたからです。なので特にプレッシャーなどそういったものは感じることはありませんでした。

――レースプランは

前半の上りの5キロで足を使わずに余力を残していかに早く下りに入れるかを意識していて、あとはラスト3キロの粘りです。

――箱根直前にも粘りについてお話されていました

つらいときに粘ることができないともちろん失速してしまうので。きょねん1年間で走力が付いてきたのと、試走や本番でも箱根の道を走らせていただいた結果、今回の最後の粘りにつながったと思っています。

「区間賞は使命」

――全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では悔しい結果に終わってしまいましたが、そこからチームで取り組んだことは

全日本まではチームとして走るメンバーだけが頑張れば良いという風潮がありました。自分自身も全日本に帯同していないこともあり、チーム全体でという意識があまりなかったかもしれません。だからこそ、箱根ではチーム全体で、選手のために何かしようというような意識をチームとして作っていきました。

――箱根では往路直前、何か取り組まれましたか

チームとしてではなく、個々人として練習で粘ることなど、そういった一人一人の努力の積み重ねがチームとして力になると考えていました。なので、個人がどれだけチームのためにできるかを考え練習に取り組んでいました。

――三浦選手自身は往路の選手に声掛けなどされましたか

試合が1日ずれるので寮で往路の選手を見送ったのですが、一人一人に声を掛けました。

――具体的には

「頑張っていこう」であったり、小さな言葉なんですけど、そういった一言でも変わるのではないかと思って声を掛けました。

――往路はどのようにご覧になられましたか

前の4大学にできるだけ追い付いて、食らい付いていってほしいという思いで見ていました。大きく離されてしまったときなどは、どれだけ離されないで粘れるかと思いながら、ある程度なら自分が挽回するという気持ちでいました。

――1位に大きくタイム差をつけられてしまいましたが、ご自身としての影響は

あそこまで離されてしまうと無かったです(笑)。あのタイム差だと一人の力ではどうすることもできないので。ただそのように思うことができたので、思い切れたのではないかと思う部分もありました。

――前回は単独走でしたが、今回は前にも後ろにも近いタイム差に選手がいましたが、違いはありましたか

他大学のことはあまり気に留めていなくて、タイム差などもあまり把握していませんでした。とにかく自分は決められたタイムで走るという自分の仕事を遂行するだけだと思っていたので、特に他選手のことは関係なく、プレッシャーにもなりませんでした。

――東洋大が中央学院大を抜かしたあとに、見えてきたと思いますが

そこではやはり差を詰めたいという意識は働きました。そのおかげで、粘ることができたとも思います。

――走る前に何か渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)などからアドバイスなどはありましたか

まずは「転ぶな」ということを言われました(笑)。あとは駒大と東洋大をどれだけ詰められるかが鍵だからそういうことを考えて走れと言われていたので、その二大学には確実に差を詰め、できれば追い付きたいと考えていました。

――試合のレース展開を追っていきます。序盤からスピードに乗った走りでしたね

結果論で欲を言うなら、前半からもっと突っ込んでいっても良かったかなと思っていて、守りに入ってしまった部分があったと思います。

――しかしながら、残り4キロ付近までは区間新記録ペースの走りでした

そこは想定通りでした。当初の予定から最初から攻めの姿勢を見せるつもりでした。

――中央学院大を抜かすと東洋大の背中が見えたと思いますが

スピードを上げていこうというようなことは思いませんでしたが、できるだけ粘ってタイムを落とさないということを気を付けていました。

――タイムは気にしていましたか

一応考えて走っていましたが、苦しくなってからは考えられなくなります。

――自分としては走りのペースは

結果的に見れば安定してペースを刻めていましたが、粘って走るという感じでした。

――どのあたりから苦しくなりましたか

15キロ過ぎてから苦しくなりました。

――事前特集でラスト3キロの平地に向けて体幹トレーニングをされているとおっしゃられていましたが生かせましたか

それが生かされたかは僕自身としても分かりませんが、最後の1キロに入ったときに1キロを2分50秒で走れば58分30秒が出ると聞こえて、結果として(58分)31秒だったので、体幹トレーニングなどの日々の積み重ねが出て粘れたと考えています。

――箱根を2度走られましたが、1回目と2回目では何か違うところはありましたか

ラスト3キロの地点で今回の方がきついという感じはしていたのですが、粘れていたと言いますか我慢できたという印象です。

――その結果として区間賞を獲得されました

区間賞とタイムを出すことは監督、コーチから僕に与えられている使命だと思っていたので、僕自身としても当たり前だと考えていました。なので、特に区間賞を取ってから嬉しいという思いは少なからずありますが、過信になったりはしませんでした。

――先ほどタイムについて悔しいとおっしゃっていましたが

目標としていたタイムを切ることができなかったので、まだまだどこかで改善するところがあり、自分で足りないところを見つけ補っていきたいです。

――千葉健太選手(富士通)の記録を越せなかったということに関して、悔しさもありますか

狙っていたのは千葉さんの記録でした。その記録を塗り替えたいという気持ちはあります。

――それは来年ということですね

そうですね。

――そのためにはどのようなことが必要だと考えていますか

前半の入りをもっと突っ込んでいったり、攻めの姿勢を常に見せる積極性、あとはラストのメンタルだと思います。

――ワセダには流れを変える選手が少ないと以前おっしゃられていました。今回三浦選手がワセダの流れを変えたと言えると思いますが

往路が終わり前の大学とかなりタイム差があり、諦めが復路の選手は少なからずあったと思うのですが、そういったものを少しでも軽減できたと思います。

――結果として復路では大学三大駅伝の『三冠』を成し遂げたタイムよりも早い記録でフィニッシュしました

それは強みとして往路以外の選手でも走ることができるということを上位層の選手に部内の危機感として与えることができて良かったと思います。しかし、復路で早大記録を出しましたが結果としては復路でさえ3位なので喜ぶべきものではないと思います。

――ご自身としてこれから必要だと思うことは

完全に力負けしたのが第一だと思うので、関東学生対校選手権(関カレ)、日本学生対校選手権(全カレ)で他大のトップ選手と戦う選手を生み出していくことだと思います。

『変革の年』へ

『新・山下りの神』として区間賞を獲得した

――ワセダとして今回の箱根を振り返っていかがですか

大学駅伝三冠を達成してから駅伝で優勝することを掲げて練習をし、毎年試合に挑んできましたが結果は優勝には届かずという状況です。今まで三冠の頃のベースがずっとありましたが、今回の結果は僕たちの常識を崩してくれるものになりました。

――次期駅伝監督には相楽豊長距離コーチ(平15人卒=福島・安積)が就任されるということですが

やり方自体はこれまでの方針と変わらないですが、相楽さんはすごく考えを持っていて、さらに僕たちの考えをくみ取り、具体的な指導をしてくださります。そういった意味ではとても信頼していて、チームを変え、勝つ上でとても必要な監督になると思います。

――相楽長距離コーチとすでに来季に向け話をされたりしますか

チームとしては他大に影響を与えられるような選手を生み出すために何をすべきかを話したりしました。関カレ、全カレでAチームは良い記録が出せるように取り組んだり、Bチームはチーム層を底上げするためにハーフマラソンなどで長い距離の試合を重視したり、簡単ではありますが少し話をしました。

――ことしは世界選手権北京大会や夏季ユニバーシアード(ユニバーシアード)もあると思いますが

まずは立川ハーフでユニバーシアードの選考があるので、そこで3番に入ることを目標にして取り組んでいきたいです。

――ご自身としては長距離の中でも比較的短い距離が得意ということでしたが関カレ、全カレではどのようなことに重点を置いていきたいですか

5000メートルの選手の部代表として、他の大学と戦っていきたいと考えています。

――具体的なタイムは

5000メートルで13分50秒を切りたいです。関カレでタイムを出すことができるように、それまでに一度は切れるようにしたいと思っています。

――トラックでは比較的短い距離を走りますが、駅伝にも結びつきますか

ただタイムだけでは結びつかないのかもしれませんが、先ほども言いましたが、関カレや全カレで良いタイムを出して表彰台に上がることで他の大学から注目も集まると思います。そこで怖い存在になることができれば、他大に影響を与えることができると思うので、トラックシーズンでも一度結果を残すことが駅伝シーズンにつながると思います。

――来季の大学三大駅伝に向けてご自身として

目標はもちろん大学三大駅伝優勝です。チームの柱となる区間を走り、結果を残せるような選手になりたいです。

――出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本全日本大学駅伝対校選手権(全日本)での出場はまだありませんが、出場したいという気持ちはありますか

あります。

――それに向けて強化していきたい点などはありますか

何よりもスピードです。いかに早いスピード、持久力をつけることができるかを考えていて、学生のレベルも上がり、(5000メートルでも)13分30秒台を出すことが普通になってきています。駅伝でもハイペースな展開が増えていると思うので、そういった意味で食らい付いていくためにもスピードは本当に重要だと思います。

――箱根までにこれから長期的に取り組みたいことは

長期的かは分かりませんが、関カレ、全カレで良い結果を残すことで、自信になり駅伝に生かすことができると思うので、まずはトラックに力を入れていきたいと思います。

――これから最上学年になりますが

何か変革の年にしたいと考えています。万が一、優勝できなかったとしても、来年、再来年以降勝つためにチームを変える年にしていきたいです。

――ご自身としては

チーム作りをいましている最中で、一人一人がチームのために何をすべきかということをチーム全員が見ることができて、高い意識を保つことができるように管理していきたいと思います。

――新体制になりましたが、チームの状況は

まずは変えている段階なので何か大きな変化があったわけではありませんが、目標は大学三大駅伝優勝なので、必要なことを明確にしてそれに向けステップを確実に踏んでいきたいと思います。

――次の駅伝主将となる高田康暉選手(スポ3=鹿児島実)の印象は

人として影響力があると思うのですが、それが良い方向にも悪い方向にもいくこともあります(笑)。なので、僕たち最上級生が良い方向に結びつけていけるようにしていきたいです。

――それでは来季の個人の目標とチームの目標を教えてください

チームの目標は大学三大駅伝優勝と、関カレ、全カレで上位に食い込むことです。個人としては他大のトップ選手と勝負できるように頑張っていきたいと思います。

――最後に意気込みを一つお願いします

これまでのワセダではないチームを作り上げて、大学三大駅伝優勝に向けてチーム一丸となって努力していきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 三上雄大)

◆三浦雅裕(みうら・まさひろ)

1993年(平5)8月23日生まれのA型。167センチ、51キロ。兵庫・西脇工高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル14分07秒63。1万メートル29分42秒50。ハーフマラソン1時間2分52秒。2014年箱根駅伝6区58分51秒(区間2位)、2015年箱根駅伝6区58分31秒(区間賞、早大新記録)。

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