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2014.12.24

【連載】『集大成』 第7回 平和真

 初出場となった東京箱根間往復大学駅伝(箱根)で区間2位の快走を見せてから、1年。平和真(スポ2=愛知・豊川工)にとって、ことしはケガの回復に専念する苦しいシーズンとなった。大舞台・箱根での復活が期待されるなか、どんな思いで今季を過ごしてきたのか。大会への意気込みとともに伺った。

※この取材は11月26日に行ったものです。

「一度は箱根をあきらめかけた」

取材に応じる平

――最近はどのような練習をされていますか

故障が9月の終わりぐらいに治ってそこから箱根に向けて長い距離の練習をしています。今日にいたるまで2週間ほど再発しかけた時もあったのですが、3カ月ぐらい練習ができています。

――集中練習には参加できているということですか

そうですね。最初の3回の練習は距離をみんなとは変えてスムーズにみんなと合流していきました。今週からはみんなと同じメニューをやっています。

――では現在の調子はいかがですか

調子はものすごくよくて集中練習も昨年以上に良いものになると思います。夏合宿で走りこめていないという不安があるので、それをどれだけ拭えるかというのも考えています。

――不安とはどのような点ですか

やはり箱根は20キロあるのでどれだけ1年間走り込んでこれたかというのが大事ですが、1年間を通して練習が積めていないので、不安です。

――今季を振り返ってみて、故障中はどのようなことをされていましたか

とにかく体を維持するための軽い運動と補強です。

――具体的に、故障の時期は

7月の終わりの距離走で走り終わった後に痛みがあって、診てもらったら、中足骨を疲労骨折していました。

――故障中はどのような思いで練習されていましたか

あまり言ってはいけないと思うのですが、時期が時期だったのでやる気をなくしてしましました。診断としても最初はあいまいで、何か月で治るとか言われなくて下手したら半年ぐらいかかると言われたので、ショックで2週間ぐらいやる気がなくて、箱根も諦めていました。そのあと補強とか軽い運動を始めて、先輩やいろいろな人に言葉をかけてもらってだんだん気持ちを立て直していきました。

――その時、渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)やチームメートからはどのような言葉をかけられましたか

渡辺監督は結構面倒を見てくれるので、気持ちを切らすなという言葉だったり、お前が箱根に必要だと言ってくれたり、まだまだ間に合うなどプラスの言葉をかけていただきました。先輩は若干怒り気味で、すねている場合じゃないぞと言われましたね(笑)。

――ほかの選手が練習をしているのを見て、どのようなことを感じていましたか

なるべく考えないようにしていました。それを見て焦っても仕方がないですし、見るとひがんでしまうので、見ないようにしていました。

――箱根をあきらめかけたという話が先ほどありましたが、箱根に出ようと思い直したきっかけはありましたか

親ですかね。あとは診察の結果が思ったより良かったので、そこで先が見えてきたという感じです。親が、走ってくれとは言わないですが、迷惑かけていたので、箱根を走ることでちょっとは親孝行できると思いました。

――ご両親とは日頃から連絡を取り合っているのですか

何か送ってもらうときにラインするぐらいですよ(笑)。

――思ったより良かった診断というのはいつ頃のことでしょうか

病院に行って画像をとって、それをドクターに見せるという過程があるのでそれが2週間半ほどあったのですが、その期間ずっとやる気がなくて7月の終わりに故障して8月の終わりぐらいにやる気を出し始めました。

――全日本大学駅伝対校選手権(全日本)には出場できませんでした

全日本も間に合わせようと思えば間に合わせられたのですが、監督やコーチと相談しました。試合に出るためにはその前に調整をしなくていけないですし、走った後に疲労を抜くという無駄な期間ができてしまいます。その2週間ぐらいを箱根に向けて走り込みたいということで、全日本はメンバーに入れないでくださいと自分から言いました。うらやましいなとは特に思わなかったですし、ちょっと上から目線になりますけど、自分がいなくてどれくらい戦えるのかなと見ていました。

――上尾シティマラソンに出場されなかったのも同じ理由ですか

出場する予定はあったのですが、さっき言ったような無駄な期間ができてしまうので出ませんでした。

――今季一番成長したと感じるのはどのような点ですか

トラックの記録が伸びたことだと思います。5000メートルだったのですが、速いペースに慣れてきたというか速いペースで走れるようになったというところです。

――ホクレンディスタンスチャレンジ(ホクレン)で5000メートルの自己ベストを出されました。その時は駅伝で主要区間を走ることへの期待もあったのではないですか

ホクレンでほかの大学の強い選手と勝負できたというということが自信になってそこから出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本、箱根も1区を走ろうと思っていました。そこでは1区を走るためにもっと練習を頑張ろうと思っていたのですが、それが悪い方にいってしまいました。

――トラックでの成長以外に、ケガに苦しんだ中で成長できたと感じることはありますか

故障はあまり関係していないのですが、2か月前ぐらいから補強を多めにするようになりました。今回の疲労骨折は大学に入って4回目です。今後はしないように、体づくりをしっかりしていこうと思います。現段階で成長したとは言えませんが、これから成長できたらと思いますね。

――そういった練習や補強箇所というのは誰と相談されるのですか

学生のトレーナーさんだったり信頼できる大人のトレーナーさんだったりします。

――そのような人とコミュニケーションをとる中で支えられているなと思うことはありますか

ありますね。やはり僕自身ケガが多い選手ですし、よく相談させてもらっています。ありがたいです。

――今季は長い期間、練習から離れていました

トラックでベスト出した後うまくいっていたら、補強しようと思っていなかったと思います。うまくいかなかったときほど気づくことはあるので、そういう意味では故障して良かったとは言わないですけど、確実にいい経験になったと思います。補強も来年だけじゃなくて競技人生でずっと良い方向に向いていくと思います。今回の故障は自分にとっては良かったかなと思います。

「層が厚い現在のチーム」

――今季のチーム全体の状況を見てどのように感じますか

僕と凜太郎(武田、スポ2=東京・早実)と高田さん(康暉、スポ3=鹿児島実)を除いては年間を通して良い練習ができていると思います。夏合宿は一日も行っていないので、チームがどのような雰囲気で練習をしていたかとか、誰がどう調子が良かったかなどは分からないですけど。ハーフが強くて昨年と比べたら層は厚いチームだと思います。

――先ほど全日本は見ていたという話がありましたが、7位という結果についてはどう思いますか

流れが悪かったとは思います。2区からずっと流れをつかめず、後半も初出場の選手が2人いたので。流れがつかめなかったのが一番ですね。あとは青学や東海のレベルが上がってきているので、いつまでも3位や4位が確実だとは思っていてはいけないなと思いました。

――今のチームにはどのようなことが足りないと思いますか

1区を、絶対この順位で来ることができると送り出せる選手がいないことだと思いますね。

――先ほどご自身で1区を走ることも考えていたと話がありましたが、自分が走ろうという気持ちはありますか

そう聞かれると「はい」とは答えられないですね。1区は自信を持っていかなくてはいけない区間なのですが、今は自信を持ってやるとは言えないです。

―今季のチームの雰囲気はどうですか

大迫さん(傑、平26スポ卒=現日清食品グループ)が抜けて(実力が)飛び出た選手がいなくなったので、仲良くというかみんなで固まってできています。良い方にいえばそれが仲良くてチームワークがいいと言えると思いますが、悪い方にいうと、飛び出ている選手がいなくてもみんな満足しているという感じがします。

――今年は2年目になりました。練習環境などには慣れてきましたか

学年が上がって練習はしやすくなりました。

――具体的にはどのような点が

1年生は当番なりの仕事があり、部の中でも縮こまってしまう学年なので、与えられた練習しかできませんでした。2年生になってトレーニングルームも使うようになりましたし、走るコースもいろいろなところに走りに行くようになりました。自分のやりたいことをやれるようになっています。

――2年目になって意識の変化はありましたか

上を目指すようになりました。1年生は高校の時のようにうまくいかなかったので、このまま大学4年間行ってしまうのかなと思ったのですが、2年生になってトラックで成長した部分が見られたので、そこをきっかけに上を目指すような意識に変わりました。

――意識の変化はホクレンの5000メートルでの記録が大きいのですか

今年1年間はあれしかないですね、良かったレースは。

――1年生で気になる選手はいますか

上位の4人は期待されて入ってきたので、4人とも良い選手だと思います。光延(誠、スポ1=佐賀・鳥栖工)がトラックでは安定していて、ついていくことが上手な選手だと思います。安井(雄一、スポ1=千葉・市船橋)はここにきて調子を戻しつつあるので、その2人が箱根の選手争いに加わってくると層がさらに厚くなると思います。

――同期についてはいかがですか

一番伸びたと思うのは佐藤淳(スポ2=愛知・明和)です。この前のハーフでも62分台でしたし。井戸(浩貴、商2=兵庫・龍野)は年間を通して安定していると思います。その2人がロードでも強いですし、箱根には欠かせないと思います。

――武田選手も長い間故障がありましたが、お互い競技について話すことはありますか

しなかったですね。あいつとは仲が良いですが、お互い競技のことについてはほじくらないようにしています。お互い相手が落ち込んでいるなというのが分かりますし、立ち直ってほしいという意味も込めてあまり言わないようにしています。自分でちゃんと考えていると思うので何も言わないです。見守っている感じですかね、お互いに(笑)。

――山本駅伝主将はどのような方でしょうか

個人のトラックでというよりも、駅伝で勝ちたいと思っている人で、夏ごろからずっと駅伝で勝つために皆を引っ張っていってくれているなと思います。自分のことは後回しくらいの人ですね。

――何か声をかけられたことなどは

あんまり・・・(笑)。

――他大についてことし特に注目しているチームや選手は

駅伝でいうと、駒大さんが一つ抜けているかなという感じがします。毎年選手をそろえてくるので強いです。他には青学大、明大も、下手したら負けてしまうという危機感があります。選手個人は、特にいないですね。

――きょねんの取材でも、ライバルとして意識している人はいないとおっしゃっていましたね

そうですね。いや、何人か「あいつには負けたくないな」と思ってる人ははいるんです
よ。でも、それを言うのもいやなので、言ってないです(笑)。

「恩返しの走りを」

関東学生対校選手権(関カレ)で力走する平。トラックのスピードを箱根でも生かしたい

――きょねんの箱根はご自身にとってどんなレースでしたか

個人の結果だけでいうと、80%くらい満足はしているのですが、区間賞をとれなかったことと、やっぱり後半にスタミナが切れることが箱根でも出てしまったことが反省する部分ですね。

――チームの結果については

チームについては、あまり悪いことは言いたくないですけど、復路がちょっと。一人ひとりがもうひと踏ん張り、もう数秒でも頑張っておけば、9区、10区であんなに追い込まれなかったと思うので。前(を走る大学)もだいぶ先を行っていて、後ろも2分くらい離れていたので、そこで選手に油断というか、「3位は安泰だろう」という気持ちが少しあったのではないかなと思います。

――走る前後で箱根に対する印象は変わりましたか

大きい大会ということも知っていましたし、緊張もするとは思っていたのですが、本番はそれ以上でした。応援の数もすごかったですし、緊張も思っていたよりしました。走り終わったときには、ここで終わっちゃいけないという気持ちになりましたね。

――もっと上を目指そうという気持ちに

そうですね。さらにそういう気持ちになりました。

――早大新記録を打ち出したことについて

素直に、高校の先輩である三田裕介(平24スポ卒=現JR東日本)先輩の記録を上回れたというのはうれしいです。でも、4区は数年前にコースが変わって区間が短くなったので、別にそんなに(自分の記録が)すごいことだとは思っていないです。

――新記録を狙っていたとかは

記録は特に、狙ってはいなかったです。

――何かこのことについて周囲から言われたりは

周りの人はそんなにタイムとかでは見ないので、とにかくテレビに映っていたから「頑張ってたね」と言われたくらいです。

――箱根を走ることで、知名度、人気も上がったのではないかと思いますが、そのことについて実感は

愛知に帰ったときは、街で声をかけられたりはします。変化への実感というか、ただただありがたいですね(笑)。

――前回の走りを受けて、今回はこうしたいという思いはありますか

2年生になったので、個人ももちろんですが、チームのためにという走りが必要になってくると思うので、しっかり秒数にもこだわって、1秒でも速く走るというのと、自分のところで流れを変えられたらなと思います。

――現時点で、箱根で走ることに対して、自信か不安でいうとどちらがありますか

五分五分ですね。でも不安は、自分でつくっているというか。自分が駅伝でやらかしてしまうイメージをつくることで、そうなりたくないという気持ちになって、練習を頑張れるというか。悪いイメージを今はつくって、集中練習の途中くらいからそれを良いイメージに変えていけたらなと思っています。

――そういうイメージトレーニングは、きょねんの箱根や他のレースでもしていたことですか

いや、今回が初めてかもしれないです。

――きょねんの取材では、このときまだ箱根に向けて緊張などはないとおっしゃっていましたが

ことしも、緊張は全くないですね。前日からです。

――箱根というと、4年生にとっては最後のレースです。4年生のためにといった思いはありますか

そうですね。それがかなりあります。1年生のときは、4年生の方にお世話になったのは10カ月程度だったので、全くではないですが、正直そこまで4年生のためにという思いではなかったのですが、今の4年生には1年半以上お世話になっていて、自分によくしてくれる先輩もいるので、少しでも良い順位、できれば優勝で終わってほしいから、頑張っているというのがあります。

――走りたい区間などは

走りたい区間・・・ないですね。走りたいというよりも、任された区間を頑張りたいという感じです。ここまで、本当に順調には来なかったので、ここは走れるとは言えないですね。でも、任された区間は、しっかり走れる自信はあります

――どんなレースをしたいですか

(走るとき)前にチームはいくつかいると思うので、そこに追いつく、抜かす、少しでも(差を)縮めるっていう走りはしたいですね。

――先ほど「流れを変える走りがしたい」とおっしゃっていました

悪い流れなら、流れを変えて、良い流れならそれを加速させるのが、自分の役割だと思っています。

――個人、チームそれぞれの目標を教えてください

個人では、区間賞です。チームでは、優勝です!

――意気込み

親にも、監督、コーチにも、先輩、仲間にも、応援してくれるみんなにも、本当に迷惑をかけっぱなしのシーズンだったので、それを箱根で全部返せるくらいの走りをしたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 平岡櫻子、戸田郁美)

箱根への意気込みを書いていただきました

◆平和真(たいら・かずま)

1994年(平6)年11月5日生まれ。178センチ、60キロ。愛知・豊川工高出身、スポーツ科学部2年。自己記録:5000メートル13分45秒74。1万メートル29分07秒12。ハーフマラソン1時間3分12秒。ことしの箱根にも家族のみなさんが応援に来てくれるそうです。友人は?と問うと、「頼めば来てくれます!10人くらい来ます!」とのこと。熱い声援が、力走を後押しするに違いないですね!

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