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2014.12.21

【連載】『集大成』 第1回 相楽豊長距離コーチ

 監督、コーチや主力選手に東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の意気込みを伺う事前特集。第1回は渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)と共に、二人三脚でチームをつくってきた相楽豊長距離コーチ(平15人卒=福島・安積)。渡辺監督の頼れる参謀として、主に山を走るの選手の育成や、Bチームの指導などを行ってきた相楽コーチに、独自の視点から見たこの1年間の歩みや、山の対策など多くのことをお伺いした。

※この取材は11月30日に行ったものです。

「成功と失敗の両方があった」

取材に応じる相楽コーチ

――集中練習が始まっていますが、手応えはいかがですか

ことしはやり方を変えました。いままではぶっ通しでやっていたのを故障防止のために二つに分けて始めまして、きょうがその第1クールの最終日でした。(集中練習前に)若干の故障や体調不良があったので、第1クールは個人個人に合わせて始めましたが、いまの時点で全く走れない選手などはいないので、そういう意味では順調ですね。

――それは上尾シティマラソン(上尾ハーフ)の時点で、別の流れで調整していた選手などはいかがでしょうか

上尾ハーフに出すことが得策ではないなという選手は別で調整させていましたが、彼らもいま集中練習に入っています。

――きょう少し練習を拝見したのですが、何人かの選手は量を減らしているようでした。それも新たな試みの一環ということでしょうか

そうですね。後から合流してきた選手とかは、故障の再発防止のためにある程度量を落としています。

――それでは時期が早い分、慎重にやられているのですね

上尾ハーフが例年と比べて早かった分、時間が長めにとれたので、長い目でみて叩きすぎないように調整しています。

――集中練習の改革もそうですが、ダウンの方法などでケガ対策はとられているのでしょうか

そういうのは年間通じてやってきています。きょねんくらいから、Aチームの選手にも補強と体づくりをやるようにさせていますね。なので集中練習の時期に特別やっているわけではないです。

――昨季の箱根が終わった時点から、ことしのチームは全日本大学駅伝対校選手権(全日本)よりも、箱根に標準を合わせていくチームという印象があります。ことしも残すは箱根のみですが、チームの現状はいかがですか

きょねんの上尾ハーフとかことしの日本学生ハーフマラソン選手権でもいい結果が出ていて、5000メートルや一万メートルよりハーフマラソンで結果を出す選手が多いです。そういうチームだと1年間割りきってやってきました。ただトラックをしっかり走らないことには出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)や全日本で勝てないですし、箱根にもつながらないので、ハーフ向きのチームだと思いながらもトラックも強化を変えたりしてしっかり取り組みました。その結果、トラックで記録を出した選手も多かったので、そこはロードとトラックとバランス良く強化できたと思います。

――相楽コーチはことしのチームの戦力をどう分析されていますか

箱根の経験者が9人残っていて、それぞれがトラックやハーフで記録を出しているので順調に伸びてきています。相手もありますがきょねんの4番よりは上にいけるチームだと思います。ただ駒大、東洋大、明大、青学大も力をつけているので、優勝の可能性もありますが、厳しい戦いになると思います。

――いま現在、調子の良い選手をあげられるとすると、どの選手になりますか

上尾ハーフをしっかり走った選手ですかね。62分台を出したあたりは集中練習も余裕をもってやれています。そういう選手は安定していますし、強いですね。

――一年間を通したお話をさせて頂きます。春先は故障者が多い印象がありましたが、いかがでしたか

3月の鴨川合宿あたりまではけっこう順調でした。トラックの強化を変えたいと思っていたので、大迫(傑、平26スポ卒=現日清食品グループ)がやっていたアメリカ式のトレーニングなどを参考にして、例年にやっていないことをやりましたね。なのでいい状態でトラックシーズンに入れました。ただ、思ったような結果は出ず、関東学生対校選手権(関カレ)も狙ったような結果は出ませんでしたね。そこで、また少しやり方を変えたところホクレンディスタンスチャレンジで好記録が出ましたし、合宿にもうまく入れました。トラック全体としては、成功と失敗の両方がありました。故障者が多かったのは確かにありましたね。

――ホクレンディスタンスチャレンジ後の合宿は充実したものだったと伺っていますが、相楽コーチとしてはどのような評価をされていますか

主力の大きな故障がなかったのが良かったですね。あときょねんから北海道合宿をやめて、取り組んだ中ではきょねんを上回る内容が多かったです。

――ことしもAチームは人数をしぼっていて、中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)選手や三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)選手もはじめはBチームでしたがその意図はどういったものでしょうか

やはり、競争意識を高めたいというのがありました。ワセダのAチームというとそこで安心してしまうところがあるので、目を外に向けさせて他校のエースクラスと戦うためにどうしたらいいかを考えてもらいたいと思っています。関カレを見てもわかる通り、うちで主力だといっても簡単には入賞できない状態が続いているので、ワセダの中で5番目、6番目だとあんまり意味がないというのを自覚してもらいたいと思って、インカレで戦えたメンバーだけでAチームを組みました。Bチームにはそこに追い付け追い越せの意識をもって欲しかったんですよね。

――3次合宿はAチーム、Bチームと一緒にやられていたと思うのですが手応えはいかがでしたか

全体的に良かったですね。きょねんと比べても、一回一回の練習を取り出しても、いい内容の練習がつめていました。なので駅伝シーズンはきょねんの4番よりは上にいけると思っていました。

――3次合宿では高田康暉(スポ3=鹿児島実)選手や武田凜太郎(スポ2=東京・早実)選手などは不参加でしたが、それでも戦える力がついたということでしょうか

逆にそれでチームとして危機感は高まりましたね。あの合宿に行かないと出雲とかは出られないという話もしましたし、それだからこそみんなで頑張ろうという話もしました。みんながそれに応えてくれて良い合宿になりましたね。

――全日本の結果が良くなかったことについてはどのように分析されていますか

1つ間違いなく言えるのは力不足ということです。直前の早大長距離競技会で(主力が28分台で)走れたことで、若干チーム全体が過信をもって臨んでしまったのではないかなと思います。片一方で思ったのは、コンディショニングミスではないですけど、自分の力を出しきれない区間が多かったですね。それは我々の責任でもあるので、チーム全体で反省して取り組まないといけないなと感じました。

――特に初出場となった中村信選手や佐藤淳(スポ2=愛知・明和)選手が苦しんだように感じましたがいかがですか

いま言った話に近いですね。過信があったのかなと…あと彼らに関してはコンディショニングが特に合わなかったです。駅伝は流れもありますけどね。全日本自体はなかなか流れがつくれない駅伝でした。1区そこそこでしたけど、そこから上がったり下がったりというのが続いたので。でもそういうところでも力を出せるようなチームにならないといけなかったんですけどね。

――武田選手は直前の記録会ではチーム7位でしたが、全日本にはエントリーされませんでした。武田選手がいたら少し変わった部分などもあったのではないでしょうか

武田選手に関しては昨季、全ての駅伝に出て、僕らも信頼している選手だったのでスタートラインに立ってくれれば仕事はしてくれたと思うんですけど…。もともと故障で離れていて、記録会のあとも少し違和感があったので、大事をとって外しました。ちょっとそこは残念ではありましたね。

――全日本のあとに行われた上尾ハーフでは立て直された選手が多かったですが上尾ハーフの結果はいかがでしたか

いつもそうなんですけど、上尾ハーフまでは夏合宿でやったことの1つの流れの成果だと考えているので、特別準備などはしていません。調整もそんなしないまま出場させました。選手にも「20キロをまとめようとしなくていいからどこまで自分のスタミナが持つのかを試してこい」と言って送り出しました。もちろん良い結果だった選手は力がついているのを感じましたし、トータルタイムが悪かった選手でも10キロ地点まで先頭にいたとか、内容が良い選手もいたので結果というよりも内容を評価するようにしています。良かったとも言えないですし、悪かったとも言えないですね。

――結果は良くなかったが、内容を評価できた選手にはどういった名前が挙がりますか

上尾ハーフでは先頭が3分を切るペースで走っていて、そこに「つけ」っていっても頭からつけない選手が多い中、ついていける選手は多かったですね。Bチームの選手も10キロくらいまでは対応していましたし、光延(誠、スポ1=佐賀・鳥栖工)なんかもトータルでは66分かかっていますけど15キロくらいまでは先頭付近にいたので、そこの辺りはゴールタイムだけでは計れないですね。

――光延選手と同じ1年生では、安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)選手が63分台で走られました

光延と安井、藤原滋記(スポ1=兵庫。西脇工)、石田康幸(商1=静岡・浜松日体)は夏合宿から4人ともすごい良い練習ができているので、4人が4人とも駅伝や上尾ハーフでも通じると思っていました。安井は全日本に関しては直前の記録会で足に不安があるということで飛ばしたので、その分駅伝は走れませんでした。でもスタートラインに立たせれば光延などと同じくらい走れるという感触はあります。それにしても上尾ハーフはよくやってくれたと思います。

――藤原選手は上尾ではなく日本大長距離競技会での調整となりましたが、どのような意図があったのでしょうか

例年、やはり1年生なんで20キロに適応できる選手とそうでない選手がいます。藤原は個人的にはロードに強いのかなと思っていたんですが、夏合宿くらいから長い距離に苦しんでいました。なので良いきっかけをつかんで欲しいということで「20キロではなく1万メートルに出てはどうか」と聞いたところ、本人もそっちで記録を出したいとのことだったのでそういう流れになりました。結果的にちゃんと走ってくれましたし、集中練習も問題なくできると思って合流させています。

――上尾ハーフでは柄本勲明(スポ2=早稲田佐賀)選手といった中堅層の選手が良かったですが、そういった選手への評価はいかがですか

やっぱり彼らがこうやって上がってきてくれたことで、チームの競争が激しくなりますし、活性化するので良かったですね。柄本なんかは夏合宿頑張ってやってきているのですごく嬉しいです。

「全員で戦う」

――少しお話を変えさせていただきます。今年は山に自信があると渡辺監督もおっしゃっていますが、相楽コーチとしてはいかがですか

山本(修平、スポ4=愛知・時習館)は入学して1年生の頃が1番充実してたのかな。それに匹敵するような練習が夏合宿でできていて、全日本や記録会を見ても結果は出てますし、故障しないでスタートラインに立てればそれなりの仕事はしてくれるという感触はあります。三浦に関しても練習がそこそこ積めていれば、仕事はしてくれると思っています。ことしのチームに関しては大エースがいないので、少しでも見込みのある区間でどれだけアドバンテージをとれるのかがカギになります。上りや下りに関してはとれるのであれば区間賞をとって、貯金をつくれるような準備をしたいと思います。

――雑誌などでは二人で2時間16分を切りも目指したいというお話もありましたが

それはすごいな(笑)。78分切りと58分切りか、どっちも区間記録くらいだよね。そこまではいかなくても、山本は最低限、自分の記録(79分52秒)と三浦に関しても前回の記録(58分51秒)くらいはいって欲しいですね。確かにアドバンテージをとるという意味では彼らの頑張りがチームの順位に直結するので、高いところを狙って欲しいです。

――他にも山の上り、下りで準備されている選手はいますか

もちろんリスク管理ということで何人か候補はいます。昔に上りで故障者が出て、元旦に探すという経験をしたので(笑)。ですが、ことしに関してはなるべく二人に任せられるように故障だけはさせないようにします。

――集中練習には大島遼太郎(スポ2=茨城・下妻第一)選手や前野陽光(スポ3=神奈川・多摩)選手といった選手がこの間の日体大長距離競技会の結果を経て参加されていると伺ったのですが、こういった叩き上げられきた選手に関してはどのような評価をされていますか

下のチームで基礎練習から走り込んで、コツコツとやってきていますし、記録会でも3分ちょっとのペースでも走れています。やはりそういう選手はそのまま距離を伸ばしても対応してくれることが多いので、集中練習がどこまでできるのかがとても楽しみです。もちろん来年もあるので、この先につなげるためにもちょっとでも長く集中練習をやって欲しいです。

――箱根ではやはり4年生の存在が大きいと思うのですが、ことしの4年生、特にBチームなどで練習をされている4年生に関してはいかがですか

ことしのそういった4年生は故障や、体調不良でなかなか上に絡んでくることがありませんでした。ただ、ここに来て集中練習はしっかりできていますし、きょうも岡田(健志、スポ4=奈良)なんかは最後頑張っていました。4年生がそうやって最後の箱根に懸ける姿勢というのは同級生はもちろん、下級生にもすごく刺激になるので、本番だけでなくそういうところでも期待しています。

――やはり16人に漏れてしまった、4年生の存在は集中練習でも大きいものなのですね

学生には繰り返し言ってるのですが、16人に入ることを目標にすると大概そこで故障したりしてしまうので、ここにピークを持ってこないようにと伝えています。16人を選ぶための選考的な練習はもちろんするのですが、そこに絶対調整するなとは言っていますし、むしろそこに向けて調整したら「16人にいれないよ」とも言っています(笑)。なのでみんなそれは理解して、取り組んでくれていますね。16人に入るんじゃなくて全員で箱根戦おうという意識でやっているので、メンバーに外れてしまっても「一緒に練習やらせて下さい」とか「31日のタイムトライアルで自分が下級生引っ張ります」という4年生が出てくれたりするのは昔から変わらずこのチームが持っている良さです。ことしもそれを継続してやってくれると思っています。

――いろんな選手のお話を伺ってきましたが、ことしAチームからCチームすべてを通して伸びたなと感じる選手はどなたですか

佐藤淳とかですかね。もともと長い距離に向いていますが、ハーフマラソン62分台はびっくりしましたね。よく伸びてくれたと思います。あとは中村信ですね。やっぱり推薦で入って、練習は強いんですけどこれまでなかなか試合で結果が出てきませんでした。そういう中で一万メートル28台とハーフマラソン62分台と練習の成果を出しているので、本当にここ2、3年取り組んできたことが力になったなと思いますね。下のチーム見ても、5000メートルで14分一桁の選手や一万メートル29分台の選手が出てきています。なので、ことしは1、2、3年生が特に伸びた一年でした。

「やる以上は優勝を目指す」

相楽コーチが成長著しい選手として名前を挙げた佐藤淳

――他大のお話も少し伺いたいのですが、優勝候補筆頭の駒大の印象などはいかがですか

やはり、村山謙太君、中村匠吾君というのは飛び抜けていますね。ですがチーム全体を見てもそこに頼りきっていないですし、1年生で上尾ハーフ62分台の選手もいますし、厚いチームですね。駅伝に慣れている選手も多いですし、手ごわいです。

――その駒大に勝つためにはどういったところが重要になるでしょうか

全日本でも独走でまったくどこも追えませんでした。今の駅伝は独走されると、抜かすのは難しいですし、なんとか見える位置で山まで行ってそこで勝負したいですね。

――他の大学で注目されているチームはありますか

全日本で上位だった明大と青学大ですね。もともとメンバーは揃っていますし、全日本で歯が立たなかったので。あとは東洋大ですね。上尾ハーフでは全日本走ってなかった選手が好走していたので層の暑さを感じます。

――これらの4校を倒すとなるとやはりオーダーは最近定番となっている往路重視になりますか

そうですね。昔からワセダはある程度往路で良い位置につけて、後は粘るというところがチームのパターンですので。全日本は振り返ってみると後ろに下がってからなかなか盛り返せなかったというのがあったので、ある程度前で勝負しいたいなと思います。あと珍しくことしのワセダは8人目、9人目、10人目が強いので、なるべく前半で前につけて後半頑張りたいです。でもワセダだけでなくやはり全体がそういう流れになる気がします。

――山の5、6区につなぐ時に前とどのくらいの差なら巻き返せると思っていますか

相手次第ですね(笑)。山上りは79分台や80分台が珍しくないですし、近年は下りのレベルも上がっています。そう考えると山で2分から3分の貯金はなかなか難しいですね…。1分から1分30秒の間にいないと簡単には抜かせないと思います。

――最後に箱根への意気込みをお願い致します。

全日本であのような情けないレースをしてしまったので、チーム全体で取り返したという思いでやっています。やる以上は優勝は目指して頑張りますし、最低限でも3位に入って全日本のシード権をとれるようにしたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 石丸諒)

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