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2014.10.31

【連載】『伝説を刻め~Make Legend』 最終回 中村奨吾主将

 4年間の集大成。1年秋からレギュラーに定着し、主軸として試合に出続けてきた。主将として挑んだ最終年は不振の日々が続くが、直近の試合で殊勲打を放つなど調子を上げている。主将として、その努力や姿勢でチームをけん引してきた中村。最後の戦いを前にその決意を口にした。

※この取材は10月22日に行われたものです。

「足下が見えていなかった」

チーム状態について語る中村

――自らの適時打による勝利から2日経って、やはりこれまでと気分は違いますか

そうですね、やはり勝つのと負けるのでは全く違っていたので。優勝にも望みがつながったので気分はいいですね。

――オフ後の練習はいかがでしたか

きょうもいつもの感じで練習をしてきました。きょうはフルメニューで打撃練習だけ行いました。

――それでは今季にはいるまでのお話に移ります。春の早慶戦に連敗後、チームとして停滞した時期があったのでしょうか

最後に足下をすくわれて、みんな信じられないといった感じが夏に練習再開した時はありました。合宿が始まったり、遠征がある中で合宿中にはずっと監督さん(岡村猛監督、昭53二文卒)からミーティングがあって、そこで「チームとしてしっかり秋は戦っていこう」という話があって、そこで少しずつみんなが同じ方向へ向いてきたなという印象があります。

――中村主将が日本代表での遠征へ行かれた間のチームの変化はありましたか

自分が帰ってきて、締まった雰囲気は感じられなかったですね。少しみんなだれているなという感じでした。その中で合宿でのミーティングなどを通して「秋はこういう戦い方をしよう」といったことを話して、秋への意識を高めていったという感じですね。

――戦い方について話されたということですが、春と変えた部分というのは

大きな変化ではなく、ミスは付き物なので、それが起こった後にみんなでどうカバーしていくか、いかに連鎖させないか、という話を監督さんがされました。春のようにいいかたちで勝ってきたときは自然とそういったことができているのですが、もう一度それを言葉にして全員で確認しました。

――やはりミスが連鎖して敗れた早慶2回戦があってこその内容ですね

そうですね。

――軽井沢合宿ではフォームの作り直しをされました。手応えというのはありましたか

キャンプの時点ではなかったですね。あの時点ではまだあまりで手応えはありませんでした。オープン戦の中で春よりはいい状態になってきて、少しずつフォームが固まってきました。

――春とのフォームの変化はどの点で違いますか

タイミングであったり、ボールとの距離感であったりですね。春は自分のタイミングで打ちにいけてなくて、相手のタイミングで打たされていたのでそれをしっかり自分の間合いで打ちにいけるように練習してきました。

――オープン戦では終始、低調な状態が続きました

結果に関しては欲しがってしまうと春のように自分の打撃が分からなくなってしまうので。オープン戦ということで(自分の)打撃のかたちを意識して取り組んでいたので、結果は出ませんでしたがかたちは良かったのでそんなに焦っていなかったですね。

――チームとしては例年にない移動量でしたが、実際疲れも相当あったのでは

そうですね、8月中はほとんど東京にいなくてバスでの長時間の移動などもあったので、みんな疲れはあったと思います。

――特に東北では得点力などの面で特に野手陣のパフォーマンスに影響が向けられました

疲れなどもあるとは思うのですが、そういった苦しい状況でも普段通りのプレーができなかったのは自分たちの対応力がまだまだだったのかなとは思います。

――厳しい状況下で戦い続けた効果などは感じられましたか

あまり感じられないです(笑)。そういった遠征など体がきつい状態でどれだけ普段通り試合ができるかという考え方もあると思います。ですが、リーグ戦期間にはしっかり東伏見で練習して、神宮で試合という決まったサイクルがあるので、不規則なことに対応しないといけないかも知れませんが体も疲れますし、気持ちとしても集中しきれないというのは各選手あったと思います。

――東伏見に戻ってからは劣勢でも逆転する展開が続き、春のような本来のチーム力が蘇ってきたように見られました

負けた試合が1試合しかなかったので、自分でも「なんでこんなに勝てるんだろう」と思ったときもありました。夏場に入るまではバラバラかも知れないと思っていたのですが、(その結果を見て)一人一人が課題に向き合っていたという証拠なのかなと後々思いました。

――最後のリーグ戦を前に力が入ったりする部分はありましたか

最後なのでやはり自分も打ちたいですし、チームとしても勝ちたいですし、そういった気持ちが強くありました。

――個人的には100安打も無理ではないという位置につけていましたが意識はありましたか

チームに貢献しながら、100安打も達成できればというくらいの意識は持っていました。100安打というのは到達したい数字ではありましたが、打っても勝てなかったら意味がないですし、やはり勝利が優先ですね。

――現時点であと9本ですが狙う気持ちはありますか

狙おうという気持ちではないですが、諦めずに打席に立とうとは思っています

――最近では杉山翔大選手(平26スポ卒=現プロ野球・中日)が96本で卒業されましたが、やはり100本直前にカベがあるのでしょうか

どうなんですかね、自分は前半がそこまでだったので。前半でもっと打っていればという気持ちはありますがいまさら言っても仕方ないので、あとは全力でやるだけです。

「ようやく期待に応えられた」

――リーグ戦の話に移ります。まずここまで振り返ってみての感想はどのようなものでしょうか

法大2回戦は負けムードだったのですが、土屋(遼太副将、教4=東京・早実)が満塁ホームランを打って予想以上の展開で勝ったことで、「いけるのかな」という自分たちの悪い癖というか、気が抜けたところで明大にやられたなというところです。

――悪い意味での気の緩みのようなものがいま思えばあったのでしょうか

そういうわけでもないのですが、2連勝していて苦しい状況での明大戦ではなかったので、足下が見えていなかったのかなといった感じです。

――共に引っ張る存在と仰っていた有原航平選手(スポ4=広島・広陵)が不在の開幕。自分の中で変化はありましたか

やはりエースがいないということでどこかチーム全体に心細いような気持ちはあったのですが、仕方ないことだったのでチームみんなでカバーしていこうということも話し合いましたし、有原が戻ってくるまでみんなで戦っていこうという話はしました。

――総合力や層の厚さという部分で差が出てしまったのでしょうか

(ワセダは)野手には経験がある選手はいっぱいいるのですが。明大戦はやはり他の大学との試合や早慶戦とはまた違う雰囲気があるので、投手としては頑張ってくれたのですが、やはりそれを経験しているか、していないかの差は大きかったと思います。向こうの気持ちの方が強かったのかなと思います。

――やはり有原選手がいないからこそチーム全体のブレーが締まったような印象を受けました

法大戦ではそうだったのですが、明大戦では向こうのワセダに対する気持ちも違いますし、経験でも差があったのかなと思います。

――チームは打ち勝ち波に乗る中で自身は気持ちが乗り切らない部分はあったのでしょうか

やはりヒットが出ないと気持ちが乗らない部分もありましたね。焦りとかはなかったのですが、気持ちのどこかでモヤモヤする部分はありました。

――明大戦では珍しく2戦連続で失策を犯してしまいましたが、打撃の不調が波及した部分もあったのでしょうか

守備とバッティングは分けて考えているので、失策に関しては自分の力不足というしかないです。まだまだ練習が足りなかったということです。

――春は機動力で圧倒する展開が多かった中で秋は盗塁失敗が目立ちます。やはり研究されていると感じますか

そうですね、春あれだけ走ったので警戒してくることは分かっていたのですが、その上をいかないことには勝てないので。明大2回戦に関しては塁にも出られなかったので、そこが相手を上回れなかった理由だと思います。

――機動力を生かした攻撃パターンが封じられるということはやはり苦しいことだったと思います

自分たちから盗塁を仕掛けて刺される分にはいいのですが、まず出塁できないと言う展開になればそれは苦しかったですね。

――ご自身としても結果が出ない要因に力みを挙げられましたが、その力みの原因とは

やはりヒットが出ていないということが力みにつながったんだと思います。

――やはり知らず知らずのうちにバットが下から出ていたり、感覚と体にずれがあったのも気持ちの部分が大きいのでしょうか

それもまた力不足だと思いますし、意識していてもできないということは練習が足りていなかったのかなと思います。

――明大戦を終え、その次の東大戦はチームとしても中村選手としても転機となったように見受けられました

チームとして重たい雰囲気もあったのですが、東大も勢いがあったので、そこをしっかり勝たないことには次の立大戦にもつながらないと話しました。自分としては開き直っていくしかないと考えていました。

――3番に志願されたとのことでしたが、その意図はどのようなものだったのでしょうか

ずっと3番を打ちたいというふうには春から言っていたのですが、チームの事情で春は1番で戦って、夏のオープン戦では3番だったのですが、監督の考えもあって5番に移りました。それは自分をもっと楽に打たせてあげたいという意図だったと思うのですが、自分の中にはやはり3番を打ちたいという気持ちがありました。春が終わってから「1番は中澤(彰太、スポ2=静岡)、3番は中村でいく」と言われていて、自分の中でもその準備はしていたのですが、小野田(俊介、社4=東京・早実)も調子が良かったので5番になり、打てずに6番にまで下がりました。(秋季)リーグ戦が始まる前になぜ5番なのかを聞きに行こうかとも思ったのですが、監督さんも考えがあってのことだったので、言わずにいました。でも明大戦で連敗したので、直原(大典学生コーチ、人4=高知・土佐)とかに相談して、「悔いが残るくらいなら言った方がいい」と言われたので、「3番にしてください」と言いに行ったら監督も「何か変えないといけないと思っていた」と言ってくださったので、3番になりました。

――以前からこだわりのある打順だと思うのですが、3番という役割にどのような狙いを持って取り組まれていますか

打てないときでも、何かしら仕掛けることもできると思っています。自分の中での勝手なイメージかもしれないのですが、5番より3番の方がいろいろな仕事があると思っていて、自分の中では長打もつなぎも足も使えるというそれだけ役割があることにやりがいを感じています。もし打てなくても自分に何かできることはあるのではないかと思って志願しました。

――数字では表れにくい部分での貢献を、ということでしょうか

そうです、はい。

――走攻守そろっている中村選手の特徴にあった役割であるということですね

他のチームに自分が行ったら打順の意味合いも変わってくると思いますが、ワセダの中では3番を打つのは自分だ、というふうに自分は勝手に思っていたので、監督さんに言いました。

――3番に上がった試合で本塁打を含む3安打とやはりここからより気持ちが乗ってきた部分もあったのではないでしょうか

そうですね。やはりヒットが出だすと、気持ち的にも楽にはなってきました。

――東大戦で連勝し立て直したと思われた矢先、立大1回戦で敗れました。3敗目ということで大きな一敗になったと思いますが

大きかったですね。有原が(先発で)投げましたし、そこでミスも出て勝てなかったので、1戦目を取れなかったというのは大きかったです。

――有原選手が投げるからには勝たないといけないという雰囲気はやはりあったのでしょうか

ありましたね。

――その敗戦で雰囲気が大きく落ちた部分もあったのではないでしょうか

それはなかったですね。1回負けたら終わりだと思っていたのですが、まだ頑張れば(優勝への)望みはありましたし、次負ければもう終わりだったので前を向いてやるしかないという気持ちでした。

――2回戦では初回から6得点と打者陣の気合いが表れていました

1回戦は抑えられたというより得点圏で打てなかっただけなので、2戦目は立大の投手が自ら崩れてくれて初回に大量得点できたので気持ち的に楽になりました。でも春の早慶2回戦(初回4得点も2回に逆転許す)の教訓があるので、最後まで気持ちを引き締めて戦いました。

――3回戦では3回以降試合が動かずに緊迫した展開でしたがプレッシャーはありませんでしたか

2年の春の明大戦で優勝が懸かった場面で、緊張感はありましたが、緊迫した展開を経験しているのでそれに比べれば緊張はしなかったですね。

――11回表の中村選手の適時打ですが、打った瞬間に雄たけびを上げられていました。やはりうれしい気持ちが前面に出たのでしょうか

うれしいというよりかは、いつも自分のところにつないでくれていたので、ようやくみんなの思いや期待に応えられたな、という気持ちの方が大きかったです。やはりこれまでチャンスであまり打てなかったこともあり、申し訳ないという気持ちがあったので。

――やはりチームが追い込まれている中で期するものが大きかったのでしょうか

あそこで自分が打てなかったらチームとして負けだなというふうに思っていました。考えすぎず、自分がいままでやってきたことを信じて打席に立っていました。準備はしっかりしてきたので、打てなかったらそこまでだったんだなと。

――開き直っていたのですね

そうですね。

――個人として春からの変化は感じますか

まだ春に比べると冷静に戦えているかなとは思います。

――春はやはり不調の中で迷いながら戦っていたのでしょうか

そうですね。

――チームをけん引する上で冷静に戦えているのはやはりいいことなのでしょうか

いい点ばかりとは言えないのですが、いい方向に進んでいることもありますし、逆にもっと熱くならないといけないというか、そういった気持ちを表に出さないといけないと思うこともあります。自分の中にあったとしても、(表に)出さないといけない時もあるのかなと感じています。ガッツポーズとかではなく、もっとベンチで声を掛けたり、試合の中で声を掛けたりしないといけないなと思っています。

――どういった場面でその熱さがより必要だと感じますか

立大戦の終盤とかはもう1点も与えられなかったので、野手にも声を掛けましたし投手にも声を掛けたので、そういうのをもっとやっていければと思います。

「チーム全員で勝ちにいく」

4年間の思いをバットに込め、打席に立つ

――主将としてここまで戦ってきての感想はどのようなものでしょうか

ワセダの主将をやってみないと分からないことはたくさんありました。見ている姿とは違うこともあったなという印象です。主将とはどういうものかというのを見てきていなかったので、主将としての仕事とかは最初分からなかったのですが、一選手としても主将としても先輩たちはしっかりできていた方ばかりだったので、その凄みというのも分かりました。

――やってみて分かったこととして、具体的にどのようなものがありますか

大変なことが多いなということですね。

――戦う中で自分のことと周りのことを両方やり遂げることへの難しさはあったのでしょうか

先頭にも立ちながら選手としてもしっかりと結果を出さないといけないという立場なので、いままではそれぞれを分けて考えてうまくやってきた人たちばかりだったので両立できてすごいなと感じました。

――選手として、中村選手は練習も遅くまで取り組まれていると聞きます

自分のためにやっていることがチームのためになると思ってやっています。

――『10』番への愛着はありますか

愛着はないですね(笑)。自分は2年間『1』を背負ってきて、その数字が好きでこだわりも強い中で付けさせてもらっていたので、そちらのこだわりの方が大きかったですね。

――本当は『1』を付けたい気持ちが大きいのですね

そうですね。

――主将として決めていることなどはありますか

当たり前のことをしっかり意識してやってきたつもりではいます。

――まだ引退されたわけではないですが、主将をやって良かったと思いますか

思いますが、終わってから思う方が多いかなとは思います。

――具体的にはどのような部分で良かったと思いますか

周りをしっかり見ながら、行動できるようになりました。いまの時点ではそんなところですね。

――一緒にプレーできる期間も少なくなってきた中で、同期への特別な思いはありますか

いつも文句一つ言わずに練習を手伝ってくれる同級生も多いので、そういった選手の分も自分たちがグラウンドで結果を出して勝つことが大事だと思いますし、感謝の気持ちを持っていかないといけないなと思います。

――岡村監督も同じく4年目で共に戦ってきた存在ですが

どんなことが起きても、全部受け止めてくれたので、岡村監督だったからこそ自分たちがここまでできたのかなと思います。

――早慶戦のお話に移りたいと思います。リーグ戦としては最後の試合ですが、特別な思いはありますか

もうワセダのユニフォームを着て戦う試合も最後ですし、優勝の可能性が残るかは分かりませんが、しっかり悔いのないように試合をしたいと思います。

――1年秋に初めて早慶戦の舞台に立った時の感覚は覚えていますか

高校野球とは違って、また(早慶戦での)神宮の雰囲気は人も多くて違いました。

――自身にとって最後の早慶戦になりますが、いまのところのビジョンはありますか

自分の持っている力を全部出せればと思います。立大2、3回戦と同じように攻めていくしかないので。守りに入ったらやられると思うのでどんどん攻めていきたいと思います。

――今季の慶大の印象は

秋はワセダとここまで同じ勝敗で来ていて、似たような雰囲気なのかなと思います。

――加藤拓也選手(2年)を始めとする投手陣のイメージは

加藤は春や全早慶戦で戦って、(大学日本)代表でも見ていますし、いままでの秋の試合も見ているのである程度対応はできるのではないかと思います。

――春は連敗し、リベンジという意味でも重要な一戦となります

春負けて悔しい思いもしましたし、最後の試合なので絶対に勝って終わらないと気分も良くないと思いますし、チーム全員で勝ちにいきたいと思います。

――数字としての目標はありますか

個人としての目標はないですね。チームとして勝てればそれでいいと思います。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

学生最後の早慶戦なのでベンチに入っているメンバーも入っていないメンバーも全員で慶大を倒しにいきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 盛岡信太郎)

中村主将

◆中村奨吾(なかむら・しょうご)

1992(平4)年5月28日生まれ。180センチ80キロ。右投右打。内野手。奈良・天理高出身。スポーツ科学部4年。中村選手にとって早慶戦とは、というテーマで書いていただいた色紙。書かれた文字は『華』。学生最後の華の早慶戦で、記憶に残る一打を放ちます!

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