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ラグビー部

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2013.08.08

【第6回】外勤B 坪郷勇輝×呉泰誠

 特集最終回は、春シーズンファンの心に最もインパクトを残したであろうCTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)と、4年目にして初めて赤黒を手にしたフランカー呉泰誠(スポ4=大阪朝鮮)のお2人に取材を行った。ラグビーに打ち込む環境としては不利ながらも、ワセダを背負う存在になるまで這い上がってきた両選手。これまでの苦労体験からプライベートなお話しまで、ざっくばらんにお話しいただいた。

※この取材は7月18日に行ったものです。

「外勤の星になる」(坪郷)

『外勤の星』を目指す坪郷

――お二人は仲が良いのですか

坪郷 好きな物が似てるんですよ。

 アウトドアとか、野生的な感じです。

坪郷 バーベキューとかもするよね。

――呉選手はルームシェアをしていると聞きました

 そうですね。辰野(新之介、文構4=神奈川・桐蔭学園)と上田(将也、教4=愛知・春日丘)と3人で住んでいます。

――最初は寮に入っていましたとも聞きましたが

 最初は寮だったんですけど、戦力外通告くらって2年生の夏合宿終わったあたりに追い出されました。そこから経済面のこととかもあるので、「俺が全部面倒見るから」って言ってはじめました。

――呉選手が全部やられているんですか

 練習終わってからご飯作ったり、生活費とかを自分が集めたりしてます。

――退寮はどのようにして宣告されたのですか

 前の監督(辻高志、平11人卒=茨城・茗溪学園)なんですけど、夏合宿が終わって監督部屋に呼ばれて、「寮から出てもらうことになったから」と言われました。ちらっと聞いてはいたんで、納得はしてなかったですけど、その時はラグビーがうまくいかず、ふてくされていたこともあったので出て行きました。

――寮から出て行かされることはよくあることなのですか

 ありますよ。寮生で結果が出なかったら、外勤の結果を出している人と交換します。

――いつ追い出されるか分からない危機感があったということですか

 常にありました。1年生のときの自分はどうしようもない人間で、でもその自分がいたから今の自分があるんですけどね。

――寮から出てよかったと感じているということですか

 よかったです。あれがあったから一回自分を見つめ直して、考えながら練習して、ラグビー以外のモラル面も一から直しました。高校での主将から大学1年生までの腐った自分をやり直すきっかけになりました。

――坪郷選手は、呉選手が追い出されたときはどう感じましたか

坪郷 かわいそうだなと。でも寮出てからはラグビーもよくなって、絡みやすくなりました。寮出てからは絡む時間も増えていいところもたくさん見えてきて、結果オーライですね。

――坪郷選手は実家から通われているのでしょうか

坪郷 そうですね。埼玉の川口ってところから通っています。

――遠くはないですか

坪郷 1時間ちょっとで来れるので、慣れれば大丈夫です。

――呉選手と同居している2人はどういうかたですか

 上田はあんまり自分からはぐいぐい来ないんですけど、頼みごとしたらしっかりやってくれます。すごいと思うのは、何をやらしても頑張れるってところだと思います。辰野はガキです(笑)。それに集約されるよな。

坪郷 ほんとそうですよ。この前の掃除機の話しなよ。

 あれか(笑)。辰野は自由奔放で無神経なところもあるんですけど、僕は結構神経質なんですよ。僕は寝るのが早くて、試合前の日は22時には寝てるんですけど、辰野が24時半ぐらいから掃除機かけ始めたんですよ。

一同 (笑)。

 そういうことすると起きちゃうっていうのを知ってるのにかけるんですよ。僕は目をつぶったら2時間くらい寝れない人で、ちょうどうとうとし始めたときに、隣からすごい音がしてきて、そこから寝れなくなって3時ぐらいまで寝られなかったです。

――今までに喧嘩とかはありましたか

 1回も無いですね。僕が言ったら基本的に何でもやってくれるし、向こうも何も言ってこないので喧嘩は無いですね。

――得意料理は何ですか

 全部です。これ作ってって言われたらどんなものでも作ります。

――部員に振舞ったりするのですか

 結構やってるよな。

坪郷 鍋とかね。

 あったね。春シーズンに午前練習して、寮生は寮内で鍋を食べようって監督(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)が言ったんですよ。外勤はどうするってなるじゃないですか。なので4年生だけなんですけど「俺が外勤だけで俺の家でやろうぜ」って言って僕が作りました。

――食べてみてどうでしたか

坪郷 いや、もううまいっす。

 当たり前当たり前。

坪郷 ダシもパックじゃなくて最初から作るんですよ。

――もとから家事は好きだったんですか

 親が共働きで、妹もいたので自然と身についていった感じですね。裁縫とかもできますからね僕(笑)。

――部員はよく呉選手の家に行ったりするんですか

坪郷 行ったりしますよ。僕は家があるのであんまり多くは無いですけど。

 (グラウンドから)すぐ近くにあるのでよく来ますよ。広いし。

――普段家では何をしているんですか

 僕は買い物が好きなので、服とか家具買ったりするんですよ。それで自分で部屋をアレンジしてそこでゆっくりするのが好きです。

坪郷 考えたんですけど、DVD見てます。きのうトイ・ストーリー2見ました。

 何でなん(笑)。

坪郷 この前北風祭でフランカーの人たちがディズニーのショーやって、ディズニー楽しそうだなって思ったんですよ。それで次の日にディズニーランドに行って、無性に見たくなったんです。

 トイ・ストーリー・マニア!に乗ったの?

坪郷 乗ってないよ。

一同 (笑)。

 おかしいじゃんそれ。

坪郷 リトルマーメイドが見たかったんだよ。それでリトルマーメイドと何借りようかなって思って、トイ・ストーリーを選んで、後にリトルマーメイドを取っておこうって思ってこうしたんですよ。

――食事管理の面で気をつけていることはありますか

坪郷 注意していることは、揚げ物をなるべく食べないようにしています。家でお母さんが作ってくれるんですけど、揚げ物をできるだけ出さないようにって頼んでいます。後は食べたいものを好きなだけ食べています。

――揚げ物を食べない生活は大変ではないですか

坪郷 いや、もう慣れました。

 うちのキャプテンがうるさいので。いつの間にか当たり前になっていったというか。僕も揚げ物は食べてないです。

――外勤と内勤で大きく違うのはどこだと思いますか

 それは明らかに環境だと思いますよ。四六時中仲間と一緒だし、ラグビーの話をしようと思えばいつでもできるし、グラウンドも近いですし。外勤って家なので自分でやることが多くなりますね。そのかわり、自律心は外勤のほうがありますよ。元々住んでたのでよく分かります。

坪郷 どっちのほうがいいの?

 僕は半外勤、半内勤みたいな感じなんですよ。めっちゃ家近いし、3人で住んでるし、グラウンドにも行くし。

坪郷 じゃああんまり変わらないのか。

 いやでも変わるね。寮のほうが人多いし、楽しいですよ。でも負けたくないって気持ちは出ますね。外勤っていう環境の中でも上に食らいつきたいという感じで。

――坪郷選手もそういう気持ちは持っていますか

坪郷 僕は家から通って、外勤の星になるんだって思っています。寮なんて入らなくてもAチームでできるんだよっていうのを後輩に見せて、外勤の後輩に頑張って欲しいなって思います。

――寮への憧れっていうのはありましたか

坪郷 全然無いです。一人の時間が欲しくて、寮だと必ず部屋に誰かいるじゃないですか。唯一落ち着ける時間が一人の時間なので、それが無いと僕の性格的にはきついかなと思っていました。

――寮に入ることを拒否することもできますか

 できるけど、恐いから(笑)。

坪郷 半強制みたいな感じです。

――外勤の難しさを感じるときはありますか

坪郷 個人練習をもっとしたいんですけど、終電の時間とかもあるのでそこがデメリットではあります。でもそこは自分でよく考えて効率よくやれば、差はでないと思ってます。後は栄養面ですかね。寮だと栄養士さんが全部管理してくれて食べさせてもらっているんですけど、家だと栄養のことはあまり分からないので、そこは寮生のほうが恵まれているのかなと思います。

――自律という面では外勤のほうができていると感じますか

坪郷 僕はできていると思っています。寮生見ててもまだまだだなと。

日本一にふさわしいチームになることが必要(呉)

Bチームではゲームキャプテンを務める呉

――北風祭がありましたが振り返っていかがでしたか

坪郷 サンバがとても素晴らしかったです。

一同 (笑)。

 あの方たちが来てくれてどれだけ盛り上がったことか(笑)。

坪郷 歩く側でパレードに参加してたんですけど、とても盛り上がってました。

 俺、司会だったから全然見られなくてさ。見たかったな。

――司会をやってみての感想はいかがですか

 普通にしゃべりました。最初は緊張して何をしゃべればいいか分かんなかったんですけど、僕自身北風祭のプロジェクトリーダーでいろんな話を聞いていて、自分らしくやっていいと言われたので、比較的楽にできました。ファンの方やOBの方に褒められたのでうれしかったです。

――坪郷選手が司会を頼まれたらやりますか

坪郷 僕はできないですよ(笑)。オークションとか無理です。

 あれ全部アドリブですからね(笑)。

坪郷 普段からしゃべるのはすごいからね。

 そういうとこの頭はいいもんな。

――部員の出し物はポジション別の予選があったと聞きましたが

 そうなんですよ。後藤監督が景品を出してくれるということで、しかもその景品があまりにも素晴らしいものだったので、みんな頑張りました。

――その景品とは

 フィットネス半額券です(笑)。とてつもなく大きな景品でした。元々優勝したプロップ陣だけの予定だったんですけど、後藤さんがせっかくだからということで、バックロー陣もクオーター権をもらって、披露しました。

――ちなみにCTBは何をなさったんですか

 言えないんじゃない。

坪郷 僕は参加できなかったんですけど、ほぼ下ネタで(笑)。部員の前でしかできないやつです。

 その日だけは楽しみました。

――子供と触れ合う機会が多かったと思いますが、一番子供が好きそうな選手は誰でした

 完全に僕ですね。ワセクラ(ワセダクラブ)もやってるんで。

坪郷 しかも休まないもんね。

 大好きだもん子供。かわいいもんな。

坪郷 なんていうか癒やしになるよね。

 あまりにもかわいくて、電車に子供いたら絡みに行きますよ。

一同 (笑)。

 ワセクラに主に出てる選手とかは好きだと思いますよ。垣永(真之介主将、スポ4=東福岡)、古賀(壮一郎、教4=福岡・筑紫)、芦屋(勇帆、スポ4=京都・伏見工)とかが子供を好きそうですね。ワセクラの子たちが試合に来てくれるんですけど、そのときに「○○コーチ」みたいに話しかけてくれると、それがすごい力になります。

坪郷 ワセクラに出るようになってそれをすごく感じますね。

――プロジェクトが発表されましたが『国立をホームにしよう』ということに関してどう考えていますか

 自分はプロジェクトの中に入ってやっていたんですけど、まずは自分たちだけではできないことなので、サークルやOB、ファンの方たちと一緒になってやっていかなければならないと思ってます。そのためにはラグビー部としては、ラグビーをしっかりやって日本一にふさわしいチームになることが必要だと思っています。

坪郷 もし、今年お客さんが入らなかったら改修した後に、国立で早明戦ができなくなるかもしれないということで、自分たちの代で国立が最後になってしまうのは未来の後輩にも申し訳ないし、自分も引退したら国立に早明戦を見に行きたいので、国立を満員にしたいなと思います。

――お互いの印象はどうですか

坪郷 泰誠の印象は口がうまくて、キャプテンシーがあるんですよ。何試合か泰誠と同じチームでやって、そのとき泰誠がキャプテンで、チームメイトの気持ちを盛り上げるのがすごくうまくて、その週はBチームだったんですけど、Aチームにも負けない練習が出来て。俺は好き。

 やめて(笑)。坪郷は坪郷にかけた期待以上のものが生活面でもラグビーでも返ってきますね。予想以上のことをしれくれます。野生的なところもあるんですけど、実は結構繊細なところがあって、ラグビーで怒られたら落ち込む人だよな。

坪郷 後藤さんの怒鳴ってくるのがちょっと怖いかも(笑)。

――初対面のときはいかがでしたか

 やっぱり趣味が同じなのもあって、一緒にいて楽しいなと思いました。周りにも同じ趣味の人がいるんだと思ってうれしかったです。

坪郷 新人練の時に、一年生がアウェイルームに集まってから練習するんですけど、その時に垣永とか(金)正奎(教4=大阪・常翔啓光学園)と一緒にいるんで、この人と友達にはなれないなと思ってました。

一同 (笑)。

 みんなそれ言うんだよ。初対面はみんな怖かったらしいです。おかしいよ。

それぞれの苦難を乗り越えて

昨シーズンはケガに苦しんだ坪郷

――昨シーズンの振り返りをお願いします

坪郷 ケガのシーズンでした。春と秋冬シーズンの最後の2回ケガをして、思うようなパフォーマンスが出せなかったシーズンでした。

 退寮させられて監督も変わって心機一転の年でした。何も言い訳せずに自分を出していこうと思って、Cチームが基本で、シーズンが終わってからずっとBチームになって、1、2年生の時に比べたらかなり良くなった年でした。

――4年目になって気持ちの変化はありましたか

 監督と個人面談があるんですけど、そこで監督に「お前のキャプテンシーを買っている」と言われて、プレーでも頑張らなきゃいけないですけど、4年として盛り上げていくということを意識しました。春の一番最初の試合で赤黒を着られて、それまでの色々な思いがあったから涙を流しました。でも今はBチームなので最後まで諦めずに4年としてやっていきたいと思っています。自分らしさを出して日本一に貢献したいです。

坪郷 4年生になって、生活面から全てラグビーに捧げられるようになったというのが大きく変わったところで、食事も栄養のことを考えて取るようになったし、お酒も全然飲まなくなりました。あと1年しかないから全部ラグビーにつぎ込もうっていう気持ちになれました。日々後悔しないように練習もしていたら、今の良いパフォーマンスにつながっている理由なのかなと思います。

――呉選手は初赤黒が決まった瞬間どう思いました

 まずは腐っててどうしようもなかった頃の自分に感謝しました。あの時の自分を一度捨てて全部変えたから赤黒を着れたんだなと思いました。自分のことをずっと応援してくれていた人がいたので、そういった色々な思いが詰まって、実際に着た瞬間泣きました。

――坪郷選手は日大B戦でのプレーが評価されて久しぶりのAチームとなりましたが、名前がAチームにあった瞬間はどう思いましたか

坪郷 単純にうれしかったですね。でも2年生以来赤黒を着てなかったので、自分が出来るのかなという不安はありました。春シーズンやってきたことがその試合で出せて、今もAチームにいるので充実してると思います。

――周りの方から何か言われましたか

坪郷 部員からは高麗大戦でAチームになったので、お土産頼んだぞってぐらいですね(笑)。

――今シーズンから取り組んでいる試合が終わった後のフィットネスの意図を教えてください

 目的としては試合で出し切った後に、0のエネルギーの中でどれだけフィットネスをつけていけるかということです。昨年かなり走ったんですけど負けて、しかも目いっぱいで負けたイメージがあるので、昨年以上に走らないといけないということでは必ず必要なことだと思います。

――その成果を感じていますか

 それは表れていると思いますね。監督もコーチも言ってくれているので。昨年は先制トライが多くて、ことしは先制されて後半の伸びがあると思うんですけど、80分に近づくにつれて追い上げられているのは成果だと思います。

――春のご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

 100点満点で言うと70点くらいですね。まだまだです。自分が6試合赤黒を着たというのは正奎がケガしたというのもありますし、みんなが認めてくれる赤黒戦士ではないなというざっくりとした印象があります。僕はフィットネスが著しく足りないですし、フランカーという才能あふれる集団の中にいるのに、光るプレーが無いので、ひたむきに泥臭く、声を張ってこれからも勝負していきたいです。

坪郷 点数は60点ですね。

 厳しいな。

坪郷 そこは意識の差だよ(笑)。昨年に比べたら良いですけど、Aチームの選手から認められているかといえばまだまだなので、Aチームでも中心になる選手になりたいです。それで優勝したときには試合に出ていたいと思います。

――得意とするプレーを教えてください

坪郷 得意なのはタテに強く入って、ゲインラインを越えていくのが持ち味かと思います。

 監督に言われたんですけど、アタックもディフェンスもトータルしてそつなくこなせるというのがありますね。

――逆に足りていないところはどこだと考えていますか

 僕に足りないのはスピードとキレだと思います。タックルの出だしとか色々な面でのスピードとキレが足りていないと思っています。

坪郷 僕が弱いのは、相手のヨコの動きについていってタックルすることかと思います。他のCTBの人でもこれが優れている人はたくさんいるし、周りと比べたときにそこが一番弱いと思います。

――呉選手はフランカーの選手層が厚い中で、どのようにして生き残って生きたいですか

 さっき言ったスピードとキレであったり、流れを変えるプレーを身につけたいです。正奎も布巻(峻介、スポ3=東福岡)も常に流れを引き寄せるビックプレーをしているので、僕もひたむきにワークレートを高く、流れを変えてアピールしたいです。

――タックルが全体的に向上しているように思えるのですが実感はありますか

 いや、そこむしろ課題なんですよ。自分らとしては最も課題にしている部分なんですよ。最後の帝京大の試合は良かったですけど、トータルしたらやっぱり弱いところはそこですね。

――それぞれの帝京大の試合を振り返っていただきます。まずはBチームは素晴らしい試合を見せてくれました。呉選手はプレーしていかがでしたか

 まず気持ちが入るのは当たり前なので、僕はキャプテンとして周りに伝えたかったことは、このビッグゲームを楽しもうということでした。帝京大を目の敵にしてやっているんですけど、その頑張ってきた思いを全部帝京大に向けてしまうのはどこかもったいない気がして、ビッグゲームを楽しむことで今までやってきたことが出せるのではないかと思いました。それで試合終わった後にチームメイトに聞いたら、今までで一番楽しかったって言ってくれたので良かったです。何が良かったかと言えば、ディフェンスが良かったと思います。ゴール前のピンチを相手のミスに助けられた場面もありましたけど、ことごとく防いで、ターンオーバーして外に回すっていうディフェンスとオフェンスが連動してできた試合だったと思います。

――Bチームとしては春のベストゲームと捉えていいですか

 そうですね、春の中ではそうだと思います。でもBチームの人たちはBチームで終わりたいと思ってないんで、まずはBチームにいることを悔やみたいですね。

――坪郷選手は外から見ていてどう感じましたか

坪郷 もうみんなすごい走るしタックルするので、次の日の試合に向けてパワーをもらいました。すごいモチベーションにつながりました。

 めっちゃプレッシャーにならなかった?

坪郷 プレッシャーになりましたね。みんな勝ってるんで。

――そして迎えた帝京大戦はいかがでしたか

坪郷 正直なところ逆転して勝ちたかったなと思っています。あの試合で負けて自分たちに足りないところが見えて、秋、冬に向けての強化ポイントが見えたので、あえて勝たなくて良かったのかなとも思います。

――最初のトライにつながる坪郷選手のキックパスは狙ってやったものだったのですか

 それがすごいんですよ。

坪郷 ボールが出てくる前に外にスペースがあるのは分かってたんですけど、それをSOの小倉(順平、スポ3=神奈川・桐蔭学園)に伝えて、「蹴ろ、蹴ろ」って言ってたんですけど、小倉がパスしてきて、どうしようって思って、蹴っちゃおうかなという直感みたいなのです。

 土壇場の判断がすごいんですよこいつ。

坪郷 みんなにこんなことやる人じゃないだろって言われました。

 4年間で初めて見たよ(笑)。

――両CTBのタックルが光っていましたが、ディフェンスに関していかがでしたか

坪郷 前日の試合を見ていても気持ちが入ったタックルをしていたので、Aチームも負けてられないなと思ったところはあります。相手のCTBも大学界ではトップクラスなので、それに食いつけるようにという気持ちで臨んだらいいタックルができました。

――接点のポイントについては1月2日(全国大学選手権準決勝・対帝京大)より差が縮まったと感じましたか

坪郷 いや、接点は当たった感触からすると、帝京大は強いなと感じましたね。

――組織でカバーできていたように思えますがその点はいかがでしょうか

坪郷 集散も早くてカバーできたことも多いと思いますけど、パワーが全然違うなというのを感じました。そこが追いつけば自分たちが優位に試合を進められるんじゃないかと思います。

――チームが掲げる『数で勝つ』というテーマの完成度はどう感じていますか

 春シーズン通してやってきましたけど、80分全部これができた試合は無いと思うんですよ。下のチームから上のチームまでそうだとは思います。だから完成度としてはまだまだですけど、ビジョンは見えてきていると思います。

――練習では基礎となる部分の積み重ねなのですか

坪郷 そうですね。練習では毎回同じようなことをやって、体に染み付けるみたいな感じです。

 理解度は高くなってるよね。

――春にご自身が一番成長したと思うところはどこですか

 試合中にあまりサボらなくなったところですかね。ここは自分がいなくても大丈夫って思ってしまうところがあって、辰野のお父さんがワセダのOBの人で、たまに家に来てたときにビデオ見ながら「お前はサボってるんだよ」って言われて、まだまだだとは思いますけど、意識だけは成長したと思います。

坪郷 今シーズンは80分間集中してラグビーができていると思います。昨年は疲れてくると簡単に抜かれるところがあって、今シーズンは試合を通して雑なプレーとか、簡単に抜かれることが無くなったのが良いと思います。

最後の夏、そして頂点への道

本音を語り合う二人

――一区切りついた今の時期はどういった練習をしているのですか

 今はもう体作りです。体を大きくして課題を克服していこうとしています。

――実際昨年からどのくらいビルドアップされていますか

 僕は6キロですね。

坪郷 僕は5キロぐらい増えたのかな。

――どのくらいが目標値ですか

 91.5キロですかね。

坪郷 85キロまで増やせって言われました。

――これから夏合宿が始まりますがどういった印象をお持ちですか

坪郷 きついしか無いよね。

 二度と行きたくないというか、また今年も行くのかみたいな感じです(笑)。4年目だからとかじゃなくて行きたくないんですよね。

坪郷 今まで先輩方が4年生になったら最後だから頑張れるって行ってたんですけど、行きたくないです。

 そうそう、4年生とか関係無いよな。

――BKから見てBKリーダーの小倉選手はいかがですか

坪郷 3年生なのにBKリーダーなんですけど、声を出して指示してくれるのでやりやすいというのはありますね。きつい時にも頑張ってくれるので頼りになります。

――FWリーダーの金選手はどうですか

 鬼神でしょ。彼は妥協しないんですよ、絶対に。練習の細かいところまで妥協しないので、自分が満足したレベルを壊してくれるんですね。彼と一緒にグラウンドにいるとすごく成長します。プレーとしてはワセダのフランカーを体現している男で、何でもやれる人で目標になれる選手が近くにいるので、いてくれて良かったと思います。

――主将の垣永選手について聞かせてください

 色々知ってますよ。全部知ってます。仲いいですよ。

坪郷 すごい頼りになる人で、帝京大戦のときも、後半最初に相手にトライを取られて、昨年の(全国)大学選手権と同じような展開になりそうな雰囲気があったんですけど、そこで集まって「まだまだいけるだろ」とか「楽しくやろうぜ」みたいに落ち込みかけた雰囲気を一掃してくれて、本当に頼りになります。

 あいつは結局優しさに満ち溢れた男なんで、ラグビーでは厳しいところもありますけど、チームを見てかける言葉も適切ですし、あんな顔と体してるのに気を使えてすごい人と友達になりましたね。自然と周りに人が寄ってくるっていう方だと思います。

――これから成長していきたいところを教えてください

 成長したいところとしては、流れを変えるプレーであったり、自分にあったものを合宿で見つけていきたいと思います。

坪郷 夏合宿を通してAチームから認められる選手になりたいと思います。練習でやったことを試合で100パーセント出すことをやって、周りから認められたいです。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします

坪郷 応援してくれる声がプレーしてるときに力になるので、感謝していますし、これからも応援していただきたいです。よろしくお願いします。

 ファンの人に支えられてきたことがあって、自分たちだけでは進んでいけない道がありますし、周りの方に支えられてラグビーができていることに感謝したいです。それで、長い間ワセダが優勝していなくてファンの方々が待ちくたびれていると思うので、ことしはファンのかたに喜んでいただけるようにしたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 坂田謙一、御船祥平)

呉泰誠(お・てそん)

1991年(平3)8月21日生まれのA型。175センチ、89キロ。大阪朝鮮高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはフランカー/NO・8。先日の北風祭では、司会者として驚異のアドリブ力を発揮した呉選手。今回のインタビューでも、次から次にユーモアたっぷりのお話しを披露してくださいました。ラグビーはもちろん、家事もできて話も上手い。まさに完璧です。

坪郷勇輝(つぼごう・ゆうき)

1991年(平3)8月2日生まれのB型。170センチ、82キロ。東京・早実高出身。商学部4年。ポジションはCTB。将来の夢に「マグロを釣ること」と答えた坪郷選手。理由を伺うと、趣味でよく釣りに行くそうですが釣れる魚が小物ばかりで、いつかは大物を釣ってみたいとのこと。ラグビーでもマグロ級の大物を捕えて下さい!

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