漕艇部

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2014.04.08

【連載】『奪還』への船路 【第4回】5:是澤祐輔×S:竹内友哉

 100年以上の歴史を誇る早慶レガッタ。ことしの対校エイトクルーに、2年生からは是澤祐輔(スポ2=愛媛・宇和島東)と竹内友哉(スポ2=愛媛・今治西)が選ばれた。早大漕艇部に入ってから1年が過ぎ、初めて挑む隅田川。レースの日が近づいてきたいま、二人の現在の心境などについてお話を伺った。

※この取材は3月4日に行われたものです。

「成長した一年だった」

言葉を選びつつ淡々と質問に答える是澤

――練習中の雰囲気はどのような感じですか

竹内 元気なときは元気なんですけど、波がありますね。

是澤 みんなが疲れたときは自分が声を掛けて、クルーを盛り上げようとしています。

――同期で一番仲がいい方は誰ですか

是澤 木金君(孝仁、社2=東京・早実)です。

竹内 部屋が一緒の石坂(友貴、政経2=東京・早実)とかですかね。木金君はちょっといびきがうるさいので苦手です(笑)

――お二人は出身地が同じ愛媛県ですね

竹内 高2の国体に一緒に出ました。

是澤 それからずっと一緒ですね。

――オフの日はどのように過ごされていますか

竹内 まったり、だらだらと過ごしています。

是澤 同じですね。

――外出はされないんですか

竹内 僕は半々ぐらいですかね。

是澤 僕もたまに出かけますね。

――普段の生活や練習を通して見えてきたお互いの性格などはありますか

竹内 あまり考えたことはないですけど、クールに見えて実はやんちゃなところがありますね。具体的なエピソードは話せないです(笑)。

是澤 普段はそんなに見せないんですけど、ボートに乗るとものすごく熱くて頼りになります。尊敬する部分が多いですね。

――よくお世話になっている先輩はいらっしゃいますか

竹内 僕はジャパン選考で青松さん(載剛主将、スポ4=京都・東舞鶴)とペアに乗っていて、それで結構ビシバシと…「お前なに門限ギリギリに帰ってきてんだよ」とか言われてます(笑)

是澤 大学に入って初めて出た試合で一緒だった田崎さん(佑磨、スポ4=茨城・潮来)とよくご飯に行ったりします。

――よく先輩とご飯に行かれるんですか

竹内 人によります。きのうは「クルー飯」っていうのがありました。

是澤 クルー全員で焼肉屋に行きました。

――昨シーズンを振り返ってみていかがですか

是澤 自分たちは二人とも対校エイトに乗ることができたんですけど、目標の全日本大学選手権(インカレ)優勝には届かず3位に終わって。まだ先輩方に引っ張ってもらった部分が多くありました。でも成長した一年だったのかなと思います。

竹内 僕も大体同じです。僕たちは高校のときはそんなに負けることがなくて、勝つことの方が多かったんですけど、大学入ってやっぱり1位になることは難しいなって実感した一年でした。

――高校と大学では漕艇という競技に何か大きな違いはありますか

是澤 まず高校はレースの距離が1000メートルなんです。大学はその2倍で。竹内と一緒に乗っていて1000メートルのレースで負けたことがほとんど無かったので、2000メートルは体力が必要だなと感じました。

竹内 エイトっていう種目は大学に入って初めてやったんですけど、ボートに乗る人数が増えると一人ひとりの漕ぎのズレは大きくなるので、一年間やっても全然ダメだなっていうところばかりです。

――オフシーズンはどのような練習をされましたか

是澤 1時間エルゴとかをやっていました。水上ではなく地上でエルゴメーター(陸で漕力を測定する機械)という機械を使って1時間ただひたすら漕ぎ続けるというメニューです。基本的には長い時間、長い距離を漕ぎます。長くて1日50キロとか漕いでいますね。

竹内 隅田川往復と変わらないですね。きつい練習です。

――雪の中でも練習されたと伺いました

是澤 そこまでいくと逆に楽しいというか(笑)、雪が降っているといつもと景色が違うので、新鮮な感じで練習できました。体が温まるまではものすごく寒かったです。

竹内 でも漕いでみたら、雨だと結構濡れるんですけど、雪はそんなに濡れなかったです。漕げば温まるって感じですね。

――代表合宿はいかがでしたか

是澤 自分たちはペアという種目で参加したんですけど。ペアを始めて1年経たないうちに代表合宿に参加して、完成度が低いというか、質の高い漕ぎができなかったので、そこが反省する部分ですね。

竹内 自分が行けるだろうなって思っていたところに全然到達できなかったので、まだまだスキルが足りないなと感じました。高校の時は負けたことがなかった他大の先輩に負けたりと悔しいことがいっぱいありました。

――他大の人と一緒に過ごしてみていかがでしたか

是澤 他大の人だけではなく社会人の人も参加されていて、漕いでいるところを見たんですけど、やっぱり一つ一つのオールの動きが洗練されているので、勉強になりました。

竹内 一橋大が一番速くて、社会人を交えたトライアルでも1位だったんですけど、僕らと1500メートルのトライアルでも出だしの勢いがまるで違うので、もっと前半から行こうと思いました。

「大歓声が後押しになる」

笑顔を見せつつ冷静な受け答えをする竹内

――対校エイトのクルーに選ばれた感想は

竹内 今回はクルーの選び方がいつもと違っていて、監督が選んだ暫定対校クルーに暫定セカンドのクルーから「この人には負けない」っていう相手に挑戦するというかたちでした。それで僕たちは誰からも挑戦されなくて、そのまま決定になったので、実感は湧かなかったんですけどね。僕はストロークをやるって言われて、最初は「あれ?長田さん(敦、スポ3=石川・小松明峰)じゃないのかな」って、監督に返事するのを忘れていて。監督に「竹内いないのか?やめるか?」って言われて、「いや、やります」って(笑)。ストロークを任されたことはうれしかったですね。

是澤 やっぱり選考に参加せずにシートをもらったので実感はあまりないんですけど、選ばれたからにはワセダの代表として必ずケイオーに勝とうと思っています。

――対校エイトでの個人的な目標はありますか

竹内 ワセダの男子は全体的にキャッチのところが遅いリズムになっているという指摘が結構あって。ストロークはリズムをつくり出していくポジションなので僕の中ではワセダのいままでのそういうリズムを変えたいなと思っています。

是澤 僕の仕事としてはみんなが疲れたときに自分1人でも漕げるくらいのパワーと勢いで隅田川の3750メートルを漕ぎ切りたいと思っています。

――初めての隅田川に不安はありますか

竹内 ないって言ったら嘘になるかもしれないですけど、あんまり意識してたらそれで弱気になってしまうので、淡々とやりたいと思います。

是澤 不安は特にないですね。波の中でも自分としては楽しいので、竹内にしっかりついていって、楽しもうと思っています。

――竹内選手は全体のリズムをつくるストロークに選出されましたが、自身のポジションをどのように感じていますか

竹内 漕いでみて、インカレやきょねんの全日本新人選手権ではずっと6番に乗っていましたが、そこに比べてリズムも水中もかなりきついので、いままで「俺サボってたなあ」と実感できました。

――是澤選手はパワーがカギとなる5番に選出されましたが、自身のポジションをどのように感じていますか

是澤 いま(スピードが)出ていないなと思うときは、リズムに乗りつつも自分で加速させるような、強烈な加速のイメージでやっています。

――早慶レガッタは3750メートルと普段のレースよりも長い距離ですが、何か感じていることはありますか

竹内 波で結構自分が漕いでいるつもりでもあまり練習で漕げていないのですが、めちゃめちゃエルゴのようにきついということはないので、淡々と一定のリズムを刻んでいったら良いのかなと思っています。

是澤 ボートって勝っているときが一番楽しいんですよね、レースの中で(笑)。(普段の2000メートルに加えた)1750メートルをずっとリードしていれば多分楽しいはずなので、それはいつものレースよりも楽しめる部分として絶対にリードしていきたいです。

――きょねんの対校エイトでは7艇身差での大敗となってしまいましたが、ことしはいかがですか

是澤 ことしは逆に7艇身差つけたいです。

竹内 ことしは倍返しで、14艇身差で(笑)!

――隅田川で練習されていると思うのですが、実際に漕いでみていかがでしたか

竹内 まだ隅田川には1回しか行っていないのですが、その際は3750メートル、どんどんレートを上げていくビルドアップで第二エイトと並べてやりました。

是澤 自分たちが行ったときはとてもコンディションが良くて、あまり荒れていなかったので「あれ、波ないな」と思いながら漕いでいました(笑)。

――早慶レガッタは野球やラグビーと並ぶ三大早慶戦の一つですが、そのような大きな大会に出場するうえでプレッシャーなどは感じていますか

竹内 インカレなどの普段の大会よりも学校の友達やOBの方々、家族など来てくれるので最も観客が多いと思います。観客が多い分、大歓声が後押しになる一方でプレッシャーも大きいですが、負けられないです。

是澤 早慶レガッタで勝つことで今シーズンの勢いなども決まってくると思うので、ここでしっかり勝ってその勢いのままインカレに向けて練習していきたいです。勝つことにこだわりたいです。

――理想のレースプランは考えていらっしゃいますか

竹内 (クルーの)みんなは多分先に出てそのまま行くのが良いと思うのですが、個人的には板付けして最後に差したいと思っています。14艇身差も良いと思うのですが、観客に魅せるという意味でも最後に差すのが良いかなと(笑)。

是澤 やはり一度前に出てしまうとコース取りなども自分たちの方が有利になり、相手を見ながら漕ぐことができるので、「(いま)来るぞ」と思った時に自分たちが先に行ってしまえばずっとリードを保てるので、自分は最後に差すのは嫌ですね(笑)。ずっと(前に)出て、14艇身差つけたいです。

――ことしのケイオーの対校エイトのクルーについて何か思うことはありますか

竹内 個人的には高校の2つ上の先輩の山本さん(尚典)が主将をされているのですが、その先輩がことし最後の年なので、負けちゃうと僕がボートを辞められなくなってしまうので、勝ちます。

是澤 あまり詳しく知らないのですが、ケイオーもやはり「俺たちの方が上だ」と思っていると思うので、そこをたたきつぶしたいなと思います(笑)。

――反対に、ワセダの対校エイトのクルーの雰囲気はいかがですか

竹内 良いほうだと思います(笑)。結構一人一人プライドが高い人たちが集まっているので、自分のやりたいこととかこうした方が良いということがあるときに(クルー同士で)バラバラになってしまうことが結構あるのですが、青松さんが「全員まとまっていくよー」と言ったら全員集中してまとまっていくので、そこが良いところだと思います。

是澤 雰囲気は良いですね。罵倒し合いながら漕ぐみたいな感じではないので、誰かが「ここ行こう」と言ったらすぐにまとまって切り替えることができるので、強いクルーの雰囲気だと思います。

――青松主将に対してどのような印象をお持ちですか

竹内  かなり努力家だと思います。

是澤  フィジカルマスターですね。とにかくウエイトがすごいです。

竹内  あとは「門限ギリギリに帰って来るな」と言われます(笑)。いつもギリギリに帰って来るので(笑)。

「勝つしかない」

高校時代はペアとして国体優勝も果たした二人

――1年間、ワセダ漕艇部として過ごしてみて何か感じたことはありますか

竹内  高校の時にはごまかされていたのですが、ワセダに来て結構フィジカルの面でかなり自分が弱いなということを実感しました。今シーズンは体を改造ではなく開発していきたいです。

是澤  自分は高校時代にこんなに部員がいなくて、ひどいときは2人とか3人とかでずっと練習をしていたので、最初は部員がいることに驚きました。やはり(部員の)数が多いと、高校のときにはなかった部内競争があるので、常に1番を狙って練習できるので、そこはためになっていて良いところだと思います。同期とか先輩たちもみんないい人ばかりなので、(質問を)聞けばちゃんと答えてくれますし、面倒見てもらっているので、次に後輩が入ってきた時に自分もそれができるようにしたいなと思います。

――後輩が入りますが、どのような先輩になりたいですか

竹内  あーだこーだ言わないような、黙って漕いでいるような感じでいいかなと思っています(笑)。背中で見せたいですね。

是澤  僕も同じで、行動で示して、黙ってついてこいみたいな感じでやっていきたいです。

――具体的な理想とする先輩像などはありますか

竹内  長田さんです。長田さんは細かくは言わないのですが、めちゃくちゃエルゴでも水上でもストイックで、あと10年やってもかなわないなと思います。

是澤  新藤さん(耕平前主将、平26スポ卒=山梨・富士河口湖)です。新藤さんは自分の意見や考えをしっかり持っていて、自分の感覚などをとても分かりやすく伝えてくれて、新藤さんに「やろう」って言われたらやらなきゃいけない気になるので、僕もそのような先輩になりたいです。

――最後に、早慶レガッタへ向けての意気込みをお願いします

竹内  きょねんは7艇身差をつけられてしまっているので、また僕は高校まで是澤と乗って負けたことがなかったので、是澤と乗って負けるわけにはいかないなと思います。7艇身差か14艇身差か、最後に差すのかまだわかりませんが、必ず勝ちます!

是澤  勝つしかないです。0.1秒差でも良いので、自分たちが先にゴールできるように全力を尽くしたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 土屋佳織、八木瑛莉佳、写真 細矢大帆)

◆是澤祐輔(これさわ・ゆうすけ)(※写真左)

1994(平6)年9月5日生まれのA型。183センチ、74キロ。スポーツ科学部2年。愛媛・宇和島東高出身。ポジションは対校エイトの5番。竹内選手によると、クールに見えて実はやんちゃな一面もあるという是澤選手。そんな是澤選手が寮生活の中で最も好きな場所は「広くて落ち着くから」という理由でお風呂だそうです。漕艇選手は水に慣れ親しんでいるからでしょうか!?早慶レガッタでは是澤選手の水上での活躍に期待です!

◆竹内友哉(たけうち・ともや)(※写真右)

1994(平6)年7月20日生まれのA型。172センチ、69キロ。スポーツ科学部2年。愛媛・今治西高出身。ポジションは対校エイトのストローク。冗談も交えながらも、冷静に質問に答えてくださった竹内選手。初めての早慶レガッタでストロークという重要なポジションを任されましたが、その冷静さを生かしてクルーを力強くリードしてくれることでしょう!

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