メニュー

その他

« 特集に戻る

2013.12.24

【連載】『箱根路への挑戦状』 第2回 相楽豊長距離コーチ

 10年ほど前から渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)の片腕を担い、その指導力を買われている相楽豊長距離コーチ(平15人卒=福島・安積)。大迫傑(スポ4=長野・佐久長聖)の遠征に付き添うためにチームを離れることも多かった渡辺監督に代わり、ことしは例年に増して指導の責任を任された。その相楽コーチが見る、いまのワセダのチーム状況とはどのようなものだろうか。

※この取材は12月14日に行ったものです。

「1区は経験などを加味して選びたい」

――先日エントリーメンバー16人が発表されました。思ったより上級生が多く食い込んだ印象を受けましたが

早大は距離をしっかり踏んだ上級生の力に何度も救われてきました。今回も、ケガなどで万全な状態でない下級生ではなく、着実に走り込めていて安定感のある上級生を(メンバーに)入れたということです。その結果として、バランスの良いチームになりました。

――集中練習の消化具合、チームの状況はいかがですか

集中練習であんまりトライアルのような練習はさせないということもありますし、途中なので、まだ何とも言えませんね。過去と似せたような練習をさせているので、その練習を余裕をもってこなせているかとか、何人残っているかっていうとことで過去のチームと比べることになると思います。そういう意味では、層は薄いですが、いる選手は、たとえば勝った年と比べてもロードの練習はこなせてはいるので、充実しているとは思いますね。

――レース展開などももう頭にあるのでしょうか

そこは正直まだ見えてこない部分ではありますね。来週あたりから徐々に見えてくるのではないでしょうか。現段階ではまだ途中なので何とも言えませんが、来週あたりのチームの仕上がり具合を見て、どれくらいの順位、優勝を狙うのか、それとも確実にシードを取りに行くのかなどの判断をして、そこから戦略を組みたいと思います。優勝を狙いにいくなら優勝時のように前半に主力をガッとつぎ込むかもしれませんし、まずはシードということであれば、往路復路バランスよくオーダーを組むことになるかもしれませんね。

――最近、渡辺監督は、目標を優勝ではなく3位以内だともおっしゃっているようですが

3位以内というのは、優勝を狙うべくして狙うチームと、チャレンジャーとして狙うチームとの差という意味だと思います。駒大・東洋大・日体大のように狙うべくして優勝を狙ってくるチームではなく、ことしのうちのチームはあくまでチャレンジャーですから、あまり過信せずに、狙って行きたいですね。

――ことしの駅伝シーズンは1年生の活躍が目立ちましたが、距離が伸びる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)は、1年生にとっては厳しい部分もあるのではないでしょうか

ことしチームに勢いを与えたのは、間違いなく1年生ら下級生です。箱根でも貴重な戦力にもなると思います。しかしハーフなんかもタイムはそこそこ走れていても、平(和真、スポ1=愛知・豊川工)なんかは上尾で15キロすぎから少し遅れましたよね。他の1年生も苦しんでいるところではあると思います。

――そこを加味して1年生の区間配置はどのように考えるおつもりですか

1年生ですから、負担の少ないところにできれば回してあげられればいいなと思います。ただそれはチーム状況や各自の特性を見極めて最終的な区間配置をするつもりでいます。1年生は駅伝への慣れ、経験の有無というのもひとつの重要なカギとなってきますね。

――武田凜太郎選手(スポ1=東京・早実)が1区を志願していると伺いました。矢澤曜選手(平24教卒=現日清食品グループ)や大迫選手などの前例を見ると、1年生の起用もあると考えてよいですか

そうですね。まだチームの方向性が定まっていないのでわかりませんが、1年生の起用も全くないとは言えません。正直全日本のときには、1区候補は正直、武田・平・高田(康暉、スポ2=鹿児島実)・柳(利幸、教2=埼玉・早大本庄)の4選手にしぼっていました。ワセダとしてもここしばらく1区で失敗が続いているのでここは慎重に行きたかったのですが、結局は柳を起用して、失敗してしまいました。武田は都道府県駅伝(全国都道府県対抗男子駅伝)などで1区の経験もありますし、自分から「(1区)行けます」と言っていました。平も経験としては十分ですし候補には入っていましたね。

――経験がある1年生であれば、1区も任せられるということでしょうか

箱根でも1区はもちろん重要になってきますので、チーム状況を見極めてということにはなります。あとは武田、平については二人とも実績、経験はありますが、それとは別に特性もありますからね。武田は都道府県駅伝の1区で走っていますが、案外一人でも押して行けるタイプです。全日本(全日本学生対校駅伝選手権)や出雲(出雲全日本学生選抜駅伝)でもそうだったと思います。一方平は、全国高等学校や全国高校総合体育大会(インターハイ)のレースなどを見ていても、流れを上手く利用して走ることができる。きょねんのインターハイでも、果敢に留学生についていって、それがそのまま結果に結びつきました。そういうところも考慮していくことになると思います。

――ことしの1区で重要になってくるのは、トップから離されないことですか。それとも後続との差をつくることですか。

やっぱり1区で流れに乗るのが大事というのは、どういう戦法であっても変わらないと思います。あとは、たとえば2区にすごいエースがいたら、先頭と一緒だったらいいですよね。逆に三冠したときは、あのときも若干全体で不安があったから1区で先に形を作らなきゃと思っていました。だからそういう意味で言えば、ことしも上位でくることは必須で、あとはその後の区間の流れを考えたときに、どういう位置にいるかっていうのを考えてオーダーを組まなくてはいけませんね、

――出雲、全日本で1区を任されていた柳選手の状態はいかがですか

起用という点では難しいところではありますね。特に1区は2回失敗しているので冗談でももう1区は仕えないし。ただ少なくとも、今回もそうだし、来年以降もチームの中心を担う選手であることは間違いないので、そのあたりはどこかで吹っ切れてほしいなと思いますね。ただ今はもう順調に練習できています。上尾は(上尾シティマラソン)走らせませんでしたが、レースの経験という点については本人ともよく話し合った上で飛ばしましたし、問題ないんじゃないかなと思っています。
落ち着いているので大丈夫だと思います。

――全日本の後に、柳選手とお話はされましたか

しました。特に全日本が終わったあとですね。上尾も出ようと思えば出れたんですよ。ただ今後のレースプランとか彼のキャリアを考えて、どういった形で箱根に持ってくのが良いのかということについて、結構時間をかけて話をしました。集中練習入るときも、最初苦労するよ、ということは伝えました。確かに最初の方はあまり上手く行かなかったのですが、そこでも本人と少し話をしましたので、いまはもう迷いなくやれているんじゃないかなと思っています。

――それは精神的に走ることがつらかったということでしょうか

そういうよりは、実際駅伝の後にダメージを食らって結構休んでいたんですよ。そこで体がなまったというか、戻すのに少し時間がかかったかなという感じです。

4年生の準備も順調

優勝は簡単ではないとしながらも、狙って行くと語った相楽コーチ

――2区候補には、全日本で好走した田中鴻佑選手(法4=京都・洛南)などが上がっているとうかがっていますが、現時点での構想はありますか

2区についても1区と同じことが言えますね。想定するレース展開によって、攻める2区にするのか、つなぎの2区にするのかが変わってきます。前半から攻めるのであれば、やはりそれこそ高田のような選手に任せることになるでしょうし、そうでないなら他の選手が走ることもあるかもしれません。大迫が走らないともまだわかりませんよ。

――前回は6区で相原選手が奮いませんでしたが、ことしも下りで用意しているということはやはり特性を評価していらっしゃるのですね

もちそんそれもありますが、やはりあのコースを知っているか知らないかというのは大きな強みですね。当日の雰囲気もそうですし、1回やっているというのは大きな強みであることは間違いないです。

――しかし昨年は、経験のある西城裕尭(平25スポ卒=東京・早実)選手ではなく相原選手を起用されました

西城に関してはきょねん故障がちで、体調が万全でなかったので相原を行かせました。平地も含めてですが練習を完璧にできていないと厳しいですね。下りだからスタミナがなくても行けるなんてことはないので、完璧に準備したなかで適性のある選手を使うっていうことになるのかな。

――最後の箱根となる、志方文典選手(スポ4=兵庫・西脇工)の調子は上向きなのでしょうか

そうですね。夏合宿もBと言えどやれてはいたんですよ。だけど彼もまた故障をしちゃって、単純に復帰のタイミングの問題で1万メートル記録挑戦競技会(学連記録会)に出しました。田口より復帰がちょっと遅かったんです。だから上尾に出しても良かったんですが、急で準備する時間もそんなにないし、きょねんもそこでやらせて壊れたということもあって見送りました。学連記録会には、試合を経験させて置いた方がいいかなというところで出しただけですね。学連記録会においても本人には1万メートルのための1万メートルではなくて、20キロのための1万メートルになるように調整しろということで、ある程度練習を積ませた状態で出させました。その後集中練習に入れたのですが、いまかなり練習は余裕をもってこなせています。きょねんなどに比べると、十分な準備できていると思いますね。

――ここ2年ほど思うような走りができていない志方選手ですが、箱根で志方選手に寄せる期待とはどれほどのものなのでしょうか

Aチームに合流したのが、集中練習に入ってからなんですよ。そういう意味で、最終的に判断するのは、たぶん来週に集中練習の仕上げの練習があって、そこで彼の出来具合を見てからだと思います。ただやっぱり推薦で入ってきているし、三冠をしたメンバーに入ったっていう数少ない選手でもあるので、もちろん叶うなら、大迫や山本と変わらないようなエース級の仕事をしてほしいですよね。あとは彼については、特に20キロという距離が走れるということもありますね。もともと能力がすごく高いですし、昨年の上尾、その後の丸亀ハーフマラソン、日本学生ハーフマラソン選手権かな。3連続で63分台で帰ってきていて、20キロに関してはもともと学生トップの力を持っていると思います。スタートラインに立つ以上はやっぱり区間賞とか、区間上位での走りを期待したいですね。もちろん主要区間に入ることもあると思います。ただそこは本人の練習の消化具合と、やはり直近ではハーフマラソンを経験していないので、そのあたりのバランスを見て考えることになると思います。

「バランス型のオーダーで戦うのは厳しいかも」

全日本・5区の区間記録を保持する志方。最後となる箱根で力走できるか

――例年、箱根直前になると往路復路分けて練習をされるということですが、ことしはまだその段階までは行っていないのでしょうか

そうですね。例年通り、20日くらいまでは全体でまとめてやって、その後から往路復路わけてやろうと考えています。往路復路で練習を分けるのは、完全に調整の違いが理由ですね。単純に走るのが1日違うということがまずあります。あとは往路と復路のレースの展開として、往路はどうしても他校もエース級が多く出てくるので、ある程度スピードを重視した練習を行います。復路に関しては、競っているような展開であれば良いですが一人旅になることも多いので、ある程度自分でじっくり、イーブンペースで押せるような練習を組んでいます。そこでどうしても違いが出てきますね。

――まだ具体的なレース展開は想定されていないとのことですので、相楽コーチの描く理想のレース展開をお願いします

何位を狙うかにもよるのですが、やはり上位校と競り合うためには、東洋大、駒大、日体大の3強の強みをいかに消して、うちの強みを最大限活かせる戦い方ができるかという所が大事だと思います。どうしてもそこの3校とか、またはきょねんうちの上を行った帝京大さんとかメイジとかと比べると、決してうちのチームは層が厚いとは言えません。そう考えると、バランス型のオーダーでじっくり戦うのは難しいかなという思いもあります。じゃあとどうやって戦うんだという具体的なところに関しては、やはり来週末の選手の仕上がり具合を見て考えることになるんじゃないかな。

――やはり先行逃げ切りで行くのが理想ですか

1区のことは別にして、2区以降のスタートのない区間についてはレースの流れを変えられる選手が何人いるかだと思うんですよ。いわゆる学生のエース級ってレベルの選手だとレースの流れを変えられるのですが、いまの大学生を見ていると、どこの大学もそのような選手はそんなに多くない。その中で、駒大・東洋大・日体大はそういう選手が複数いるのでやっぱり強いと思うんですよね。ただ前に立たれて逃げられると強豪って言われるチームでも追って来れなかったりするので先行逃げ切りはひとつの方法であることは確かですね。しかし、必ずしも頭から逃げ切るのがすべてじゃない。特に山については、うちも山本とかで流れを変えられる可能性はあるので、どうしようかなっていうところですね。ううちって追うの苦手なのかなと思っていたんだけど、全日本を見て追っても組み立てられるようになってるんだなと収穫もありました。そのあたりもやはりチームの状況次第ですね。

――最後に、箱根への意気込みをお願いします

やはり3強がピックアップされいて、確かに強いと思います。うちはことしのチーム状況を見ても若いチームなので、必ずしもことし優勝するとは言い切れないところもあります。しかしきょねんの日体大のように自分たちの力を出し切れば(優勝の)可能性はゼロじゃないので、やる以上は優勝目指してやりたいですね。ちょっとでも多くの方に、テレビで応援していただける位置で走りたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 深谷汐里)

« 特集に戻る